コンビニは独自の強みである24時間営業を継続することができるか

コンビニは独自の強みである24時間営業を継続することができるか

大阪府東大阪市のセブンイレブンのオーナーが24時間営業を中止したことがニュースになり、コンビニの24時間営業の是非に注目が集まっています。コンビニが24時間営業を行う目的は、深夜・早朝の売上を獲得するだけでなく、夜間に配送商品の受け入れ、補充、掃除など、店舗のクオリティを高める業務を行うためでもあります。24時間営業はコンビニのビジネスモデルに欠かせないものですが、人手不足によって継続が難しくなりつつあります。コンビニが24時間営業を継続するか、止めるかは、お客さん、オーナー、アルバイト・パート、取引企業、競合の小売業、など、多くの人・企業にも係しています。

コンビニの24時間営業は必要か不要かといったネット調査が行われていて、全体的に不要と考えている人が多いようです。深夜・早朝にコンビニで買い物をする人は多くはないので、なくても構わないと考える人が多いのは妥当です。コンビニの立場では、せっかく時間を掛けて開拓してきた、深夜・早朝のマーケットを手放すのはもったいないです。24時間営業をしない店舗が増えると、お客さんも従来とは異なった消費活動をするようになります。コンビニの24時間営業はなくても困らないといった考えが定着してしまうと、コンビニの影響力が小さくなり、本部、オーナーにとっても痛手です。

セブンイレブンの24時間営業問題がコンビニ業界全体に拡大

大阪府東大阪市のセブンイレブンのオーナーが24時間営業を中止したことが、コンビニ業界全体を巻き込む問題に拡大しています。大阪府東大阪市のセブンイレブンのオーナーは、2019年2月1日より、24時間営業を午前6時から翌午前1時までの19時間営業へ短縮しました。オーナーの24時間営業中止の決定に対して、セブンイレブン本部は契約解除、違約金の支払いの可能性を示唆しました。コンビニは多くの人が日常的に利用する店舗であるため、一連のニュースは大きな注目を集めました。コンビニを利用するお客さんは、コンビニの経営を知らないので、オーナーの労働環境の厳しさには驚きもあります。

セブンイレブンは24時間営業の中止が大きな話題になると、2019年3月4日、加盟店(オーナー)を支援する取り組みを発表しました。取組の内容は三つで、加盟店向けのオーナーヘルプ制度・派遣センターの周知、一部直営店舗における夜間一時休業の実証実験の開始、「省人化プロジェクト」の設置です。オーナーヘルプ制度とは、止むを得ない事由により店舗運営ができない場合に、本部社員が一定期間、オーナー業務を代行する制度のことです。派遣センターとは、加盟店からの派遣依頼の集約、提携派遣会社への情報提供、派遣スタッフの事前研修等を通じて加盟店をサポートする制度のことです。

これまでファミリーマート、ローソンには一部店舗で24時間営業を見直すといったニュースがありましたが、セブンイレブンにはそうしたニュースはありませんでした。セブンイレブンに24時間営業を見直す動きがなかったため、一部直営店舗で夜間一時休業の実証実験を開始したことは重要な変化です。大阪府東大阪市のオーナーが決定した24時間営業の中止が注目を集め、セブンイレブンにプレッシャーを与えたのではないかと考えられます。2019年3月4日の発表では、夜間一時休業の実証実験は直営店に限定されていましたが、翌日、フランチャイズ加盟店でも実証実験を行う方針を発表しました。

セブンイレブンはコンビニ業界のトップで、ファミリーマート、ローソン、ミニストップも、セブンイレブンを参考にしていると考えられます。人手不足により24時間営業が難しくなっている問題は、セブンイレブンだけではなく、コンビニ業界全体の問題だと言えます。セブンイレブンの24時間営業問題の発生後、ミニストップの社長は24時間営業を止める計画はないという話をしています。ミニストップが24時間営業を止めない理由は、24時間営業を止めると、日中の売上が減ってしまうためです。また、ローソンの社長は社会の変化に合わせて、24時間営業を見直すこともあるという話をしています。

