高輪ゲートウェイ駅にレジなし店舗「TOUCH TO GO」がオープン

3月23日、JR東日本スタートアップとサインポストの合弁会社であるTOUCH TO GOは、高輪ゲートウェイ駅の構内にレジなし店舗「TOUCH TO GO」をオープンしました。

「TOUCH TO GO」にはレジがなく、お客さんは購入する商品を手に取り、ディスプレイを操作して電子マネーで決済をします。

TOUCH TO GOはレジなし店舗のシステムを人材不足に悩む、小売店、飲食店向けの省人化ソリューションとして提供することも計画しています。

レジなし店舗「TOUCH TO GO」の詳細

3月23日、JR東日本スタートアップとサインポストの合弁会社、TOUCH TO GOは、高輪ゲートウェイ駅の構内にレジなし店舗「TOUCH TO GO」をオープンしました。

「TOUCH TO GO」はレジがないキャッシュレス店舗で、お客さんは従来のレジがある店舗よりも短時間で買い物ができます。

JR東日本スタートアップとサインポストは、2017年11月に大宮駅、2018年12月に赤羽駅でレジなし店舗の実証実験を行いました。今回出店した「TOUCH TO GO」は、過去の実証実験の結果を踏まえ、改良したものです。

「TOUCH TO GO」の店舗面積は60平方メートル、取扱商品は弁当、総菜、菓子、飲料など約600種類となっています。

お客さんは購入する商品を手に取り、出口にあるディスプレイで決済をします。決済方法は電子マネーで、決済が終わるとゲートが開いて退店できます。今後、クレジットカードにも対応する予定です。

どのお客さんがどの商品を購入したかについては、天井に設置してあるカメラ、商品棚に設置してある重量センサーを使って認識します。

TOUCH TO GOはレジなし店舗のシステムを人材不足に悩む、小売店、飲食店向けの省人化ソリューションとして提供します。レジなし店舗のシステムは、数人程度の人件費相当で利用可能な月額サブスクリプションになる予定です。

JR東日本スタートアップとサインポストのレジなし店舗の開発は、2017年11月の大宮駅での実証実験から始まりました。「TOUCH TO GO」の出店により、小売店、飲食店へのシステム提供も見えてきました。

「TOUCH TO GO」は人手不足の解消に貢献するか

「TOUCH TO GO」は小売店、飲食店向けに、省人化ソリューションとして提供される計画です。

「TOUCH TO GO」では、レジがなくなるため、小売店、飲食店の人手不足解消に貢献します。

「TOUCH TO GO」の導入でレジの従業員はいなくなります。

「TOUCH TO GO」では、天井に設置してあるカメラ、商品棚に設置してある重量センサーでお客さんと商品を認識します。商品は買い物中にスキャンされるため、レジでのスキャンが不要になり、レジはなくなります。

レジの従業員が減れば、店舗をより少ない人数で運営できるようになります。店舗を少ない人員で運営できるようにすることは、人手不足対策として効果的です。

「TOUCH TO GO」は従業員の待遇改善にも繋がります。

店舗を少ない人数で運営できれば、より多くの利益を確保できる可能性があります。利益が増えれば、従業員の待遇を改善する余力を持つことができます。

時給は毎年上昇しており、アルバイト・パートは時給の高い職場へと移って行きます。人手不足の状況においては、従業員が止めにくい労働環境を作ることも重要です。

「TOUCH TO GO」は店舗運営に必要な人数を減らし、利益を増やすチャンスも生まれるため、人手不足対策として効果的です。

「TOUCH TO GO」の問題はなにか

「TOUCH TO GO」は小売店、飲食店の人手不足を解消するソリューションですが、問題もあります。

「TOUCH TO GO」の問題は、現金が使えないため、現金で買い物をするお客さんを逃してしまう可能性があることです。

「TOUCH TO GO」で利用できる決済方法は、交通系電子マネーと、今後対応する予定のクレジットカードです。

交通系電子マネーもクレジットカーも持たない人は、「TOUCH TO GO」で買い物をすることができません。アンケート調査などを見ても、現金で買い物をしている人は多く、売上を逃してしまうリスクはあります。

