ワークマンの新業態「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」が注目を集める

ワークマンの新業態「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」が注目を集める

ワークマンはプロ向けに作業服及び作業関連用品を販売する専門店を運営していて、近年は付加価値の高いプライベートブランドの開発に力を入れています。2018年9月5日、ワークマンは新業態「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」の一号店を、東京都立川市の商業施設「ららぽーと立川立飛」に出店しました。「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」はインターネット、テレビ、新聞、雑誌などのメディアで紹介され、大きな注目を集めています。ワークマンはプロ向けの商品を開発・販売してきましたが、社会環境の変化により、プロ向けの商品を一般の消費者も購入するようになっています。

「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」が注目されている背景には、お客さんのライフスタイルの変化、女性の社会進出、インターネットの普及などがあります。男性と同じように仕事をする女性は、男性と同じようにワークマンで作業服を購入します。また、仕事で着用する衣服はより実用的、カジュアルになり、ワークマンのプライベートブランドはお客さんのニーズにも合っています。ワークマンは新業態「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」の多店舗展開を予定していますが、ネット通販にも需要があり、実店舗とネット通販の両方で業績を拡大できる大きなチャンスを迎えています。

フランチャイズシステムとプライベートブランドで高収益

ワークマンは作業服及び作業関連用品の専門店を展開する、フランチャイズシステムを運営しています。2018年3月末時点のデータによると、ワークマンは44都道府県に821店舗を出店しています。ワークマンが販売している商品は、ファミリー衣料、カジュアルウエア、ワーキングウエア、履物、作業用品などです。ワークマンは建設現場、作業現場で働く労働者向けの商品を販売しているため、一般の消費者が買い物をする機会は少なく、知名度は低いです。ワークマンは一般の消費者にはあまり知られていませんが、小売業の中では高収益、業績が好調な企業として知られるようになっています。

ワークマンの2018年3月期の決算によると、売上高は56,083百万円(前期比7.7%増)、営業利益は10,603百万円(前期比11.0%増)となっています。ワークマンの2018年3月期の営業利益率は18.9%となり、一般的な小売業よりもかなり高いです。ワークマンの営業利益率が高い理由の一つは、店舗をフランチャイズで運営しているためです。2018年3月末時点の店舗数821店舗のうち、フランチャイズ・ストアは692店舗、直営店は129店舗です。フランチャイズシステムを運営する企業の売上高は、フランチャイジーからの手数料になるため、自社で店舗を運営する企業よりも営業利益率は高くなります。

ワークマンは自社のホームページで加盟店経営者を募集していて、「高シェア」、「高収入」、「商品力」の三つをワークマンの特徴としてアピールしています。ワークマンはワーキングウェアと作業用品の販売で圧倒的なシェアを持っており、業界トップのワークマンの店舗数821店舗に対して、2位の企業の店舗数は50店舗以下とのことです。ワークマンのフライチャイズ店舗の平均売上は1億円、平均月収は86万円で、平均月収は10年間で34%増加しています。ワークマンのプライベートブランド比率は3割程度で、優れたプライベートブランドは、店舗の競争力アップ、収益性アップに貢献します。

小売業は自社で店舗を運営することが多いですが、ワークマンはフランチャイズシステムで店舗を運営しています。現在、ワークマンの業績が急拡大していることを考えると、フランチャイズシステムが上手く機能していると言えます。ワークマンはプライベートブランドの開発に注力することで、競合他社にはない、付加価値のある商品を開発することに成功しています。買い物をするお客さんの立場からすると、店舗の運営が直営かフランチャイズかは問題ではありません。小売業では業種の垣根を超えた競争、ネット通販の拡大もあり、付加価値のあるプライベートブランドの重要性が高まっています。

