ストライプデパートメントの「DaaS(ダース)」、百貨店にECサイトをサービスとして提供

ストライプデパートメントの「DaaS(ダース)」、百貨店にECサイトをサービスとして提供 小売業
ストライプデパートメントの「DaaS(ダース)」、百貨店にECサイトをサービスとして提供

ファッション通販サイト「ストライプデパートメント」を運営する、株式会社ストライプデパートメントが「DaaS(ダース)」という新サービスをリリースしています。

「DaaS(ダース)」は百貨店向けに、ECのプラットフォームをサービスとして提供する仕組みです。「DaaS(ダース)」を利用する百貨店は、自社でECサイトを運営するのではなく、ストライプデパートメントを自社のECサイトのように活用できます。

ストライプデパートメントによると、「DaaS(ダース)」は百貨店、ストライプデパートメントに出店しているブランド、ストライプデパートメント、三者それぞれにメリットがあるとのことです。

ストライプデパートメントはどのようなファッション通販サイトか

ストライプデパートメントとは、2018年2月15日にオープンしたファッション通販サイトです。ストライプデパートメントは株式会社ストライプデパートメントが運営しています。株式会社ストライプデパートメントの株主構成は、株式会社ストライプインターナショナルが79%、ソフトバンク株式会社が21%です。

ストライプデパートメントの特徴は、ストライプインターナショナルが持つアパレルのノウハウと、ソフトバンクの持つECのノウハウが融合している点です。両社の持つノウハウを活用することで、独自性を発揮しようとしています。

ストライプデパートメントのブランド数は約600からスタートし、直近では約1,000まで増えているとのことです。ストライプデパートメントはデジタルマーケティングに優れていて、パーソナルスタイリング、試着サービス、ギフトラッピング、オンラインクローゼット、AIチャットによる接客などが導入されています。

ストライプデパートメントがスタートした目的には、百貨店が抱える課題を解決する狙いもあります。百貨店の衣料品の売上は減少を続けており、地方の百貨店は閉店が増えるなど、衣料品の販売で様々な問題を抱えていると考えられます。

ストライプデパートメントはF2層と呼ばれる、35歳~49歳の女性をターゲットにしています。百貨店が閉店した地域に住む人たちの中には、高級・高品質のブランドとの接点がなくなった人もいます。ストライプデパートメントは百貨店の閉店で買い物が難しくなった人たちに対して、高級・高品質のブランドの衣料品を販売する狙いもあります。

パーソナルスタイリング、試着サービス、ギフトラッピング、オンラインクローゼット、AIチャットによる接客などのデジタルマーケティングは、ECサイトの買い物体験を改善するものです。実店舗からECサイトへと新規顧客を取り込むにあたって、これらのデジタルマーケティングはうまく機能しそうです。

ファッションを販売するEC企業にはAmazon、楽天、ZOZO、ロコンド、CROOZ SHOPLISTなどがあります。商品取扱高を公表している、ZOZO、ロコンド、CROOZ SHOPLISTは売上が伸びています。ファッションECは市場の拡大が続いており、ストライプデパートメントは先行する企業を追い掛ける立場です。

ストライプデパートメントは、アパレル企業のストライプインターナショナルの子会社が運営しています。ストライプデパートメントが先行する企業を追い掛けるにあたって、ストライプインターナショナルが持つ、実店舗でのノウハウが活かされます。

ファッション通販サイトが売上・会員数を増やすためには、いかに実店舗からECサイトへとお客さんを誘導するかが重要です。ファッション通販サイトで衣料品を購入しているのは、ファッションに強い関心を持つ一部の人たちです。百貨店の閉店で買い物をする店舗を失った人たちは、ファッション通販サイトの新規顧客になります。

ストライプデパートメントの注目ポイントは、ブランド、百貨店との関係性です。ストライプデパートメントの取り扱いブランドの中には、百貨店に出店しているものもあります。地方では百貨店の閉店が続いており、商品を販売する場所を失ったブランドが、ストライプデパートメントでの販売を強化するといったことは起こるかもしれません。

ストライプデパートメントの「DaaS(ダース)」とは何か

9月12日、ストライプデパートメントを運営する株式会社ストライプデパートメントは、百貨店向けの新サービス「DaaS(ダース)」をリリースしています。「DaaS(ダース)」とは、「Department EC as a Service」の頭文字を取ったものです。