セブンイレブンの24時間営業問題は大きな注目を集め、コンビニのフランチャイズシステムがメディアで詳しく説明されました。コンビニのフランチャイズシステムは本部が有利にできていて、オーナーは搾取されているという見方も広がりました。フランチャイズシステムが広く知れ渡ったことは、コンビニ業界にとってネガティブです。将来的に、オーナーの募集が難しくなる、アルバイト・パートの採用が難しくなるといったことはありそうです。大阪府東大阪市のセブンイレブンのオーナーの労働環境を見ると、コンビニのオーナーになろうとする人たちも躊躇するのではないかと思います。

大阪府東大阪市のセブンイレブンのオーナーが24時間営業を中止したことを起点に、コンビニの24時間営業問題が拡大しました。今後、コンビニ業界が24時間営業を続けるのか、止めるのかは気になるところです。コンビニが24時間営業を止めれば、売上高、営業利益ともに減少することになります。コンビニ業界で働く人たち、投資家、オーナーなど、多くの関係者に影響が出ます。また、コンビニ以外の24時間営業の小売業にとっては、売上・客数を増やすチャンスです。コンビニが24時間営業を止めれば、24時間営業の食品スーパー、ドラッグストアは、何もしなくても売上・客数が増えます。

24時間営業を止めると夜間だけではなく日中の売上も減少する

セブンイレブンの24時間営業問題が多くのメディアで紹介され、その中でコンビニのフランチャイズシステムも紹介されました。コンビニのフランチャイズシステムは、本部が加盟店に商品・店舗運ノウハウを提供して、加盟店は商品・店舗運ノウハウの対価として、ロイヤリティ(手数料)を支払うというものです。コンビニのフランチャイズ契約の詳細は外部には出ていませんが、ロイヤリティは売上から売上原価を引いた売上総利益の額で決まるとされています。食品の廃棄ロス、アルバイト・パートの時給の上昇などのコストは加盟店が負担する仕組みになっていて、本部は利益を確保しやすいシステムです。

セブンイレブンを含め、コンビニ各社が24時間営業をしている理由の一つに、営業時間が長いほど、ロイヤリティが増えることがあります。コンビニの営業時間が長いほど、商品が売れる確率が高まり、店舗の売上・売上総利益は増え、コンビニ本部が受け取るロイヤリティも増えます。しかし、オーナーの立場では、営業時間が長いほど、水道光熱費、アルバイト・パートの時給、食品の廃棄ロスなどのコストが増えます。オーナーもコストに見合った売上・売上総利益が確保できればいいのですが、十分な売上・売上総利益を確保できなければ、24時間営業は利益を減らしてしまいます。

コンビニが24時間営業をする理由には、お客さんのニーズに応えること、商品を販売して売上を伸ばすことに加え、翌日の準備をすることもあります。コンビニ各社は営業時間の短縮の実証実験を行なった結果、24時間営業を止めると、日中の売上も減少するという結果を得ています。夜間に商品の補充、陳列の修正、店内の掃除などを行い、店舗のクオリティを高めることが、日中の売上に関係していると考えられます。コンビニが24時間営業を止めたくないのは、夜間の売上が惜しいというだけではなく、店舗のクオリティ低下による日中の売上減少もあり、マイナスの影響が広範囲に及ぶためです。

コンビニが24時間営業を止めれば、夜間の商品の補充、陳列の修正、店内の掃除といった、店舗のクオリティを高める作業ができなくなります。夜間の商品の補充、陳列の修正、店内の掃除をやらないことが、日中の売上の減少に繋がることはイメージしやすいです。お客さんはコンビニの店舗に来て、商品棚がスカスカだったり、店舗の掃除が行き届いていないことに気が付くと、別のコンビニを利用するようになります。商圏の狭いコンビニにとって、お客さんに見切られてしまうことは大きな損失です。24時間営業を止めた店舗から脱落して行くので、コンビニ各社は24時間営業を止められない状況にあります。

大阪府東大阪市のセブンイレブンのオーナーの行動により、セブンイレブン本部とオーナーの問題が表面化されました。コンビニ利用者の意見を見ると、コンビニとの関わり方によって意見が異なります。コンビニをよく利用する人、特に深夜・早朝によく利用する人にとっては、コンビニの24時間営業は不可欠なものです。一方、コンビニを深夜・早朝に利用しない人にとっては、コンビニが24時間営業を止めても問題はありません。24時間営業の中止に肯定的な人、否定的な人がそれぞれいますが、インターネットのアンケート調査を見ると、24時間営業を止めても問題ないという意見が多い印象です。

