セブンイレブンのオーナーの24時間営業中止で人手不足・長時間労働が注目される

セブンイレブンのオーナーの24時間営業中止で人手不足・長時間労働が注目される

大阪府東大阪市のセブンイレブンのオーナーが店舗の24時間営業を中止したところ、セブンイレブンから厳しい対応があり、その内容がメディアで話題になっています。セブンイレブンのオーナーはアルバイト・パートの採用が難しく、オーナー自身が長時間労働を強いられる状況で、24時間営業の中止を決定しました。セブンイレブンはオーナーの24時間営業中止の決定に対して、24時間営業に戻さなければ契約の解除、約1,700万円の違約金が発生する可能性があると回答したとのことです。オーナーの労働環境の厳しさ、違約金の大きさが注目され、インターネットには様々な意見が投稿されています。

お客さんの立場では、コンビニは近所にあり、24時間営業していて、食品の品揃えが豊富な便利な店舗です。コンビニは便利な店舗ではありますが、お客さんに利便性を提供するため、食品ロス、オーナーの長時間労働といった問題を抱えています。コンビニで食品ロス、長時間労働が発生する背景には、コンビニの商圏が狭く、コンビニチェーン同士の競争が激しいことがあります。商品の欠品が発生したり、営業時間を短縮すると、すぐに近所の競合店にお客さんを奪われてしまいます。コンビニが問題を解決するためには、コンビニチェーン同士が激しい競争を控えることが効果的かもしれません。

大阪府東大阪市のセブンイレブンのオーナーが24時間営業を短縮

セブンイレブンと24時間営業に関して問題を抱えているのは、大阪府東大阪市で店舗を経営しているオーナーです。オーナーがメディアの取材に応じた内容によると、オーナーは2019年2月1日より、24時間営業から午前6時から翌午前1時までの19時間営業へ短縮したとのことです。オーナーは2012年からセブンイレブンに加盟し、妻と二人で店舗を経営して来ましたが、2018年5月に妻を亡くされています。店舗の運営に不可欠な存在であった家族を亡くさたこと、アルバイト・パートの採用が難しいことにより、オーナーは長時間労働を強いられ、営業時間を短縮する決断をしました。

オーナーは24時間営業から午前6時から翌午前1時までの19時間営業へと短縮したことで、セブンイレブンから厳しい対応をされています。セブンイレブンの回答内容は、24時間営業に戻さなければ契約を解除する、違約金約1,700万円を請求する可能性があるというものです。オーナーの24時間営業の短縮へのセブンイレブンの対応は厳しく、インターネットで大きな注目を集め、テレビ、新聞まで情報が拡散しました。大阪府東大阪市のオーナーが注目を集めたことに対して、セブンイレブンはオーナーと適切な意思疎通が取れていなかったことを熟慮し、24時間営業を継続できるようサポートするとしています。

労働人口が減少しているため、すべての企業でアルバイト・パートの採用が難し状況にあります。2015年の国勢調査を見ると、20~24歳の人口は男性が3,046,392人、女性が2,921,735人で、合計5,968,127人となっています。20年前の1995年の20~24歳の人口を見ると、男性が5,041,228人、女性が4,853,773人で、合計9,895,001人です。1995年から2015年までの20年間で20~24歳の人口は3,926,874人減少しており、減少率は39.7%です。小売チェーン店、飲食チェーン店の店舗は増え続けているため、人口減少と合わせると、アルバイト・パートの採用競争は激化していると言えます。

アルバイト・パートを採用するために待遇を改善したいところですが、コンビニのオーナーはアルバイト・パートを厚遇することが難しいです。コンビニは小売業の中でも高い営業利益率を確保していますが、コンビニのオーナーはそれぞれが「独立した事業者」であり、アルバイト・パートの採用はオーナーの責任になります。アルバイト・パートを確保できないオーナーは自分が働くしかないので、長時間労働が当たり前になり、労働環境がブラック化して行きます。大阪府東大阪市のセブンイレブンのオーナーが24時間営業を短縮したことも、アルバイト・パートの採用が難しいことが原因です。

