ドンキホーテホールディングスがユニーの子会社化と100店舗の業態転換を発表

ドンキホーテホールディングスがユニーの子会社化と100店舗の業態転換を発表

2018年10月11日、ドンキホーテホールディングスはユニーの株式を100%取得して、子会社にすることを発表しています。ドンキホーテホールディングスとユニー・ファミリーマートホールディングスは2017年8月に業務資本提携を発表して、ドンキホーテホールディングスはユニーの株式を40%取得していました。2018年3月以降は、ユニーの既存店6店舗をドン・キホーテに業態転換する実験を行っていて、売上高・客数が大きくの伸びる結果が得られています。ドンキホーテホールディングスはユニーを子会社にしたことで、ユニーの既存店のドン・キホーテへの業態転換を推し進める計画です。

ユニーの既存店をドン・キホーテに業態転換することにより、売上高・客数が大きく伸び、ユニーの既存店は収益性を高めています。業態転換の実績は6店舗しかありませんが、今後計画されている100店舗についても、売上高・客数を伸ばせるのではないかと思います。総合スーパーを運営する小売業は収益性が悪化していて、店舗の改革・閉鎖を行っています。ユニーは収益性が悪化した店舗をドン・キホーテに業態転換することで、総合スーパーの復活を実現しようとしています。ドンキホーテホールディングスもユニーの好立地の店舗と従業員を獲得することで、規模を拡大することができます。

今後5年間でユニーの既存店100店舗をドンキへ業態転換する計画

2018年10月11日、ドンキホーテホールディングスはユニー・ファミリーマートホールディングスからユニーの株式を取得して、ユニーを100%子会社にすることを発表しています。ドンキホーテホールディングスとユニー・ファミリーマートホールディングスは、2017年8月に業務資本提携を行い、2017年11月には、ドンキホーテホールディングスはユニーの株式を40%取得しています。2018年3月からは、ユニーの一部店舗にドン・キホーテの商品を取り入れ、業態を転換する実験を行ってきました。2017年8月の業務資本提携の発表から、今回のユニーの100%子会社化までの展開は早いです。

ドンキホーテホールディングスがユニーを子会社にすることになった理由は、ユニーの既存店である「アピタ」と「ピアゴ」の業態転換で好結果が得られたからではないかと考えられます。ユニー・ファミリーマートホールディングスが2018年10月11日に発表した、2019年2月期の決算説明資料によると、ドンキホーテホールディングスとの共同実験店舗は売上高・客数を大きく伸ばしています。共同実験店舗6店舗合計(2018年3~8月)の転換前・転換後の実績を比較すると、売上高は68億円から132億円へ、1日の客数は2万人から3万2,000人へ、粗利益は17億円から28億円へと劇的に増加しています。

コンビニエンスストア事業を運営するファミリーマートは、総合スーパー事業・コンビニエンスストア事業を運営するユニーと2016年9月に経営統合しています。ファミリーマートとユニーの経営統合は、ファミリーマートがユニーが保有するサークルKサンクスの店舗網を得ることが目的だと言われていました。ファミリーマートはユニーの総合スーパー事業に関心はなく、近い将来、総合スーパー事業は売却されると当初から予想されていました。今回、ユニーはドンキホーテホールディングスの子会社になりましたが、これは当初より予想されていた形で、ユニーはこれから改革を進めていくことになります。

ドンキホーテホールディングスは2007年に経営不振だった総合スーパー長崎屋を子会社化して、ほとんどの店舗を「MEGAドン・キホーテ」に転換することで、業績を回復させた実績があります。ユニーの業務資本提携のパートナーがドンキホーテホールディングスになったのも、ドンキホーテホールディングスに総合スーパーの立て直しで実績があったからではないかと思います。ユニーとドンキホーテホールディングスの共同実験店舗の売上高・客数が大きく伸びているため、ユニーの既存店を同様にドン・キホーテに業態転換していくことで、ユニーの業績が劇的に改善する可能性は高いと言えます。

ドンキホーテホールディングスがユニーの株式を取得する目的は、ユニーの既存店をドン・キホーテに転換することで、規模の拡大ができるためです。2018年10月11日に行われた記者会見では、2019年にユニーの既存店20店舗の業態転換、5年以内に100店舗を業態転換する計画を発表しています。良い立地には既に店舗が出店していることが多く、少子高齢化による人口減少もあり、小売業が好立地を確保することが難しくなっています。ドンキホーテホールディングスはユニーの店舗を取得して、ドン・キホーテに業態転換することで、短期間で好立地にドン・キホーテの店舗を増やすことができます。

