ブックオフコーポレーションはマンションの宅配ロッカーを利用した買取サービスを開始

ブックオフコーポレーションは10月28日より、マンションに設置されている宅配ロッカーを利用した「宅配ボックス買取サービス」を開始しています。ブックオフコーポレーションが利用する宅配ロッカーは、フルタイムシステムの「フルタイムロッカー」で、スタート時は157棟のマンションで利用できます。

ブックオフコーポレーションが宅配ボックス買取サービスを始める理由は、買取の利便性を強化するためです。お客さんは宅配ボックス買取サービスを利用すれば、自分の都合に合わせて、気軽に買取の申し込みが行えます。

格差社会、中古品に対する考え方の変化、フリマアプリの普及などにより、中古品への関心が高まり、中古品の買取競争は激しくなっています。ブックオフコーポレーションは買取を強化する必要があり、宅配ボックス買取サービスは買取を強化する施策の一つです。

宅配ボックス買取サービスの概要

ブックオフコーポレーションはフルタイムシステムと共同で、マンションの宅配ロッカーを利用した「宅配ボックス買取サービス」を開始しています。

フルタイムシステムは「フルタイムロッカー」というロッカーをマンションに設置しています。フルタイムロッカーは、セキュリティの高いコンピュータ制御式、24時間無人預け入れ・取出し、履歴管理、遠隔操作対応といった特徴があります。

宅配ボックス買取サービスは10月28日からスタートしていて、フルタイムロッカーが設置されている、全国157棟のマンションで利用可能です。

宅配ボックス買取サービスの利用方法は次のようになっています。

宅配ボックス買取サービスの利用方法
  • 申し込み – ブックオフオンライン、ブックオフ公式アプリから申し込み
  • 書類の受け取り – 利用案内、伝票、梱包材などを受け取る
  • 梱包 – 売りたい中古品を梱包する
  • 投函 – マンションのフルタイムロッカーへ投函
  • 通知と振り込み – パソコン・スマートフォンに査定結果の通知、振り込み

ブックオフの宅配ボックス買取サービスは、フルタイムシステムのフルタイムロッカーを活用したものです。フルタイムロッカーを使えば、ブックオフコーポレーションは自社で宅配ロッカーを設置する必要はありません。

2020年までに、フルタイムロッカーが設置されているマンション1,000~1,500棟へサービスを拡大する計画があります。

宅配ボックス買取サービスで買取の利便性が向上

ブックオフコーポレーションが「宅配ボックス買取サービス」を始める目的は、買取の利便性を高め、買取を強化するためです。

お客さんがブックオフに中古品を売る方法は、店頭に持ち込む「店頭買取」、自宅に買取に来てもらう「出張買取」、宅配便を利用する「宅配買取」があります。お客さんは自分の都合に合わせて、最適な買取方法を選択できます。

店頭買取、出張買取、宅配買取があれば、十分なようにも見えます。従来の買取方法に宅配ボックス買取が加わることで、お客さんの選択肢は増え、さらにブックオフに中古品が売りやすくなります。

店頭買取、出張買取、宅配買取は便利ですが、重いものを店頭に持ち込みたくない人、自宅に業者が来ることを嫌がる人もいます。このような人にとっては、宅配ボックス買取は利用しやすい方法です。

ブックオフのビジネスは中古品を買い取って、販売するため、買取がなければ売上も得られません。買取額を増やすためには、買取方法は多いほど良いです。

ブックオフの立場では、お客さんが自分で店舗に持ち込んでくれることが好ましいですが、店舗で待っているだけでは買取が増えません。

ブックオフは宅配ボックス買取サービスにより、買取の利便性を高め、買取額を増やすことができます。店舗への持ち込み、業者が自宅に来ることを嫌う、女性のお客さんが利用するのではないかと思います。

宅配ボックス買取サービスはフリマアプリ対策になる

ブックオフコーポレーションの「宅配ボックス買取サービス」は、お客さんの利便性の向上・買取強化の効果があり、フリマアプリ対策としても有効です。

ブックオフにとって、メルカリ、ラクマのようなフリマアプリは競合です。これまでブックオフで売買されていた中古品がフリマアプリに流れ込み、個人間で売買されるようになっています。

