ローソンが「ローソンJEBL秋葉原スクエア店」で都市型立地の実証実験を開始

ローソンが「ローソンJEBL秋葉原スクエア店」で都市型立地の実証実験を開始

2018年10月9日より、ローソンが「ローソンJEBL秋葉原スクエア店」をリニューアルオープンして、都市型立地の実証実験を開始しています。「ローソンJEBL秋葉原スクエア店」で検証される内容は、店舗の効率性・生産性の向上、お客さんの利便性の向上です。「ローソンJEBL秋葉原スクエア店」では、ホットスナックと街カフェコーナーのセルフ販売、お客さんが自分のスマートフォンで決済をする「ローソンスマホペイ」、ビジネスパーソン向けの情報タブレット、文房具の貸し出し、スマートフォンのモバイルバッテリーのシェアリングサービス、アロマコーナーといったサービス・設備が導入されています。

日本では人手不足でアルバイト・パートの採用が難しくなっていますが、ローソンはテクノロジーを活用することで、店舗の生産性を高める取り組みを進めています。「ローソンJEBL秋葉原スクエア店」で導入されている、セルフ販売と「ローソンスマホペイ」がセットで機能すれば、店舗の収益性を大きく改善できるチャンスがあります。コンビニは飽和状態になっていて、店舗数の増加による成長が難しいと考えられています。しかし、テクノロジーの活用で既存店の生産性を高めたり、新しい店舗フォーマットを開発して商圏を開拓することにより、売上高・営業利益を増やすことは可能だと思います。

ホットスナックとマチカフェコーヒー・焼菓子をセルフ形式で販売

「ローソンJEBL秋葉原スクエア店」では、お客さんがセルフ形式でホットスナックが買えるように、お客さんがホットスナックのケースを開閉できる仕様になっています。お客さんは自分でケースを開け、希望するホットスナックをピックアップして、ケースを閉め、レジに並ぶという流れです。従来の店舗では店員がお客さんから注文を受けて、ホットスナックをピックアップしています。レジが混雑している場合、お客さんは店員の手間が掛かるホットスナックの注文を控えることがあります。ホットスナックをセルフ形式にして、お客さんにピックアップしてもらうことで、機会損失を減らそうとしています。

ローソンの2018年2月期の決算補足資料によると、ファストフードの総粗利益率は38.3%となっています。日配食品の総粗利益率は33.9%、加工食品の総粗利益率は24.0%ですから、ファストフードはローソンにとって最も収益性の高い食品だと言えます。「ローソンJEBL秋葉原スクエア店」のホットスナックをセルフ形式で販売する取り組みは、粗利益率の高いホットスナックの販売数量を増やすことで、粗利益を増やす狙いがあります。ホットスナックは粗利益率が高いだけでなく、競合他社と差別化できる商品の一つでもあり、ローソンがホットスナックの販売を強化することは順当です。

「ローソンJEBL秋葉原スクエア店」ではホットスナックと同様に、マチカフェコーナーでも、お客さんが買い物がしやすいように工夫がされています。イートインスペースには、新たにマチカフェコーヒー・焼菓子の売場を設置した「プチカフェコーナー」が設置されています。コーヒーマシンは釣り銭機能内蔵式で、お客さんはレジに並ぶことなく、自分でマチカフェコーヒーを購入することができるようになっています。ローソンでは店員がマチカフェコーヒーを手渡しで販売していますが、この販売方法を好まないお客さんもいるはずなので、セルフ形式にすることで販売数量が増える可能性はあります。

コンビニ各社はそれぞれオリジナルのコーヒーを販売していますが、コンビニのコーヒーはお客さんの目的買いが多い商品であるとのデータもあります。コーヒーはホットスナックほど粗利益率は高くはありませんが、お客さんの来店目的になる商品であるため、コーヒーを買いやすくすることは、お客さんの満足度のアップに繋がります。お客さんにセルフ形式でコーヒーと焼き菓子をセットで購入してもらい、イートインスペースでリラックスしてもらうことがベストのシナリオです。焼き菓子は頻繁に新商品が登場しているので、お客さんに飽きられることなく、リピーターを育てられるのではないでしょうか。

