法人・個人事業主向けネット通販「Amazon Business」は幅広い業種の企業が利用

法人・個人事業主向けネット通販「Amazon Business」は幅広い業種の企業が利用

法人・個人事業主向けネット通販「Amazon Business」は、2017年9月のスタートから1年が経ちますが、幅広い業種の企業が利用しています。企業が「Amazon Business」を利用するメリットは、購買業務を「Amazon Business」に集約することで、大幅なコスト削減が期待できる点です。日本で「Amazon Business」を利用している企業でも、請求書の枚数の削減、購買業務に掛かる労働時間の削減といった効果が報告されています。また、日本の大学の6割以上が「Amazon Business」を利用していて、購買業務の規模が大きな事業者ほど、「Amazon Business」のコスト削減効果も大きいです。

Amazonは従来の小売業にとって脅威ですが、「Amazon Business」の登場により、さらに売上を奪われることになると思います。小売業は消費者を相手に商品を販売していますが、企業向けの販売も少なくありません。ホームセンターは金物・資材・建材、オフィス用品といった企業向けの商品を多数販売していて、これらの商品は「Amazon Business」で購入されるようになる可能性があります。従来の小売業が「Amazon Business」と品揃え、価格、利便性で競争することは難しく、「Amazon Business」は企業の需要を取り込んで巨大なECプラットフォームになりそうです。

「Amazon Business」は企業の購買業務に関するコストを削減

「Amazon Business」は法人・個人事業主向けネット通販サービスで、現在、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランス、日本、インド、イタリア、フランスの8ヶ国で展開されています。日本では2017年9月よりサービスを開始しています。全世界の売上高は100億ドルを超えていて、売上高の半分以上は出品者の販売であるとのことです。「Amazon Business」を利用している業種は幅広く、一般企業、教育機関、病院、大学、データセンター、レストラン、自治体などが導入しています。「Amazon Business」の豊富な品揃え、利便性、コスト削減効果は、業種に関係なく価値のあるのものです。

「Amazon Business」は、法人・個人事業主と商品を販売する事業者をマッチングするマーケットプレイスです。AmazonはBtoCでマーケットプレイスを運営していますが、「Amazon Business」は新しいBtoBのマーケットプレイスです。「Amazon Business」を利用する法人・個人事業主は、より条件の良い取引先を探すことができます。商品の価格比較をしやすいことは、マーケットプレイスの特徴の一つです。商品を販売する事業者は、「Amazon Business」で新しい取引先を探すことができます。新規開拓が難しい小規模の事業者は、「Amazon Business」には大きなチャンスがありそうです。

「Amazon Business」の狙いは、企業が抱えている、非計画購買(都度購買)に関するコスト的な問題を解決することです。企業は継続的に非計画購買(都度購買)を行っていて、取引先の数は増え続け、取引先の管理には膨大なコストが掛かっています。企業の購買業務には膨大なコストが掛かっていますが、解決するソリューションがないため、それほど問題視されずに来ました。「Amazon Business」は購買業務を単純化、一元管理することで、コスト削減を狙っています。「Amazon Business」は商品を売買するマーケットプレイスであるだけでなく、購買業務のコストを削減するソリューションでもあります。

企業は多くの取引先から商品を購入していて、注文方法、支払い方法には様々な形があります。商品の注文方法は、電話、インターネット、実店舗などがあり、支払い方法は振込、クレジットカード、現金などがあります。様々な注文方法、支払い方法がある中で、取引先の数は増え続けるため、取引先の管理業務は複雑になります。「Amazon Business」は購買業務を集約するプラットフォームであり、企業の注文業務、支払業務は集約され、簡素化します。購買業務をインターネットに集約する流れは、BtoBでもBtoCでも起こっていて、法人、個人に関係なく、社会全体が求めているものです。

