ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZOが注目される理由

ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZOが注目される理由

インターネット、テレビ、新聞でニュースを見ていると、ZOZOの前澤社長を多く見掛けます。ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZOは、高い成長率、収益性でよく知られている企業です。前澤社長はTwitterで積極的に情報発信を行うことで、多くの人にZOZOのことをさらに知ってもらおうとしています。Twitterで行ったお年玉1億円プレゼントの企画は多くの注目を集め、テレビでも頻繁に取り上げられました。また、メンバーシップサービス「ZOZOARIGATO」によるファッションブランドのZOZO離れ、PB事業の不調による業績の下方修正など、ZOZOの話題は尽きません。

前澤社長のプライベートの話題が増えていますが、ZOZOの新規事業にも注目しなければなりません。ZOZOは採寸用ボディースーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」で体型データを取得し、お客さん一人一人の体型にピッタリ合う、プライベートブランド「ZOZO」の販売を開始しています。ZOZOは実店舗を持たず、販売コストが小さいため、プライベートブランド「ZOZO」には価格競争力があります。コストパフォーマンスに優れた衣料品と言えば、ユニクロ、ジーユーが人気ですが、プライベートブランド「ZOZO」も、優れたコストパフォーマンスを持つ衣料品になる可能性があります。

お年玉1億円プレゼント企画・「ZOZOARIGATO」が話題

ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」は人気のネット通販サイトで、ZOZOTOWNを運営するZOZOの業績は高い成長率で拡大が続いています。ZOZOTOWNで買い物をするお客さんはZOZOがどのような会社なのか、それほど意識することはありませんでした。しかし、昨年あたりから、ZOZOの前澤社長の名前をインターネット、テレビ、新聞で目にすることが増えています。2018年9月17には、前澤社長が月往復旅行の最初のチケットを1基分まるごと買ったことが話題になりました。また、有名女優と交際しているため、ビジネスニュースだけではなく、芸能ニュースでも取り上げられることもあります。

前澤社長は2019年2月7日に、Twitterを休止すること呟いていますが、それまではTwitterで積極的に情報発信を行って来ました。前澤社長が積極的に情報発信をする狙いは、ZOZOの事業をより多くの人に知ってもらうためです。ZOZOはファッション通販サイト「ZOZOTOWN」の運営が主力事業ですが、2018年からはプライベートブランド「ZOZO」の製造・販売を開始しています。ZOZOはファッションブランドとしての実績がないため、プライベートブランド「ZOZO」を販売するにあたって、お客さんに企業、商品のことをよく知ってもらわなければなりません。

2018年の前澤社長は宇宙旅行、有名女優との交際で話題になりましたが、2019年に入ってからも、変わらずに注目を集めています。2019年1月5日には、前澤社長のTwitterをフォローして、リツイートした人に対して、総額1億円(100人に100万円)のお年玉をプレゼントする企画を発表しました。お年玉1億円プレゼント企画は多くの人の注目を集め、前澤社長のTwitterのフォロワーは500万人を突破し、リツイート数530万件はこれまでの世界記録を更新する数字となりました。1億円をプレゼントすることに対しては、賛否両論あり、多くの人が意見交換を行うため、企画終了後も話題になることが多いです。

前澤社長はフォロワーに1億円をプレゼントしましたが、宣伝効果を考えると、非常にコストパフォーマンスの良い広告であったという見方があります。お年玉1億円プレゼントを通じて、前澤社長を知り、ZOZO、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」に興味を持った人もたくさんいます。ネット通販サイトは運営者の顔が見えないので、お客さんに親しみを持ってもらうことが難しいという問題があります。前澤社長のTwitterを見て、前澤社長のキャラクター、ZOZOのビジネスについて理解を深めた人は、ZOZOTOWNでの買い物が以前よりもしやすくなったと思います。

