飲食チェーン店・小売チェーン店の従業員が不適切な動画を投稿する理由・影響・対策

飲食チェーン店・小売チェーン店の従業員が不適切な動画を投稿する理由・影響・対策

飲食チェーン店・小売チェーン店の店員が、SNSに不適切な動画を投稿する事案が連続で発生しています。ゼンショーホールディングスが運営する牛丼チェーン店「すき家」で働く店員2名は、Instagramに不適切な動画を投稿し、ゼンショーホールディングスは2019年1月31日に謝罪を発表しました。すき家の事案以降、回転寿司チェーン店「無添くら寿司」、カラオケチェーン店「ビッグエコー」、コンビニのセブンイレブン、ファミリーマート、中華料理レストランチェーン店「バーミヤン」でも、店員による不適切な動画の投稿が発生し、一連の店員の行動に多くの人が関心を持っています。

店員が不適切な動画を投稿する目的は、インターネットで注目を集めたい、友人に見せてコミュニケーションを取りたいというものです。店員の不適切な投稿により、飲食チェーン店、小売チェーン店は損害を受けており、不適切な動画への対策が必要になっています。不適切な動画の撮影・投稿を防ぐために効果的な方法は、店内へのスマートフォンの持ち込みを禁止することです。また、非正規従業員の責任感・店舗への帰属意識が小さいことも、不適切な動画の投稿を誘発する原因の一つです。非正規従業員の待遇を改善し、店舗との関係性を強化することは、不適切な動画を減らすことに繋がります。

有名チェーン店の店員が不適切な動画を投稿する事案が連続で発生

ゼンショーホールディングスが運営する牛丼チェーン店「すき家」で働く店員2名がInstagramに投稿した内容が不適切であるとして、多くの批判を浴びています。動画はすき家の店内で撮影されたもので、店員が氷を床に投げつける、調理器具を不衛生に取り扱うといった内容です。動画は24時間で投稿内容が消去される、Instagramのストーリー機能を使ったものでしたが、動画は短時間で発見され、炎上してしまいました。すき家を運営するゼンショーホールディングスは2019年1月31日にお客さんへのお詫び、不適切な動画を投稿した従業員2名が退職処分になったことを発表しています。

すき家の店員による不適切な動画の投稿以降、飲食チェーン店、小売チェーンの店員による不適切な動画が次々に投稿されています。くらコーポレーションが運営する回転寿司チェーン店「無添くら寿司」、第一興商が運営するカラオケチェーン店「ビッグエコー」、コンビニのセブンイレブン、ファミリーマート、すかいらーくホールディングスが運営する中華料理レストランチェーン店「バーミヤン」、各チェーン店の店員が不適切な動画を投稿し、運営企業は次々に謝罪を行なっています。有名チェーン店の店員が次々に不適切な動画を投稿しており、炎上というよりは、驚いている人が多いようです。

チェーン店で働く店員の不適切な振る舞いは過去にもあり、2013年7月には、コンビニのローソンで働く店員が、店内にあるアイスクリームケースの中に入っている写真をFacebookに投稿しています。ローソンは謝罪を行うとともに、事件のあった店舗のフランチャイズ契約の解約、当該従業員の解雇、他従業員の再教育の実施を発表しました。不適切な写真を投稿する背景には、悪ふざけをして人に迷惑をかけたい、人の注目を集めたいといった心理があります。2013年のローソンの事件の時も、類似の不適切な投稿が連鎖的に発生して、新しいタイプの迷惑行為として注目を集めました。

有名チェーン店で起きている連鎖的な不適切な動画の投稿も、2013年の事案と同様に、悪ふざけをして人に迷惑をかけたい、人の注目を集めたいといった心理は同じだと思います。これに加え、友人同士で動画・写真を見せ合い、楽しむようになったことは、今回の不適切な動画と関係しています。店内でふざけている様子を動画に記録して、友人に見せて楽しむつもりが、手違いでインターネットに公開された可能性もあります。業務中の不適切な行為は大きな問題ではありますが、友人同士で動画・写真を見せ合う中で、友人を楽しませるために、わざと不適切に振る舞うというのは考えられます。