「Amazon Business」の拡大は、Amazonで商品を販売している事業者にとっては売上を伸ばす新しい機会です。ネット通販というとBtoCをイメージしますが、BtoBの方が市場規模は大きいです。「Amazon Business」を利用する企業は、できるだけ多くの購買業務を「Amazon Business」で行うようになると考えられます。これまでは別のルートで購入されていた商品も、「Amazon Business」で購入されるようになります。企業のまとまった購買需要が「Amazon Business」に流入して来るので、Amazonで商品を販売している事業者は、特に販促活動を行わなくても、売上が伸びるチャンスがあります。

「Amazon Business」には、企業の購買業務のコストを削減する効果がありますが、これはAmazonの出品者も得られる効果です。「Amazon Business」の取引が増えれば、複数の企業から電話で注文を受けたり、複数の企業へ請求書を送るといったことは減ります。経営リソースの少ない小規模の事業者にとっては、「Amazon Business」は積極的に利用したいプラットフォームになるのではないでしょうか。「Amazon Business」は小規模事業者が抱えている、新規開拓が難しい問題、顧客管理の負担が大きい問題を解消する効果があり、購入者側だけでなく、出品者側にも大きなメリットがあります。

日本の「Amazon Business」は開始から1年で順調に成長

「Amazon Business」はアメリカ、ドイツ、イギリス、フランス、日本、インド、イタリア、フランスの8ヶ国で展開されていてますが、利用する企業の規模、業種は、各国に大きな違いはないようです。日本で「Amazon Business」を利用している企業には、日本航空、レオパレス21、マイナビ、ヒューマンライフケア、ナビタイムジャパンなどがあります。また、「Amazon Business」は多くの大学に利用されていて、東北大学や大阪大学など、6割以上の大学が「Amazon Business」を利用しています。「Amazon Business」の登場により、大学の購買業務には変化が出ていると考えられます。

日本の「Amazon Business」は2017年9月よりスタートしましたが、開始から1年で多くの企業が利用しています。AmazonはBtoC事業で大きな信用を得ているため、BtoC事業の実績がBtoB事業の拡大に貢献している部分もあると思います。ある企業が購買業務を「Amazon Business」で行うようになると、その企業と取引をする企業も「Amazon Business」を使わなければならなくなります。大きな購買力を持つ企業が「Amazon Business」を使い始めると、既存の取引に大きな影響が出そうです。「Amazon Business」の成長の鍵は、大きな購買力を持つ大企業の取り込みだと言えます。

日本の「Amazon Business」の特徴の一つとして、請求書払いを利用する企業が多いことがあげられています。「Amazon Business」を展開している8ヶ国の中で最も利用率が高く、年商300億円以上の企業の7割が請求書払いを選択しているとのことです。購買業務では、支払い方法、支払い時期は様々ですが、「Amazon Business」を利用すれば、支払いは1回でまとめて済むので購買業務が簡素化されます。また、購買業務を一元化できる、履歴管理ができることも「Amazon Business」のメリットです。複数の支店、店舗を抱える企業は、「Amazon Business」の利用でコスト削減が期待できます。

「Amazon Business」の利用で削減されるコストは、請求書の紙に掛かるコスト、購買業務に関わる人的コストの大きく2つです。ナビタイムは「Amazon Business」の利用により、請求書の数が以前より30%減少する効果が出ています。「Amazon Business」では取引が集約され、月末にまとめて請求されるため、請求書の数は減ることになります。また、ヒューマンライフケアは「Amazon Business」の利用により、年間で約9,000時間の労働時間の削減を見込んでいます。ヒューマンライフケアは約90の拠点の請求書を集約することで、経理の小口処理工数を大幅に削減することに成功しています。

日本の「Amazon Business」は2017年9月よりスタートしていて、サービス開始以降、新機能が追加されています。2017年11月には「購買コントロール」、2018年7月には「オンライン入札リクエスト」が追加されています。「購買コントロール」は、利用企業が出品者、商品を管理する機能です。好ましい出品者・商品、好ましくない出品者・商品の情報を共有することで、購買業務の品質を維持できます。「オンライン入札リクエスト」は、利用企業が出品者にボリュームディスカウントを求める機能です。数量を指定して出品者から相見積もりが取れるので、最も良い条件で商品を購入することができます。

