業績好調・新業態を大量出店中のワークマンから小売業が学べること

業績好調・新業態を大量出店中のワークマンから小売業が学べること

プロ向けの作業用衣料品を販売するワークマンは、売上高増加率、営業利益率が高く、現在、最も勢いのある小売業の一つです。ワークマンは2018年9月に、一般消費者向けの新業態「ワークマンプラス」の1号店をオープンして、新しいマーケットの開拓に成功しています。小売業は厳しい経営環境にありますが、ワークマンは安定的に業績を拡大しており、小売業はワークマンから学べることがたくさんあります。

ワークマンの業績が好調な理由の一つは、優れたプライベートブランド商品を販売していることです。ワークマンはアウトドア、スポーツ、防水防寒の三つのタイプのプライベート商品を展開しており、商品の価値をお客さんにシンプルに訴求しています。優れたプライベートブランド商品は、高い粗利益率で小売業の収益性に貢献するだけでなく、小売業のブランド価値を高める効果も大きいです。

新業態「ワークマンプラス」が人気になった理由は、女性客の取り込みに成功したためです。女性の社会進出により、女性は経済力を持つとともに、新しいニーズも生まれています。ワークマンの衣料品はプロ向けのものですが、仕事を持つ女性、仕事をしながら子育てをする女性にとっても価値があるものです。小売業は女性のライフスタイルの変化に対応することで、新しいマーケットを作り出せます。

競争の激化、人口の減少により、小売業は店舗の生産性向上が不可欠な状況です。ワークマンは粗利益率の高いプライベートブランド商品を、小型の店舗で効率よく販売しており、売上高増加率・営業利益率は非常に高いです。小売業は優れたプライベートブランド商品の開発、店舗の小型化に取り組みたいです。両方を同時に実現できれば、ワークマンのように超高収益企業になれる可能性もあります。

業績が好調なワークマンは新業態「ワークマンプラス」を出店

ワークマンは作業服、作業着、安全靴、レインウェア、レインスーツ、つなぎなど、プロの職人向けの商品を販売する専門店をフランチャイズで展開しています。ワークマンは小売業の中でも、売上高増加率、営業利益率に優れた優良企業ですが、販売する商品が一般消費者向けではないため、これまであまり注目されて来ませんでした。

ワークマンが注目されるようになったのは、新業態「ワークマンプラス」にお客さんが殺到したためです。2018年9月5日オープンした1号店「ららぽーと立川立飛店」は、従来のプロをターゲットにした店舗ではなく、一般消費者をターゲットにした店舗です。ワークマンプラスはインターネットだけでなく、テレビ、新聞などでも頻繁に紹介されるようになり、短期間で人気専門店としての地位を確立することに成功しました。

ワークマンの高い売上高増加率、営業利益率

ワークマンは売上高増加率、営業利益率が高い優良企業です。小売業では業種の垣根を超えた競争、人口の減少、ECの拡大など、外部環境の変化の影響が大きく、成長率、収益性が悪化する企業が増えています。このような厳しい環境の中、ワークマンは安定的に業績を拡大していて、現在、最も勢いのある小売業の一つです。

ワークマンの2019年3月期の営業総収入は66,969百万円(前期比19.4%増)、営業利益は13,526百万円(前期比27.6%増)でした。ワークマンのホームページにある最も古い決算資料は2007年3月期のもので、2019年3月期と2007年3月期を比較すると、営業総収入は約2.1倍、営業利益は約3.3倍と業績が急拡大しています。

2019年3月期の営業利益率は20.2%となっていて、多くの小売業の営業利益率が5%以下であることを考えると、ワークマンの営業利益率は非常に高いです。ワークマンの営業利益率が高い理由には、フランチャイズチェーンであること、プライベートブランド商品を販売していること、ローコストオペレーションに優れていることなどがあります。

ワークマンが販売する商品はプロ向けであるため、リピーターを獲得しやすいというのはあると思います。ワークマンの商品に充分な価値があれば、プロのお客さんはワークマンの商品を買い続けてくれます。多くの小売業が外部環境の変化によって、ネガティブな営業を受けている中、ワークマンは安定的な業績の拡大が続いています。

ワークマンの新業態「ワークマンプラス」

ワークマンが2018年9月5日にオープンした、新業態「ワークマンプラス」が注目を集めています。ワークマンプラスはプロ向けに商品を販売して来たワークマンが、一般消費者向けに市場の拡大を狙った新業態です。ワークマンプラスは1号店から大きな成功を収めており、今後、積極的な新規出店が予定されています。

