ジョルダンが商品棚とデジタルサイネージ併設の次世代店舗「キュレックス」を開発

経路検索サービス大手のジョルダンは、商品棚とデジタルサイネージを併設した次世代型店舗「QRECS(キュレックス)」を開発したと発表しました。ジョルダンは「キュレックス」の設置企業、出店者(Yahoo!ショッピングの出店者)を募集しています。

「キュレックス」は自動販売機のような見た目をしていて、利用者は商品の体験と、Yahoo!ショッピングでの買い物ができます。

ネットビジネスを拡大するため、リアルからネットへの送客が注目されています。「キュレックス」はリアルからネットへと送客する仕組みで、Yahoo!ショッピングの売上を伸ばすことが期待されます。

次世代店舗「キュレックス」とはなにか

ジョルダンは商品棚とデジタルサイネージを併設した次世代型店舗「QRECS(キュレックス)」を開発し、設置企業と出店者の募集を開始しました。

「QRECS(キュレックス)」とは、Quick and Real EC Shoppingの略です。

「キュレックス」はソフトバンク子会社であるSBエンジニアリングとジョルダンが共同開発したもので、見た目は自動販売機に似ています。

「キュレックス」に出店するのは、Yahoo!ショッピングの出店者です。「キュレックス」の利用者は、Yahoo!ショッピングに出店している店舗の商品を手に取って体験することができ、そのまま注文もできます。

「キュレックス」の買い物体験は次のようになります。

「キュレックス」の買い物体験
  • 商品棚に置かれている商品を見て、触って、確認する
  • タッチパネルを操作して欲しい商品を選択する
  • スマホ・タブレットのカメラでQRコードを読み取る
  • Yahoo!ショッピングのページへ移動、購入する
  • 後日、商品が自宅に届けられる

ジョルダンは「キュレックス」の設置企業と、出店者を募集しています。

「キュレックス」の出店者は1店舗あたり月額50,000円を支払い、Yahoo!ショッピングへ集客して、売上の増加を狙います。

「キュレックス」の設置企業は、1台あたり最大(1台に3店舗出店した場合)で月額150,000円の収入が得られます。「キュレックス」の利用料として月額36,000円が掛かり、1台あたりの月額利益は最大で114,000円となります。

出店料、設置収入は目安金額で、実際の金額は条件によって異なります。

今後、「キュレックス」では多言語化、AIカメラの導入によるマーケティングデータ収集など、アップデートが計画されています。

「キュレックス」の買い物体験はお客さんに受け入れられるか

ジョルダンが開発した次世代店舗「キュレックス」では、お客さんは商品を見て、触って、体験した後、Yahoo!ショッピングで購入します。

「キュレックス」の買い物体験はこれまでにないもので、お客さんに受け入れられるかどうかはやってみなければ分かりません。

お客さんが「キュレックス」を見たときに、どうしたらよいのか分からないというのは考えられる反応です。

「キュレックス」は商品を体験した後、Yahoo!ショッピングで購入するものですが、お客さんはなぜそうしなければならないのか分かりません。Yahoo!ショッピングで買わずに、その場で買ってすぐに家に持って帰った方が便利です。

「キュレックス」の買い物体験がお客さんに理解されるには、ある程度の時間が掛かるのではないかと思います。

「キュレックス」で買い物をするのが恥ずかしい、買い物しているところを他の人に見られるのが恥ずかしいというのはありそうです。

「キュレックス」は新しい買い物体験なので、利用する人も、周りにいる人も、強い関心を持つはずです。「キュレックス」に多くの注目が集まってしまうと、利用する人は緊張してしまいます。

