LINEが出前館に300億円を出資、「総合フードマーケティングプラットフォーム」を目指す

3月27日、LINEは出前館と資本業務提携を締結し、300億円を出資すると発表しました。

LINEと出前館はデリバリーだけではなく、テイクアウト、イートイン予約、モバイルオーダーなど、飲食店のサービスを網羅的にカバーする「総合フードマーケティングプラットフォーム」を目指して行く予定です。

飲食店は店舗の生産性向上が不可欠になっていて、飲食店利用者は様々な食事方法を求めています。「総合フードマーケティングプラットフォーム」の構想は、飲食店、飲食店利用者のニーズに合ったものです。

LINEと出前館の資本業務提携の内容

3月27日、LINEは出前館と資本業務提携を締結し、出前館が実施する第三者割当により発行される新株式を引き受けると発表しました。

出前館が第三者割当増資として新たに発行する約300億円の新株式をLINEが150億円、LINEとその親会社であるNAVER Corporationの子会社であるNAVER J. Hubが共同で出資する未来Fund有限責任事業組合が150億円を引き受けます。

LINEと出前館は資本業務提携により、「サービスブランドの統一」、「投資資金の確保」、「システム開発およびマーケティング体制の強化」、「テイクアウト領域への進出」の4つを強化します。

LINEのフードデリバリーサービス「LINEデリマ」は出前館にサービスブランドが統一され、LINEから出前館へエンジニアが派遣されることが決まっています。

将来的にはデリバリーだけではなく、テイクアウト、イートイン予約、モバイルオーダーなど、飲食店のサービスを網羅的にカバーする「総合フードマーケティングプラットフォーム」を目指して行く予定です。

なぜLINEと出前館は資本業務提携を締結したのか

LINEと出前館は資本業務提携を締結しました。

LINEと出前館が資本業務提携を締結した理由は、両社にメリットがあるからです。

出前館はLINEの経営資源を活用することで事業を拡大できます。

出前館はLINEからエンジニアを派遣してもらうことで、システム開発体制を強化できます。また、「LINEデリマ」が出前館に統一されることで、集客力が高まります。

今後も、LINEの経営資源を活かし、出前館のサービスを改善する取り組みが計画されています。

LINEは出前館との連携強化でアプリの価値を高めることができます。

LINEは様々なビジネスの起点となる、スーパーアプリを目指しています。出前館はLINEと連携するアプリとして重要な存在です。出前館は利用者を急速に増やしており、LINEポイント、LINE PAYとも関連しています。

LINEのユーザーがLINE経由で出前館を利用することで、LINEとの接触回数が増え、LINEのビジネスが活性化されます。出前館はLINEがスーパーアプリを目指すうえで必要となる、接触回数の増加に貢献します。

LINEと出前館が締結した資本業務提携は両社にメリットがあり、これからの事業の拡大が期待できます。

「総合フードマーケティングプラットフォーム」の可能性

LINEと出前館はデリバリーだけでなく、テイクアウト、イートイン予約、モバイルオーダーなど、飲食店のサービスを網羅的にカバーする「総合フードマーケティングプラットフォーム」を目指します。

「総合フードマーケティングプラットフォーム」は将来有望な構想です。

飲食店は「総合フードマーケティングプラットフォーム」を必要としています。

人口の減少が続くので、飲食店を利用するお客さん、飲食店で働く従業員の数は減ります。飲食店はより少ないお客さん、従業員で利益を確保しなければならないため、生産性の向上が不可欠です。

売上を増やすため、テイクアウト、デリバリーを始める飲食店が増えています。生産性を向上したい飲食店は、イートイン予約、モバイルオーダーも積極的に活用するはずです。

飲食店だけではなく、飲食店利用者も「総合フードマーケティングプラットフォーム」を必要としています。

外食が好きな人は外食に多くのお金を使い、多様な食事方法を好みます。店内での飲食、テイクアウト、デリバリー、すべてを利用します。飲食店にモバイルオーダーが導入されれば、積極的に利用します。

「総合フードマーケティングプラットフォーム」で多様な食事方法を提供できれば、飲食店利用者は便利です。「総合フードマーケティングプラットフォーム」で飲食店利用者のニーズに応えることは、飲食店の生産性向上にも繋がります。

「総合フードマーケティングプラットフォーム」は飲食店、飲食店利用者が求めているもので、将来有望な構想です。

出前館とウーバーイーツの両社が売上を伸ばせる

LINEと出前館が出したニュースリリースの中で、ウーバーイーツが急成長していることに言及されています。

出前館にとってウーバーイーツは競合ではありますが、フードデリバリー市場は拡大を続けており、両社ともに売上を伸ばせると思います。

現在のところ、出前館とウーバーイーツのサービスには大きな差がありません。

フードデリバリーの利用者は、出前館、ウーバーイーツの両方を使います。アプリの操作性、メニュー数、デリバリーの品質などにおいて、片方が特に優れているといった意見はありません。

出前館とウーバーイーツはキャンペーンの時期が異なります。フードデリバリーの利用者はキャンペーンにあわせて、出前館とウーバーイーツを使い分けます。

出前館が心配なのは、実際に起こるかどうかは分かりませんが、ウーバーイーツの方が価格が安くなることです。

フードデリバリーのコストで差が付きそうなのは配送効率です。出前館は自社でシェアデリバリーの配送網を構築する一方、ウーバーイーツはパートナーを募集しています。

配送は自転車、バイクで行うものなので、出前館とウーバーイーツの配送効率に大きな差が出るというのは考えにくいです。配送効率に大きな差がなければ、出前館がウーバーイーツに価格で大きく負けるというのも起こりません。

出前館とウーバーイーツは競合関係にありますが、価格に大きな差が生じない限り、両者とも売上を伸ばして行けそうです。