なぜスーパー・コンビニではイートインスペースを設置する店舗が増えているのか

なぜスーパー・コンビニではイートインスペースを設置する店舗が増えているのか

総合スーパー、食品スーパー、コンビニでは、数年前からイートインスペースを設置する店舗が増えていて、弁当・惣菜を販売する業種に共通した動きになっています。現在、女性の社会進出、単身世帯の増加によって中食市場が拡大していて、イートインスペースの設置は、お客さんが弁当・惣菜を買いやすくするための工夫だと言えます。弁当・惣菜をよく買うお客さんにとっては、自宅でゴミを処理する負担が大きいですが、イートインスペースを利用すれば、自宅でゴミを処理することがなくなるので便利です。

昼食に総合スーパー、食品スーパー、コンビニで弁当・惣菜を買って、会社で食べる人は多いと思いますが、快適なイートインスペースで食事をすれば、会社でゴミを処理する面倒がなくなります。イートインスペースの設置によって、お客さんは弁当・惣菜が買いやすくなるので、弁当・惣菜の売上アップにも繋がります。また、来店回、数滞在時間が増える効果もあるので、弁当・惣菜以外の商品も販売している総合スーパー、コンビニでは、お客さんに商品を見てもらえる機会も増え、店舗全体の売上アップも期待できます。

スーパー・コンビニでイートインスペースを設置する店舗が増える

総合スーパーには以前からテーブルと椅子を設置した休憩スペースがありましたが、ゴミ箱を増やしたり、POPを付けたりして、イートインスペースを強調しています。総合スーパーは店舗面積が広く、現在は衣料品、生活用品の販売が不調で店舗の収益性が低下していることもあり、イートインスペースを広く取ることができます。イートインスペースはテーブル同士の距離にある程度の余裕がなければ、他のお客さんが気になって使いにくいということもあるので、スペースは広いに越したことはありません。

総合スーパーは弁当・惣菜・パンなどの売り場が大きく、食品を販売する専門店も多数あるので、イートインを利用するお客さんに豊富な品揃えを提供できます。総合スーパーは食品以外の商品の販売が苦戦していて、食品の販売の重要性がさらに高まっているため、食品の販売機会を増やせるイートインへの期待は大きいです。総合スーパーはイートインに提供する食品、イートインのためのスペースを既に保有しているため、イートインの利用者が増えれば、店舗の収益性の改善に貢献してくれます。

食品スーパーは店舗面積に余裕はないため、既存店にイートインスペースを設置する動きはないようですが、新店ではイートインスペースが設置された店舗を目にすることもあります。お客さんが食品スーパーで買い物をする目的は食品を買うことで、やらなければならない1日の作業の一つとして組み込まれていることが多いです。総合スーパーでの買い物のように、時間を掛けて売り場を歩き回るといったことがないので、食品スーパーではイートインスペースで休憩したい、食事をしたいというニーズはあまりなさそうです。

食品スーパーの競争環境は厳しいため、イートインスペースの設置で売上を増やせるチャンスがあるのであれば、やってみようと検討する食品スーパーもあるかもしれません。食品スーパーでは仕事が終わった夕方以降の時間帯に、弁当・惣菜を購入するお客さんが増えるので、弁当・惣菜を購入したお客さんがイートインスペースで食事をすることはあります。仕事帰りに弁当・惣菜を購入するお客さんの中には、単身者もいるので、便利なイートインスペースがあればリピーターになってもらうことができます。

コンビニでは以前からミニストップがイートインスペースを設置していましたが、セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートにはイートインスペースはありませんでした。数年前からセブンイレブン、ローソン、ファミリーマートはイートインスペースの設置を行っていて、コンビニはイートインの利用者が増えると見込んでいることになります。コンビニは店舗面積は小さく、店舗フォーマットに基づいて商品のレイアウトも決まっているため、すべての既存店にイートインスペースを設置することは難しそうです。

コンビニは既存店の客数の減少が続いていることもあり、これから新規出店する店舗ではイートインスペースは標準設備として設置されるようになるのではないかと思います。コンビニは中食需要を取り込むため、揚げ物・惣菜・冷凍食品の品揃えを増やしていますが、自宅に持って帰らずにイートインスペースで食べたいお客さんもいます。お客さんが揚げ物・惣菜・冷凍食品を購入する理由は、食事の負担を減らすためですが、購入した商品をイートインスペースで食べれば、自宅でゴミを処理する負担もなくなります。

