牛角の焼肉食べ放題PASSがSNSで話題になり申込みが急増、新規販売と更新を停止

1月8日、レインズインターナショナルが運営する焼肉チェーン「牛角」は、焼肉食べ放題PASSの新規販売・更新の停止を発表しました。焼肉食べ放題PASSは月額11,000円を支払うことで、一人3,480円で100品以上が食べ放題となる「牛角コース」を月に何度でも利用できるサブスクリプションでした。

焼肉食べ放題PASSはお客さんの来店回数を増やすため、2019年11月29日より販売されたものでした。焼肉食べ放題PASSは1月5日頃にSNSで話題になり、申込みが急増したことで、すぐに新規販売・更新が停止されました。

サブスクリプションはお客さんと長期の関係を築く新しいビジネスモデルで、飲食業界でも導入が始まっています。今回、焼肉食べ放題PASSが注目を集めたことで、飲食業界でのサブスクリプションの導入は加速しそうです。

11,000円で焼肉が食べ放題になるサブスクリプション

レインズインターナショナルが運営する焼肉チェーン「牛角」は、月額11,000円で焼き肉が食べ放題となる、サブスクリプション方式の焼肉食べ放題PASSを2019年11月29日より販売していました。焼肉食べ放題PASSを利用できる店舗は、三軒茶屋店、花見川店、赤坂店の三店舗でした。

1月5日頃に焼肉食べ放題PASSがSNSで話題になり、申込みが急増したことで、1月8日に新規販売・更新の停止が発表されました。

牛角には一人3,480円で100品以上が食べ放題となる、「牛角コース」という食べ放題メニューがあります。牛角コースの内容は、肉、野菜・サラダ、おつまみ、ごはん、スープ、デザートと幅広いメニューが揃っています。

焼肉食べ放題PASSは月額11,000円を支払うことで、一人あたり3,480円の牛角コースを月に何度でも利用できるというものでした。牛角コースを月に3回利用すると、料金は11,000円を超え、焼肉食べ放題PASSの元を取れる計算です。

焼肉食べ放題PASSは2019年11月29日の発売以降、それほど注目されていませんでしたが、1月5日頃にSNSで話題になり、申し込みが急増しました。牛角は予約で座席が埋まり、サービスを提供できなくなったことから、1月8日に焼肉食べ放題PASSの新規販売・更新の停止を発表しました。

焼肉食べ放題PASSは当初は三店舗のみサービスでしたが、申込みが殺到したことで、利用できる店舗を1都3県の48店舗に拡大しています。

一人あたり3,480円の食べ放題が月額11,000円で何度でも利用できるということで、焼肉食べ放題PASSにはお得感がありました。SNSで話題になった後、すぐに新規販売・更新の停止になったことからも、人気のほどが分かります。

牛角はなぜサブスクリプションを始めたのか

牛角は2019年11月29日より、サブスクリプション方式の焼肉食べ放題PASSを販売していました。牛角がサブスクリプションを始めた理由は、お客さんの来店回数を増やし、売上を増やすためです。

飲食チェーンでは、既存店の客数を増やすことが難しくなっています。

お客さんが飲食チェーンを利用しない理由には、消費税増税後の節約意識の高まり、内食・中食の充実、値上げなどがあります。牛角においても、これらの理由から、既存店の客数を増やすことが難しくなっていると推測されます。

牛角が販売した焼肉食べ放題PASSは月額11,000円で、一人あたり3,480円の牛角コースを月に何度でも利用できるというものでした。焼肉食べ放題PASSは牛角コースを利用しやすくすることで、来店回数を増やす狙いがありました。

焼肉食べ放題PASSには商圏を広げる効果も期待できます。焼肉食べ放題PASSにお得感を感じるお客さんは、遠方からもやって来ます。月額11,000円で焼肉が食べ放題になるのであれば、時間や交通費を掛けてでも、遠方からやって来る価値があります。

サブスクリプションはお客さんと長期の関係を築くビジネスモデルとして注目されており、飲食店でも実験的に導入する店舗が出始めています。牛角の焼肉食べ放題PASSも、サブスクリプションの実験的なものだと言えます。

焼肉食べ放題PASSはSNSで話題になったことで、申込みが急増しており、来店回数を増やすという意味では効果が認められました。

牛角のサブスクリプションは利益を確保できるのか

牛角の焼肉食べ放題PASSは、一人あたり3,480円の食べ放題「牛角コース」を月額11,000円で何度でも利用できるようにしたサブスクリプションです。お客さんの立場では、焼肉食べ放題PASSは非常にお得なサブスクリプションであり、牛角が適切な利益を確保できるかどうかは気になるところです。