店舗の立場からすると、現金を使う人を逃してしまうのは惜しいです。「TOUCH TO GO」には人件費を削減する効果がありますが、それ以上に売上が下がってしまうと、レジなし店舗の意味がなくなってしまいます。

アメリカのレジなし店舗「Amazon Go」では、現金への対応が始まっています。

「Amazon Go」で買い物をするためには、Amazonのアカウントと紐ついた銀行口座かクレジットカードが必要です。銀行口座とクレジットカードを持たない人は、「Amazon Go」で買い物をすることができません。

アメリカではこれが差別だと考えられ、「Amazon Go」は現金への対応を始めています。世界的に見ても、レジなし店舗で現金が使えないことは問題だという認識です。

「TOUCH TO GO」は小売店、飲食店の人手不足を解消しますが、一方で、現金が使えないことが問題になる可能性があります。

「TOUCH TO GO」はどのような業種に適しているか

「TOUCH TO GO」は小売店、飲食店向けの省人化ソリューションです。

「TOUCH TO GO」に適している業種には、コンビニ、ドラッグストア、スーパーマーケットなどが考えられます。

「TOUCH TO GO」の効果が大きいのは、店舗面積が小さい、購入点数が多い、レジが混雑しやすい、レジの従業員が多いなどの条件が揃う業種です。

コンビニとドラッグストアは条件に当てはまります。コンビニとドラッグストアのレジは混雑することが多く、混雑により機会損失も発生しています。

コンビニとドラッグストアに「TOUCH TO GO」を導入すれば、期待している効果を得られます。コンビニでは人手不足が問題になっており、「TOUCH TO GO」の導入先として適しています。

スーパーマーケットも「TOUCH TO GO」に適した業種です。

スーパーマーケットは店舗面積が大きく、「TOUCH TO GO」がどれくらいの店舗面積をこなせるかという問題があります。JR東日本スタートアップとサインポストの無人レジは、徐々に店舗面積が大きくなっている点はポジティブです。

スーパーマーケットはレジに多くの従業員を抱えており、「TOUCH TO GO」による省人化の効果が期待できます。将来的に導入されるかどうかは分かりませんが、実際に導入されれば素晴らしいことです。

「TOUCH TO GO」の現実的な導入先はコンビニ、導入は難しそうではあるものの、大きな効果が見込めるのがスーパーマーケットです。

「TOUCH TO GO」を既存店に導入できる可能性

「TOUCH TO GO」は小売店、飲食店の省人化に貢献するソリューションです。

「TOUCH TO GO」を既存店に導入できれば大きな効果が得られますが、現在のところ、実現は難しそうです。

「TOUCH TO GO」を既存店に導入すると、お客さんの買い物体験に変化を強いることになります。

「TOUCH TO GO」では、交通系電子マネーと、今後対応予定のクレジットカードしか使えません。これまで現金で買い物をしていたお客さんは、買い物ができなくなってしまうため、売上が減ってしまいます。

「TOUCH TO GO」を既存店に導入することは非常にリスクが高いです。小売業はレジなし店舗にそれほど強い関心を持っていませんが、これは既存店への導入が難しいからではないかと思います。

これから出店する新店だけに「TOUCH TO GO」を導入するというのも、現実的ではありません。

新店にだけ「TOUCH TO GO」を導入しても、企業全体の生産性向上へのインパクトは小さいです。また、出店先の確保が難しい、人口が減少するといった問題もあり、企業が新規出店を増やすというのは考えにくいです。

何とかして既存店に「TOUCH TO GO」を導入する方法を見つけ出したいところです。これは「TOUCH TO GO」だけではなく、レジなし店舗を開発するすべての企業の課題です。

現在のところ、「TOUCH TO GO」を既存店に導入することは難しそうですが、実現したときに得られる効果は大きいです。