「DaaS(ダース)」 はストライプデパートメントが百貨店にECプラットフォームを提供し、百貨店のECサイトの運営を代行するサービスです。百貨店はイニシャルコスト、ランニングコストともに無料で、「DaaS(ダース)」 を利用することができます。

「DaaS(ダース)」 を利用する百貨店は、自社のロゴが付いたECサイトを持つことができます。百貨店は既存顧客に「DaaS(ダース)」 で買い物をしてもらい、会員の獲得、売上に応じて、ストライプデパートメントから手数料が支払われます。

ストライプデパートメントの「DaaS(ダース)」は、クラウドサービスの「SaaS(サース)」から来ていると考えられます。「SaaS(サース)」とは、「Software as a Service」の頭文字を取ったものです。

「SaaS(サース)」とは、ソフトウェアをクライアント側に導入するのではなく、サーバー側に導入されたソフトウェアをネットワーク経由で利用する仕組みです。「SaaS(サース)」のメリットには、短期間で導入できる、常に最新のバージョンを利用できる、利用状況に応じた適切な料金プランが選べるといったものがあります。

「SaaS(サース)」の利用者は自分のパソコンにソフトウェアをインストールしなくても、ネットワーク経由でサービスとして利用できます。「DaaS(ダース)」の仕組みも「SaaS(サース)」と似ていて、百貨店は自社でECサイトを運営しなくても、ストライプデパートメントのECプラットフォームをサービスとして利用できます。

ストライプデパートメントの「DaaS(ダース)」は、金沢で百貨店を展開する株式会社大和、大分で百貨店を展開する株式会社トキハの二社が利用しています。「DaaS(ダース)」のECサイトを見ると、ロゴは百貨店のものになっていますが、それ以外はストライプデパートメントとまったく同じようです。

小売業がECを行う場合、Amazon、楽天のようなECモールに出店するか、自社ECを運営するかのどちらかです。ストライプデパートメントの「DaaS(ダース)」は、ECサイトをサービスとして利用する、新しいECの形だと言えます。百貨店はECで自社の商品を販売するのではなく、「DaaS(ダース)」に既存顧客を誘導することで手数料を得ます。

ストライプデパートメントの「DaaS(ダース)」の狙い

ストライプデパートメントの説明によると、「DaaS(ダース)」 は百貨店、ストライプデパートメントに出店しているブランド、ストライプデパートメント、三者にとってメリットがあるとのことです。

百貨店のメリットは、イニシャルコスト、ランニングコストともに無料でECサイトを持てること、会員の獲得、売上に応じて手数料が得られること、実店舗とECサイトが融合したオムニチャネルを推進できることです。

ストライプデパートメントに出店しているブランドのメリットは、地方の百貨店に出店することなく、地域のお客さんとの接点が持てることです。ストライプデパートメントは金沢、大分で百貨店を運営する二社と提携しており、ストライプデパートメントに出店しているブランドは、金沢、大分のお客さんにも買い物をしてもらえます。

ストライプデパートメントのメリットは、地方の百貨店の顧客を取り込むことで、会員の増加、売上の増加が見込めることです。地方の百貨店との関係性が強化されることにより、ストライプデパートメントに出店しているブランドの地方の百貨店への出店が進めば、ストライプデパートメントの価値の向上にも繋がります。

ストライプデパートメントの「DaaS(ダース)」 には、百貨店、ストライプデパートメントに出店しているブランド、ストライプデパートメントの三者にメリットが見込まれています。「DaaS(ダース)」を提供するストライプデパートメントの立場では、自社の会員の増加、売上の増加が主たる狙いではないかと推測されます。

地方の百貨店は衣料品への関心が強い顧客を多数抱えています。一方、地方の百貨店は自社ECが弱く、お客さんに優れたECサービスを提供しているとは言えません。「DaaS(ダース)」を提供するストライプデパートメントの立場では、地方の百貨店は衣料品を購入してもらえる潜在顧客を多数抱えています。

「DaaS(ダース)」を利用する百貨店は、自社の顧客をストライプデパートメントに紹介することで手数料を得ます。衣料品を求める自社の顧客に対して、他社のECサイトを紹介することには抵抗感もあります。ストライプデパートメントは「DaaS(ダース)」で会員数、売上を増やす狙いですが、提携百貨店が増えるかどうかカギになります。

