AI、ロボットの導入で小売業の従業員は労働環境・待遇の改善が期待できる

AI、ロボットの導入で小売業の従業員は労働環境・待遇の改善が期待できる

企業は人手不足の問題を解決するため、あるいは業績を拡大するため、AI、ロボットの導入に取り組んでいます。小売業でも、AI、ロボットを使った実証実験が行われていて、将来的にはAI、ロボットが導入されることになります。小売業で働く労働者の立場では、AI、ロボットに仕事を奪われてしまうのではないかという不安もあります。

カメラとAIを活用した無人レジは、導入される可能性が高いシステムの一つです。小売業が無人レジを導入する狙いは、買い物体験の改善による売上の増加、レジ業務の効率化、人件費削減、マーケティングデータの収集といったものです。ロボットはAIほど具体的な事例はありませんが、今後、小売業用のロボットも登場して来るはずです。

AI、ロボットは小売業の仕事を奪うというよりは、小売業の生産性を高めるものです。小売業は非正規雇用の従業員に店舗運営を依存しているため、店舗の生産性は低く、正社員を含め、従業員の給料は低いです。AI、ロボットを導入することで、店舗運営に必要な従業員を減らせれば、店舗の生産性が向上します。一人あたりの売上、利益が増えることにもなるので、正社員、非正規雇用の従業員の給料も増えます。

AI、ロボットの導入により、店舗運営に必要な従業員数が減ることは、小売業の仕事を奪っていると見ることもできます。しかし、非正規雇用の従業員を増やし続けていては、店舗の生産性は上がらず、非正規雇用の従業員の給料も上がりません。AI、ロボットの導入により、非正規雇用の従業員の数が減ったとしても、非正規雇用の従業員の給料が上がるのであれば、AI、ロボットは小売業で働く人にとってポジティブなものです。

日本の労働人口の約49%がAI、ロボットに代替えされる可能性

AI、ロボットが自分の仕事を奪うのではないかというのは、すべての労働者が心配していることです。AI、ロボットは企業が業績を拡大するために不可欠なもので、今後、多くの業界でAI、ロボットの導入が進みます。AIは人間が行う知的労働を奪い、ロボットは人間が行う肉体労働を奪うとされています。

小売業で働く人たちも、AI、ロボットの導入によって、仕事を奪われる可能性があります。小売業の業務はどちらかと言えば、知的労働より肉体労働の方が多いです。AIよりもロボットの方が小売業の仕事を奪いそうですが、今のところ、ロボットはAIよりも導入が進んでいません。AIは小売業でも導入され始めていますが、小売業で働く人たちが心配しなければならないのは、ロボットの導入が現実的になってからです。

AI、ロボットが人間の仕事を奪うかもしれないという認識が広がったのは、2015年12月に、野村総合研究所とオックスフォード大学の共同研究が発表されたためです。野村総合研究所とオックスフォード大学が行った推計によると、今後10~20年の間に、日本の
労働人口の約49%が就いている職業において、AI、ロボットを活用することにより、技術的に代替することが可能であるとのことです。

共同研究では、AI、ロボットによって代替えされる可能性が高い職業を100個挙げています。100個の職業の中には、AI、ロボットによって代替えされることがイメージしやすいもの、しにくいものが含まれています。肉体労働では、ビル清掃員、自動車組立工、タクシー運転者、スポーツインストラクターなどがあり、知的労働では、映画監督、ゲームクリエーター、経営コンサルタント、精神科医、広告ディレクターなどがあります。

AI、ロボットに代替えされない職業の特徴には、抽象的な概念を整理・創出するための知識が要求される職業、他者との協調や、他者の理解、説得、ネゴシエーション、サービス志向性が求められる職業が挙げられています。これまでにない新しいことをやる仕事、人と接する仕事は、AI、ロボットは苦手だということです。

AI、ロボットに代替えされる職業の特徴には、特別の知識・スキルが求められない職業、データの分析や秩序的・体系的操作が求められる職業が挙げられています。AI、ロボットは人間がプログラムを組んで、ソフトウェア・ハードウェアが業務をこなします。業務をプログラミングしやすい職業は、AI、ロボットに代替えされやすいです。

AI、ロボットによって代替えされる可能性が高い職業には、小売業に関連する職業も含まれています。スーパー店員、レジ係、惣菜製造工、日用品修理ショップ店員、包装作業員、ビル清掃員、警備員などは、AI、ロボットによって代替えされる可能性が高いとのことです。小売業ではレジの仕事がなくなるかもしれないというのはよく言われますが、レジ以外にも複数の職業が含まれていて、AI、ロボットの影響を受ける職業は多いです。