焼肉食べ放題PASSは利益の確保が難しそうにも見えますが、牛角が販売するということは、利益を確保する見込みがあるということにもなります。実際に利益を確保できるかどうかは、今のところは分かりません。

一人あたり3,480円の食べ放題「牛角コース」は既存のメニューであり、牛角コース単体では利益を確保しています。牛角コースを3回利用すると11,000円を超えるため、多くのお客さんの利用回数が月に2回以下であれば、利益を確保できます。

お客さんが月に何回利用するかが重要ですが、SNSの反応を見ると、毎日利用したいといった意見もありました。多くのお客さんが月に10回、20回も利用すると、利益の確保は難しいのではないかと思います。

リピーターが焼肉食べ放題PASSを利用することは、牛角にとっては問題です。牛角の熱心なファンがいて、牛角コースを月に5回利用しているとします。一ヶ月の料金は3,480円*5回=17,400円です。もし、このリピーターが焼肉食べ放題PASSを利用すると、17,400円の料金が11,000円に減ってしまいます。

牛角が焼肉食べ放題PASSで利益を確保できるかどうかを考えるにあたって、リピーターが焼肉食べ放題PASSを利用することの影響が非常に大きいです。リピーターが焼肉食べ放題PASSを利用すると、利益の確保はほぼ不可能にも見えます。

牛角が焼肉食べ放題PASSを販売したのは、利益を確保する見込みがあるからです。リピーターの売上減少以上に、新規顧客の売上が獲得ができる、アルコールの売上が伸びるなどがあれば、利益を確保できるのかもしれません。

牛角のサブスクリプションはお得なのか

牛角の焼肉食べ放題PASSは1月5日頃にSNSで話題になり、申込みが急増したことで、1月8日に新規販売・更新の停止が発表されました。多くの人が牛角の焼肉食べ放題PASSはお得なサブスクリプションだと考えたことになります。

お客さんの立場では、焼肉食べ放題PASSはとてもお得なサブスクリプションのように見えますが、良い点ばかりではないと思います。

サブスクリプションの悪い点は、一度購入すると、元を取らないといけないというプレッシャーが生じることです。

牛角の焼肉食べ放題PASSの場合、元を取るには月に3回以上利用しなければなりません。金銭的メリットを大きくするためには、4回以上利用することが好ましいです。

牛角の焼肉食べ放題PASSの代金は、おおよそ牛角コース3回分の金額です。月に3回牛角コースを食べることで満足できる人は、牛角の焼肉食べ放題PASSを購入する必要はありません。牛角の焼肉食べ放題PASSを購入すると、元を取らないといけない、利用しないといけないというプレッシャーが掛かるだけ損です。

牛角コースには100品以上のメニューがありますが、飽きてしまったり、食べすぎて太ってしまうリスクもあります。

牛角の焼肉食べ放題PASSは、金銭的にすごく価値のあるもののように見えます。しかし、一度サブスクリプションを購入すると、元を取らないといけないというプレッシャーが生じるため、購入は慎重になった方がよいです。

飲食業界におけるサブスクリプションの可能性

牛角の焼肉食べ放題PASSがSNSで話題になったことは、サブスクリプションの認知度の向上にも繋がりました。飲食業界でもサブスクリプションを導入する店舗が出始めていますが、飲食業界ならではの問題があります。

飲食業界がサブスクリプションを導入するにあたって問題となるのは、リピーターがサブスクリプションを利用することです。

飲食店の商圏は狭く、売上は店舗周辺で活動するリピーターに依存しています。店舗の売上に大きく貢献しているリピーターがサブスクリプションを利用すると、店舗の売上が急減する可能性があります。

飲食業界がサブスクリプションを導入するメリットは、お客さんの来店回数が増えることです。牛角の焼肉食べ放題PASSのようなお得なサブスクリプションは、商圏を拡大する効果も期待できます。サブスクリプションの購入はお客さんのモチベーションアップにもなり、遠方からでも食事をするためにやって来ます。

飲食業界のサブスクリプションには客数の増加が見込める一方で、リピーターの売上が減少するリスクがあります。飲食業界がサブスクリプションの導入を進めるためには、リピーターの売上が減らない方法を考えなければなりません。

飲食業界でのサブスクリプションはまだ始まったばかりですが、大きな可能性を持つものだと思います。

メニューの一部だけ、トッピングだけ、アルコールだけなど、部分的にサブスクリプションにすることもできます。例えば、ラーメン店がチャーシューだけをサブスクリプションにすると、ラーメンの販売数量が増え、売上が増えるというのはありそうです。

サブスクリプションの内容をカスタマイズすることで、お客さんの細かいニーズに対応して、来店回数の増加に繋げたいところです。