丸井グループが新会社「D2C&Co.」を設立、D2Cを支援する事業を拡大

2月12日、丸井グループはD2Cのエコシステムを支援する新会社「D2C&Co.(ディーツーシーアンドカンパニー)」を設立したと発表しました。丸井グループは以前からD2C企業と提携しており、新会社を設立して、D2Cへの支援を強化する計画です。

丸井グループの店舗に出店しているD2C企業は、オーダースーツを販売する「FABRIC TOKYO」、ヘアケア商品を販売する「MEDULLA」、無料ネットショップ作成サービスを提供する「BASE」です。また、RaaS(リテール・アズ・ア・サービス)を提供する米国企業のb8taが、今夏、新宿マルイ本館へ出店することが決まっています。

丸井グループは不動産賃料、カード手数料で売上を稼ぐ、「売らない売り場」を推進しています。D2C企業を支援することは、丸井グループの「売らない売り場」とも相性が良く、有望な事業です。

丸井グループの新会社「D2C&Co.」の概要

2月12日、丸井グループはD2Cのエコシステムを支援する新会社「D2C&Co(ディーツーシーアンドカンパニー).」を設立したと発表しました。

D2Cとは「Direct to Consumer」の頭文字を取ったもので、企業がお客さんと直接繋がり、商品を販売するビジネスモデルです。D2Cでは、企業とお客さんの関係性が強化され、流通コストは削減されます。

D2CはECの拡大とともに登場したビジネスモデルで、日本だけではなく、全世界で将来が有望だと考えられています。

D2Cのエコシステムは、丸井グループがD2Cを支援する枠組みをイメージしたものです。D2Cのエコシステムには、EC、物流、店舗、決済、資金、メディア、製造、ブランディングといった、丸井グループによる支援が含まれています。

丸井グループは年間2億人が来店する店舗、700万人を超えるエポスカード会員、モノづくりや接客・販売に精通した人材を保有しています。丸井グループはこのような経営資源を活用することで、D2Cを支援する計画です。

丸井グループは以前からD2C企業を支援しており、D2C企業数社が丸井グループの店舗へ出店しています。

オーダースーツを販売する「FABRIC TOKYO」は有楽町マルイ、なんばマルイなど7店舗に出店、ヘアケア商品を販売する「MEDULLA」は有楽町マルイに出店、無料ネットショップ作成サービスを提供する「BASE」は渋谷マルイに常設店舗を出店しています。

丸井グループは新会社「D2C&Co」を設立し、D2Cへの支援を拡大する計画です。

なぜ丸井グループはD2Cを支援するのか

丸井グループは新会社「D2C&Co.」を設立し、D2Cを支援します。

丸井グループがD2Cを支援する理由は、D2Cが将来有望なビジネスで、丸井グループが推進する「売らない売り場」とも相性が良いためです。

D2Cは企業とお客さんの新しい繋がり方です。

D2Cはインターネット、EC、スマホ、SNS、YouTubeなどと同じく、世界的なもので、日本でも世界と同じように普及すると予想されます。

D2Cの特徴は、インターネットを通じて企業とお客さんが直接繋がることです。企業とお客さんの関係は売り手と買い手ではなく、同じ価値観を共有するパートナーです。お客さんへの直販により、流通コストを削減できることもD2Cの特徴です。

D2Cは丸井グループが推進する「売らない売り場」とも合致します。

丸井グループは「売らない売り場」を推進しており、物販で売上を稼ぐのではなく、不動産賃料、カード手数料で売上を稼ごうとしています。

D2Cに売り場を提供することは、丸井グループの戦略に沿うものです。安定的に不動産賃賃料、カード手数料を得るためには、売り場を提供する企業は多いほど良いです。丸井グループは今後の拡大が期待できるD2Cを支援することで、将来の不動産賃賃料、カード手数料を確保できます。

なぜD2C企業は実店舗に出店するのか

丸井グループの店舗には、FABRIC TOKYO、MEDULLA、BASEなど、D2C企業が出店しています。また、RaaS(リテール・アズ・ア・サービス)を提供する米国企業のb8taが、今夏、新宿マルイ本館へ出店することが決まっています。