企業は安く商品を調達したい、購買業務を平準化したいという希望を漠然と持っていたと思います。ただ、具体的にどうすればいいといったソリューションはなく、企業の購買業務の問題は放置されてきました。「Amazon Business」はこれまで企業が購買業務で抱えていた問題を解決する新しいソリューションです。企業は「Amazon Business」を利用することで、商品を安く調達することができ、購買業務のコスト削減も行えます。現在、日本全体で生産性を高める動きが拡大しているため、「Amazon Business」は生産性を高めるソリューションとして急成長する可能性があります。

「Amazon Business」の拡大は従来の小売業の販売機会を減らす

日本のAmazonの2017年の売上高は119億700万ドルで、前期比10.3%増と安定的に成長しています。お客さんの買い物が実店舗からネットショップへと移行していて、従来の小売業はAmazonにお客さんを奪われる形になっています。BtoB事業の「Amazon Business」も、従来の小売業からお客さんを奪うことになります。一般的に、小売業は消費者相手に商品を販売していると考えられていますが、企業向けの販売も少なくありません。企業が実店舗で行っている非計画購買(都度購買)がまとめて「Amazon Business」に移行することになれば、従来の小売業の売上にも影響が出てきます。

経済産業省の調査「電子商取引に関する市場調査」によると、2017年度のBtoCにおける日本国内のEC市場規模は16兆5,054億円(前年比9.1%増)、EC化率は5.79%です。2017年度のBtoBにおける日本国内のEC市場規模は317兆2,110億円(前年比9.0%増)、EC化率は29.6%です。ECと聞くとBtoCをイメージしますが、BtoB市場はBtoC市場の19.2倍の規模があり、EC化も進んでいます。Amazonにとっても、本当に重要なのはBtoC事業ではなく、BtoB事業なのかもしれません。「Amazon Business」が拡大すれば、Amazonの売上高への貢献はBtoC事業よりも大きくなるはずです。

「Amazon Business」の影響を最も受けるのは、企業向けの販売が多いホームセンターではないでしょうか。ホームセンターは金物・資材・建材、オフィス用品など、企業が必要とする商品を多数販売していて、企業の制服を着たお客さんをよく目にします。ホームセンターは必要な商品をすぐに購入することができるので、企業の非計画購買(都度購買)に都合の良い店舗です。また、一部のホームセンターは配送も行っていて、消耗品の定期購入・定期配達もありそうです。ホームセンターは企業向けの販売では優位なポジションを確立していますが、「Amazon Business」の登場は気になるところです。

企業向けの販売でホームセンターが優れている点は、必要になった商品をすぐに購入できることです。「Amazon Business」は2億点の品揃えがあるとされていますが、商品がすぐに手に入るという点ではホームセンターには及びません。ただ、個人事業主・法人が「Amazon Business」を利用始めると、購買業務のほとんどが「Amazon Business」で行われるようになってしまいます。現場の従業員がホームセンターでの買い物を好んでいても、企業の方針で「Amazon Business」を利用するようになれば、ホームセンターで行われている企業の非計画購買(都度購買)は減少してしまうことになります。

日本の「Amazon Business」の意外な販売実績として、介護施設が七夕飾りや娯楽品などのイベント用品、生活用品を注文していることがあげられています。「Amazon Business」はオフィス用品や工具の販売を見込んでいたため、介護施設からのこうした注文は意外だったとのことです。介護施設はこれらの商品を実店舗で購入していましたが、「Amazon Business」へと購入場所が変わったことになり、実店舗から「Amazon Business」へと注文が流出しています。介護施設は人手不足の事業所が増えているため、購買業務の負担を減らせる「Amazon Business」を利用するのは順当なことです。

ネット通販の脅威が大きくなるなかで、商品が今すぐに手に入ることは実店舗の強みだと考えられています。この強みはBtoCとBtoBの両方に当てはまるものですが、BtoBにおいては、非計画購買(都度購買)を減らしていく方向へ進むと思います。非計画購買(都度購買)はどうしても発生しますが、発生しなければしないに越したことはなく、企業はより計画的に購買業務を進めたいです。介護施設の事例のように、イベント用品、季節用品は「Amazon Business」で計画的に購入した方が効率がよいです。イベント用品、季節用品は、「Amazon Business」の中核商品として拡大していく可能性が高いです。