こうした状況を作らないためには、同じ場所にまとまった数の「キュレックス」を設置する、または、人が少ない場所に設置するのが好ましいです。

「キュレックス」の買い物体験がお客さんにすぐに受け入れられ、急速に売上を伸ばすというのは難しいかもしれません。

「キュレックス」に出店するメリットはあるか

ジョルダンが開発した次世代店舗「キュレックス」は、リアルで商品を体験してもらい、Yahoo!ショッピングで購入してもらう販促ツールです。

Yahoo!ショッピングで販売が好調な店舗にとって、「キュレックス」は集客方法の一つとして試してみる価値があります。

「キュレックス」に出店するメリットは、Yahoo!ショッピングではリーチできないお客さんにリーチできることです。

「キュレックス」は設置企業を募集しており、今後、様々な商業施設に設置されます。「キュレックス」が設置されている商業施設によって、リーチできる客層は異なります。

自店の商品と相性が良い客層にリーチできる「キュレックス」に出店すれば、Yahoo!ショッピングの売上を増やせる可能性があります。

「キュレックス」の出店料が月額50,000円である点はリスクです。

Yahoo!ショッピングは月額の固定費がなく、売上に応じて手数料が発生するようになっています。また、ECでよく利用されるインターネット広告も、クリックや売上に応じて手数料が発生する仕組みが一般的です。

「キュレックス」は商品が売れなくても、月額の固定費が発生するため、商品が売れないときのリスクはYahoo!ショッピングよりも大きいです。

「キュレックス」には自店の商品と相性が良い客層にリーチできるメリットと、月額の固定費が発生するリスクがあります。Yahoo!ショッピングで商品がよく売れているのであれば、「キュレックス」経由の売上も期待できるのではないでしょうか。

「キュレックス」を設置するメリットはあるか

ジョルダンが開発した次世代店舗「キュレックス」を設置する企業は、1台あたり最大で月額114,000円の利益を得ることができます。

集客力のある商業施設を持つ企業にとって、「キュレックス」は集客力を活用できる、堅実なビジネスです。

人口が減少する時代になったことで、商業施設の集客力の価値が高まっています。企業は自社が持つ集客力を他社に提供することで、収益を得られるチャンスがあります。

駅や商業施設には、通勤・通学、買い物で人がたくさんやってきます。人がたくさん集まる場所は、多くの企業にとって価値があるものです。

「キュレックス」を設置する企業は、設置するだけで安定的な収入が得られます。「キュレックス」の設置スペースは大きくはなく、設置することにこれといったデメリットはありません。

「キュレックス」を設置する場所については、人が多い場所よりも、人が時間を持て余す場所が適しているのではないかと思います。

「キュレックス」の買い物体験は商品を体験して、Yahoo!ショッピングで購入するというもので、時間を要します。忙しい人に利用してもらうことは難しいため、他にやることがない人に利用してもらうのが好ましいです。

商業施設の休憩所、駅の構内の人が少ない場所などは、「キュレックス」の設置場所として良さそうです。「キュレックス」の利用には時間が掛かり、一度に多くの人が利用できるものでもないので、混雑している場所には向きません。

「キュレックス」の設置には特にデメリットもないことから、集客力のある商業施設を持つ企業にとっては堅実なビジネスです。

リアルからネットへの送客は新たなビジネスチャンス

ジョルダンが開発した次世代店舗「キュレックス」は、リアルからネットに送客して、ネットの売上を伸ばすものです。

ネットビジネスにおいて、リアルからネットへ送客したいニーズが生まれていて、新たなビジネスチャンスになっています。

ネットビジネスはリアルからの集客を必要としています。

ネットビジネスの多くは、主にネットだけの集客で成長してきました。しかし、ネットだけの集客では、成長が鈍化するときがやって来ます。

成長が鈍化したネットビジネスにとって、リアルからの集客は新しい成長の原動力になります。リアルにはネットだけではリーチできない、潜在顧客がたくさんいます。

「キュレックス」はリアルからネットへ送客するビジネスです。

「キュレックス」はリアルからYahoo!ショッピングに送客して、売上の増加を目指します。Yahoo!ショッピングの出店者の中には、「キュレックス」に出店して、さらに売上を伸ばしたいと考える店舗もあるはずです。

「キュレックス」がどれくらいYahoo!ショッピングの売上を伸ばすのかは分かりません。ただ、リアルからネットへの送客には価値があり、「キュレックス」にはYahoo!ショッピングの売上が伸ばす効果があります。

ネットビジネスはリアルからネットへの送客に注目しており、「キュレックス」のようなサービスはこれからも出てくると思います。