マクドナルドの4月の既存店売上高は6.5%増、新型コロナウイルスでも販売は好調

日本マクドナルドホールディングスが発表した月次動向によると、マクドナルドの2020年4月の既存店売上高は前年比6.5%増、客数は18.9%減、客単価は31.4%増という内容でした。

新型コロナウイルスの影響により、客数が大きく減ったにもかかわらず、デリバリー、テイクアウトによる客単価の増加で売上高は前年を上回りました。マクドナルドの2020年4月の既存店売上高の内容は、予想しにくかったものです。

マクドナルドは新型コロナウイルスの状況下において、商品、サービス(デリバリー、テイクアウト)ともに、適切に対応できていると言えます。

マクドナルドの4月の既存店売上高が伸びる

5月7日、日本マクドナルドホールディングスは月次動向を発表しました。

マクドナルドの2020年4月の既存店売上高は前年比6.5%増、客数は18.9%減、客単価は31.4%増でした。客数が大きく減少したものの、それを上回る客単価の大幅な増加により、既存店売上高は前年を超えています。

マクドナルドは4月20日から、特定警戒都道府県にある、約1,910店舗で客席利用を中止しています。また、4月29日からは、客席利用の中止を全国の全店舗となる約2,900店舗へと拡大しています。

マクドナルドの4月の既存店客数が減少したのは、新型コロナウイルスの影響で外出する機会が減ったこと、客席利用を中止したことによるものです。

客単価の上昇については、スマホアプリから簡単に注文できるデリバリー、テイクアウトの利用が増えたことによるものだと考えられます。スマホアプリはじっくりと時間を掛けて注文できるので、デリバリー、テイクアウトの客単価は高くなります。

3月の既存店売上高を見ると、売上高は0.1%減、客数は7.7%減、客単価は8.3%増でした。3月も客数の減少を客単価の増加で補う形になっており、4月はさらにその傾向が強まっています。

新型コロナウイルスの影響により、多くの飲食チェーンの売上高が減少しています。マクドナルドの2020年4月の既存店売上高が前年を超えたことは、予想外のことだったかもしれません。

なぜマクドナルドは既存店売上高を伸ばせるのか

新型コロナウイルスの影響により、多くの飲食チェーンの売上高が減少するなかで、マクドナルドの2020年4月の既存店売上高は前年比6.5%増と好調でした。

マクドナルドが既存店売上高を伸ばすことができた理由は、お客さんのニーズに合った商品・サービスを提供できたからだと考えられます。

新型コロナウイルスの影響により、食品の品切れ、飲食チェーンの休業が増え、お客さんの食べ物の選択肢は減っています。

お客さんのニーズは、なるべく飽きが来ないものを食べたい、家族みんなが食べれるものをまとめて買いたいといったものです。マクドナルの商品はお客さんのこうしたニーズに対応することができています。

マクドナルドは4月8日、「炙り醤油風 ダブル肉厚ビーフ」、「炙り醬油風 ベーコントマト肉厚ビーフ」の2種類の新商品を発売しています。お客さんの食べ物の選択肢が減っているなかで、こうした新商品には訴求力があります。

お客さんは新型コロナウイルスへの対策として、なるべく外に出掛けず、人との接触を避けたいと考えています。デリバリー、テイクアウトを提供している店舗は、お客さんに選ばれやすくなります。

マクドナルドは自社で展開するマックデリバリーと、ウーバーイーツの導入店舗を拡大しています。また、1月には、スマホアプリで事前にテイクアウト注文を行う、モバイルオーダーを全国の店舗に導入しています。

デリバリー、テイクアウトが客単価の増加に繋がっており、既存店売上高を伸ばすことができた理由の一つです。

マクドナルドは新型コロナウイルスの状況下において、商品、サービス(デリバリー、テイクアウト)ともに、適切に対応できていると言えます。

モバイルオーダーは既存店売上高の増加に貢献しているか

マクドナルドの2020年4月の既存店売上高は、デリバリー、テイクアウトによる客単価の増加で、客数の減少を補いました。

マクドナルドが1月に全店舗に導入したモバイルオーダーも、4月の既存店売上高の増加に貢献していると考えられます。

モバイルオーダーはマクドナルドの利用を快適にするものです。

マクドナルドのモバイルオーダーでは、スマホアプリから事前に注文と決済方法を決めておきます。スマホアプリを使った注文では、店舗にように他の人を気にする必要がないため、自分のペースでじっくりと注文できます。

注文後、店舗に行き、スマホアプリで決済を確定させると、事前に注文しておいた商品の調理が始まります。調理が終わると店内ディスプレイに注文番号が表示され、注文した商品を受け取ることができます。

店舗に着いたらすぐに調理が始まるため、注文時間・待ち時間を短縮できます。

新型コロナウイルスの状況下においては、モバイルオーダーはお客さんのニーズに合っています。自分のペースで注文できることに加え、店舗の滞在時間が短くなり、店員と会話する機会も減らせます。

モバイルオーダーの買い物体験を気に入ったお客さんは、リピーターになるので客数が増えます。また、モバイルオーダーでは、じっくりと時間を掛けて注文できるため、客単価を増やす効果もあります。

デリバリーとテイクアウト、どちらがより売上高の増加に貢献しているかは分かりませんが、モバイルオーダーには確かな効果があります。

新型コロナウイルス収束後の店舗の役割

マクドナルドの2020年4月の既存店売上高は、デリバリー、テイクアウトによる客単価の増加で、客数の減少を補うことに成功しました。

デリバリー、テイクアウトに客単価を大きく押し上げる効果が確認されたことで、店舗の役割が変わる可能性があります。

マクドナルドの2020年4月の既存店売上高の内容は衝撃的です。

マクドナルドは4月20日から、特定警戒都道府県にある、約1,910店舗で客席利用を中止しています。4月の10日間、全店舗の約66%において、客席利用を中止したにもかかわらず、デリバリーとテイクアウトで前年の売上高を超えました。

マクドナルドは客席を使わず、デリバリーとテイクアウトで売上を大きく伸ばすことに成功したことになります。

マクドナルドのお客さんは、店舗、デリバリー、テイクアウトから利用方法を選べます。これまでは店舗が中心でしたが、新型コロナウイルスの状況下においては、デリバリーとテイクアウトの利用者が増えます。

新型コロナウイルス収束後、店舗、デリバリー、テイクアウトの使われ方によっては、店舗の役割が小さくなる可能性があります。デリバリー、テイクアウトの利用者が増えれば、店舗の生産性は低下することになります。

お客さんが店舗を使わなくなれば、デリバリー、テイクアウト専用の小型店が出店できるようになるかもしれません。デリバリー、テイクアウト専用の小型店は店舗面積が狭く、従業員も少なく、水道光熱費も安いため、生産性が高いです。

将来的、デリバリー、テイクアウト専用の小型店を出店できれば、マクドナルドは生産性の改善が期待できます。