小売業の業務をプログラミングしやすいか、しにくいかで考えると、プログラミングしやすいです。小売業の従業員が行う主な業務は、商品の補充、接客、レジの三つです。商品の補充、レジについては、ルールに従って繰り返し作業を行うので、プログラミングしやすいです。接客も繰り返し作業ではあるものの、これまでにない対応、臨機応変な対応が求められることもあり、商品の補充、レジよりはプログラミングしにくいです。

AI、ロボットによって仕事が奪われやすいのは、お客さんとの接触がない、バックオフィスの業務です。書類作り、データ分析などは、お客さんとの接触がないため、AI、ロボットを導入して、業務を変化させることによる影響は小さいです。ビジネスニュースを見ていると、AI、ロボットの導入で業務量を劇的に減らしたという事例を目にすることがありますが、そのほとんどがお客さんと接触しないバックオフィスの業務です。

小売業の店舗には常にお客さんがいて、お客さんとの接触があるため、AI、ロボットの導入は簡単ではありません。例えば、小売業はセルフレジを設置していますが、積極的に使ってくれないお客さんもいて、業務の効率化は限定的です。AI、ロボットの導入により、お客さんの買い物体験が変わってしまうと、お客さんを失ってしまうリスクもあり、小売業はAI、ロボットの導入に慎重にならざるを得ません。

現在のところ、AI、ロボットに仕事を奪われるというのは、それほど大きな心配ではないように思います。多くの企業が人手不足の状況にあり、主婦、高齢者、外国人など、人材の採用を進めています。また、高齢化社会が進んでいることもあり、業務の効率化だけを推し進めることはできず、人間による丁寧な接客・サービス・サポートも必要です。

小売業においても、人手不足が問題になっていて、コンビニは24時間営業の見直しのための実証実験をはじめました。小売業の仕事がAI、ロボットに奪われるかどうかは、従業員の主要業務である、商品の補充、接客、レジの三つに注目です。レジについては、無人レジも登場していて、仕事を奪われることもイメージできます。商品の補充、接客については無人レジほどAI、ロボットの導入が進んでおらず、これからといった感じです。

AIとカメラを使った無人レジは効果的だが導入に課題がある

レジの仕事はセルフレジが登場したことで、いつかはなくなると考えられて来ました。セルフレジはお客さんがテキパキと自分で商品のスキャン、会計をするイメージですが、実際にはセルフレジの利用は面倒で、積極的に利用するお客さんは多くはありません。セルフレジにレジの仕事が奪われるというような状況ではなく、人手不足でレジの従業員が足りないので、小売業はセルフレジの利用をお客さんにお願いしている状況です。

セルフレジに続き、レジ業務を効率化するソリューションとして、AIとカメラを使った無人レジが登場しています。今後、AIとカメラを使った無人レジが広く普及すれば、レジの仕事はなくなります。ただ、無人レジは新しい買い物体験であるため、セルフレジと同様に、お客さんに受け入れられない可能性もあります。無人レジはお客さんに買い物方法の変化を強いることになるので、既存の店舗に導入するのは難しいように思います。

無人レジで注目されているのが、アメリカのAmazonが開発している「Amazon Go」です。「Amazon Go」は2018年10月に1号店をオープンして以降、現在までに11店舗を出店しています。「Amazon Go」はスマホアプリ、AI、カメラを使って、お客さんの店内での買い物行動を記録していて、従来の店舗のようにレジがありません。

「Amazon Go」で買い物をするお客さんは、買い物の前にスマホアプリをインストールして、Amazonのアカウント、クレジットカードを設定しておきます。「Amazon Go」の店舗に入店する際に、スマホアプリのQRコードを読み込ませ、チェックインします。店内では欲しい商品を手に取り、そのまま店舗を出ます。持ち帰った商品はAIとカメラで記録されていて、代金はAmazonのアカウントに請求される仕組みです。

「Amazon Go」は海外の店舗ですが、国内ではサインポストが開発している無人レジ「スーパーワンダーレジ」があります。サインポストはJR東日本と共同で、2017年11月にはJR大宮駅、2018年10月~12月にはJR赤羽駅において、無人レジの実証実験を行っています。「スーパーワンダーレジ」も「Amazon Go」と同じように、AIとカメラを使って、お客さんの店内での買い物行動を記録しています。

