三井不動産が商業施設内の店舗でRFIDの実証実験を開始、商品情報を自動的にデータ化

2月12日、三井不動産は、ビームス、大日本印刷と共同で、商業施設内におけるRFID活用の実証実験を行うと発表しました。RFIDを活用することで、商業施設の店舗内にある商品の情報を読み取り、自動的にデータ化するというものです。

商品情報が自動的にデータ化されることで、商業施設、商業施設に出店する店舗、商業施設で買い物をするお客さんは多様なメリットが得られます。例えば、お客さんは店舗に出掛ける前に、店舗にある商品を検索することが可能になります。

生産性を向上しなければならない小売業にとって、RFIDは期待が大きいテクノロジーの一つです。小売業でRFIDがうまく機能するようになれば、コストの削減、売上の増加が見込め、生産性向上に繋がります。

三井不動産が実施するRFIDの実証実験

2月12日、三井不動産は、ビームス、大日本印刷と共同で、商業施設内におけるRFID活用の実証実験を行うと発表しました。

実証実験が行われる店舗は、「三井ショッピングパークららぽーとTOKYO-BAY」、「ららぽーと立川立飛」に出店している「B:MING by BEAMS」で、期間は2月13日から4月24日までです。

RFID(Radio Frequency Identification)とは、読み取りアンテナから発する電波により、非接触でRFIDタグに入力されている情報を読み書きする技術です。

実証実験では、「B:MING by BEAMS」の店舗内に複数のRFID読み取りアンテナを配置し、商品に取り付けられたRFIDタグの自動読み取りを行います。RFIDを活用することで、店舗内の商品情報は自動的にデータ化されます。

店舗内の商品がデータ化されれば、お客さんは来店前に店舗の商品を検索することが可能になります。お客さんは自分が欲しい商品の在庫があるのか、どこの店舗になるのかが分かり、買い物がしやすくなります。

RFIDによる商品のデータ化は、商業施設、商業施設に出店する店舗、商業施設で買い物をするお客さん、三者に多様なメリットがあります。

店舗が得られるメリットには、自動棚卸、防犯、在庫の一元管理、マーケティングへの活用、商品検索の多様化、パーソナライゼーションなどがあります。

三井不動産は2017年より、ららぽーと公式通販サイトとして、「Mitsui Shopping Park &mall」を運営しています。RFIDの活用により、商業施設内の商品の情報が自動的にデータ化されれば、ECサイトとの連携も強化されます。

三井不動産、ビームス、大日本印刷が共同で行うRFIDの実証実験は、商業施設とECサイトを活性化させるもので、成果が期待されます。

RFIDの導入による店舗のメリット

RFIDの導入により、店舗はメリットが得られます。

店舗が得られるメリットには、自動棚卸、防犯、在庫の一元管理、マーケティングへの活用、商品検索の多様化、パーソナライゼーションなどがあります。今すぐ効果が得られるというよりは、将来的に効果が得られる見込みがあるというものです。

自動棚卸と防犯は店舗のコストを削減する効果があります。

棚卸は店舗運営に不可欠な作業で、定期的に固定的な費用が発生しています。RFIDで棚卸が自動がされれば、店舗はコストを削減できます。防犯についても、RFIDで万引が減れば、コストを削減できます。

売上を増やすことが難しい中で、コスト削減は店舗の利益を底上げします。自動棚卸と防犯はRFIDで実現する可能性が高く、期待は大きいです。

商品情報が自動的にデータ化されることにより、接客の質が向上し、機会損失を解消できるメリットもあります。

店舗で働くスタッフの立場では、商品の在庫が何個あるのかすぐに調べられるのは良いことです。商品の在庫が何個あるのかを把握しておけば、お客さんに対して適切な提案ができ、売上アップに繋がります。

データを使ったマーケティングは注目されますが、店舗運営で最も重要なことは、スタッフの提案力ではないかと思います。データをECサイトやスマホアプリの提案で活用するよりも、スタッフによる対面の提案に活用したいです。