ローソンは様々な食品を販売していますが、「ローソンJEBL秋葉原スクエア店」ではホットスナックとマチカフェコーヒー・焼き菓子のセルフ販売が導入されています。ホットスナックとマチカフェコーヒー・焼き菓子の二点が、今現在、ローソンが最も販売数量を増やしたい食品であると考えることができます。「ローソンJEBL秋葉原スクエア店」は都市型立地の店舗ですから、忙しいビジネスパーソンや若い世代のお客さんの来店を想定しています。セルフ形式を嫌がらない、積極性のあるお客さんが店舗にやってきて、自分でホットスナックやマチカフェコーヒー・焼き菓子を購入していくイメージです。

コンビニ業界では競争が激しくなっていて、既存店の客数減少が長期に渡って続いています。コンビニ各社は新規出店で規模の拡大を行うだけではなく、既存店の収益性の改善にも取り組んでいます。ローソンの2018年2月期の平均日販は536,000円で、2017年2月期の540,000円から4,000円減少しています。ホットスナックは粗利益率の高い商品であり、ホットスナックをセルフ形式で販売することができれば、ローソンは店舗の収益性を改善できます。最近は人手不足が日本全体で広く認識されるようになっているため、セルフ販売、セルフレジなど、小売業はお客さんの協力が得られやすくなっています。

お客さんが自分のスマホで決済を行う「ローソンスマホペイ」を導入

「ローソンJEBL秋葉原スクエア店」では、ローソン独自のスマートフォン決済「ローソンスマホペイ」が導入されています。「ローソンスマホペイ」は2018年4月23日より、一部の店舗で実証実験が開始され、2018年度内に大都市圏を中心に100店舗に導入する予定となっています。ローソンが「ローソンスマホペイ」を導入する目的は、お客さんに自分のスマートフォンを使って決済をしてもらうことで、店員のレジ業務を減らすためです。「ローソンスマホペイ」は特に深夜の時間帯での利用を想定していて、店員はレジ業務が減ることで、翌日の営業に向けた品出し・清掃に注力することができます。

「ローソンスマホペイ」を利用するお客さんは、来店前に専用アプリをインストールしておく必要があります。お客さんはローソンの店舗に到着すると、「自動で検出する方法」か、「店舗のQRコードを読み取る方法」のどちらかで、買い物をする店舗にチェックインをします。店内では購入する商品を手に取り、商品のバーコードをスマートフォンのカメラで読み込みます。買い物が終わったら、専用アプリを操作して決済(クレジットカード・Apple Pay・楽天ペイに対応)を済ませます。決済を済ますと専用アプリにQRコードが表示されるので、店内に設置されている専用リーダーに読み込ませて退店します。

現在、「ローソンスマホペイ」はローソンの一部の店舗で実証実験が行われていて、インターネット上には「ローソンスマホペイ」の体験レビュー・動画が投稿されています。全体的に「ローソンスマホペイ」に好意的な意見が多いですが、これは「ローソンスマホペイ」に関心の強い、意欲的なお客さんが率先して利用しているからではないかと考えられます。「ローソンスマホペイ」はお客さんに自分で決済をしてもらうことで、レジ待ちの時間、レジ待ちのストレスを解消することが目的です。混雑したレジに並びたくないお客さんにとっては、「ローソンスマホペイ」は価値のあるソリューションだと言えます。

ローソンが2018年8月24日に発表した実証実験のデータによると、時間帯別の「ローソンスマホペイ」の売上高は、朝の時間帯(7時~9時)は約3割、昼の時間帯(11時~12時)は約4割となっています。朝の忙しい時間帯、昼食を買う昼の時間帯での利用が多く、レジをすばやく済ませたいお客さんが利用しています。「ローソンスマホペイ」の利用者は30~40代の男性が約6割を占めていて、実証実験店舗の商圏にも左右されますが、忙しいビジネスパーソンが利用しています。ローソンは「ローソンスマホペイ」の導入店舗の拡大を予定しているため、当初の期待通りの成果が得られているようです。

「ローソンJEBL秋葉原スクエア店」では、粗利益率の高いホットスナックのセルフ販売を導入しています。さらに、人件費の削減効果のある「ローソンスマホペイ」を導入することで、粗利益率の高いホットスナックを、人件費を掛けずに販売をするという仕組みになっています。実際にホットスナックを「ローソンスマホペイ」で購入できるかどうかは不明ですが、購入できるようになれば、店舗の収益性を改善することができます。従来の店員に注文をするホットスナックの購入方法と比較すると、セルフでホットスナックを購入する方法は、便利で時間が掛からず、販売数量が伸びるのではないでしょうか。