中食需要の拡大によってイートインスペースの利用者が増える

数年前から、総合スーパー、食品スーパー、コンビニがイートインスペースを増やしているとのニュースが出始めましたが、イートインスペースの需要があるかどうかは懐疑的でした。総合スーパーには以前からテーブルと椅子が設置された休憩スペースがあり、そこで食事をする人もいて、店内で買ったものを食べることに真新しさはありません。コンビニではミニストップに以前からイートインスペースがありますが、ミニストップは特に業績が良いわけではなく、イートインスペースが重要だという認識はありません。

総合スーパー、食品スーパー、コンビニにはイートインスペースを増やしたい理由があり、お客さんはイートインスペースを利用するだろうという勝算があるような感じです。総合スーパー、食品スーパー、コンビニはそれぞれの事情で厳しい競争環境にあるため、イートインスペースの設置は、店舗の集客力を高める施策の一つだと考えることができます。女性の社会進出、単身世帯の増加によって中食市場の拡大が続いていて、購入した商品を店内のイートインスペースで食べたいお客さんも増える可能性があります。

お客さんがイートインスペースを利用する理由の一つは、ゴミを処理する負担がないことで、イートインスペースのゴミ箱に捨てれば自宅で食べるよりも快適です。総合スーパー、食品スーパー、コンビニの弁当・惣菜は、職場での昼食、自宅での夕食で食べることが多いですが、会社でも自宅でもゴミの処理は面倒くさい作業です。弁当・惣菜の購入者は料理に時間を掛けたくない人が多く、弁当・惣菜の購入頻度が多い人もいるため、イートインスペースは弁当・惣菜のヘビーユーザーにとってはありがたいサービスです。

イートインスペースはテーブルと椅子、ゴミ箱を設置したシンプルなものですが、店舗側からお客さんに積極的にイートインを勧めることによって、お客さんは利用しやすくなっています。これはちょい飲みと似ていて、店舗側が積極的にお酒を勧めれば、これまでお酒を飲まなかった飲食店でもお酒を飲むようになっていて、イートインも店舗側が積極的に勧めれば利用者が増えます。職場で弁当・惣菜のゴミを処分するのは負担が大きいので、昼食時のイートインスペースの利用者は急増するのではないかと思います。

訪日外国人(インバウンド)が年々増加していますが、総合スーパー、食品スーパー、コンビニは、訪日外国人(インバウンド)のイートインスペースの利用も見込んでいるはずです。訪日外国人(インバウンド)は和食を食べることを旅行の目的の上位にあげていて、総合スーパー、食品スーパー、コンビニの弁当・惣菜も、訪日外国人(インバウンド)にとっては魅力的な商品です。訪日外国人(インバウンド)は日本人のお客さんよりも購入点数が多いため、イートインスペースの導入により、かなり大きな売上アップが期待できます。

訪日外国人(インバウンド)は日本全国を旅行しますが、総合スーパー、食品スーパー、コンビニの店舗も日本全国にあり、どの店舗を利用しても同様のクオリティの食事ができます。食事にお金と手間を掛けたくない訪日外国人(インバウンド)にとっては、価格は手頃でゴミの処理もない、総合スーパー、食品スーパー、コンビニのイートインスペースは利用価値があります。今後、日本のことをよく知るリピーターの訪日外国人(インバウンド)が増えれば、イートインスペースのリピーターも増えます。

店内の食材を料理して提供する注目の新業態「グローサラント」

イートインを拡張した新しい業態として「グローサラント」が注目されていて、「グローサラント」は「Grocery(食料品)」と「Restaurant(飲食店)」を組み合わせた造語です。「グローサラント」は食品スーパーの店内で販売している食材を使って料理を提供することが特徴で、陳列している食材が食べられるというライブ感がお客さんへの訴求ポイントです。「グローサラント」は欧米で人気が高まっているとのことで、日本でも流行るのではないかと、一部の総合スーパー、食品スーパーが取り組みを始めています。

「グローサラント」でインターネットを検索すると、スーパーマーケットの成城石井、総合スーパーのイオンといった大手小売業の他、いくつかの小売業、専門店の名前が出てきます。お客さんはこれまで食材を購入する店舗として成城石井、イオンを利用してきましたが、新しく導入された「グローサラント」で食事をするのかどうか、これからの利用状況に注目です。「グローサラント」はお客さんが店内で食事をするため、イートインと関連付けられることがありますが、その中身は全く別物だと言えます。