「Amazon Business」は利便性に優れたECプラットフォーム

AmazonはECサイトを運営する企業ですが、最近は物流企業としても見られるようにもなっています。Amazonは物流センターを日本全国に建設していて、Amazonの優れた買い物体験は物流システムに支えられています。Amazonは付加価値の高いプライベートブランドを販売しているわけではなく、他の店舗でも売っているナショナルブランド商品を販売しています。Amazonは商品の価値が優れているのではなく、品揃え、価格、利便性の総合的な買い物体験で人気になっています。特に、複数のカテゴリの商品が買える、自宅から注文できて自宅に届くことは、従来の小売業には提供できない価値です。

従来の小売業は価格競争に力を入れてきましたが、買い物の利便性についてはそれほど重視してこなかったと思います。品揃えについても、品揃えを拡大するのではなく、品揃えを絞り込むことにより、小売業としての専門性が高まると考えられてきました。幅広いカテゴリの商品を一度にまとめて配達するAmazonが登場したことで、従来の小売業も品揃え、利便性を強化しなければならない状況になっています。品揃えの拡大は店舗の魅力を高め、店舗の売上を増やすことに繋がりますが、Amazonが提供している買い物の利便性については、従来の小売業が同じような買い物体験を生み出すことは難しいです。

「Amazon Business」はAmazonのBtoB事業ですが、BtoC事業とは異なるスケールの大きさを感じさせます。「Amazon Business」の利用企業の中には、1年間で1万品目以上の商品を購入している企業もあるとのことです。企業を運営する上で必要となる備品を「Amazon Business」だけで調達できるという事実は、「Amazon Business」の品揃えの豊富さを証明しています。Amazonが品揃えの拡大で問題を抱えているといった情報はないので、物流倉庫の建設・増床を継続的に行うことで、「Amazon Business」の品揃えはさらに強化され、お客さんはますます多くの商品を購入するようになります。

Amazonといえば便利なECサイトのイメージですが、BtoBの「Amazon Business」はBtoCよりもさらに利便性で優れています。AmazonはBtoCを始めた後、BtoBを始めていて、これはBtoBの方がお客さんに要求されるクオリティが高いからではないでしょうか。BtoCで品揃え、価格、利便性の基盤を構築した後、満を持してBtoBに参入したように見えます。ECのBtoBはBtoCの19.2倍の市場規模があり、収益の点ではBtoBの方がBtoCよりも重要です。「Amazon Business」で1万品目を購入する企業があること、BtoBの市場規模が大きいことを考慮すると、「Amazon Business」のポテンシャルは大きいです。

BtoCのAmazonはECサイトですが、BtoBの「Amazon Business」はECプラットフォームだと言えます。企業が一度「Amazon Business」の利用を開始すると、「Amazon Business」と利用企業の関係は途切れることなく、未来永劫続いていきそうです。「Amazon Business」の役割は商品を買いたい企業・商品を売りたい企業のマッチング、物流サービス、請求サービスといったもので、今後もECプラットフォームとしての価値がなくなることは考えにくいです。商品を買いたい企業・商品を売りたい企業が増えるほど、ECプラットフォームである「Amazon Business」の価値は高まります。

Amazonは従来の小売業の大きな脅威ですが、BtoBの「Amazon Business」を見ると、品揃え、価格、利便性で従来の小売業が競うのはやはり難しいです。従来の小売業が店舗を維持していくためには、Amazonのような利便性ではなく、別の付加価値をお客さんに提供する必要があります。ネットショッピングは必要な商品を、安く、便利に買うという点では優れていますが、商品ページを見たり、商品をカートに入れることに楽しさはありません。BtoBの「Amazon Business」は、従来の小売業から法人・個人事業主のお客さんを奪うことは確実なため、これまで以上に一般のお客さんが重要になってきます。