2013年の不適切な投稿と今回の不適切な投稿を比較すると、インターネット環境、文化が大きく変わっていることには驚きがあります。2013年の不適切な投稿は写真でしたが、今回の不適切な投稿は動画になっています。2013年は写真を投稿することが普通でしたが、スマートフォンの機能、インターネット環境が進歩した現在では、誰もがスマートフォンで動画を撮影して、インターネットにアップロードできる環境になっています。2013年と現在を比較すると、インターネットに投稿されるコンテンツの量も劇的に増えており、不適切なコンテンツが投稿される件数も同様に増えています。

有名チェーン店で連鎖的に発生した不適切な動画の投稿は、多くの人の注目を集めています。2013年の事案よりも批判の声が強くなっていると感じるのは、スマートフォンを持ち、情報を受信・発信する人が増えているためです。ソーシャルメディアのコンテンツが広く行き渡ることを「拡散する」と表現しますが、スマートフォンを利用する人が多いほど、コンテンツが拡散する範囲も広くなります。回転寿司チェーン「無添くら寿司」を運営するくらコーポレーションは、不適切な動画を投稿した従業員に対して、法的措置を取る準備を進めており、動画の内容・影響を深刻に捉えています。

スマートフォンとインターネットの普及で店内が可視化される

なぜ飲食チェーン店、小売チェーン店の店員は不適切な動画を投稿するのか、様々な意見が出されていて、アルバイトの待遇がよくないからという意見が多いです。アルバイトは正社員のように厚遇されておらず、店舗の期待以上に働く、言われた以上のことをやるといったことは起こりに行くいです。アルバイトの時給は、どの飲食チェーン店、小売チェーン店で働いてもそれほど違いがないので、アルバイトの中には、店舗に帰属意識を持っていない人もたくさんいます。アルバイトは正社員のように店舗(職場)に生活・人生が掛かっていないため、自分の振る舞いが店舗(職場)に与える影響への意識が低いです。

飲食チェーン店、小売チェーン店の店員が投稿した不適切な動画の内容は、不適切であること以外の評価はありません。投稿者した店員は不適切な行動をすることが、店舗、同僚に迷惑がかかるというような発想はなく、友人に見せるために悪ふざけをしているのではないかという印象を持ちました。不適切な動画がインターネットで多くの人に見られ、批判されていますが、そのような展開を想定していなかったのではないでしょうか。不適切な動画を投稿した店員に対しては、批判的な意見が多いですが、アルバイトなので仕方がない、若いので仕方がないといった、店員を養護する意見も見られます。

複数の飲食チェーン店、小売チェーン店の店員が不適切な動画を投稿することが続いていますが、こうした不適切な行動は昔からあったという意見もあります。昔から飲食チェーン店、小売チェーン店で行われていた不適切な行動が、インターネットとスマートフォンの普及によって、可視化されるようになったいう見方です。インターネットとスマートフォンがなければ、今回のような不適切な動画も投稿、拡散されることもなかったと思います。不適切な動画の投稿を批判する意見は多いですが、昔から不適切な行動はあるという意見も多く、動画の撮影・投稿・拡散は本質的な問題ではないかもしれません。

飲食チェーン店、小売チェーン店でアルバイトをしたことがある人は多いですが、店内にお客さんには見せられないものがあるかと聞かれると、あると答える人がほとんどではないでしょうか。不適切の程度にもよりますが、例えば、商品を雑に扱う、投げる行為は、多くの飲食チェーン店、小売チェーン店で行われていると考えられます。こうした行為は悪意を持って行われているわけではなく、普通のこととして店舗に定着しています。インターネットとスマートフォンの普及によって、店内の情報が外部に流出しやすい状況になっており、今後も店内で撮影された動画が投稿される可能性は高いです。

飲食チェーン店、小売チェーン店の店員が不適切な動画を投稿する背景には、アルバイト従業員であることによる危機感・責任感の不足、インターネットとスマートフォンの普及の二つが合わさったものだと言えます。インターネットとスマートフォンの普及は変えられない環境なので、アルバイト従業員に危機感・責任感を持ってもらうことが、問題を解決する方法ではないかと思います。アルバイト従業員を厚遇することは良い方法ですが、かなり難しそうです。チェーン店の運営は低賃金のアルバイト従業員で成り立っており、アルバイト従業員を厚遇すると、店舗の運営ができなくなります。