ドンキホーテホールディングスの子会社になるユニーの立場からすると、ユニーの社員は大きな変化を強いられることになります。ドン・キホーテは店舗の権限が強い個店主義を採用しており、ドン・キホーテの商品陳列方法も独特です。ユニーのような歴史の長いチェーン店で働いてきた社員が、ドン・キホーテの店舗で働くことは簡単ではありません。ユニーの業績は改善される可能性が高いですが、社員が気持ちよく仕事ができるかどうかには不安があります。この点はドンキホーテホールディングス、ユニーの社長のインタビューでも触れられていて、業態転換のカギはユニーの社員になりそうです。

ユニーは衣料品と住宅関連商品を強化して食品を低価格販売したい

ユニーとドンキホーテホールディングスが2017年8月に業務資本提携を結んで以降、ユニーとドンキホーテホールディングスの社長のインタビュー記事が多数出ています。ユニーの社長のインタビュー記事を読むと、ユニーの抱えている問題、ドンキホーテホールディングスとの業務資本提携の目的、ユニーの目指す方向性が分かります。ユニーの問題は、食品、衣料品、住宅関連商品の3本柱の中で、衣料品と住宅関連商品の売上が落ち込み、売上構成比に占める食品の割合が高いことです。衣料品と住宅関連商品が売れないのは、総合スーパー業界全体の問題でもあり、ユニーだけの問題ではありません。

総合スーパーは大きな売り場で食品、衣料品、住宅関連商品を販売しているため、家賃、人件費、光熱費などの固定費が大きいです。衣料品と住宅関連商品の売上が落ち込んでも、これらの固定費を減らすことは難しく、総合スーパーの収益性は悪化することになります。総合スーパーの需要自体がなくなっているという見方もありますが、総合スーパーを運営している小売業の売上高の規模は依然として大きいです。日本では高齢化社会が進んでいるため、高齢者のお客さんは総合スーパーで買い物をしているものの、衣料品と住宅関連商品の需要は小さく、食品だけを買っていると考えられます。

ユニーは売上高に占める食品の割合が大きくなっていますが、食品の販売に力を入れる小売業は多く、競争は激しいです。コンビニは以前から食品の販売では総合スーパーの競合ですが、コンビニ各社は中食の商品を増やし、イートインスペースの導入にも取り組んでいます。総合スーパーの食品は価格が安く、品揃えが豊富であることは強みです。一方、店舗が遠方にあること、店舗が広く買い物に時間と体力が掛かることは弱みです。高齢化で体力のない人、女性の社会進出で忙しい人が増えていることもあり、価格や品揃えに不満があっても、手軽に買えるコンビニで食品を買っている人は多いです。

コンビニ以外の競合では、ドラッグストアも存在感を強めています。ドラッグストアは医薬品で稼いだ粗利益を原資にして、ナショナルブランドの食品の低価格販売を行っています。小型店舗で店舗オペレーションも優れていて、販売管理費も低いチェーン店が多いです。相対的に店舗が大きく、店舗効率で劣るユニーが、ドラッグストアとナショナルブランドの食品で価格競争を行うことは分が悪いです。ドラッグストアは店舗数が急拡大しているため、お客さんは気軽に買い物に行けます。生鮮食品や惣菜をユニーで買って、ナショナルブランドの食品はドラッグストアで買うといった店舗の使い分けもできます。

ユニーとドンキホーテホールディングスの共同実験店舗では、ユニーの既存店にドン・キホーテの商品を取り込んでいます。衣料品と住宅関連商品を増やすことで、食品以外の商品を強化しようとしています。業態転換前の共同実験店舗6店舗合計の2017年3~8月の売上高は68億円、食品の構成比は70%、衣料品と住宅関連商品の構成比は30%でした。業態転換後の2018年3~8月の売上高は132億円、食品の構成比は60%、衣料品と住宅関連商品の構成比は40%へと変化しています。ドン・キホーテへと業態転換を行うことで、衣料品と住宅関連商品の売上を増やして、食品の構成比を下げることに成功しています。