コンビニは食品ロス、成人向け雑誌で批判を浴びましたが、新たに24時間営業、フランチャイズ契約が加わりました。セブンイレブンが加盟店を支援する取り組みをすぐに発表したことは、問題の大きさを物語っています。お客さん、オーナーの一部は24時間営業をそれほど重視していませんが、セブンイレブンにとってはビジネスモデルに関係する重要な問題です。セブンイレブンが24時間営業を止めれば、売上高・営業利益が減少することは確実です。セブンイレブンの立場では、24時間営業をオーナーの選択性にすることも業績の悪化に繋がるため、すべて店舗で24時間営業を継続する方法を見つけたいです。

コンビニの様々な問題が顕在化したことで批判的な意見が増える

日本フランチャイズチェーン協会が発表しているデータによると、2017年度のコンビニの店舗数は57,956店舗でした。最も古いデータである1983年度は6,308店舗となっていて、コンビニは30数年で5万店舗近く増えています。コンビニは変化する消費者のライフスタイルに合わせて、適切な商品・サービスを提供して来たと言えます。仕事が忙しい人が増えれば、時間を掛けずに近所の店舗で食品、日用品を買いたいというニーズが生まれます。小売業の店舗は大型店が好ましいという考えが主流ですが、コンビニは小型店を大量に出店することで、お客さんの身近なポジションを確保することに成功しました。

コンビニは30数年で5万店舗以上店舗数が増えましたが、そのほとんど(およそ97~98%)はフランチャイズオーナーが運営する店舗です。セブンイレブンの24時間営業の問題は、コンビニのフランチャイズシステムによる店舗網の拡大が難しくなって来ていることを意味しています。コンビニ本部は優れた商品・マーケティングノウハウを持っていますが、店舗を運営するのはオーナー、アルバイト・パートなど、外部の人達です。オーナーは利益が少ない、長時間労働がきつい、アルバイト・パートは時給が安い、業務量が多いといった不満を抱えており、店舗の問題が顕在化されました。

店舗数が6,308店舗しかなかった1983年度と、店舗数が57,956店舗ある2017年度を比較すると、コンビニ各店舗の競争環境は激しくなっています。コンビニは店舗面積が小さく、徒歩、自転車で5~10分程度の範囲が主たる商圏です。近隣に競合店舗ができると、商圏内のお客さんを競合店舗と分け合う形になるため、売上・客数が減少します。コンビニ各社は毎年店舗数を増やしているため、コンビニ各社の店舗の距離はますます近付いています。コンビニのオーナーにとっては、競合の店舗が近隣に出店して来ないかは常に気なることで、大きなストレスを感じながら仕事をしていると考えられます。

コンビニのオーナーは常に競合の店舗のことを心配しなければなりませんが、これに加えて人手不足の問題が登場しました。コンビニ大手三社は営業利益が多く、営業利益率も高いため、人手不足も問題ではないように見えます。しかし、実際にアルバイト・パートを採用するのはオーナーです。アルバイト・パートの不足はオーナーの労働時間の増加に、アルバイト・パートの時給上昇はオーナーの利益の減少に繋がります。店舗数の増加による客数減少の問題があるところに、人手不足による長時間労働、利益減少の問題も発生しており、困難な経営状況にあるオーナーが多数いると推測されます。

コンビニのフランチャイズ契約の詳細は公表されていないものの、断片的な情報から判断すると、コンビニオーナーにとっては厳しいものです。コンビニのフランチャイズシステムを知らない人が、同じコンビニチェーンの店舗が近接しているのを見ると、自社競合は起こらないのだろうかと不思議に思うはずです。同じコンビニチェーンの店舗が近接する理由は、その方が地域への影響力が強まり、より多くの売上を獲得できるからです。ある商圏に1日の売上が60万円の店舗が一つあるよりも、1日の売上が55万円の店舗が二つあった方が、コンビニ本部のロイヤリティが多くなります。

