セブン&アイホールディングスが米国企業のコンビニ事業を約2兆2,000億円で買収

8月3日、セブン&アイホールディングスは米国企業「マラソン・ペトロリアム」のコンビニ事業「スピードウェイ」を約2兆2,000億円で買収すると発表しました。

セブン&アイホールディングスが米国企業のコンビニ事業を買収する理由は、アメリカのコンビニはこれからの成長が見込めるためです。国内のコンビニが不安定な状況にある中、海外のコンビニは有望な投資先です。

セブン&アイホールディングスの従業員の立場では、海外への大きな投資はショックです。セブン&アイホールディングスの成長戦略において、国内よりも海外が重要であることが明確になりました。

セブン&アイホールディングスは米国企業のコンビニを買収

8月3日、セブン&アイホールディングスは米国企業のコンビニ事業を買収すると発表しました。

セブン&アイホールディングスの子会社米セブン-イレブンは、石油精製会社「マラソン・ペトロリアム」のコンビニ併設型ガソリンスタンド「スピードウェイ」部門を買収する契約を締結しました。

買収金額は約2兆2,000億円です。

スピードウェイはアメリカで約3,900店舗を展開しています。

米セブン-イレブンはアメリカで約9,800店舗を展開しており、スピードウェイの約3,900店舗を取り込むことで、事業を拡大して行く計画です。

なぜ米国のコンビニを買収するのか

セブン&アイホールディングスは米国企業のコンビニ事業を買収します。

セブン&アイホールディングスが米国企業のコンビニ事業を買収する理由は、アメリカのコンビニはこれからの成長が見込めるためです。

セブン&アイホールディングスの2020年2月期決算は、営業収益は6兆6,443億円(前期比2.2%減)、営業利益は4,242億円(前期比3.1%増)でした。

セグメント別の営業利益では、国内コンビニエンスストア事業は2,539億円(前期比3.6%増)、海外コンビニエンスストア事業は1,216億円(前期比9.5%増)でした。

海外コンビニエンスストア事業はグループの事業の中で二番目に営業利益が多く、セブン&アイホールディングスの営業利益の約3割を稼いでいます。さらに、グループの事業の中で最も営業利益の増加率が高いです。

国内のコンビニは先行きが不透明です。

2019年は24時間営業問題が噴出しました。店舗数の増加、人口の減少、業種の垣根を超えた競争の激化により、コンビニの飽和が実感されるようになりました。

2020年は新型コロナウイルスが発生しました。新型コロナウイルスの発生以降、お客さんはスーパーマーケット、ドラッグストアで買い物をする機会が増え、コンビニで買い物をする機会が減りました。

国内のコンビニは大きな営業利益を稼いではいるものの、これからの成長が難しい状況です。一方、海外のコンビニは国内のように飽和状態、人口の減少、業種の垣根を超えた競争といった問題がなく、これからの成長が見込めます。

セブン&アイホールディングスの従業員はショック

セブン&アイホールディングスは米国企業のコンビニ事業を買収します。

セブン&アイホールディングスの従業員の立場では、約2兆2,000億円という海外への大きな投資はショックです。

セブン&アイホールディングスの主力事業は、国内コンビニエンスストア事業、海外コンビニエンスストア事業、金融関連事業の三つです。2020年2月期においては、営業利益の9割以上を三つの事業で稼いでいます。

スーパーストア事業、百貨店事業、専門店事業、その他の事業は、営業利益に貢献していないことになります。総合スーパーのイトーヨーカドー、百貨店のそごう・西武では、従業員の削減が進められています。

総合スーパー、百貨店は厳しい状況が長く続いています。これまで、総合スーパー、百貨店で買い物をしてきたお客さんは高齢化し、消費活動が縮小しています。若い世代は総合スーパー、百貨店をあまり利用しません。

セブン&アイホールディングスはアメリカに約2兆2,000億円を投資します。

セブン&アイホールディングスの成長戦略が明確になりました。セブン&アイホールディングスは国内よりも、海外の事業を拡大して行きます。

今回の海外への巨額の投資は、セブン&アイホールディングスの従業員の立場ではショックです。海外に大きな投資が行われたことで、今後、国内に大きな投資が行われる可能性がなくなりました。

セブン&アイホールディングスが国内コンビニエンスストア事業、海外コンビニエンスストア事業、金融関連事業の三つの主力事業に注力して行けば、それ以外の事業で働く従業員の立場は弱くなります。