百貨店が「DaaS(ダース)」を利用するメリット – 手数料

百貨店はストライプデパートメントの「DaaS(ダース)」を利用することで、会員の獲得、売上に応じて手数料が得られます。百貨店は衣料品の売上の減少が続いており、「DaaS(ダース)」の手数料は売上を増やす方法として効果的です。

日本百貨店協会のデータによると、2018年の全国百貨店の衣料品の売上高は1兆7,725億円(前年比3.1%減)でした。衣料品は売上全体の30.1%を占めており、すべてのカテゴリの中で最も大きく、百貨店にとって衣料品は最重要商品です。

10年前の2008年のデータを見ると、衣料品の売上高は2兆7,133億円となっています。百貨店の衣料品の売上高は10年間で約1兆円減少していることになります。百貨店の衣料品の売上高の減少を見ると、お客さんのニーズに応えることができていない状況です。

百貨店としては、自社で衣料品を用意して、自社の実店舗とECサイトでお客さんに買ってもらうことが最善です。しかし、自社で衣料品を販売することが難しいのであれば、ストライプデパートメントの「DaaS(ダース)」は衣料品を強化する方法の一つです。

百貨店が自社ECを運営するには、ECに詳しいエンジニア、マーケターを採用して、商品を提供してくれる企業を探さなければなりません。現在のところ、百貨店の自社ECは弱く、今後も強化されるかどうかも分かりません。

ストライプデパートメントの「DaaS(ダース)」を利用する百貨店は、イニシャルコスト、ランニングコストともにゼロです。「DaaS(ダース)」は会員数、売上の増加に応じて手数料が支払われるため、高収益の事業になる可能性もあります。

ストライプデパートメントの「DaaS(ダース)」は、これまでにない新しいECの形です。百貨店は自社の顧客を「DaaS(ダース)」に送客することで、会員数、売上の増加に応じて手数料を得ます。ただ、百貨店は自社の実店舗で商品を販売しているため、他社のECサイトに送客することには違和感もあります。

百貨店がお客さんの衣料品のニーズに対応できていない現状を考慮すると、「DaaS(ダース)」は利用する価値があると言えるかもしれません。百貨店としては、自社ECを強化したいところですが、現在のところ実現できていません。困難な自社ECに取り組むよりも、「DaaS(ダース)」の手数料を狙うのは堅実な選択です。

百貨店が「DaaS(ダース)」を利用するメリット – オムニチャネル

百貨店がストライプデパートメントの「DaaS(ダース)」を利用するメリットの一つは、実店舗とECサイトが連携したオムニチャネルを実現できることです。ストライプデパートメントに出店しているブランドが、「DaaS(ダース)」を利用する百貨店に出店することによって、オムニチャネルが実現します。

ストライプデパートメントはサービス開始とともに、金沢で百貨店を展開する株式会社大和、大分で百貨店を展開する株式会社トキハの二社と提携しています。二社が展開する百貨店では、期間限定で、ストライプデパートメントに出店しているブランドのポップストアが開催されました。

お客さんは実店舗で見た商品を「DaaS(ダース)」で購入する、または、「DaaS(ダース)」で見て気になった商品を実店舗で購入するといったことが可能になります。百貨店はオムニチャネルが実現されることで、実店舗と「DaaS(ダース)」の両方で客数・売上の増加が期待できます。

オムニチャネルが実店舗、ECサイトの客数・売上の増加に貢献する理由は、機会損失を減らせるからです。ECサイトがない場合、お客さんに商品を買ってもらえるのは実店舗だけです。ECサイトがあれば、実店舗で買ってもらえなくても、後日ECサイトで買ってもらえるチャンスが増えるため、商品が売れる確率が高まります。

実店舗、ECサイトをお客さんに行き来してもらうことで、お客さんとの接触時間が長くなることもオムニチャネルのメリットです。百貨店のように店舗が大きく、商品数も多い業種ほど、オムニチャネルのメリットは大きいです。

「DaaS(ダース)」で気になる商品を見つけたお客さんは、商品の確認、購入のために実店舗にやってきます。百貨店は衣料品以外にも幅広いカテゴリの商品があり、衣料品だけではなく、他のカテゴリの商品を買ってもらえるチャンスもあります。

百貨店を活性化するという点で、ストライプデパートメントの「DaaS(ダース)」には価値があります。オムニチャネルがうまく機能すれば、「DaaS(ダース)」の手数料収入、実店舗の売上ともに増加します。

