オフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」はコンビニよりお客さんに近い店舗

オフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」はコンビニよりお客さんに近い店舗

600株式会社の社長のインタビュー記事があり、オフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」がどのようなビジネスなのか説明されています。オフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」は、企業のオフィスに冷蔵ショーケースを設置して、商品を販売する小売業です。オフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」は商品の補充だけではなく、商品の提案、購買レポートなど、コンシェルジュサービスも提供しています。昼休みに時間を掛けて食べ物を買いに行くことを無駄だと考える人が増えていて、オフィスに設置するタイプのオフィスコンビニ(自動販売機)の需要が出て来ています。

小売業は実店舗に商品を陳列して、お客さんが買い物に来てくれることが当たり前でしたが、今後もお客さんが買い物に来てくれるかは分かりません。ネット通販が登場したことで、お客さんが実店舗に買い物に出掛ける回数は減少しました。また、オフィスに設置するタイプのオフィスコンビニ(自動販売機)が増えれば、お客さんが実店舗に買い物に出掛ける回数は減少します。コンビニはお客さんに最も近い店舗ですが、コンビニさえもお客さんを奪われる可能性があります。お客さんとの距離が遠い小売業は、距離を縮める努力をしなければ、間に競合企業が入り込み、お客さんを奪われてしまいます。

オフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」の買い物体験

スタートアップ企業の株式会社600は、オフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」のサービスを提供しています。オフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」は企業のオフィスに冷蔵ショーケースを設置して、弁当、パン、カップ麺、ヨーグルト、お菓子となどの商品を販売しています。オフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」は無人、キャッシュレスであることが特徴で、世界的に取り組みが進んでいる、無人店舗の一つの形であると言えます。オフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」のサービスエリアは東京23区内、従業員1名から利用可能、商品の補充は週2回以上です。

企業のオフィスに設置するタイプのオフィスコンビニ(自動販売機)が増えていて、詳しいデータはないものの、企業での導入が進んでいるようです。オフィスコンビニ(自動販売機)を提供している企業には、セブンイレブン、ファミリーマート、ローソン、グリコなどがあります。また、「オフィスおかん」のように、オフィスに惣菜を販売する冷蔵庫を設置するサービスもあり、オフィスコンビニ(自動販売機)の品揃えも多様化しています。小売業は店舗に商品を並べて、お客さんの来店を待つことが当たり前でしたが、オフィスコンビニ(自動販売機)はこれまでにない新しい売り場を作ろうとしています。

店舗の無人化は全世界の小売業で起こっている動きで、様々なコンセプトの無人店舗が全世界で開発されています。小売業がなぜ店舗の無人化に取り組むかですが、お客さんが小売業に店舗の無人化を求めているわけではありません。小売業は店舗を無人化することにより、店舗運営コストの削減、万引きの撲滅、顧客の購買データの取得といったメリットが得られます。小売業はこうしたメリットを得ることで、商品をさらに安く販売したり、従業員の労働環境を改善できます。お客さんにもレジの待ち時間が短くなるといったメリットはありますが、店舗の無人化はお客さんよりも小売業のメリットが大きいです。

世界の小売業のニュースを見ていると、無人店舗でイメージするのは、最新のテクノロジーが導入された、これまでにはない画期的な店舗です。しかし、無人店舗は必ずしも画期的である必要はなく、大型である必要もなく、オフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」も無人店舗の一つの形です。今後、無人店舗は一つのフォーマットが増えて行くのではなく、商圏に合わせて、多様な無人店舗が登場するのではないかと予想しています。大型の無人店舗は大きな収益が見込める可能性がありますが、小型の無人店舗は様々な商圏に適応できる柔軟性があり、新しいマーケットを開拓できる可能性があります。

オフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」が生まれた理由は、創業者が職場からコンビニまで買い物に出掛けることを時間の無駄だと感じたからというものです。ネット通販登場以前は、実店舗しか買い物をする方法がなかったこともあり、お客さんは買い物の時間をそれほど意識していませんでした。しかし、ネット通販の便利な買い物体験を経験したことで、買い物に時間を掛けることは無駄だと考える人も増えています。お客さんは実店舗の買い物体験を厳しくチェックするようになっているため、小売業は買い物体験を改善することに注力しなければ、お客さんを失ってしまうことになります。

オフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」を運営する理由の一つに、商圏メッシュの縮小が挙げられています。メッシュとは地図を一定の規則に従って分割したもので、500mメッシュ、1kmメッシュ、5kmメッシュといった使い方をします。お客さんが買い物をする商圏メッシュは徐々に小さくなっていて、小売業は百貨店、総合スーパー、食品スーパー、コンビニと店舗が小型化し、お客さんが買い物をする範囲は狭くなっています。コンビニは最も商圏が小さい小売業ですが、オフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」はコンビニよりもさらに小さい商圏を狙っています。