前澤社長のお年玉1億円プレゼントは大きな話題になりましたが、お年玉1億円プレゼントが終わった後は、ZOZOが新しく開始した会員サービスが話題になっています。ZOZOは2018年12月25日に、メンバーシップサービス「ZOZOARIGATO」を開始しました。「ZOZOARIGATO」は年間3,000円(税抜き)、または、月間500円(税抜き)の会員料金を支払うことで、ZOZOTOWNでの買い物金額が10%OFF(入会月は30%OFF)になる会員サービスです。「ZOZOARIGATO」の会員は10%OFFになった割引金額を、ZOZOが指定する各支援団体、ショップを応援する資金として提供できる仕組みもあります。

「ZOZOARIGATO」の開始により、「ZOZOARIGATO」のメンバーはすべての商品を10%OFFで購入できるようになりました。ZOZOTOWNに出店しているファッションブランドの立場では、自社の商品が10%OFFで売られることを意味しており、ブランド価値の低下を危惧する声も出ています。自社ECよりもZOZOTOWNの方が価格が安いということになれば、自社ECのお客さんがZOZOTOWNへ流出してしまうリスクもあります。ZOZOTOWNに出店中のファッションブランドの中には、ZOZOTOWNでの販売を中止する企業も出て来ており、ZOZOと出店企業の関係悪化が心配されています。

ZOZOは高い成長性・収益性を兼ね備えたネット通販企業

ZOZOはファッション通販サイト「ZOZOTOWN」の運営を行っていて、売上高、営業利益の高い増加率、高い営業利益率で知られています。ZOZO(前スタートトゥデイ)の2018年3月期の売上高は98,432百万円(前期比28.8%増)、営業利益は32,669百万円(前期比24.3%増)、営業利益率は33.2%です。ネット通販の流通総額は安定的に拡大を続けていて、多くの企業が売上高、営業利益を伸ばしていますが、ZOZOの売上高、営業利益の増加率は非常に高いです。また、ZOZOは自社で在庫を保有せず、商品の販売、在庫、配送を代行することで手数料を稼いでおり、営業利益率も非常に高いです。

ZOZOはファッション通販サイト「ZOZOTOWN」の運営を行い、ファッションアイテムを買いたいお客さんと、ファッションアイテムを売りたいファッションブランドをマッチングしています。2018年3月期の決算説明会資料によると、2018年3月期末の出店ショップ数は1,111店舗、年間購入者数(過去1年以内に1回以上購入した人数)は7,223,227です。年間購入者数の内訳は、ゲスト購入者数(会員登録を行わず購入したユニーク購入者数)は2,247,916人、アクティブ会員数(過去1年以内に1回以上購入した会員数)は5,112,861人となっていて、会員登録をせずに購入する人も200万人以上います。

ZOZOの前澤社長の話題が増えていますが、前澤社長に注目が集まる前から、ZOZOは多くの人が関心を持つ人気企業でした。ZOZOに出店している企業、ファッション関連の企業にとっては、ZOZOは自社のビジネスに影響を与える企業です。ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」で買い物をしているお客さんにとっては、ZOZOはよく買い物をしているネット通販サイトを運営する企業です。前澤社長のお年玉1億円プレゼントのツイートが530万件ツイートされたことも、ZOZOTOWNに関心を持つ人たちの多さを考えると、それほど驚くことではなかったかもしれません。

2018年3月期の決算説明会資料によると、ZOZOTOWNの男女比は男性32%、女性68%で、平均年齢は32.8歳となっています。デバイス別の出荷比率は、スマートフォンは83.3%、パソコンは16.7%、モバイルは0.1%です。ZOZOTOWNでスマートフォンを使って買い物をしている若いお客さんが、前澤社長のお年玉1億円プレゼントのツイートを多くリツイートしたのではないかと考えられます。ZOZOTOWNの高いスマートフォン比率、前澤社長の1億円お年玉プレゼントのリツイート数を見ると、若い人たちがスマートフォンで多くのアクティビティを行なっていることが分かります。

ZOZOTOWNに出店している企業、ファッション関連の企業で働く人たちは、前澤社長のTwitterをフォローしなければなりません。前澤社長がどのような決定をするかが、自社のビジネスに影響を与えるからです。1億円お年玉プレゼントはビジネスとは関係ありませんが、採寸用ボディースーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」、プライベートブランド「ZOZO」、メンバーシップサービス「ZOZOARIGATO」は、多くのファッション関係者が興味を持つものです。また、小売業界、インターネット業界で働く人たちの中にも、前澤社長のTwitterをフォローしている人がたくさんいるのではないかと思います。

