イトーヨーカドーがAI(人工知能)発注を全店舗に導入、発注業務の負荷を軽減

8月31日、イトーヨーカ堂はAI(人工知能)発注の導入を発表しました。AI発注は9月1日より、イトーヨーカドーの全店舗(132店舗)に導入されます。

現在、人間が行っている発注業務において、過去のデータを分析する作業はAIで代替えできます。発注業務にAIを導入することによって、作業時間の短縮、欠品の解消、適正在庫量の確保などの効果が得られます。

小売業において、発注は重要な業務ではあるものの、競争環境の変化により、重要性は低下しています。小売業は発注業務ではなく、接客、売場作りなど、売上の増加に繋がる可能性が高い業務に時間を使うべきです。

イトーヨーカドーのAI発注

8月31日、イトーヨーカ堂はAI(人工知能)発注の導入を発表しました。AI発注は9月1日より、イトーヨーカドーの全店舗(132店舗)に導入されます。

AI発注の対象となる商品は、カップ麺・菓子などの加工食品、冷凍食品、アイス、牛乳など、合計約8,000品目です。

イトーヨーカドーのAI発注システムは、気温・降水確率などの天候情報、曜日特
性、客数などの基本情報をAIが分析して、最適な販売予測数を発注者に提案します。

発注者はAIが算出した販売予測数をもとに、発注数量を決定します。

イトーヨーカドーが2018年春から実施しているテスト店舗では、発注業務の時間を平均約3割短縮することができています。また、欠品の解消、適正在庫量の確保などの効果も得られています。

発注業務の短縮で得られた時間は、接客、売場作りなど、別の業務に割り当てられます。

過去のデータを分析する作業はAIで代替えできる

イトーヨーカドーは全店舗(132店舗)にAI発注を導入します。

現在、人間が行っている発注業務において、過去のデータを分析する作業はAIで代替えできます。

発注業務では、過去のデータをもとに発注数を決めます。発注業務で活用される過去のデータには、天候、気温、イベント、販売実績、発注実績などがあります。

データを分析する作業においては、人間よりもAIの方が優れています。AIは人間よりもデータを効率よく、無駄なく活用することが可能です。天候、気温、イベンドなど、人間が評価することが難しいデータも、AIによって適切に活用されます。

発注業務にAIを導入するにあたって、これといったデメリットはありません。

イトーヨーカドーでは、AIが販売予測数を算出して、人間が発注数を決定します。最終的な発注数を決めるのは人間で変わりがないため、AIを導入する前と比較して、発注数が大きく変化するといったことは起こりにくいです。

イトーヨーカドーのテストでは、発注業務の時間を約3割短縮、欠品の解消、適正在庫量の確保などの効果が得られています。イトーヨーカドーが全店舗にAIを導入するのを見ても、発注業務にAIを活用することに大きな問題はなさそうです。

発注業務の負荷軽減、欠品の解消、適正在庫量の確保は、発注業務にAIを導入することで得られる効果です。これらに加え、売上の増加も実現できれば、AIは発注業務の生産性向上に大きく貢献します。

競争環境の変化で発注業務の重要性は低下

イトーヨーカドーは全店舗(132店舗)にAI発注を導入します。

小売業において、発注は重要な業務です。しかし、競争環境の変化により、発注業務の重要性は低下しています。

発注業務が重要な理由は、発注数が売上、利益、顧客満足に直結するためです。発注数が少なければ欠品が発生し、売上を逃すとともに、お客さんを失望させてしまいます。一方、発注数が多ければ、管理コスト、廃棄ロスの増加により、利益が減少します。

これまで以上に売上を増やそうとすると、積極的に発注数を増やす必要があります。毎回同じ数の発注を続けると、これまで以上に売上が増えることはありません。

小売業では発注は重要な業務であるため、発注業務には多くの時間が割り当てられ、人件費が掛かっています。発注業務には人件費が掛かっているからこそ、生産性向上の余地が大きいとも言えます。

小売業で発注業務の重要性が低下する理由は、競争環境の変化により、売上の拡大が期待しにくいためです。

小売業においては、高齢化社会、人口の減少、業種の垣根を超えた競争の激化、ECの拡大など、競争環境の変化が起こっています。これらの競争環境の変化により、発注業務に時間を費やしたとしても、売上の増加は期待しにくくなっています。

小売業は発注業務に時間を使うよりも、他の業務に時間を使う方が好ましいです。発注業務よりも接客、売場作りなどの業務に時間を使った方が、売上、利益、顧客満足に繋がる可能性が高いです。

イトーヨーカドーが発注業務にAIを導入した背景には、発注業務の重要性が低下したこともあるのではないかと考えられます。