2018年3月期の決算によると、ワークマンのプライベートブランドの売上高は25,570百万円(前期比33.4%増)、プライベートブランド比率は32.2%、取扱アイテム数は830品目となっています。ワークマン全体の売上高の増加率が11.0%ですから、プライベートブランドの売上高の増加率は全体の3倍と大きいです。ワークマンはこれまで販売してきたナショナルブランド商品を減らし、自社が企画・開発するプライベートブランドを増やしています。プライベートブランドはナショナルブランド商品よりも粗利益率が高いため、プライベートブランドの拡大は収益性の改善に繋がります。

ワークマンはプロ向けに作業服及び作業関連用品を販売していますが、近年は一般の消費者向けのプライベートブランドも開発しています。アウトドア向けの「FieldCore(フィールドコア)」、スポーツ向けの「Find-Out(ファインド-アウト)」、レインスーツの「AEGIS(イージス)」の三つは、特に力を入れているプライベートブランドです。三つのプライベートブランドの売上高は、30億円(2017年3月期)、60億円(2018年3月期)と急増しています。インターネットを通じてワークマンのプライベートブランドが知られるようになり、一般の消費者を取り込むことに成功しています。

新業態「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」には大きな可能性

2018年9月5日、ワークマンは新業態「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」の一号店を、東京都立川市の商業施設「ららぽーと立川立飛」に出店しています。「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」のコンセプトは、「高機能×低価格のサプライズをすべての人へ」というもので、アウトドア、スポーツ、レインウエアを販売する専門店です。「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」では、ワークマンの人気プライベート商品である、アウトドア向けの「FieldCore(フィールドコア)」、スポーツ向けの「Find-Out(ファインド-アウト)」、レインスーツの「AEGIS(イージス)」を多く品揃えしています。

2018年9月5日にオープンした新業態「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」の一号店は、予想以上の売上・客数を獲得することに成功しています。オープン初日は30分のレジ待ち行列ができ、売上は通常店の開店セール記録を3倍近くも更新したとのことです。ワークマンの既存店舗の平均売上は約1億円であるのに対して、「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」の平均売上(見込)は1億2,000万円です。また、既存のワークマンの店舗では女性の比率が約20%であるのに対して、新業態「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」の一号店では約45%まで上昇しており、女性の新規顧客を取り込んでいます。

ワークマンはプロ向けの商品を販売しているため、小売業のニュースでも話題になることは少なく、一般のニュースに名前が出ることはほとんどありませんでした。しかし、新業態「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」はインターネットで大きな話題になり、続いて、テレビ、新聞などでも大きく紹介されました。ワークマンは新業態「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」の一号店のオープンに、ブロガー、インフルエンサーを招待しています。ブロガー、インフルエンサーが「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」をインターネットで紹介したことが、他のメディアへの拡散に繋がっています。

ワークマンはプロ向けの商品の開発・販売を行っていますが、ブログやソーシャルメディアなどで、ワークマンの商品情報を投稿する一般の消費者が増えているとのことです。ワークマンは自社の商品情報を投稿してくれるブロガー、インフルエンサーを自社に招いて、プライベートブランドの開発について助言を得ています。ブロガー、インフルエンサーの影響力が大きくなっていると言われていますが、企業はブロガー、インフルエンサーとどのように関わればいいのか分かっていません。プロ向けの商品を販売するワークマンが、ブロガー、インフルエンサーをうまく活用していることは少し意外でした。

新業態「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」の一号店が大きな成功を収めたことで、今後の多店舗展開が期待されています。2018年9月5日にオープンした「WORKMAN Plus ららぽーと立川立飛店」に続き、11月8日には「WORKMAN Plus 川崎中野島店」、11月22日には「WORKMAN Plus ららぽーと富士見店」がオープンしています。「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」の店舗数は、2018年度は10店舗、2019年度までに40店舗、2020年度までに100店舗の計画です。1店舗あたり1億2,000万円の売上を想定しているため、店舗数が順調に増えれば、売上高も大きく拡大します。