RFIDの導入によるお客さんのメリット

RFIDの導入により、お客さんはメリットが得られます。

お客さんが得られるメリットは、買い物がより便利に、楽しくなるというものです。

RFIDで商品の情報が自動的にデータ化されれば、お客さんはECサイトと同じように、実店舗の商品を検索できるようになります。

お客さんが商業施設に買い物に行く場合、あそこのブランドに行こう、このカテゴリの商品を買おうという漠然とした目的を持っています。実際に店舗に行ってみないと、どんな商品があるのか、在庫がちゃんとあるのかは分かりません。

RFIDが導入されれば、お客さんは店舗に行く前にどんな商品があるのか、在庫があるのかを検索できます。目的の商品を手に入れられる確率が高まるので、お客さんは快適に買い物ができるようになります。

パーソナライゼーションもお客さんが得られるメリットです。

お客さんはスマホアプリを通じて、ECサイトと同じように、商品の閲覧履歴、購買履歴に基づいたレコメンドを受けられます。

実店舗のレコメンドがECサイトよりも優れているのは、スマホアプリで商品を見た後、すぐに実店舗で体験できることです。自分が探している商品を自動で探してくれるので、お客さんは体験に時間を掛けられます。

RFIDの導入により、実店舗の買い物体験はECサイトの買い物体験と似たものになります。ECサイトの利便性に加え、実店舗の体験がセットになるため、お客さんはこれまで以上に便利に、楽しく買い物ができます。

RFIDの導入による商業施設のメリット

RFIDの導入により、商業施設はメリットが得られます。

店舗の生産性が向上し、お客さんの買い物の利便性が向上することは、商業施設のメリットでもあります。こうした店舗、お客さんのメリットに加え、商業施設のオムニチャネル化が進むこともメリットです。

三井不動産は2017年より、ららぽーと公式通販サイトとして、「Mitsui Shopping Park &mall」を運営しています。RFIDで取得した店舗の商品情報を「Mitsui Shopping Park &mall」と連携させることで、オムニチャネル化します。

実店舗とECサイトの在庫を同期させることは、多くの小売業が望むものです。RFIDは実店舗とECサイトの在庫を同期させる方法の一つとして期待されます。

RFIDで商業施設内の各店舗と「Mitsui Shopping Park &mall」のオムニチャネル化が進めば、商業施設全体と「Mitsui Shopping Park &mall」がオムニチャネル化します。

商業施設内の店舗で商品を体験した後、「Mitsui Shopping Park &mall」でまとめて注文するといったことも可能になります。お客さんは商品がまとめて自宅に届くので、荷物を持たずに買い物ができます。

商業施設はRFIDを活用することで、これまで実現が難しかった、デジタル化された買い物体験を提供できるようになります。

RFIDは小売業の生産性向上に貢献

人口の減少により、店舗で買い物をするお客さん、店舗で働く従業員の数が減少します。小売業は少ない人口でも利益が確保できるように、生産性を高めなければなりません。

小売業の生産性を向上させるテクノロジーが次々に登場していますが、RFIDは期待を集めているテクノロジーの一つです。

RFIDには様々なメリットが期待されています。

RFIDは商品一つ一つにRFIDタグを取り付けることで、商品をデジタル化します。商品のデジタル化により、自動棚卸、防犯、在庫の一元管理、マーケティングへの活用、商品検索の多様化、パーソナライゼーションなど、様々なメリットがもたらされます。

商品は小売業のビジネスの核となるもので、商品の管理方法を改善することは、小売業の幅広い領域の改善に繋がります。

RFIDには様々なメリットが期待されていますが、課題もあります。

RFIDの課題として挙げられるのは、RFIDタグの一枚あたりのコストが高いこと、商品への貼り付けコストを誰が負担するかといったことです。ただ、RFIDのメリットは多く、こうした課題は将来的には解消され、問題にはならないと思います。

RFIDには小売業の生産性を向上させるメリットがあり、すべての小売業にとって有益なものです。生産性を向上しなければならない小売業としては、少しでも早く、RFIDが導入されるようになって欲しいです。