「Amazon Go」はスマホアプリを使って店舗にチェックインしますが、「スーパーワンダーレジ」は電子マネーを使ってチェックインをします。「Amazon Go」がクレジットカードに代金を請求するのに対して、「スーパーワンダーレジ」は電子マネーに代金を請求します。クレジットカード、電子マネーは店舗へのチェックイン、代金の請求のために使われていて、無人レジにおける役割に大きな違いはないようです。

小売業が無人レジを導入する目的は、買い物体験の改善による売上の増加、レジ業務の効率化、人件費削減、マーケティングデータの収集といったものです。Amazonは実店舗を多店舗展開しているわけではないため、「Amazon Go」の目的はマーケティングデータの収集だと考えられます。「スーパーワンダーレジ」はJR東日本のキオスクに導入することを目的にしていて、レジ業務の効率化、人件費削減が重視されています。

小売業の立場からすると、無人レジには大きなメリットがあります。お客さんの多い店舗はレジが混雑するため、お客さんのストレスは大きく、途中で買い物を止めてしまう機会損失もあります。無人レジを導入すれば、このような問題が解決され、売上が増えます。無人レジにはレジの混雑をなくし、売上を増やす効果がありますが、さらに人件費削減、マーケティングデータの収集もできるので、小売業のメリットは大きいです。

無人レジは小売業にとって大きなメリットがあり、小売業は導入店舗を増やしたいです。しかし、無人レジの買い物体験がお客さんに広く受け入れられるかどうかが問題で、簡単なことではないような感じがします。無人レジの店舗で買い物をするために、スマホアプリをインストールしたり、アカウント、クレジットカードを設定することは負担です。スマホ決済に関するアンケート調査を見ても、現金での支払いを好むという意見は根強く、お客さんは従来の買い物方法を変えることに消極的です。

セルフレジを使いたくない、スマホ決済を使いたくない人は、無人レジも使いたくないと考えるのは順当です。高齢化社会が進んでいることもあり、お客さんに買い物方法の変更を強いるのは難しいです。無人レジに活用されているAI、カメラは急速に進化すると予想されますが、実際に無人レジを店舗に導入することは難しく、技術はあっても導入できないというような状況になるのではないでしょうか。

無人レジは小売業にとって画期的なソリューションですが、導入のハードルは高く、レジの仕事がすぐになくなるというのは起こらなそうです。レジ業務の効率化で有望なのは、レジ担当者が商品のスキャンを行い、お客さんが精算機で支払いを行うセミセルフレジです。お客さんに商品のスキャンをお願いすることは難しいため、レジ業務の効率化では、セミセルフレジを積極的に増やして行くというのが現実的です。

無人レジが導入されている店舗では、スマホアプリ、クレジットカード、電子マネーなどがないと買い物ができません。若者よりも高齢者の方が人口が多く、買い物金額が大きいことを考えると、無人レジを導入することのリスクは大きいです。小売業のデジタル化が進まないのは、高齢者のお客さんが多いためです。無人レジの導入についても、高齢者への影響が大きく、無人レジの店舗が急拡大するようなことは考えにくいです。

自動搬送ロボットは商品を補充する従業員の肉体的負担を軽減する

AIのニュースはよく目にしますが、ロボットのニュースは少ないです。AIが知的労働を行うのに対して、ロボットは肉体労働を行うため、ロボットの方がより開発・導入が難しいというのはあると思います。AIとカメラでお客さんの買い物を識別するシステムと、ロボットが商品を運ぶシステムでは、後者の方が難易度が高いのではないでしょうか。

小売業の肉体労働には、商品の補充、接客があり、これらの業務にロボットが導入されると考えられます。商品の補充には大量の従業員が投入されていて、人件費を削減する効果は大きいです。また、人手不足で店舗運営が難しくなっているため、多くの小売業は商品の補充を行う従業員を減らしたいです。現在のところ、小売業にはロボットが導入されていませんが、将来的にロボットが導入される可能性は高いです。

小売業のビジネスにおいて、商品を補充することは従業員の最も重要な業務の一つです。商品棚に商品がなければ、お客さんは買い物ができず、小売業は売上を作ることができません。商品棚への商品の補充が適切に行われておらず、商品棚がスカスカだと、お客さんは買い物意欲を失い、売上が減ります。商品棚を常に適切な状態に保つことは、小売業のビジネスの生命線であり、商品棚の管理には大きなコストが掛かっています。