小売業は一つの店舗フォーマットを確立して、同じタイプの店舗を大量に出店することで、売上高・営業利益を拡大してきました。しかし、現在はお客さんのライフスタイルが多様化したこともあり、従来のように一つの店舗フォーマットを大量出店して、業績を伸ばすことが難しくなっています。新業態「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」は、現在3店舗しかありませんが、多店舗展開で業績を拡大できるポテンシャルがあります。「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」は付加価値のあるプライベートブランドを持ち、女性の新規顧客を取り込んでおり、成功する確率はかなり高いと思います。

女性の社会進出により実用的でオシャレな衣服へのニーズが高まる

ワークマンはプロ向けに作業服及び作業関連用品を販売してきましたが、プロ向けの商品に一般の消費者が興味を持つようになり、購入する人が増えています。ワークマンはプロ向けに商品を販売しているため、一般の消費者がワークマンの存在を知る機会は少ないです。一般の消費者がワークマンの商品を購入するようになったきっかけとして、インターネットが果たした役割は大きいです。インターネットでワークマンの商品を知った一般の消費者は、ワークマンのプライベートブランドの付加価値を知り、購入します。プロ向けに価値のある商品は、一般の消費者にとっても価値があるものです。

ワークマンの新業態「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」は、女性の新規顧客を取り込んでいます。プロ向けに作業服及び作業関連用品を販売してきたワークマンが、女性のお客さんを増やしているというのは大きな変化です。女性のお客さんが購入しているワークマンの商品の一つに、「すべりにくい靴」があります。「すべりにくい靴」はプロが仕事の現場で使うものですが、普段の生活が大変な妊婦さんにとっても価値があるものです。マタニティグッズは女性らしいもの、可愛らしいものをイメージしますが、普段の生活の質を高める、実用的なワークマンの商品が女性から注目されています。

女性の社会進出が進んでいて、仕事を持つ女性の数が年々増加しています。職場によっては男女比が偏っていることもありますが、男性が多い職場にも、女性が進出してきます。男性が多い職場で働いている女性は、男性と同じような生活行動、消費行動を取るようになります。ワークマンのお客さんは高齢の男性が中心ですが、男性の職場で働く女性の数が増えれば、ワークマンで仕事用の衣服を購入する女性の数も増えます。これまで男性客を中心に売上を伸ばしてきた企業にとっては、女性の社会進出は売上を伸ばす新しいチャンスで、ワークマンの好調は女性の社会進出の成功事例の一つだと言えます。

男性、女性関係なく、仕事で着用する衣服は、より実用的なものへと変化して行くのではないかと思います。昔はスーツを着て仕事をすることが一般的でしたが、夏場にスーツを着ると非常に暑く、仕事に最適な衣服であるとは言えません。最近はクールビスが浸透したことで、夏場はスーツではなく、涼しい衣服を来て仕事をする人が増えています。また、仕事を持つ女性が増えたことで、仕事で着用する衣服にもオシャレが求められます。実用的でオシャレな仕事用の衣服が欲しいというニーズが高まっていることも、ワークマンのプライベートブランドがよく売れていることと関係しています。

ワークマンの新業態「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」は、多くのメディアで紹介され、インターネットには様々な意見が投稿されています。「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」で販売しているプライベートブランドは、プロ向けの優れた品質と、一般消費者向けのカジュアルさを備えています。「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」のプライベートブランドが人気になったことで、ユニクロなど、他の衣料品小売業に影響が出るのではないかとの意見もあります。ワークマンの商品が持っている、プロ向けの実用性という付加価値は、他の衣料品小売業の商品にはないオンリーワンの特性です。