企業・従業員は昼休みの時間を有効に使いたいと考えている

オフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」の収益は、販売した商品の売上、設置したオフィスへの月額課金の二つです。オフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」はオフィスに冷蔵ショーケースを設置して、商品を定期的に補充することに加え、コンシェルジュ機能も提供しています。コンシェルジュ機能には設置企業からの商品のリクエストの受付け、購買データに基づいた商品の提案などがあります。毎月ごとにどの商品が売れたのか、どのユーザーが購入したのかといった購買データのレポートを作成して、設置企業のニーズに合った品揃えへと最適化して行く仕組みになっています。

オフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」が業績を拡大して行くためには、設置企業を増やすだけではなく、月額課金のサービスの付加価値を高めることも重要になるのではないかと思います。オフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」が取り扱う商品は他の店舗でも買えるナショナルブランド商品であるため、コンビニによりも高い価格を設定することは難しいです。また、商品の補充には人件費が掛かるため、オフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」を維持するコストは固定費です。商品の補充を担当する従業員が商品の補充以外の新しい付加価値を生み出すことで、収益性を高められます。

企業のオフィスに設置するタイプのオフィスコンビニ(自動販売機)は多くのサービスがあり、大手コンビニチェーンのセブンイレブン、ファミリーマート、ローソンにもあります。オフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」が大手コンビニチェーンのプライベートブランドと競争することは難しいので、商品の価値以外のところで独自性を発揮することになります。各オフィスに最適化された品揃えを提供する仕組みは、オフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」の優れた点です。自分が欲しい商品がオフィス内で手に入るため、利便性の点ではコンビニの実店舗よりも優れています。

自分が希望する商品がオフィス内で必ず手に入るというのは、これまでになかった付加価値ではないかと思います。オフィスで自分が希望する商品が必ず手に入る状況を作るためには、事前に購入しておいて、ストックしておかなければなりません。オフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」を導入することは、これまで各従業員が自分で行なっていたストック作業をアウトソーシングする形になります。従業員一人一人がストック作業を行なうことにはかなりの時間が費やされていて、人手不足の現状を考えると、こうした時間をもったいないと考える企業も多いのではないでしょうか。

企業ではお昼の時間帯に1時間程度の休憩時間が設定されていて、従業員は休憩時間の間にコンビニで食事を買ってきたり、外食をして昼食を取ります。お昼休みは食事を取るために使うものというイメージが固まっていますが、各従業員がお昼休みを他のことに使えれば、各従業員が生活の質を高めることができます。例えば、お昼休みの昼食の時間を短くして、仕事の時間を増やせば、早く帰宅できるかもしれません。あるいは、お給料をもっと増やしたいと考える人は、お昼休みの昼食の時間を短くして、仕事の時間を増やせば、仕事の時間を増やした分だけ多くの成果を上げることができます。

人手不足、長時間労働が問題視されるようになり、企業は労働環境の改善・生産性の向上に努めています。これまでは昼食を取る時間だと考えられて来た昼休みは、労働環境の改善・生産性の向上の重要なポイントです。飲食店のテイクアウトには店舗に行くまで混雑状況が分からないという問題があり、昼食の利用には不向きでした。しかし、事前に注文をしてから受け取るモバイルオーダーが登場して、以前よりも利用しやすくなっています。企業、従業員には昼休みを有効に活用したいという希望があり、小売業・飲食業は優れた買い物体験を提供することで、売上を伸ばせるチャンスがあります。

データを活用して効率よく商品を販売する方法は生産性が高い

オフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」はクレジットカードを使って決済をするため、個人を特定しない範囲で個別ユーザーを識別しています。誰がどのような商品を購入したのかという購買履歴を蓄積して、個人個人の品揃えを最適化して行くことに活用します。オフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」はキャッシュレスの販売方法なため、ネット通販と同じように、購買履歴を蓄積することができます。小売チェーン、飲食チェーンでもキャッシュレスを進める企業が増えていますが、キャッシュレスの店舗を実現すれば、購買履歴を活用したパーソナルマーケティングが可能になります。

各オフィスの購買履歴はオフィスの品揃えを最適化するために利用されますが、複数のオフィスの購買履歴が集まれば、ビッグデータとして価値が生まれます。企業の業種、規模、従業員数、年齢構成、性別構成などのデータと購買履歴を分析すれば、ユーザーの属性と商品のニーズの関係の理解が深まります。例えば、デスクでの業務が多い企業、外回りの業務が多い企業、力仕事が多い企業では、求められる商品は異なるはずです。品揃えを各オフィスに最適化できることは、オフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」の強みで、各オフィスのニーズに合った商品だけを販売すれば効率がよいです。

企業の従業員が職場から必要な商品を買い物に行く店舗では、コンビニが最も便利な店舗だと考えられてきました。コンビニの店舗数は多いので、職場から徒歩・自転車・自動車などの交通手段で、10分程度でコンビニに行けることが多いです。コンビニは食品の品揃えが豊富で、日用品の品揃えもあり、立地も良いことから、とても快適に買い物ができる店舗です。お客さんもコンビニ以上の利便性を考えて来なかったと思いますが、オフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」は、オフィスの中で買い物ができるため、買い物に時間がかからないという点では、コンビニよりも優れています。