飲食チェーン店、小売チェーン店の店員が不適切な動画を投稿したことは、インターネットで大きな注目を集め、テレビでも紹介されています。問題が多くの人に認知されたことには、不適切な動画の投稿を抑止する効果があります。また、回転寿司チェーン「無添くら寿司」を運営するくらコーポレーションは、不適切な動画を投稿した従業員に対して、法的措置を取る準備を進めており、こちらは大きな抑止効果が期待できます。不適切な動画を撮影して、投稿することは誰にでも簡単にできますが、お客さん、店舗に掛ける負担は非常に大きく、不適切な動画を撮影、投稿することは迷惑行為です。

不適切な動画の撮影・投稿を減らすためにはどうすればよいか

複数の飲食チェーン店、小売チェーン店において、店員が不適切な動画を投稿する事案が連続で発生しています。回転寿司チェーン「無添くら寿司」を運営するくらコーポレーションは、問題の発生以降、積極的に情報発信をしています。くら寿司の不適切な動画の内容は、アルバイト従業員が魚をゴミ箱に捨て、再びまな板に戻す様子を撮影したものでした。くら寿司は生の魚を扱っており、他の事案と比較して、不適切な動画が業績に与える影響が大きいように見えます。くらコーポレーションは2019年2月8日、YouTuberに「信頼回復に向けた取り組みについて」という動画を投稿しています。

くらコーポレーションは動画の中で、「全店舗における勉強会の実施」、「本部カメラシステムでの確認の強化」、「衛生管理の徹底」、「スマホ持ち込み禁止の徹底」の四つを挙げています。「衛生管理の徹底」以外は不適切な動画の投稿に関連したもので、複数の施策を組み合わせることで、不適切な動画が投稿されにくい環境を作ろうとしています。スマートフォンを持ち込み禁止にしていても、規則を破って持ち込む人がいれば、不適切な動画が投稿される可能性があります。本部カメラシステムでスマートフォンの持ち込みを検出する仕組みは、スマートフォン持ち込み禁止をフォローする役割です。

スマートフォンがなければ動画の撮影・投稿ができないので、不適切な動画の投稿を阻止するには、スマートフォンの持ち込み禁止が最も効果的です。インターネットで情報収集したところ、スマートフォンの持ち込みを禁止するという規則は、飲食チェーン店では多いようです。飲食チェーン店で働く従業員の立場では、スマートフォンが持ち込み禁止でも特に困ることはないと思います。外部からの緊急の連絡は店舗の固定電話にすればいいので、外部との接触が遮断されることもありません。空き時間に休憩室内でスマートフォンのチェックができれば、納得する従業員が多いのではないでしょうか。

本部カメラシステムを使った確認の強化については、優れた画像認識システムが登場しており、スマートフォンの持ち込みを高確率で認識できると思います。小売業では店内にカメラを設置して、お客さんの買い物行動を記録する取り組みが始まっていて、お客さんが手に取った商品の認識ができるシステムもあります。優れた画像認識システムシステムを使えば、従業員がスマートフォンを手に持っているかどうか、自動で検出できそうです。また、万引き(不自然な行動・挙動)を検出するカメラシステムもあり、このようなシステムがあれば、スマートフォンだけではなく、不適切な行動そのものを検出できます。

不適切な動画が投稿されたことにより、従業員を監視する仕組みが強化されれば、非正規・低賃金のアルバイト・パートはストレスを感じます。勉強会の実施、スマートフォンの持ち込みチェック、本部カメラシステムによる監視により、アルバイト・パートの負担は増えますが、待遇の改善が約束されているわけではありません。現在、人手不足でアルバイト・パートは好待遇の仕事が見つけやすく、従業員の監視を強化することは、アルバイト・パートの退職に繋がる可能性もあります。従業員の監視を強化することとセットで、アルバイト・パートの待遇も改善できれば、それに越したことはありません。

不適切な動画の投稿を阻止したい企業の立場としては、物理的に不適切な動画の撮影・投稿ができなくなるシステムを構築したいところです。従業員への教育は大事ですが、ほとんどの従業員は不適切な動画を投稿しないので、コストの無駄、従業員の負担増といったデメリットもあります。「スマートフォン持ち込み禁止手当」というのを作って、何らかの方法で、仕事中はスマートフォンを手にしないようにしてもらうのが、良い方法ではないかと思います。店舗へのスマートフォンの持ち込みが絶対に発生しないシステムがあれば、従業員への教育、本部カメラシステムのコストを減らせます。