商品の価格が安く、在庫回転率が高い商品ほど、商品の補充に多くの従業員が必要になります。100円ショップは商品の補充が大変な業種の一つで、100円ショップではたくさんの従業員が常に商品の補充を行っています。24時間営業の維持が難しくなっているコンビニも、商品の補充に多くの従業員が必要な業種です。商品の価格が安く、在庫回転率が高い商品を販売している小売業は、人手不足の影響を大きく受けます。

店舗における商品補充業務は、バックヤードから台車を使って売り場まで商品を持って来る作業、商品を商品棚に補充する作業、二つの工程に分けることができます。店舗の大きさ、在庫回転率の違いによって、商品補充業務の量は業種によって異なります。小売業の中でも、商品補充業務が特に大変なのはホームセンターです。店舗面積が広いため、移動距離は長く、在庫回転率が高いため、商品の補充回数は多く、重労働です。

バックヤードから台車を使って売り場まで商品を持って来る作業については、ロボットに置き換えることができるのではないでしょうか。バックヤードから売り場まで、決まったルートを自動搬送ロボットが移動するので、プログラミングしやすい単純労働だと言えます。商品棚への商品の補充はロボットが行うのは難しそうですが、バックヤードからの商品の移動を自動化するだけでも、商品補充業務を十分に効率化できます。

株式会社ZMPは物流支援ロボット「CarriRo(キャリロ)」、宅配ロボット「CarriRo Deli(キャリロデリ)」を開発しているロボットベンチャー企業です。ZMPは小売業、飲食業と自動配送ロボットの共同で実証事件を行っていて、小売業のニュースでも目にすることが多いです。2019年1月には、ローソン、慶應義塾大学SFC研究所とともに、大学キャンパス内での、コンビニ商品の無人配送の実証実験を行っています。

自動配送ロボットと聞くと、Eコマース企業が宅配に導入するイメージがありますが、小売業の店舗でも活躍できると思います。信号や歩行者など、障害物がある屋外で自動配送ロボットがうまく機能するのであれば、障害物が少ない(開店前・早朝など)、小売業の店舗でもうまく機能するはずです。物流支援ロボット「CarriRo(キャリロ)」のシリーズには、物流拠点、工場、ホテルなどでの利用を想定した、台車タイプのものもあります。

自動搬送ロボットが小売業の店舗に導入され、うまく機能している状況はイメージしやすいです。例えば、朝一番に体力に自信がある従業員がバックヤードの荷物を自動搬送ロボットに載せて、各売り場の商品棚の前まで運んでおきます。少し遅れて出勤してきた他の従業員は、自動搬送ロボットが自分の売り場まで運んでくれた商品を、商品棚に補充します。バックヤードを担当する、体力に自信のある従業員を数名採用できれば、他の従業員は大変な肉体労働をする必要がなくなります。

小売業は体力に自信のある若い男性をアルバイトで採用したいところですが、実際には難しく、女性、高齢者の採用を増やしています。商品補充業務に自動搬送ロボットを導入すれば、女性、高齢者の体力的な負担を軽減することができます。高齢化社会はどんどん進んで行くため、従業員の体力的な負担を軽減する仕組みは不可欠です。

小売業の重要業務である、商品補充業務において、将来的にロボットが導入される可能性は高いです。ただ、ロボットに商品補充業務を奪われるのではなく、ロボットが商品補充業務を支援するような形になると考えられます。ロボットの導入により、従業員の体力的負担が軽減されるため、従業員にとっては嬉しいことです。

ロボットの導入により、商品を運ぶ作業量が減れば、従業員は他の作業に時間を使うことができます。例えば、商品棚をきれいに拭く、商品のフェースを整えるといった作業は、売上の増加に繋がります。商品棚の管理は小売業の売上に直結していて、どれだけ時間を掛けても十分だということはありません。小売業で働く従業員の立場では、商品補充業務にロボットが投入されることのメリットは多く、ポジティブなものだと言えます。

AI、ロボットの導入は小売業で働く人にとってポジティブなもの

2015年12月に、野村総合研究所とオックスフォード大学の共同研究が発表されて以降、AI、ロボットに仕事を奪われるという不安が高まっています。AI、ロボットに仕事を奪われるのではなく、AI、ロボットと一緒に仕事をするようになるといった意見もあります。AI、ロボットの代替え性によって、業務そのものが完全に奪われてしまうもの、業務の一部が奪われてしまうなど、業務によって違いがあります。