ユニクロが販売している人気商品に、寒暖差によるムレを解消する「AIRism(エアリズム)」、身体から発する水蒸気を熱に換える「HEATTECH(ヒートテック)」があります。「AIRism(エアリズム)」、「HEATTECH(ヒートテック)」ともに低価格、実用的ですが、これらの商品はワークマンのプライベートブランドと競合する可能性が高いです。ワークマンの商品は労働者が夏、冬の仕事で着用するものであり、ユニクロの商品にはない現場での実績があります。実用的な衣服を来て仕事をしたいと考えるお客さんの中には、ユニクロの商品ではなく、ワークマンの商品を好む人もいると思います。

ネット通販サイトがあれば実店舗がない地域にも商品を販売できる

ワークマンは商業施設「ららぽーと立川立飛」内にオープンした、新業態「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」の一号店に、ブロガー、インフルエンサーを招待して、情報を発信してもらいました。「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」はインターネットで大きな注目を集め、テレビ、新聞、雑誌など、様々なメディアに情報が広がりました。ワークマンにとっても、予想外の注目を集めたため、店舗の混乱、商品の在庫切れなど、多くの機会損失が発生しました。「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」が注目を集めたことはポジティブですが、ネット通販でも機会損失があったのではないかと思います。

ワークマンのネット通販サイトを検索すると、自社EC、楽天市場、Yahoo!ショッピングの店舗が出てきます。インターネット、テレビ、新聞、雑誌で「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」に興味を持ったお客さんは、ワークマンのネット通販サイトを検索します。「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」の話題が増えてからは、自社ECの商品で在庫切れが増えたような印象です。ワークマンはネット通販に特に力を入れていたわけではありませんが、「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」に予想外の注目が集まったことで、ネット通販の在庫切れによる機会損失が惜しく感じられます。

小売業のビジネスには様々なタイプがありますが、高付加価値のプライベートブランドをネット通販で販売するスタイルが、最も収益性が高いと考えられています。高付加価値のプライベートブランドは、競合の小売業との差別化に効果的で、多くのお客さんの注目を集めることができます。また、ナショナルブランド商品のように価格競争もなく、粗利益率も高いです。ネット通販は実店舗よりも販売費及び一般管理費が低く、実店舗のように、お客さんとの関係が切れることもありません。高付加価値のプライベートブランドの開発、ネット通販の拡大は、小売業が目指したい方向性です。

ワークマンは高付加価値のプライベートブランドを開発しており、新業態「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」で多くのお客さんの注目を集めることに成功しました。ワークマンは高付加価値のプライベートブランドをネット通販でも販売すれば、大きな利益を獲得できるチャンスがあります。ワークマンの商品はプロ向けの商品であるため、お客さんはリピーターが多く、同じ商品を複数個まとめて購入します。これらの買い物行動はネット通販との相性がよく、ネット通販でも実店舗と同じように商品を販売できれば、実店舗とネット通販で業績が急拡大することもありそうです。

実店舗で商品を販売してきた従来の小売業は、ネット通販をどのように活用すればいいのか模索しています。実店舗とネットショップが融合したオムニチャネルには、お客さんの買い物の利便性を高める効果があります。お客さんはネットショップで注文した商品を実店舗で受け取ったり、実店舗で見た商品をネットショップで購入することができます。お客さんは実店舗とネットショップをそれぞれ単独で利用するよりも、オムニチャネルの方が買い物がしやすいです。お客さんが買い物がしやすい店舗では、買い物回数、購入点数が増えるため、小売業はオムニチャネルにより売上を伸ばすことができます。

実店舗とネットショップが融合したオムニチャネルは、小売業にとって価値のあるもので、是非とも実現したいものです。一方、ネット通販は単体でも、実店舗のない地域に商品を販売することができるという価値を持っています。「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」は大きな注目を集めていますが、店舗数はまだ3店舗しかなく、ワークマンの店舗が近くにないお客さんも少なくありません。ワークマンの店舗に行けないお客さんは、ネット通販で商品を購入をしたはずです。実店舗がない地域でも、商品を求めるお客さんが急に増えることがあるため、小売業はネット通販へも投資をしなければなりません。