「ローソンJEBL秋葉原スクエア店」は、比較的小型な店舗が多い都市型立地での効率性、お客さんの利便性や店舗の生産性の向上を実証実験するための店舗です。セルフの販売方法と「ローソンスマホペイ」を導入することで、お客さんの利便性を高め、商品の販売数量を伸ばす手法は、ローソンの都市型立地店舗の理想の形ではないかと思います。一般的に、都市型立地の店舗は郊外型立地の店舗よりもお客さんが多いため、レジや店内の混雑により多くの機会損失が発生していると考えられます。セルフ販売や「ローソンスマホペイ」でお客さんの利便性を改善すれば、売上を伸ばせるポテンシャルは大きいです。

ビジネスパーソン向けの設備・サービスを導入して集客力を高める

「ローソンJEBL秋葉原スクエア店」では、ビジネスパーソン向けの設備、サービスが導入されています。イートインスペースのテーブルには情報タブレットが設置されていて、ローソンアプリや雑誌、新聞紙面ビューアーが利用でき、全6席に電源(USBあり)が設置されています。また、文房具の貸し出しコーナーがあり、ボールペン、修正液、はさみ、のり、セロハンテープなどを借りることができます。この他、ほぼ全てのスマートフォンに対応可能なモバイルバッテリーのシェアリングサービス「ChargeSPOT」、アロマの香りを嗅ぐことができる「アロマコーナー」も導入されています。

「ローソンJEBL秋葉原スクエア店」に導入されている、ビジネスパーソン向けの設備やサービスは、お客さんの来店機会を増やすための施策だと考えられます。コンビニは各種公共料金の支払い、ATMの利用、チケットの購入などのサービスを提供することで、お客さんの来店機会を増やし、ついで買いで売上を伸ばしてきました。どの設備、サービスもお客さんに喜ばれそうですが、文房具の貸し出しは少し意外な感じもあります。文房具は従来のローソンの店舗でも販売していますが、文房具を販売ではなく貸し出しにするということは、販売で得る売上よりも、お客さんの利便性の向上を重視しているようです。

コンビニ業界はセブンイレブン、ファミリーマート、ローソンの大手三社が多くのシェアを持っていて、販売している商品・提供しているサービスもよくに似てます。お客さんはどこのコンビニを選んでも、自分の希望する商品の購入・サービスの利用ができます。しかし、コンビニチェーン店は商品・サービスで他社にないものを提供しようと取り組んでいて、今後は、各チェーン店で差別化が図られるのではないかと思います。「ローソンJEBL秋葉原スクエア店」に導入されている、ビジネスパーソン向けの設備、サービスは他社の店舗にはないもので、お客さんに店舗を選んでもらうための価値になります。

現在、コンビニ各社はイートインスペースの拡大を進めていて、イートインはコンビニの日販を増やすビジネスチャンスとして期待されています。お客さんがイートインの店舗を選ぶ基準は、店舗へのアクセス、食品の品揃え・価格などですが、イートインスペースに情報タブレットがあれば、これもイートインの店舗を選ぶ理由になります。多くの人がスマートフォンを持っている状況ではありますが、スマートフォンを持っていない人もいます。スマートフォンを持っていないお客さんにとっては、雑誌や新聞が読める情報タブレットは十分に価値があるもので、学生や高齢者のお客さんの利用が期待できます。

「ローソンJEBL秋葉原スクエア店」に導入されている、ホットスナックと街カフェコーナーのセルフ販売、お客さんが自分のスマートフォンで決済をする「ローソンスマホペイ」は、店舗の収益性・生産性に直結するものです。この2つと比較すると、ビジネスパーソン向けに導入されている設備、サービスは、店舗の収益性・生産性への貢献は不確かです。情報タブレット、文房具、バッテリーのシェアリングサービスは備品の管理が増えるので、店員の業務も増えます。追加の投資を行ってでも、従来のローソンにはない、新しい付加価値を増やさなければ、集客が難しくなっていると見ることもできます。