小売業の場合、AIとカメラが普及すれば、レジ業務は完全になくなってしまいます。一方、商品の補充については、業務そのものがなくなるのではなく、ロボットと一緒に仕事をする形になります。小売業はAI、ロボットに仕事を奪われるというよりは、AI、ロボットと一緒に仕事をするようになるという方が適切ではないでしょうか。

AI、ロボットに奪われる仕事には、ホワイトカラーの仕事も、ブルーカラーの仕事も含まれています。すべての作業をAI、ロボットに置き換える必要はなく、作業の一部であっても、AI、ロボットに置き換えることにメリットがあれば、AI、ロボットは導入されます。ホワイトカラーの仕事、ブルーカラーの仕事に関係なく、すべての作業にAI、ロボットが導入される余地があり、AI、ロボットはすべての労働者に関係するものです。

小売業の従業員の主な業務は、商品の補充、接客、レジの三つです。商品の補充、レジはプログラミングしやすい単純労働であり、接客にも、プログラミングできる部分が多いです。スーパーマーケットの店員はAI、ロボットに代替えされる職業として、野村総合研究所とオックスフォード大学の共同研究の中でも挙げられていて、小売業で働く人たちにとっても、AI、ロボットの動向は気になります。

AI、ロボットに仕事を奪われた場合、他にやれる仕事があるかどうかというのは重要なポイントです。小売業の場合、商品の補充、接客、レジにAI、ロボットが導入され、仕事を奪われたとしても、何らかの仕事があると思います。小売業の店舗はバックヤードではなく、お客さんがいて、商品があり、新しい売上が発生するチャンスは常にあります。

お客さんに接客する機会を増やす、POPを増やす、商品のフェースを整える、新しい売り場を作る、商品棚を清掃するといった作業は、店舗の価値を高め、売上アップに繋がります。小売業の従業員は商品の補充、レジのような単純労働に多くの時間を取られていて、売上アップに繋がる作業ができていません。AI、ロボットの導入により、単純労働が減れば、小売業の従業員は売上アップに繋がる作業に注力することができます。

小売業は飲食業、サービス業と並び、非正規雇用の従業員が多い業種として知られています。小売業の店舗運営は多数の非正規雇用の従業員に依存していますが、人手不足によって、新規出店、既存店の運営に問題が出始めています。また、格差の問題も認識されるようになっている中で、非正規雇用の従業員を多数雇用していることは、小売業のイメージを悪化させていて、労働環境の改善を進めたいところです。

小売業の正社員の給料は、多数の非正規雇用の従業員に支えられていると言えますが、正社員の給料もそれほど高いわけではありません。小売業は正社員、非正規雇用の従業員ともに給料が安く、業務の生産性が低いことが、給料の安さに繋がっています。店舗を増やすために非正規雇用の従業員を増やし続けると、生産性も給料も上がらないため、非正規雇用の従業員を増やさない方法で、店舗運営を模索しなければなりません。

小売業にとって、AI、ロボットは生産性を高め、給料を上げるソリューションになると思います。小売業は非正規雇用の従業員を大量に雇うのではなく、少数の正社員とAI、ロボットでの店舗運営を実現したいです。店舗運営に必要な従業員の数を減らして、売上高を増やす、あるいは維持できれば、従業員一人あたりの売上高、利益は増えます。

2018年10月12日の日経新聞電子版によると、ローソンは2025年をめどに、一人の従業員で24時間営業できる店舗運営の仕組みを構築する計画です。店舗を一人の従業員で運営するため、すべての商品にICタグを付け、レジを無人化し、商品の補充も自動化するとのことです。従業員一人で24時間営業ができれば、従業員一人あたりの売上、利益は大きく増え、従業員は多くの給料をもらえるようになります。

単純労働をしている、非正規雇用の従業員ほど、AI、ロボットに仕事を奪われるのではないかと心配します。しかし、小売業の場合、AI、ロボットの恩恵を受けるのは、非正規雇用の従業員ではないかと思います。非正規雇用の従業員の待遇は悪いですが、逆に考えれば、これから待遇が改善される伸びしろが大きいとも見ることもできます。

小売業で働いている非正規雇用の従業員は、勤続年数も長く、店舗運営への貢献も大きいにもかかわらず、冷遇されてきました。現在、人手不足の状況になったことで、これまで冷遇されてきた非正規雇用の従業員の価値が高まっています。AI、ロボットの導入で店舗運営に必要な従業員の人数が減り、従業員一人あたりの売上、利益が増え、従業員の待遇も改善されるというのが、小売業で働く人にとってベストな形です。