不適切な動画がお客さんの利用・チェーン店の運営に与える影響

不適切な動画の投稿があったチェーン店は、牛丼チェーン店「すき家」、回転寿司チェーン店「無添くら寿司」、カラオケチェーン店「ビッグエコー」、コンビニのセブンイレブン、ファミリーマート、中華料理レストランチェーン店「バーミヤン」です。動画では食品や調理器具が不適切・不衛生に扱われており、お客さんはチェーン店の利用を控えるため、チェーン店の売上は減少します。ビッグエコーの不適切な動画は2018年12月に投稿されたもので、当時も謝罪を行なっています。ビッグエコーは再度問題を引っ張り出された形になっており、悪化したイメージを回復することは容易ではありません。

食品や調理器具が不適切・不衛生に扱われている動画を見た人は、当該のチェーン店を避けるだけではなく、食品を扱うすべての店舗に対して不安を持ってしまいます。食事は生きていくために不可欠ですから、食事そのものを控えることはありません。今回投稿された複数の不適切な動画が、お客さんの食品の買い方、飲食チェーン店の利用の仕方に影響を与えることは確実です。多くのお客さんは、よく知っている店舗、より信頼できる店舗を利用しようと考えるはずです。4S(整理、整頓、清掃、清潔)を徹底している店舗は、不適切な動画によって、自店の価値を高めることができたのではないでしょうか。

従業員に不適切な動画を投稿されるリスクを強く感じた飲食チェーン店、小売チェーン店は、店舗のデジタル化をさらに強く推し進めることになります。現在、労働人口の減少でアルバイト・パートの採用が難しくなっており、飲食チェーン店、小売チェーン店は少数の従業員で運営できる店舗作りを進めています。将来の飲食チェーン店、小売チェーン店は、誠実で真面目に働く少数の従業員と、さまざまなテクノロジーで運営されるようになります。飲食チェーン店、小売チェーン店が店舗のデジタル化を進める理由は人手不足ですが、従業員数を減らすことは、不適切な動画のリスク低減にも繋がります。

キャッシュレスは飲食チェーン店、小売チェーン店が強い関心持つテクノロジーで、ロイヤルホールディングスは2017年11月に、完全キャッシュレスの実証実験店舗「GATHERING TABLE PANTRY 馬喰町店」をオープンしています。完全キャッシュレスの店舗では現金がないので、現金が紛失したり、従業員の不正を疑ったりすることがなくなります。完全キャッシュレスには、現金に関する従業員の負担を減らす、不正を減らす効果があります。現金に関する問題を根本から解決する完全キャッシュレスのように、不適切な動画の投稿についても、根本から解決するソリューションの登場が望まれます。

一連の不適切な動画の投稿で分かったのは、不適切な動画の撮影・投稿は、誰にでも簡単に行える作業であるということです。さらに、簡単に撮影・投稿された不適切な動画の影響は大きく、チェーン店、あるいは業界全体への不信感を生み出してしまいます。不適切な動画を撮影・投稿する動機は、インターネットで目立ちたい、友人を楽しませたいといったものです。投稿者は不適切な動画の影響力を意識しておらず、引き起こされた結果とのギャップは大きいです。スマートフォンには何でも簡単に撮影・投稿できる機能がありますが、使い方を間違えば、予想しなかった結果をもたらす可能性があります。

飲食チェーン店、小売チェーン店にとっては、低賃金の非正規従業員を多数雇用することのリスクを感じさせる事案になりました。正社員と非正規社員の待遇の格差が問題視され始めていて、非正規社員の責任は増える一方、給料は増えないという状況です。不適切な動画を投稿した従業員は、店舗に損害を与えようという悪意はなかったと思いますが、店舗の価値を守らなければならないという責任感・帰属意識もありません。非正規従業員の責任感・帰属意識は待遇と関係しており、非正規従業員が多い店舗では、責任感・帰属意識の小ささによるトラブルは今後も起こりそうです。