コンビニ業界は以前から飽和状態だと言われ続けていますが、近年は業界全体で既存店の客数の落ち込みが目立つようになっています。2018年2月期のローソンの既存店の客数は1日804人となっていて、2017年2月期の819人から1.3%減少しています。今後も、コンビニチェーン店は新規出店を続ける一方、業種の垣根を超えた競争は激しくなり、少子高齢化による人口減少もあります。コンビニの既存店が客数を維持することは難しく、商品以外の価値も高める必要があります。店舗が提供しているサービス、店舗の買い物のしやすさ、店舗の清潔感なども、お客さんが店舗を選択する基準として重要になります。

コンビニが店舗数を増やすためには様々な店舗フォーマットが必要

「ローソンJEBL秋葉原スクエア店」は、都市型立地の実証実験を行う店舗としてリニューアルされています。ローソンが「ローソンJEBL秋葉原スクエア店」の実証実験で検証するものは、都市型立地での効率性、店舗の生産性、お客さんの利便性の向上です。「ローソンJEBL秋葉原スクエア店」で行われている取り組みは、ホットスナックと街カフェコーナーのセルフ販売、お客さんが自分のスマートフォンで決済をする「ローソンスマホペイ」、ビジネスパーソン向けの情報タブレット、文房具の貸し出し、スマートフォンのモバイルバッテリーのシェアリングサービス、アロマコーナーといったものです。

「ローソンJEBL秋葉原スクエア店」で検証されている内容を見ると、ローソンが都市型立地でどのような店舗を運営したいのかを推測することができます。ローソンが都市型立地で販売したい商品はホットスナックとマチカフェコーヒー・焼き菓子で、これらの商品は人気があり、目的買いになりやすく、粗利益率も高いという特徴があります。ホットスナックとマチカフェコーヒーは店員が注文を受け、商品を渡しますが、店舗の混雑時はお客さんは購入を躊躇します。「ローソンJEBL秋葉原スクエア店」ではセルフ販売の方式にして、お客さんに商品を自分で取ってもらうことで、機会損失を減らそうとしています。

コンビニを含め、小売業の成長戦略は、ベースとなる店舗フォーマットを作り、同じ店舗フォーマットの店舗を増やして規模を拡大することです。同一フォーマットの店舗を拡大することにより、小売業は効率のアップ、生産性のアップ、粗利益率のアップといったメリットを得てきました。しかし、お客さんのニーズの多様化、少子高齢化による人口の減少、業種を超えた競争の激化などが理由で、同一の店舗フォーマットで店舗数を増やすことが難しくなっています。小売業の成長戦略は店舗を増やすことですが、店舗を増やすことが難しくなった企業は、成長が止まり、業績も停滞する状況に陥ります。

ローソンが「ローソンJEBL秋葉原スクエア店」で都市型立地の実証実験を行う目的は、新しい店舗フォーマットを模索するためです。「ローソンJEBL秋葉原スクエア店」では、お客さんのニーズに応えられるよう即食性の高い食品のカテゴリーを拡大し、日用品や雑誌などのカテゴリーを縮小しています。セルフ販売方式、「ローソンスマホペイ」についても、若い世代のお客さんが多い都市型立地の店舗であれば、利用してくれるお客さんが多いのではないかという期待もあります。店舗フォーマットにこだわらず、商圏に合わせた店舗運営を行うことは、コンビニとしてのローソンの幅を広げることになります。

セブンイレブン、ファミリーマート、ローソンのコンビニ大手三社は、お互いに他社を研究しながら、商品開発、店舗作りを行っています。ローソンはテクノロジーを活用した店舗の生産性の改善に取り組んでいて、セブンイレブンやファミリーマートにはない積極性があります。お客さんが自分のスマートフォンで決済を行う「ローソンスマホペイ」は画期的な仕組みですが、お客さんに負担を強いているとも言えます。テクノロジーの活用がうまく機能すればよいのですが、セブンイレブン、ファミリーマートの店舗と買い物体験が大きく異なることには、客離れを起こしてしまう不安もあります。

粗利益率の高いホットスナックがセルフ販売方式と「ローソンスマホペイ」の決済で売れるようになれば、非常に高収益の店舗になれる可能性があります。ホットスナックとマチカフェコーヒー・焼き菓子だけを販売して、「ローソンスマホペイ」で決済する、超小型の店舗フォーマットも考えられます。コンビニは食品スーパーやドラッグストアと競合していますが、最近はネット通販との競合も始まっていて、競合店舗にはない、価値のある商品をアピールしたいところです。コンビニにとって、最も価値のある商品はホットスナックで、ホットスナックの拡大がコンビニの将来と言ってもよいと思います。