ワークマンはプロ向けに販売して来た商品の中から、一般消費者にも買ってもらえそうな商品を選別して、ワークマンプラスで販売しています。ワークマンプラスでは、アウトドア向け「FieldCore」、スポーツ向け 「Find-Out」、高機能防水防寒「AEGIS」の三つのプライベートブラン商品の販売が好調であるとのことです。

ワークマンはプロ向けに商品を販売しており、品質はプロのお客さんから支持されています。作業着、安全靴、レインコートなどは、仕事で使うだけではなく、日常生活でも求められる可能性があります。ワークマンが販売する「滑らない靴」は、女性のお客さんによく売れているようです。妊娠中の女性、小さな子供を持つ女性は、雨の日に滑ると危ないので、ワークマンの「滑らない靴」はニーズに対応できます。

ワークマンは2020年3月期末までに、ワークマンプラスの店舗数を77店舗にすることを計画していましたが、2019年8月6日には、167店舗へと上方修正しています。ワークマンプラスの1号店の出店が2018年9月5日なので、新規出店のスピードは非常に速いです。短期間でこれだけの店舗数を出店することからも、ワークマンプラスがいかに一般消費者に受け入れられ、将来が有望であるかが分かります。

プライベートブランド商品は小売業の業績拡大に貢献

小売業が業績を拡大するためには、プライベートブランド商品がある方が好ましいです。ファーストリテイリング、ニトリホールディングス、良品計画は、小売業の中でも業績が堅調ですが、どの企業もプライベートブランドを商品を販売しています。新業態「ワークマンプラス」で順調なスタートを切ったワークマンも、プライベートブランド商品を販売していて、ワークマンプラスが人気になる理由の一つです。

SNSが普及したことによって、SNSで商品がレビューされたり、新商品が紹介されるようになっています。ワークマンの商品はSNSで紹介されることが多く、SNSでの人気が店舗の集客に繋がっています。優れた商品、人気のある商品、個性的な商品はSNSで紹介されやすく、小売業は優れたプライベートブランド商品を持ちたいです。

小売業がプライベートブランド商品を販売するメリット

プライベートブランド商品のメリットとしてよく知られているものは、粗利益率が高いことです。プライベートブランド商品は小売業が製造業に依頼して作るため、大量生産によるコスト削減、広告宣伝費削減の効果があり、ナショナルブランド商品よりも高い粗利益率が期待できます。粗利益率が高いことは、プライベートブランド商品の大きなメリットですが、お客さんに独自性を訴求できることにも価値があります。

ワークマンの2019年3月期のプライベートブランド商品の売上高は368億50百万円(前期比44.1%増)、プライベートブランド商品比率は39.7%でした。プライベートブランド商品の売上高増加率は全体の売上高の増加率よりも高く、プライベートブランド商品がワークマンの業績拡大に貢献しています。プライベートブランド商品は粗利益率が高いため、売上高の増加に応じて営業利益も大きく増えます。

ワークマンはプロ向けに商品を販売しているため、「プロが使用している商品」として、一般消費者から品質に対する信頼を得やすいです。また、ワークマンのプライベートブランド商品は、アウトドア、スポーツ、防水防寒の三つの用途を分かりやすく訴求しています。プロ向けの実績と分かりやすいプライベートブランド商品があることで、一般消費者は安心してワークマンプラスで買い物をすることができます。

ワークマンプラスの人気を見ると、プライベートブランド商品は粗利益率が高いだけでなく、集客面での貢献も大きいです。商品の差別化が難しく、ECでも買い物ができるようになったことで、小売業は独自性をお客さんにアピールする必要があります。プライベートブランド商品は「当店でしか買えない商品」として独自性があり、集客力と粗利益率がうまく噛み合えば、ワークマンのように大きく業績を伸ばせます。

SNSの普及とプライベートブランド商品

プライベートブランド商品が持つ、高い粗利益率と独自性は、小売業にとって価値があるものです。SNSが普及したことにより、小売業にとってプライベートブランド商品はさらに重要なものになっています。プライベートブランド商品はSNSでの小売業の存在感を高める役割を果たし、店舗への集客力アップに貢献しています。

ワークマンプラスは短期間で人気専門店としての地位を確立しましたが、SNSが果たした役割は大きいです。YouTubeでワークマンを検索すると、ワークマンの商品をレビューした動画が大量に出てきます。ワークマンの商品に興味を持った人は、SNSの商品レビューを見て、さらに興味を持ち、ワークマンの店舗へと買い物に出掛けます。