セブンイレブンが24時間営業の短縮を認めない理由は、コンビニは24時間営業していることにより、社会に利便性・安心安全を提供しており、「社会のインフラ」であるためだとしています。コンビニが「社会のインフラ」であるという点については、多くのコンビニ利用者が納得するのではないでしょうか。24時間店舗が開いていて、必要な時に必要なものを近所で買える利便性は、人々の生活に貢献しています。以前はコンビニの24時間営業は騒がしい若者を集めるといった見方もありましたが、最近は街の安全への貢献が評価されるようになり、24時間営業には利便性以外の価値があります。

セブンイレブンは24時間営業は「社会のインフラ」であるとしていますが、収益面の理由もあると考えられます。セブンイレブンは加盟店の売上からチャージ料を受け取っており、加盟店の売上が多いほど、セブンイレブンが受け取るチャージ料も多くなります。大阪府東大阪市のセブンイレブンのオーナーの店舗では、午前1時~6時の客数は20~30人とのことです。オーナーが24時間営業を短縮すると、セブンイレブン本部は毎日20~30日のお客さんのチャージ料を失います。コンビニは商圏が狭く、既存店の客数も減少傾向にあるため、深夜の時間帯のお客さんを失うことはセブンイレブンにとって痛手です。

コンビニの店員は日本人の採用が難しく外国人留学生が増える

アルバイト・パートで働くことを希望する人にとって、コンビニは条件の良い職場の一つです。コンビニは店舗が狭く、商品の回転率は高いものの、商品数も少なく、アルバイト・パートの中でも難易度の低い仕事だと考えられて来ました。また、コンビニは店舗数が多いため、自宅の近くで仕事がしたい人も、簡単に職場を見つけることができます。労働時間は24時間営業の中から都合の良い時間を選択することができ、深夜は時給がアップするという好条件もあります。深夜のコンビニのアルバイト・パートはお客さんが少ないので仕事は楽、時給は高いということで、若い人たちに人気です。

コンビニはアルバイト・パートで人気の職場の一つですが、最近はコンビニのアルバイト・パートの人気が低下しているようです。発注、商品補充、レジといった小売関連の業務はそれほどでもありませんが、次々に新しいサービスが開始されるので、アルバイト・パートは覚えなければならないことが多いです。コピー、ATM、電子マネー、チケット、住民票、宅急便、スマホ決済など、様々なサービスをお客さんに案内しなければなりません。アルバイト・パートの時給に差がない中で、コンビニの業務はますます複雑・大変になり、コンビニでアルバイト・パートをするメリットが小さくなっています。

小売チェーン店、飲食チェーン店は大量のアルバイト・パートを採用していますが、時給については、企業の規模に関係なく大きな差がありません。アルバイト・パートの時給が上がらないことは当たり前のこととして固定化され、長らく時給には変化がありませんでした。しかし、人口減少により人手不足の状況になったため、アルバイト・パートは職場を選ぶ立場になり、企業はアルバイト・パートを採用するために待遇を改善しなければならなくなりました。小売チェーン店、飲食チェーン店の決算データを見ると、人件費率が上昇している企業が多く、企業の収益性にも影響を与えています。

小売業ではリアル対ネットの競争が激化していますが、アルバイト・パートの採用でも、リアル対ネットが激しくなっています。小売業のアルバイト・パートはリアルでは実店舗、ネットでは物流センターで働くことになります。売上高の増加率ではリアルよりもネットの方が優勢ですが、労働条件でもネットの方が優勢です。ECサイトの物流センターの中には、アルバイト・パートに送迎を行なったり、朝食・昼食・夕食を提供しているところもあります。ECサイトの物流センターは接客がない上に、送迎、食事が付いていて、実店舗よりも優れた労働環境をアルバイト・パートに提供しています。

小売業は規模が拡大するに連れて、経営効率が高まり、収益性が高まるとされています。多くの小売業が収益性を高めるために規模の拡大を進めていますが、アルバイト・パートといった人材関連のコストは、規模を拡大しても収益性は高まりません。一店舗に必要なアルバイト・パートの人数は、小売業の規模が拡大することとは関係がないためです。コンビニは規模が大きく、営業利益率も高いですが、アルバイト・パートの採用において、有利にあるようには見えません。コンビニの仕事内容に負担を感じる人が増えていることもあり、高収益企業のコンビニであってもアルバイト・パートの採用は困難です。