D2C企業が実店舗に出店する理由は、事業のさらなる拡大のためです。

D2Cでは、インターネットを通じて企業とお客さんが直接繋がりますが、実店舗も持つことで成長が加速します。

インターネットで接触するお客さんと、実店舗で接触するお客さんは異なっています。実店舗では、インターネットでは接触できない、新規顧客を獲得するチャンスがあります。

D2C企業にとって、実店舗への出店はインターネット広告のようなものだと言えます。

D2C企業はインターネット広告と同じように、実店舗への出店に手数料を払い、実店舗からECサイトへとお客さんを誘導することを望んでいます。D2C企業にとって、実店舗は商品を販売する場所ではなく、お客さんと接触し、商品を体験してもらい、ECサイトへと誘導する場所です。

D2C企業にとって、丸井グループは最適なパートナーです。丸井グループはD2C企業に提供できる、売り場、販売員を持っています。D2C企業は丸井グループと提携することで、ECサイトへの送客を強化できます。

D2C企業はインターネットでお客さんと直接繋がりますが、実店舗にはお客さんと接触するタッチポイントとして価値があります。

丸井グループはD2Cを拡大できるか

丸井グループは新会社「D2C&Co.」を設立し、D2Cを支援します。

丸井グループはD2C企業が必要とする、売り場、販売員を保有しており、D2Cの拡大を支援できるのではないかと思います。

今後、D2C企業が実店舗へ出店するニーズは高まります。

D2Cでは、インターネットを通じて企業とお客さんが直接繋がります。また、商品を直販することで、流通コストを削減します。D2Cはインターネットだけでも成長できますが、実店舗があれば、さらに成長が加速します。

実店舗へ出店することは、すべてのD2C企業が望むものだと考えてもよいです。D2Cが拡大すれば、それに合わせ実店舗へ出店するニーズも高まります。

丸井グループのように、D2C企業が必要とする売り場、販売員を保有し、D2Cを支援できる企業は多くはありません。

小売業はD2C企業が必要とする売り場、販売員を保有していますが、D2Cを支援することは難しいです。小売業は売り場、販売員を使って物販を行っており、D2Cとの競合は負担になります。

D2C企業への支援は、「売らない売り場」を推進する丸井グループだからこそできるものです。丸井グループのようなD2C企業を支援する企業が出てこなければ、丸井グループは多くのD2C企業と提携できます。

丸井グループは不動産賃賃料、カード手数料で売上を稼ごうとしています。D2C企業に出店してもらうことは、不動産賃料、カード手数料の増加にも繋がります。

D2C企業はお客さんに新しい価値を提供

今後、丸井グループの店舗にD2C企業の出店が増えます。

D2C企業は、従来の小売業とは異なる価値をお客さんに提供します。D2C企業は丸井グループの店舗内で、存在感を発揮できるのではないかと思います。

小売業がお客さんに提供する価値は、良い商品をより安くというものです。

現在、人気の小売チェーンは、ユニクロ、ニトリ、無印良品、業務スーパー、ワークマン、セリアなどです。人気の小売チェーンは、付加価値の高い商品を低価格で販売しています。

お客さんは人気の小売チェーンの店舗で買い物をしても、商品や買い物体験に驚きを感じることはありません。お客さんは人気の小売チェーンの店舗で、期待通りに安くて良い商品を購入して、安心感を得ています。

D2C企業が提供する価値は、従来の小売業とは異なるものです。

FABRIC TOKYOはオーダースーツを販売するD2C企業で、丸井グループの7店舗に出店しています。FABRIC TOKYOは店舗で採寸を行い、サイズデータをクラウドに保存します。注文は店舗とECサイトの両方でできます。

FABRIC TOKYOがお客さんに提供する価値は、自分ピッタリのスーツを便利に購入するというものです。

多くのD2C企業がFABRIC TOKYOのように、個性的な商品、個性的な買い物体験を持っています。

丸井グループは個性的なD2C企業に多数出店してもらうことで、人気の小売チェーンとは異なる価値を提供できます。個性的なD2C企業が人気の小売チェーンからお客さんを奪う可能性は十分にあります。