ユニーはドン・キホーテの商品を導入することで、衣料品と住宅関連商品の売上を伸ばしています。ユニーは衣料品と住宅関連商品で稼いだ粗利益を原資にして、食品の低価格販売を強化する計画です。ドン・キホーテも食品の販売を行っているため、ユニーはドンキホーテホールディングスの子会社になることで、食品販売のスケールメリットはさらに大きくなります。ユニーの食品がどれくらい安くなるかというのは、今後の注目ポイントの一つです。ドン・キホーテの衣料品と住宅関連商品を導入することには、商圏を拡大する効果もあるので、客数が増え、食品の販売を伸ばすことにも貢献します。

ユニーの既存店は業態転換で若い世代のお客さんの取り込みに成功

ユニーは2018年3月以降、運営する総合スーパー「アピタ」と「ピアゴ」のうち、不振の6店舗の業態転換を行い、「MEGAドン・キホーテUNY」としてリニューアルオープンしています。ドンキへと業態転換した6店舗は、アピタ東海通店(名古屋市)、アピタ豊田元町店(愛知県豊田市)、ピアゴ大口店(横浜市)、ピアゴ座間店(神奈川県座間市)、ピアゴ星川店(三重県桑名市)、ピアゴ国府店(愛知県豊川市)です。これらの店舗はリニューアルにより品揃えは大きく変化していますが、立地・商圏には変化がありません。しかし、ドン・キホーテへの業態転換によって、売上高・客数・粗利益が劇的に増えています。

ユニーは長い歴史を持つ小売業で、ユニーが運営する総合スーパー「アピタ」と「ピアゴ」は、高齢者のお客さんを多く抱えています。高齢者のお客さんは「アピタ」と「ピアゴ」で食品は購入しますが、それ以外のカテゴリーへの支出額が小さいため、「アピタ」と「ピアゴ」の売上が落ち込む要因になっています。ドン・キホーテへと業態転換を行った6店舗は、ドン・キホーテの商品を導入することで、新しいお客さんを取り込むことに成功しています。店舗がドンキ化することで、「アピタ」と「ピアゴ」の既存客の離脱が心配されていましたが、既存客の離脱は大きな問題にはなっていないようです。

ユニーは不振店をドン・キホーテへと業態転換を行っていますが、品揃えの変化が店舗の売上にどのような影響を与えるのか、興味深いデータが取れています。立地・商圏に変化はなく、品揃えを変えるだけで、売上高は前年比190%、1日の客数は前年比160%、粗利益は前年比160%という結果が得られています。この結果を見ると、小売業は地域のお客さんのニーズに合った適切な品揃えをすれば、売上高・客数を増やせることが分かります。ディスカウントストアのドン・キホーテは、現在、最も人気のある店舗の一つですが、ユニーの不振店の業績を回復させた効果には凄まじいものがあります。

既存店を運営してきたユニーの立場では、それぞれの商圏にこれほどのお客さんが居たのかと感じているのではないでしょうか。一生懸命頑張っても既存店の客数を増やすことは難しいですが、ドン・キホーテの商品を導入することで、劇的に客数が増えています。業態転換後の店舗に買い物に来たお客さんは、近所に住んでいるお客さんで、業態転換前の店舗にも買い物に行くことができたお客さんです。これまでユニーの既存店に買い物に行かなかったのは、ユニーの既存店に買い物に行くだけの価値がなかったからで、業態転換後の店舗に買い物に行くのは、買い物に行く価値があるからだと言えます。

ユニーが運営する総合スーパー「アピタ」と「ピアゴ」は、高齢者のお客さんをターゲットにしているため、高齢者のお客さんが買い物がしやすい店舗になっています。若い世代のお客さんをターゲットにした施策が少なくなるので、若い世代のお客さんにとっては、買い物がしにくい店舗になっています。今回、ドン・キホーテが持つ、若い世代のお客さんが好む商品、買い物体験を導入することで、若い世代のお客さんの取り込みに成功しています。高齢者のお客さんを多く抱えている店舗は、若い世代のお客さんの取り込みが難しいですが、両方のお客さんを取り込むことで、売上を大きく増やせています。