ユニクロ、ニトリ、良品計画、セブンイレブン、業務スーパーの商品は、SNSで紹介されることが多いです。これらの店舗の商品がSNSでよく紹介される理由は、商品に価値があり、多くの人が興味を持って見てくれるためです。お客さんがSNSで商品を紹介してくれるので、小売業は何もしなくても店舗の集客力を高めることができます。

SNSはお客さんの購買行動に影響を与えるようになっていて、SNSで商品が紹介されることは小売業の強みです。SNSで商品を紹介してもらうためにも、小売業は優れたプライベートブランド商品を持ちたいです。ワークマンプラスの人気も、SNSの重要性が高まっていることを証明しています。SNSの普及によって、商品の価値がお客さんに伝わりやすくなり、優れた商品にお客さんの注文が集中します。

女性の社会進出は小売業に売上を増やすチャンスを生み出す

女性の社会進出が進んでいて、女性人口に占める、仕事を持つ女性の割合が上昇しています。2018年の女性の就業率は51.3%となっていて、ここ5年間で上昇のスピードが加速しています。女性の社会進出が進むと、男性と同じ業務をする女性が増えます。これまで、ワークマンの商品は男性に販売するものでしたが、女性の社会進出が進めば、男性だけではなく、女性にも販売するチャンスが生まれます。

業種の垣根を超えた競争、人口の減少、ECの拡大などにより、小売業が新規顧客を獲得することはますます難しくなっています。新規顧客の獲得が難しい中で、女性は小売業にとって新しいお客さんになる可能性があります。ワークマンのように男性に商品を販売して来た小売業は、女性向けの販売に取り組むと良さそうです。

ワークマンプラスは女性客の取り込みに成功

ワークマンの新業態「ワークマンプラス」は好スタートを切っていて、女性の取り込みに成功していることは重要です。ワークマンプラス1号店「ららぽーと立川立飛店」の開店当初のデータによると、来店客の45%が女性であったとのことです。「ららぽーと立川立飛店」はショッピングセンターの中にあり、ショッピングセンターで衣料品を買うような女性が、ワークマンプラスでも買い物をしたことになります。

ワークマンプラスの成功により、ワークマンのプロ向けの商品は、一般消費者にも価値があることが分かりました。また、ワークマンの商品は男性向けのものですが、女性にも価値があることが分かりました。女性の社会進出が進んだことにより、仕事、日常生活の両方で、男性と女性のライフスタイルが似てきたと考えられます。

女性がワークマンプラスで買い物をする理由は、機能的な衣料品へのニーズが高まっているからではないかと思います。おしゃれな洋服を着るよりも、仕事、日常生活を快適にするような、実用的な洋服を求めるようになっているのではないでしょうか。ワークマンで女性によく売れているとされる「滑らない靴」は、現場で仕事をする女性にとっても、子育てをする女性にとっても価値のある商品です。

ワークマンプラスの女性人気は、女性の社会進出、ライフスタイルの変化を感じさせる事例になりました。今後も女性の就業率は上昇を続けると予想されるため、ワークマンプラスの見通しは良いです。ワークマンプラスは大量の新規出店を計画していて、店舗数の増加とともに、売上高・営業利益も順調に増えると考えられます。

小売業にとって重要になる女性客

女性の社会進出は大きな社会変化で、小売業にも影響があります。一般的な見方としては、男性はより家庭での役割が増え、女性は職場での役割が増えるとされています。男性も女性も変化することになりますが、どちらかと言えば女性の変化の方が小売業にとっては重要ではないかと思います。女性の社会進出は、女性の経済力の向上、新しいニーズの創出の効果があり、小売業に新しいチャンスをもたらします。

高齢者の退職による人員の減少を若者の就職による増加で補いますが、若者は相対的に少ないため、労働者として若者の価値が高まっています。これまで女性は非正規雇用で働くことが多数派でしたが、若い世代では正社員で働ける機会が増えます。以前よりも正社員で働く女性が増えれば、より大きな経済力を持つことになります。

仕事をしながら子育てをする女性が増えれば、家事の負担を減らしたいニーズが出てきます。小売業では、家事の時間を短縮する生活家電、料理の時間を短縮するミールキットが人気商品になっています。生活家電、ミールキットは低価格の商品ではありませんが、時間を節約することに価値があり、価格が高くてもよく売れています。