コンビニはアルバイト・パートの採用が難しいため、外国人留学生を多く採用するようになっています。コンビニの業務は日本人でも負担に感じるものですが、外国人留学生がうまくこなせているのかというのは心配な点です。インターネットを検索すると、コンビニの店員が外国人留学生であることで、何か問題があったというような情報は少ないです。外国人留学生を採用できたとしても、オーナーの教育の負担は日本人の時よりも大きいことは問題です。コンビニは外国人留学生の採用を進めていますが、オーナーの労働環境を改善する意味では、日本人の採用を強化した方がよいのではないかと思います。

店舗の省人化でコンビニの収益性・労働環境は改善が見込める

人口減少によりアルバイト・パートの採用が難しくなっていることは、すべての小売業にとって重要な問題です。小売チェーン店、飲食チェーン店の店舗数が増える中、若年層の人口が減少しているため、今後、アルバイト・パートの採用が簡単になることは考えにくいです。小売業は主婦、高齢者、外国人留学生の採用を増やそうとしていますが、主婦、高齢者、外国人留学生の人数にも限りがあるため、人手不足を根本的に解決する手段にはなりそうにありません。少数のアルバイト・パートでも運営できる店舗を作ること、店舗の省人化に取り組むことは、小売業が人手不足を解消する方法の一つです。

小売業はテクノロジーを活用した店舗の省人化を研究していますが、コンビニ業界は店舗の省人化では一歩進んでいる印象があります。小売業の店舗の省人化の取り組みを見ると、売上規模が大きい企業、営業利益が大きい企業ほど意欲的です。売上規模が大きい企業、営業利益が大きい企業ほど、テクノロジーへ投資する余力があり、店舗の省人化の効果も大きいからではないかと思います。コンビニは店舗の省人化を進めるにあたって、店舗面積が小さいことは有利です。面積が大きい店舗と小さい店舗を比較すると、面積が小さい店舗の方が、省人化された店舗フォーマットを構築しやすいです。

コンビニ大手三社、セブンイレブン、ファミリーマート、ローソンの中では、ローソンが店舗の省人化に積極的です。ローソンは2018年10月に行われた「CEATEC JAPAN 2018」において、「ウォークスルー決済」のデモを行っています。「ウォークスルー決済」の店舗では、商品に電子タグが貼り付けられていて、専用ゲートを通過するだけで決済が完了します。商品のスキャンは専用ゲートが電子タグを読み込み、決済はスマートフォンを通じて行われます。従来のレジのように店員が商品のスキャン、金銭のやり取りをする必要がないため、「ウォークスルー決済」は店舗の省人化に効果があります。

ローソンは2025年には店員一人で24時間営業ができるようにすることを目標にしており、わずか6年ほどでローソンの店舗の省人化は劇的に進む計画です。具体的なデモはなかったものの、店内の掃除、商品の補充にもテクノロジーを導入して、省人化する構想があります。人間が担当しなければならない業務はお客さんと接触するものだけで、お客さんと接触しないものについては、人間がやる必要はないという考え方です。小売業の店舗では、繰り返し作業である商品の補充に膨大な労働力が投入されています。何らかの方法で商品の補充を省人化することができれば、小売業の収益性は大きく改善します。

大阪府東大阪市のセブンイレブンのオーナーが24時間営業を短縮したことが、インターネット、テレビ、新聞で話題になりました。コンビニはアルバイト・パートの採用が難しく、24時間営業を維持することが、オーナーの負担になっていることも広く知られました。コンビニの労働環境、特にオーナーの労働環境は厳しいのですが、ローソンの省人化の取り組みを見ると、将来的にコンビニの労働環境は改善される可能性が高いです。ローソンの構想のように店員一人で24時間営業できるようになれば、店舗の収益性は大きく改善されるので、オーナーは収益面・労働環境の両方で今よりも楽になるはずです。