ZOZOTOWNに出店している企業は、ZOZOTOWNとの関係が難しくなっていると言われています。ZOZOTOWNに出店すると商品が売れ、売上が増えますが、ZOZOTOWNへの依存度が高まることは経営リスクです。新たに始まったメンバーシップサービス「ZOZOARIGATO」では、ZOZOTOWNに出店する企業の商品が10%OFFで販売されるようになりました。オンワード、ミキハウス、ライトオンなど、一部の企業はZOZOTOWNでの販売を中止する決定をしました。「ZOZOARIGATO」はファッションブランドに割引販売を強制しており、ZOZOが持つ影響力の大きさを感じます。

採寸用ボディースーツを使った「あなたサイズ」の洋服は革新的

ZOZOは2017年11月22日より、採寸用ボディースーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」の予約受付、配布を開始しています。「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」で計測した体型データはZOZOTOWNアプリに保存して、ZOZOTOWNでの買い物に活用することができます。ZOZOTOWNは「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」でお客さんの体型データを蓄積することで、商品検索機能、レコメンド機能を強化する計画です。体型データを計測したお客さんはZOZOTOWNでサイズに合う洋服が探しやすくなりますが、体型データを計測していないお客さんも、サイズに合う洋服が探しやすくなるとのことです。

ZOZOはファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営しており、検索キーワード、商品ページ閲覧履歴、購買履歴など、ファッションに関するビッグデータを保有しています。ZOZOはZOZOTOWNの運営で蓄積したデータに加え、採寸用ボディースーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」で取得した体型データを蓄積することで、さらに多くのデータを保有する企業になります。特定の分野のビッグデータを保有する企業は、その分野のリーダーであると言えます。ZOZOはお客さんの体型、探している商品、実際に購入している商品のデータを蓄積しており、ファッション業界のリーダーの一つです。

ZOZOは採寸用ボディースーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」の配布と同時に、プライベートブランド「ZOZO」を発表しました。プライベートブランド「ZOZO」のコンセプトは、お客さんが洋服のサイズに合わせるのではなく、洋服のサイズがお客さんに合わせるというものです。プライベートブランド「ZOZO」の初めての商品は2018年1月31日に発売され、ラインナップは1,200円(税込)のTシャツ、3,800円(税込)のデニムパンツの二種類でした。その後、新しい商品が追加され、2019年2月17日時点では、メンズ商品は18点、レディース商品は17点のラインナップとなっています。

2018年12月7日、ZOZOはプライベートブランド「ZOZO」の新商品として、「ZOZOHEAT(ゾゾヒート)」、「ZOZOHEAT COTTON(ゾゾヒート コットン)」の販売を開始しました。「ZOZOHEAT(ゾゾヒート)」、「ZOZOHEAT COTTON(ゾゾヒート コットン)」は吸湿発熱インナーで、採寸用ボディースーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」の利用者は、自分にピッタリのサイズのものを購入することができます。ZOZOは「ZOZOHEAT(ゾゾヒート)」、「ZOZOHEAT COTTON(ゾゾヒート コットン)」の販売にあたり、ユニクロのヒートテックと比較したことが話題になりました。

採寸用ボディースーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」による体型データの取得、取得した体型データを用いたプライベートブランド「ZOZO」の開発・販売は、これまでにない革新的な取り組みです。自分のサイズにピッタリの洋服がどのようなものなのか、買い物をするお客さん、ファッション業界が関心を持っています。YouTubeで「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」を検索すると、実際に試着して、体型サイズを計測する動画がたくさん出て来ます。「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」の動画は投稿数、視聴回数ともに多く、「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」が大きな注目を集めていることが分かります。

採寸用ボディースーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」、プライベートブランド「ZOZO」の動向は、ファッション業界だけではなく、小売業にも影響を与えます。採寸用ボディースーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」とプライベートブランド「ZOZO」がうまく機能すれば、お客さんはスマートフォンを操作するだけで、自分のサイズに合った衣料品を一生買い続けることが出来てしまいます。プライベートブランド「ZOZO」にはインナーウェアが多数品揃えされていて、一生ZOZOでインナーウェアを買うことになっても、特に問題ないと考える人は少なくないと思います。