メルカリの2019年6月期の日本事業の流通総額は4,902億円(前期比41.3%増)でした。流通総額の規模は大きく、増加率も非常に高いです。

ブックオフホールディングスの2019年3月期の売上高は80,796百万円、売上原価は32,561百万円でした。ブックオフホールディングスの売上高、売上原価とメルカリの流通総額を比較すると、いかにメルカリの規模が大きいかが分かります。

メルカリの流通総額の拡大が続けば、ブックオフの買取はさらに難しくなります。

フリマアプリは不用品を売買できることで人気ですが、写真の撮影、文章の作成、価格交渉、梱包、発送、クレーム対応など、作業が多いです。こうした作業を楽しめる人もいますが、楽しめない人もいます。

ブックオフはフリマアプリを使わない人、フリマアプリに疲れている人に対しての買取を強化したいです。

ブックオフは店舗を保有しており、店舗を通じて多くの顧客との中古品の売買をしてきた実績があります。これまでブックオフの店舗で中古品を売買してきた既存顧客が、フリマアプリへと流出することを阻止しなければなりません。

これまでブックオフで中古品の売買をしてきた、中高年のお客さんがフリマアプリに流れてしまうと、業績に与える影響も大きいです。

宅配ボックス買取サービスに独自性はない

ブックオフコーポレーションの「宅配ボックス買取サービス」は、お客さんの利便性の向上・買取強化の効果があり、フリマアプリ対策にもなります。

ただ、宅配ボックスを使った買取サービスには独自性はなく、今後、多くの企業が同様のサービスを行うのではないかと考えられます。

ブックオフコーポレーションが宅配ボックス買取サービスに利用するロッカーは、フルタイムシステムがマンションに設置している「フルタイムロッカー」です。CO2の削減、再配達の削減は社会的な課題で、フルタイムロッカーのような宅配ロッカーがマンションに設置されるようになっています。

マンションに設置されている宅配ロッカーを利用すれば、すべての企業が居住者から買取を行うことができます。中古品を売りたい居住者は、複数の買取企業の価格を比較した後、最適な企業を選択します。どの企業に売るにしても、宅配ロッカーの投函する作業は同じであるため、居住者は便利です。

マンションに設置されている宅配ロッカーは買取だけではなく、フリマアプリの利用においても便利です。宅配ロッカーにフリマアプリの荷物を投函できるようになれば、宅配ロッカーはフリマアプリの利便性向上にも貢献します。

フルタイムシステムのような宅配ロッカーを設置する企業は、より多くの企業と提携して、物流の生産性を向上したいです。将来的には、宅配ロッカーを利用した買取競争は激しくなり、買取価格の上昇に繋がるのではないかと思います。

中古品への関心が高まり買取競争は激化

格差社会、中古品に対する考え方の変化、フリマアプリの普及などにより、中古品への関心が高まっています。中古品を売買したいと考える企業、個人は多く、中古品の買取競争はさらに激しくなると予想されます。

格差社会と中古品市場の拡大は関係しています。

格差社会が進むと、経済的に新品を購入することが難しい人、新品を買うことをためらう人が増えます。経済的に余裕がある人が売る中古品を、経済的に余裕がない人が買うようになります。

中古品に対する考え方の変化も、中古品市場の拡大に関係しています。

これまで中古品に対するイメージは良いとは言えず、できれば新品を買いたいという人が多かったです。しかし、中古品に対するイメージは変わり、中古品の購入はまだ使えるものを大切に使う、ポジティブなものになりました。

中古品の売買で人気のカテゴリは、書籍、ゲーム、CD、衣料品など少数で、それ以外のカテゴリは不人気でした。現在は中古品で売買するカテゴリは拡大していて、あらゆる商品で中古品の売買が活性化しています。

中古品への関心が高まる中で登場したフリマアプリは、中古品を売りたい人、買いたい人をマッチングする役割を担っています。中古品を売買したい人は、フリマアプリを通じて全国から相手を探すことができます。これまでの企業を通じた売買と比較すると、売り人はより高く売れ、買う人はより安く買えているようです。

フリマアプリは従来の企業を通じた中古品の売買を変えるものです。フリマアプリで中古品が売買されるようになれば、ブックオフコーポレーションのような中古品売買企業の買取額の減少に繋がります。

ブックオフコーポレーションが買取を強化するためには、買取の利便性の向上、買取価格のアップが必要です。宅配ボックス買取サービスは買取の利便性を向上させるための施策で、買取方法は多くあるに越したことはありません。