利用者の立場から見て、オフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」のありがたい点は、自分が欲しいものがオフィスで買えるという点です。必要になった瞬間に商品を買うことはできませんが、事前にリクエストをしておけば、将来必要になった時にオフィスで買うことができます。コンビニのように品揃えは豊富ではありませんし、プライベートブランドもないため、品揃えの点ではコンビニには勝てません。一方、オフィスから出なくても必要な商品が購入できる利便性があり、将来の消費を計画的にリクエストしておけば、買い物に出掛ける時間を大幅に節約することができます。

オフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」が多くのオフィスに設置され、店舗網が構築されれば、メーカーにとって興味のある売り場になるのではないかと思います。オフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」では、客数、購買履歴を完全に管理しています。例えば、若い男性が多いオフィス、若い女性が多いオフィス、デスク作業が多いオフィスなど、オフィスの条件で絞り込むことができます。メーカーは自社の商品を購入してくれる可能性が高い顧客に効率よくリーチできるので、オフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」で商品を売りたいメーカーも出て来るはずです。

日本の企業は労働の生産性を高めようと力を入れていますが、これは小売業も製造業でも同じです。商品を購入してくれる確率が高い顧客を見極めたい、販売数量を正確に予想したいといった希望は、小売業も製造業も持っています。オフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」は設置数は少ないと推測されますが、生産性の点では、小売業、製造業が理想とする形ではないかと思います。将来的にオフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」の設置数が増え、大きな店舗網を構築すれば、売上の規模と高い生産性を備えた、メーカーにとって理想の売り場になれる可能性があります。

小売業はお客さんとの距離を縮めなければ買い物をしてもらえない

オフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」が生まれた理由は、商圏メッシュの縮小が続いてるためです。小売業は商圏メッシュを縮小しながら成長を続けていて、百貨店、総合スーパー、食品スーパー、コンビニと店舗の小型化・商圏の縮小が続いています。店舗の小型化・商圏の縮小は、小売業がより地域に最適化した商品・サービスを提供するためのものですが、ここ数年はお客さんの行動範囲が縮小していることも問題になっています。高齢者のお客さんは体力的な理由から自動車を運転することが減り、若い世代のお客さんは経済的な理由から自動車を運転することが減っています。

小売業を見ると大型店、小型店それぞれで売上高・営業利益を拡大している企業があり、大型店でも小型店でも、高い収益性を確保することができます。大型店には広域から集客して大きな売上高を作れる強みがあり、小型店には小さな店舗で効率よく商品が販売できる強みがあります。大型店、小型店どちらも小売業には必要ですが、将来的には大型店を維持することは難しくなるのではないかと予想しています。店舗の小型化・商圏の縮小は小売業の歴史ですが、従来の流れに加えて、自動車を運転しない人の増加、ネット通販の拡大といった変化も起きていて、大型店の集客力の低下は避けられない状況です。

小売業の歴史を見ると、大型店が小型店にカテゴリを奪われるということが繰り返されています。百貨店、総合スーパーは多くのカテゴリの商品がワンストップで買える便利な店舗ですが、百貨店、総合スーパーともに低収益に陥っています。各カテゴリに特化した専門店が登場したことで、百貨店、総合スーパーはカテゴリごとにお客さんを奪われています。小型店はカテゴリに特化しているため、品揃えは豊富で、価格は安く、百貨店、総合スーパーよりも商品力があります。また、小型店は店舗数が多く、アクセスが良いため、商圏のお客さんにリピーターになってもらいやすいことも強みです。

オフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」は、コンビニからお客さんを奪う可能性がある店舗です。コンビニは小売業の最適な形だと考えられてきましたが、コンビニもネット通販にお客さんを奪われているという見方もあります。コンビニは物理的に最も簡単に買い物に行ける店舗ですが、ネット通販、オフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」のように、コンビニよりもさらにお客さんに近い小売業が生まれています。大手コンビニチェーンもオフィスコンビニ(自動販売機)を提供しており、コンビニでさえも、さらにお客さんとの距離を縮めなければならないと考えていることになります。

オフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」はリアルの小売業のように見えますが、買い物体験はネット通販と似ています。ネット通販はお客さんが注文した商品を配達しますが、オフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」はお客さんが注文する可能性が高い商品を注文前に配達しています。ネット通販、オフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」ともに、お客さんのもとに商品が配達される仕組みです。オフィス向け無人コンビニ「600(ろっぴゃく)」は、お客さんが購入する確率が高い商品を事前にオフィスに配達することで、他の小売業を排除して、お客さんを囲い込んでいると言えます。

少子高齢化によって毎年人口が減少しているため、小売業はお客さんを奪い合う競争が激しくなっています。小売業はこれまで価格、品揃えで競争してきましたが、今後はお客さんとの距離が重要な競争要素になると思います。価格、品揃えで優れていても、お客さんとの距離が遠い小売業は、買い物をしてもらうことが難しくなります。お客さんとの距離が遠い小売業は、間に別の小売業に入って来られるリスクがあります。コンビニはお客さんとの距離が最も近い小売業だと考えられてきましたが、ネット通販、オフィスコンビニ(自動販売機)はコンビニとお客さんの間に割って入ろうとしています。