ワークマンプラスは女性客の取り込みに成功しましたが、男性客が中心だったワークマンにとって、女性客はとても重要な存在です。小売業は売上を増やすことが難しい状況ですが、女性客の取り込みは売上を増やす一つの方法です。女性の社会進出により、女性は経済力を持ち、様々な新しいニーズも生み出します。ワークマンプラスの成功は象徴的な事例で、多くの小売業に女性を取り込んで売上を増やすチャンスがあります。

小売業は粗利益率の高い商品を効率よく販売して収益性を高めたい

小売業の店舗面積は業種と関係していて、一般的に、大型店ほど良いと考えられて来ました。大型店は多くの商品を陳列できるので、お客さんに多くの商品を買ってもらえ、売上を伸ばしやすいです。これまで大型店のデメリットが語られることはあまりなかったのですが、業種の垣根を超えた競争、人口の減少、ECの拡大、高齢者・若者の自動車離れなどにより、大型店は収益性を維持することが難しくなっています。

現在の小売業の重要なテーマの一つに、店舗の生産性の向上があります。小売業が店舗の生産性を向上するためには、店舗は小さく、商品は少なく、従業員は少なくというのが基本的な方向性です。小型の店舗で粗利利益率の高い商品を効率よく販売して、店舗の収益性を高めることは、多くの小売業に取って理想的なものです。

少ないアイテム数を効率よく販売するワークマン

ワークマンの2019年3月期の決算資料によると、プライベートブランド商品のアイテム数は1,022品目、売上高は368億50百万円(前期比44.1%増)、プライベートブランド商品比率は39.7%となっています。プライベートブランド商品のアイテム数と売上高を見ると、少ないアイテム数で多くの売上高を得ることに成功している印象です。

プライベートブランド商品の粗利益率を高めるためには、大量生産・大量販売が重要です。同じ商品を大量生産・大量販売することにより、効率性が高まり、粗利益が増えます。ワークマンに興味を持ったお客さんは、インターネットで検索をして、人気の商品、評判の良い商品を探します。お客さんの注文が同じプライベートブランド商品に集中すれば、ワークマンは大量生産・大量販売で収益性を高めることができます。

アイテム数が少ないことは、粗利益率だけではなく、店舗オペレーションでもメリットがあります。同じ商品が大量に売れれば、店員は商品の補充がしやすく、補充に掛かる人件費を抑制する効果があります。また、同じ商品が大量に売れれば、店員はその商品に詳しくなるので、お客さんに対して満足度の高い接客ができるようになります。

他の小売業との比較は難しいですが、ワークマンは少ないアイテム数で効率よく商品を販売していると評価できます。ワークマンはプロの職人向けの衣料品を販売しており、取扱カテゴリは少なく、大きな店舗を必要としません。ワークマンは小売業が目指そうとしている、店舗は小さく、商品は少なく、従業員は少なくという、理想に近い店舗運営をしており、学べることが多いのではないかと思います。

小型店でもお客さんを遠方から呼び込むことは可能

小売業は店舗の生産性を向上させる必要があり、店舗の生産性を向上させるには、店舗の小型化が効果的です。ただ、小型店舗は大型店舗と比べて品揃えが少ないため、集客力が弱く、遠くからお客さんを集客することが難しいという弱点があります。小型店は遠くから集客することが難しいのですが、優れたプライベートブランド商品があれば、遠くから集客することは不可能ではないと思います。

お客さんが自動車を運転して、時間を掛けて遠くの大型店に買い物に行く理由は、大型店は商品が多いためです。時間を掛けて遠くに買い物に出掛けても、たくさんの商品を購入するので、掛けた時間に見合った満足感が得られます。遠くからお客さんを集客できることは、小売業が大型店舗を好む理由の一つです。

大型店は商圏が広い、小型店は商圏が狭いという考えが定着していますが、優れたプライベートブランド商品を持つ小売業は、小型店でも商圏が広いのではないでしょうか。インターネットでワークマンの商品を見た人の中には、ワークマンの商品を絶対に手に入れたい人もいます。ワークマンの商品を熱望する人は、自動車で30分、1時間の距離があったとしても、商品を買いに遠くまで出掛けるはずです。

ネットとリアルが融合したオムニチャネルが進めば、小型店の商圏は拡大することになります。実店舗で商品を見て、ECサイトで購入できるようになれば、商品を見るために遠くに出掛けることも無駄ではありません。ワークマンのように、小型店で粗利益率の高いプライベートブランド商品を販売することは、小売業にとって理想的なものです。