コンビニのビジネスは本部、オーナー、アルバイト・パートによって成り立っていますが、コンビニ本部の利益が多すぎるのではないでしょうか。最近は食品の廃棄、季節商品の販売ノルマ、アルバイト・パートの業務量の増加、外国人従業員の採用、24時間営業、フランチャイズ契約など、コンビニが批判を受けることが多いです。コンビニが抱えている様々な問題が知られるようになったことで、コンビニの利用を控えるという人も出て来ています。オーナー、アルバイト・パートはコンビニで働きたくない、お客さんはコンビニで買い物をしたくないとなると、本部だけが孤立してしまうかもしれません。

深夜・早朝のマーケットを手放すことはコンビニにとって損失

セブンイレブンを含め、コンビニ各社が24時間営業の問題にどのように対応するのかは、オーナーだけではなく、お客さん、多くの企業にも関係しています。セブンイレブンがすぐに加盟店を支援する取り組みを発表したところを見ると、24時間営業の問題がセブンイレブンにとって非常に重要なものであることが分かります。コンビニのフランチャイズ契約は本部が有利、オーナーは不利というのは昔から言われていましたが、広く社会に知られるようになりました。コンビニのイメージが悪化すると、フランチャイズオーナーになる人が減る、お客さんが減るなど、ビジネスモデルの根幹が揺らぎます。

24時間営業に対するコンビニ各社の姿勢を見ると、セブンイレブンはこれまでは絶対に24時間営業という姿勢でしたが、今回の大阪府東大阪市のオーナーの問題を受け、営業時間短縮の実証実験を発表しました。ファミリーマートは一部店舗では24時間営業もあり得る、ローソンは一部店舗では24時間営業もあり得る、ミニストップは絶対に24時間営業という姿勢です。コンビニ各社で24時間営業に対する姿勢が異なっている点は、これから問題になるかもしれません。24時間営業ではない店舗の側に、24時間営業の店舗が出店して来ると、24時間営業ではない店舗は大きなダメージを受けそうです。

コンビニの24時間営業はお客さんが求めたものではなく、コンビニが提供したことにより、お客さんが使うようになったものではないかと思います。深夜や早朝に仕事に行く人、仕事から帰る人にとっては、24時間営業のコンビニで食品が買えれば便利です。ただ、コンビニの24時間営業がなければものすごく困るかと言われると、それほどでもなく、別の方法でも食品を調達することは可能です。コンビニは24時間営業をすることで、深夜・早朝に食品を買う、新しいライフスタイルを作り出しました。コンビニの24時間営業は生活に不可欠なものというよりは、生活を豊かにするものではないでしょうか。

コンビニが24時間営業を止めることは、コンビニが時間を掛けて育てて来た、深夜・早朝に食品を買うライフスタイルを壊すことだと言えます。コンビニが24時間営業を止めるとどうなるかを考えると、多くの人は自宅で食事すると思います。コンビニほどバラエティ豊かな食べ物はありませんが、ご飯、パン、インスタントラーメン、冷凍食品などで食事を済ませられます。自宅でご飯、パン、インスタンラーメン、冷凍食品を食べることに慣れれば、コンビニがないことにも慣れてしまいます。コンビニが24時間営業を止めて、深夜・早朝のマーケットを手放すことには、もったいない感じがあります。

コンビニ本部、オーナー、アルバイト・パート、お客さん、すべてにベストな対応を考えると、深夜営業で赤字が発生する店舗は、本部が支援を厚くすることが良いのではないでしょうか。少数の店舗であっても、24時間営業を止めれば、コンビニの24時間営業がなくても困らないという考え方が広まるリスクがあります。また、24時間営業を止めると店舗のクオリティが下がり、日中の売上が減少するとのデータもあります。24時間営業がオーナーの利益を減らしている店舗については、24時間営業を止めるのではなく、本部が支援することで、24時間営業を続けられるようにしたいです。

今後、コンビニ各社はオーナーの支援を強化しなければならないため、収益性が悪化する可能性が高いです。24時間営業を続ける場合、オーナーへの新たな支援が必要になるので、費用が増えます。24時間営業を止める場合、深夜から早朝の売上が無くなり、日中の売上が減るので、ロイヤリティが減ります。24時間営業を続けるにしても、止めるにしても、コンビニ本部の利益が減ることは避けられそうにありません。コンビニ各社で働いている正社員、投資をしている株主にとっては厳しい状況です。コンビニ各社は24時間営業において、重要な決断を下すことを迫られており、どのような決断をするのか注目です。