日本は少子高齢化の進行で高齢者が若い世代よりも多いため、ビジネス的にも高齢者のお客さんが重要なイメージがあります。また、高齢者の方が若い世代よりも多くのお金を持っているので、高齢者の方が多くお金を使うのではないかと考えてしまいます。ユニーの業態転換で分かったことは、若い世代のお客さんの購買力は小さくはなく、小売業は若い世代のお客さんをもっと積極的に取り込む必要があるということです。小売業の売上高は高齢者のお客さんに支えられているため、高齢者のお客さんを大事にしがちですが、若い世代のお客さんの取り込みも行わなければ、将来の売上高を失うことになります。

総合スーパーは収益性が悪化しているが復活する可能性はある

小売業を取り巻く競争環境は厳しく、業種の垣根を超えた競争、ネット通販の拡大、少子高齢化による人口の減少、ライフスタイルの多様化など、小売業は変化を強いられています。小売業として歴史の長い総合スーパーは収益性が低下していて、総合スーパーの役割は終わったという意見も出てきています。総合スーパーを運営している小売業には、イオン、セブン&アイホールディングス、ユニー、イズミなどがありますが、高い営業利益率を維持できているのはイズミだけです。ただ、総合スーパーの売上規模は依然として大きく、商品や店舗運営を改善することで、営業利益を伸ばせる余地はあります。

総合スーパーは食品・衣料品・住宅関連商品を販売していますが、衣料品と住宅関連商品の売上が落ち込み、食品だけが売れている状況です。総合スーパーが販売する衣料品・住宅関連商品は、カテゴリーに特化した専門店と価格や品揃えで競争することが難しく、お客さんが専門店へと流出しています。総合スーパーは一階が食品、二階以上が衣料品・住宅関連商品の売り場であることが多いですが、二階以上へ足を運ぶお客さんが減っています。衣料品・住宅関連商品の売上が落ち込む中で、賃料・人件費・光熱費といった固定費を減らすことが難しいため、総合スーパーの収益性は悪化してしまいます。

ドン・キホーテはディスカウントストアだと認識されていますが、食品・衣料品・住宅関連商品を販売しているため、総合スーパーと見ることもできます。ユニーが資本業務提携の相手にドンキホーテホールディングスを選択したのも、ドン・キホーテを総合スーパーと認識したからではないでしょうか。ドンキホーテホールディングスが高い営業利益率を確保しているのを見ると、総合スーパーの業態がダメだと断言することはできません。ドン・キホーテでは衣料品・住宅関連商品も売れているため、総合スーパーで衣料品・住宅関連商品が売れないのは、総合スーパーの商品に原因があると言えます。

ドン・キホーテと専門店の衣料品・住宅関連商品を比較すると、品揃え、価格の点でドン・キホーテは分が悪いです。ドン・キホーテの衣料品・住宅関連商品がよく売れる理由を考えると、専門店に買いに行くほどではない、お客さんにとってあまり重要ではない商品が売れているのではないかと思います。ドン・キホーテは一つのお店で何でも買える利便性で、専門店の品揃え、価格に対抗しています。一つのお店で何でも買える利便性は総合スーパーも持っていますが、商品を探し出す買い物体験、手頃な価格、商品のユニークさなども、ドン・キホーテで衣料品・住宅関連商品が売れる要因だと考えられます。

仕事をしている女性・高齢者の数が増加傾向にあるため、買い物に時間を掛けたくない、掛けられない人も増えています。総合スーパーが持つ、一つのお店で多くの商品が買える利便性の価値は、以前よりも大きくなっています。食品・衣料品・住宅関連商品を取り扱っている点では、ドン・キホーテも総合スーパーも同じで、両者ともに、お客さんに利便性を提供しています。総合スーパーで衣料品・住宅関連商品が売れなくなっている理由は、品揃えや価格に問題があるからで、品揃えや価格でお客さんに評価されるようになれば、ドン・キホーテのように高収益の店舗になれる可能性はあります。

総合スーパーは衣料品・住宅関連商品の品揃え、価格で専門店に劣り、お客さんを奪われてきました。しかし、近年は、買い物の利便性を重視するお客さん、低価格志向のお客さんが増えていて、こうしたお客さんの変化は総合スーパーにとっては都合が良いです。忙しくて複数の専門店で買い物をしたくないお客さんは、便利な総合スーパーで商品をまとめて買うようになります。利便性と低価格をお客さんに提供できていれば、商品の品質の不利を補うことができます。今後、商品の品質面で専門店との差を縮めることができれば、買い物の総合的な評価で総合スーパーが盛り返すといったことはあり得ます。