ZOZOの商品取扱高は堅調でPB事業には大きな可能性がある

有名女優との交際、月往復旅行、お年玉1億円プレゼントなど、前澤社長はZOZOの本業以外のもので注目を集めて来ました。しかし、最近はプライベートな話題だけではなく、本業のZOZOについての話題も増え、ネガティブな意見も見られます。メンバーシップサービス「ZOZOARIGATO」の割引販売に不満を持つ企業は、ZOZOTOWNでの販売を中止する決定をしています。ZOZOが2019年1月31日発表した内容によると、全商品の販売を見送り中のショップは1,255ショップ中42ショップで、ショップ数ベースで3.3%、商品取扱高ベースで1.1%(前期実績)であるとのことです。

「ZOZOARIGATO」によるファッションブランドのZOZO離れに加え、ZOZOが2019年1月31日に業績の下方修正を発表したことも、ZOZOへのネガティブな意見が増える理由です。下方修正の内容は、商品取扱高は3,600億円から3,270億円(前期比20.9%増)、売上高は1,470億円から1,180億円(前期比19.9%増)、営業利益は400億円から265億円(前期比18.9%減)、純利益は280億円から178億円(前期比11.7%減)というものです。下方修正の原因は、プライベートブランド「ZOZO」の販売が計画通りに行かなかったためですが、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」の商品取扱高は堅調です。

ZOZOは2019年3月期のPB事業(プライベートブランド「ZOZO」)の商品取扱高を200億円と計画していましたが、30億円に大きく下方修正しています。採寸用ボディースーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」の配布枚数についても、600~1,000万枚から230万枚へと下方修正しています。ZOZOのPB事業は当初の計画ほどうまく行っていませんが、長期的に見れば、非常に有望な事業であると思います。プライベートブランド「ZOZO」の売上を伸ばすためには、利用者に採寸用ボディースーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」に慣れ親しんでもらう必要があり、長い目で見なければなりません。

プライベートブランド「ZOZO」の将来が有望だと考える理由は、多くの消費者がベーシックアイテムに強いこだわりを持っていないからです。Tシャツ、Yシャツ、靴下、下着、ジャージなどのベーシックアイテムを買う場合、できればユニクロ、近所にユニクロがなければ、近くの総合スーパーで買うという人が多いのではないでしょうか。スマートフォンを操作するだけで、自分にピッタリのサイズのベーシックアイテムが買えるのであれば、利用する人は多いと予想しています。総合スーパーの店舗数は減り、ユニクロの店舗数も増えてはいないので、ベーシックアイテムを購入する店舗は意外に少ないです。

コストパフォーマンスに優れた衣料品と言えば、多くの人がユニクロ、ジーユーをイメージします。ユニクロ、ジーユーを運営するファーストリテイリングは製造小売業と呼ばれ、原材料の調達、商品の企画・製造・販売を自社で行うことで、付加価値の高い商品を低価格で販売しています。製造小売業こそが最強の小売業だと長らく考えられて来ましたが、製造小売業が進化したオンライン製造小売業への期待が高まっています。オンライン製造小売業は実店舗ではなく、相対的にコストが小さいネット通販で商品を販売するため、製造小売業よりもさらに低価格で商品を販売できる可能性があります。

プライベートブランド「ZOZO」の将来を考えると、2018年12月7日に発売した、「ZOZOHEAT(ゾゾヒート)」、「ZOZOHEAT COTTON(ゾゾヒート コットン)」の売上は重要です。「ZOZOHEAT(ゾゾヒート)」、「ZOZOHEAT COTTON(ゾゾヒート コットン)」はユニクロのヒートテックに競合する商品で、品質でヒートテックと競えるかどうかは大いに注目するところです。「ZOZOHEAT(ゾゾヒート)」、「ZOZOHEAT COTTON(ゾゾヒート コットン)」が品質でヒートテックと同等の評価を獲得できれば、プライベートブランド「ZOZO」が一気に売上を伸ばすこともあり得ると思います。