百貨店が「DaaS(ダース)」を利用するリスク – デジタル

ストライプデパートメントの「DaaS(ダース)」を利用する百貨店は、衣料品の品揃えを強化できる、ECサイトを持てる、手数料収入が得られる、オムニチャネルが実現できるといったメリットが得られます。一方で、百貨店にはストライプデパートメントの「DaaS(ダース)」を利用するリスクもあると考えられます。

自社のECサイトではなく、ストライプデパートメントの「DaaS(ダース)」へ送客することは、将来的に実店舗の価値を低下させる可能性があります。「DaaS(ダース)」で良い商品が見つかるのであれば、お客さんは実店舗に行く必要がなくなります。

実店舗で衣料品を販売する百貨店が、競合である他社のECサイトへと送客することには抵抗感があります。「DaaS(ダース)」を利用する百貨店には手数料が支払われますが、自社の顧客を流出させる対価だと見ることもできます。

百貨店がストライプデパートメントの「DaaS(ダース)」を利用することは、デジタルマーケティングを実施するときに問題になるかもしれません。

小売業はデジタルマーケティングを強化するため、自社のECサイト、アプリでお客さんに会員IDを作ってもらおうとしています。会員IDを使って、実店舗とECサイトを融合させることは、デジタルマーケティングを強化するために不可欠です。

百貨店がストライプデパートメントの「DaaS(ダース)」を利用する場合、会員IDはストライプデパートメントが持つことになると考えられます。百貨店は会員IDを取得できなければ、効果的なデジタルマーケティングを実施することが難しくなります。

ストライプデパートメントの「DaaS(ダース)」を利用する百貨店は、EC、デジタルマーケティングをストライプデパートメントに依存することになります。百貨店には手数料収入が得られる、オムニチャネルが実現できるといったメリットがあります。一方で、実店舗の価値の低下、デジタルマーケティングの制約といったデメリットもあります。

EC、デジタルマーケティングをストライプデパートメントに依存することは、必ずしもリスクであるとは言えません。現状、百貨店のEC、デジタルマーケティングは十分な成果を上げられていません。自社でEC、デジタルマーケティングを強化できないのであれば、ストライプデパートメントの「DaaS(ダース)」は選択肢の一つです。

百貨店は店舗・販売員・既存顧客を活用して売上を増やしたい

百貨店は衣料品を含め、多くのカテゴリの売上高が減少を続けています。一方、百貨店は店舗が大きく、店舗の運営コストの負担は重いです。百貨店が店舗を維持するためには、店舗の運営コストをカバーするための売上を獲得しなければなりません。

百貨店は売上高の減少が続いていますが、価値のある経営資源を保有しています。百貨店が持つ経営資源は、売り場面積が大きく、アクセスの良い店舗、接客スキルを持つ熟練の販売員、比較的所得の高い既存顧客の三つです。

百貨店はお客さんに商品を販売するだけではなく、店舗・販売員・既存顧客の経営資源を活用して、付加価値を生み出すことに注力するべきではないでしょうか。百貨店は自社の顧客に付加価値を提供するだけではなく、外部の企業にも提供できます。

ストライプデパートメントの「DaaS(ダース)」は、百貨店が持つ店舗・販売員・既存顧客をうまく活かせるものです。店舗にはポップアップストアを出すスペースがあり、販売員はお客さんに「DaaS(ダース)」の利用方法を説明することができ、既存顧客には「DaaS(ダース)」で買い物をする購買力を持っています。

ストライプデパートメントの「DaaS(ダース)」のような、外部企業との連携に、百貨店の収益性改善のチャンスがあるのではないかと思います。ストライプデパートメントの立場では、百貨店が持つ店舗・販売員・既存顧客には価値があります。ストライプデパートメントは「DaaS(ダース)」の対価として、百貨店に手数料を支払います。

ストライプデパートメントのように、百貨店が持つ経営資源を活用したい企業は多数あると考えられます。百貨店は売上の減少が続く厳しい状況ですが、店舗・販売員・既存顧客には付加価値を生み出す力があります。

リアルの経営資源が少ないインターネット企業にとっては、百貨店が持つ経営資源には大きな価値があります。百貨店は店舗・販売員・既存顧客を活かして、インターネット企業の事業拡大を支援するビジネスにチャンスがありそうです。

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