マツモトキヨシの3~4月の既存店売上が減少、新型コロナウイルスがマイナスに影響

マツモトキヨシの既存店売上は3月が10.6%減、4月が12.5%減でした。新型コロナウイルスにより、多くのドラッグストアチェーンが既存店売上を伸ばすなか、マツモトキヨシはマイナスの影響を受けています。

マツモトキヨシの3月、4月の既存店売上が減少した理由は、店舗が都市部にあること、化粧品の需要が減少したこと、食品の品揃えが少ないことだと考えられます。

マツモトキヨシの既存店売上が戻るかどうかは化粧品次第ですが、いつごろになるかは予想が難しいです。テレワークを導入する企業が増えれば、化粧をしなくなる人が増えるため、化粧品の売上が戻らない可能性もあります。

マツモトキヨシの3~4月の既存店売上が減少

マツモトキヨシの3月、4月の既存店売上が減少しています。

マツモトキヨシホールディングスの売上月次報告によると、既存店売上は3月が10.6%減、4月が12.5%減でした。

新型コロナウイルスの影響で、医薬品、日用品、食品の需要が高まっています。ドラッグストアはこれらの商品を販売しており、業界全体で既存店売上が伸びています。

ドラッグストアの3月、4月の既存店売上を見ると、マツモトキヨシ、ココカラファインを除く、ほぼすべてのチェーンで前年を超えています。

ツルハホールディングスは3月が14.5%増、4月が3.6%増でした。ウエルシアホールディングスは3月が6.1%増、4月が8.2%増でした。サンドラッグは3月が0.4%増、4月が1.7%増でした。

経済産業省が発表する商業動態統計速報でも、ドラッグストアの売上高は3月が7.5%増、4月が10.4%増でした。

新型コロナウイルスの影響により、ほとんどのドラッグストアが既存店売上を伸ばすなか、マツモトキヨシは既存店売上が減少しました。

なぜマツモトキヨシの3~4月の既存店売上は減少したのか

ドラッグストアには新型コロナウイルスの需要があったものの、マツモトキヨシの3月、4月の既存店売上は減少しました。

マツモトキヨシの3月、4月の既存店売上が減少した理由は、店舗が都市部にあること、化粧品の需要が減少したこと、食品の品揃えが少ないことだと考えられます。

新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、個人は不要不急の外出を控え、企業はテレワークの導入を進めています。買い物や仕事で都市部に出掛ける機会が減るため、都市部に店舗が多いマツモトキヨシは客数が減ります。

マツモトキヨシホールディングスの2020年3月期の決算説明会資料によると、商品別売上高、構成比は次のようになっています(売上高の単位は百万円)。

売上高 構成比 前年比(%)
化粧品 226,204 38.6 -0.7
医薬品 180,082 30.7 +2.1
雑貨 107,003 18.3 +9.5
食品 53,426 9.1 +3.1
卸売事業 18,946 3.3 +6.6
全国 585,609 100.0 +2.5

化粧品は売上高構成比が最も大きな商品ですが、化粧品の需要は減少しています。

新型コロナウイルスにより、アジアからの観光客がほぼゼロになっています。また、テレワークの導入により、自宅で仕事をする女性が増え、化粧をする機会が減りました。インバウンドとテレワークがセットになり、化粧品の需要は大きく落ち込みました。

ドラッグストアは医薬品、日用品、食品をまとめて買えるため、新型コロナウイルスの状況下では、便利な店舗としてお客さんに選ばれています。

マツモトキヨシは競合のドラッグストアチェーンと比較すると、食品の品揃えが少ないです。お客さんはドラッグストアで医薬品、日用品、食品をまとめて買うことを望んでいるため、食品の品揃えが少ないマツモトキヨシは選ばれにくいです。

多くのドラッグストアが3月、4月に既存店売上を伸ばすなか、マツモトキヨシは減少しました。新型コロナウイルスの状況下で発生したお客さんニーズに対して、マツモトキヨシは立地、品揃えが合いませんでした。

マツモトキヨシの既存店売上はいつごろ戻るか

5月25日に全国に発出されていた緊急事態宣言が解除され、マツモトキヨシの既存店売上も徐々に戻ってきます。

マツモトキヨシの既存店売上が戻るかどうかは化粧品次第ですが、いつごろになるかは予想が難しいです。

マツモトキヨシの3月、4月の既存店売上が減少したのは、インバウンドとテレワークで化粧品の需要が減ったためです。

テレワークが終わり、以前のようにオフィスに出勤するようになれば、化粧品の需要も戻ります。しかし、不安な点は、テレワークを継続する企業もあることです。テレワークを継続する企業が増えれば、化粧品の需要の減少も継続します。

テレワークが普通になり、化粧品の需要が減ると、インバウンドにも悪い影響が出ます。

マツモトキヨシで化粧品を購入しているのは、アジアの女性です。アジアの女性は日本の女性の化粧を気に入っているため、日本の化粧品を購入します。日本の女性があまり化粧をしなくなれば、アジアの女性が日本の化粧品を購入する意欲も低下します。

医薬品は安泰のようにも見えますが、化粧品と関係があります。マツモトキヨシで化粧品を買うお客さんは、セットで医薬品も買っています。

これまでマツモトキヨシで化粧品を買っていたお客さんも、化粧をする機会が減ると、他のドラッグストアで買い物をするようになります。マツモトキヨシにとって、化粧品の需要の減少は客数の減少に繋がり、医薬品の売上の減少にも繋がる可能性があります。

これまでのように女性は化粧をするのか、化粧品にお金を掛けるのかというのは、マツモトキヨシの売上が戻るかどうかを左右します。

新型コロナウイルスがマツモトキヨシのビジネスモデルを直撃

マツモトキヨシのビジネスモデルは、若者や観光客が多い都市部の店舗で、付加価値の高い化粧品を販売するというものです。

新型コロナウイルスはマツモトキヨシの3月、4月の既存店売上を減らしただけでなく、ビジネスモデルに打撃を与えるものです。

ドラッグストアチェーンは多数ありますが、郊外で食品を販売する業態、都市部で化粧品を販売する業態に分かれています。多くのドラッグストアチェーンが郊外で食品を販売する業態で、都市部で化粧品を販売する業態は少ないです。

都市部で化粧品を販売する有力なドラッグストアはマツモトキヨシとココカラファインで、両社は2021年10月1日をめどに経営統合することが決まっています。

マツモトキヨシは都市部で化粧品を販売する業態として営業利益率が高く、ココカラファインとの経営統合により、規模の拡大も実現します。

新型コロナウイルスが発生するまで、マツモトキヨシの将来は楽観的でした。しかし、新型コロナウイルスにより、マツモトキヨシの将来は不確実になりました。

新型コロナウイルスにより起こったテレワークの拡大は、マツモトキヨシのビジネスモデルに打撃を与えます。テレワークをする企業が増えれば、都市部で仕事をする人、仕事のために化粧をする人が減ります。

都市部で仕事をする人、仕事のために化粧をする人が減ることは、マツモトキヨシの売上の減少を引き起こします。マツモトキヨシとしては、テレワークがあまりうまく行かないことを祈るばかりです。

郊外で食品を販売するドラッグストアは売上が好調ですが、都市部で化粧品を販売するマツモトキヨシは危機的な状況です。