店舗を省人化すること、省人化によって店舗の収益性を改善することは、コンビニを含め、すべての小売業の目標でもあります。小売業は他の業界と比較すると正社員の給料は低く、さらに給料が低い非正規社員を多く抱えています。人手不足で労働者が企業を選ぶ状況にあり、小売業は従業員の待遇を改善しなければ、正社員も非正規社員も採用できなくなります。省人化によって店舗の収益性を改善することができれば、従業員の人数を減らすとともに、従業員の待遇も改善できます。コンビニのオーナーの厳しい労働環境を見ると、小売業には省人化による、店舗の収益改善、従業員の待遇改善が不可欠です。

コンビニが利便性を追求することがオーナーの負担になっている

大阪府東大阪市のセブンイレブンのオーナーが注目されたことで、コンビニの24時間営業はオーナーに大きな負担が掛かっていること、オーナーと本部の間には厳しいフランチャイズ契約があることが広く知られました。今回の事案に対する反応は様々ですが、全体的にオーナーに好意的な意見が多い印象です。格差社会、長時間労働といった問題はすべての人に共通するものですから、コンビニのオーナーの厳しい労働環境は他人事ではありません。コンビニのフランチャイズ契約についても、十数年前から否定的な意見もありましたが、オーナーの声が強まり、内容が広く知られるようになって来ました。

コンビニは利用者が多いため、話題になることが多いですが、最近はネガティブな事案が増えています。最近では、クリスマスケーキ・恵方巻きの食品ロス、成人向け雑誌の販売中止、従業員の不適切な動画で注目され、批判的な意見も少なくありません。クリスマスケーキ・恵方巻きの食品ロス、24時間営業については、コンビニのフランチャイズ契約に関係するものです。食品ロス、24時間営業では、コンビニ本部の利益が優先されることで、オーナーの負担が大きくなっていると考えられます。食品ロス、労働環境の改善は日本全体で取り組んでいる問題でもあるため、関心を持つ人が多いです。

コンビニに対する批判的な意見が増えている背景には、インターネット・スマートフォンが普及し、情報の発信・受信をする人が増えていることがあります。昔はほとんどの人に情報を発信する手段がなく、新聞、テレビ、書籍、雑誌で情報を受信するだけでした。コンビニに関連する書籍を検索すると、「コンビニ 不都合な真実」(2007)、「セブン‐イレブンの正体」(2008)、「セブンイレブンの罠」(2009)など、昔から批判的な内容の書籍も多数あります。以前から少数の人が指摘していたコンビニの問題点が、インターネット・スマートフォンの普及により、可視化され、情報が拡散しています。

コンビニのフランチャイズ契約はオーナーに不利なものだという指摘は昔からあるのですが、一方で、日本全国に57,000店ほどのコンビニの店舗があります。コンビニのオーナーが十分な利益を確保できるかどうかは、商圏・立地に大きく依存します。十分な利益を確保できているオーナーは、フランチャイズ契約を問題視することはなく、十分な利益を確保できていないオーナーは、フランチャイズ契約を問題視します。同じコンビニオーナーの立場でも、フランチャイズ契約をどのように評価するかは違いがあり、コンビニのフランチャイズ契約が良いものなのか、悪いものなのかを評価することは難しいです。

コンビニ本部はお客さんをがっかりさせないために、発注を多くしなければならない、店舗を24時間営業しなければならないと考えています。コンビニを利用するお客さんの立場では、店舗の陳列棚がスカスカだと困りますし、店舗が24時間営業してくれた方が助かります。特に昼食、夕食を近所のコンビニで購入している人にとっては、必要な商品がないことは重大な問題です。近所のコンビニに商品がないからといって、遠くのスーパーまで買いに行く意欲はありません。コンビニでは多くの食品ロスが発生していますが、発注を減らしてはならないとするコンビニの考え方にも説得力があります。

コンビニは店舗が近くにあって、24時間いつでも必要な商品が買えるという、利便性をお客さんに提供しています。コンビニがお客さんに提供している利便性は、コンビニチェーン店同士の激しい競争、オーナーの努力によるものです。商品が欠品するとすぐに競合店にお客さんを奪われるので、各店舗ともに欠品しないように発注を増やしています。小売業には様々な業種がありますが、コンビニは最も競争が激しい業種ではないかと思います。食品ロスを減らそう、労働環境を改善しようという機運が高まっており、コンビニも今以上に激しい競争をして、利便性を追求しなくてもよいのではないでしょうか。