「グローサラント」は料理を提供して売上を増やすだけではなく、料理を通じて食材の価値、店舗のコンセプトをお客さんに理解してもらう狙いもあります。お客さんにとっては価値のわからない食材を購入することは難しいですが、「グローサラント」で食材を使った料理を食べてみることで、その食材の価値を判断することができます。陳列されている食材が食べられるというのは、これまでの食品スーパーにはなかった新しいライブ体験で、お客さんは普通の飲食店とは違う魅力を感じるのではないでしょうか。

食品スーパーでは商品を紹介する試食を行っていますが、「グローサラント」はお客さんに料理の代金をいただき、かつ、食材も紹介する優れた仕組みになっています。「グローサラント」が人気になれば、「グローサラント」の売上が増えるだけでなく、食材の販売も増える確率が高いので、「グローサラント」には単に売上を稼ぐ以上の役割があります。成城石井、イオンの「グローサラント」の料金は少し高めの設定ですが、定期的にキャンペーン販売を行えば、店舗の集客力を高める効果も期待できます。

小売業では業種の垣根を越えた競争の激化、少子化の進行による人口の減少、ネット通販の拡大などの影響により、既存店の客数が減少する店舗が多くなっています。既存店の客数の減少を食い止めるには、これまでにはない新しい来店動機を作り出す必要があり、来店動機を複数持つ店舗はお客さんとの接触機会を多く持つことができます。お客さんは食品スーパーには食品を買うとき以外に行くことはありませんが、「グローサラント」があれば、昼食、夕食を食べるために来店してもらえるようになります。

新規出店で店舗数を増やして、規模を拡大することが難しくなってくると、既存店の価値を高めることが重要になり、今まで以上にお客さん1人1人の価値が高まります。食品スーパーは「グローサラント」を導入することで、食品を購入する店舗、食事をする店舗になることができ、1人のお客さんにより多くの消費をしてもらえるチャンスが増えます。「グローサラント」には、売上が増える、食材の紹介になる、新しい来店動機が増えるといった複数の効果があり、食品スーパーの新業態として非常に有望なものです。

お客さんの買い物の不便を解消すれば販売を増やすことができる

総合スーパー、食品スーパー、コンビニは食品の販売で競合していますが、最近はドラッグストアが食品の販売を強化していて、4つの業種の競争が激しくなっています。ドラッグストアは医薬品で稼いだ利益で日配食品、加工食品を低価格で販売していて、日配食品、加工食品の価格は総合スーパー、食品スーパー、コンビニよりも安い印象です。ドラッグストアの店舗数の増加、食品の売上高の増加を見ると、総合スーパー、食品スーパー、コンビニの日配食品、加工食品は販売が難しくなる可能性が高いです。

食品の販売競争が激しくなる中で、総合スーパー、食品スーパー、コンビニは店舗の価値を高める必要があり、イートインスペースや「グローサラント」は店舗の価値を高める施策の一つです。イートインスペースはテーブルと椅子、ゴミ箱を綺麗に整えたシンプルなものですが、お客さんのゴミ処理の負担をなくす付加価値を持っています。「グローサラント」は店内の食材を使った新しい食事スタイル、ライブ感を体験してもらうことが付加価値で、ドラッグストアが提供することが難しいものです。

人口の減少によって小売業では商品の販売数量が減ることは避けられませんが、食品の販売においては、マーケティング施策によって販売数量を増やすことができます。食品スーパーでは節約志向のお客さんを取り込むため、商品の値下げを行う企業が増えていて、値下げにより販売数量が増えたことで、全体の売上高が増えている企業もあります。節約志向が強まっていることもあり、価格の高い商品をたくさん販売することは難しいですが、値下げや買い物体験の改善により、販売数量を増やすチャンスはあります。

イートインスペースはお客さんに食事の場所を提供するだけのものですが、ゴミを処理する負担が減るため、お客さんの来店回数、購入点数を増やす効果があります。総合スーパー、コンビニは食品以外の商品も販売しているので、イートインスペースの導入でお客さんの来店回数が増えれば、食品以外の商品が売れることにも繋がります。商品を売ろう売ろうとするとなかなか売れませんが、お客さんの来店回数、滞在時間を増やす施策を実施すれば、お客さんの目に触れる商品も増え、自然と売上アップに繋がります。

多くの家庭では食品スーパーで食材を購入して、自宅で料理をして、ゴミを処分するという方法で食事をしていますが、イートインは食事をアウトソーシングしたような形になっています。弁当・惣菜には自宅での料理のアウトソーシング的な意味がありましたが、イートインスペースは弁当・惣菜のゴミを処理してくれる新しいアウトソーシングです。お客さんは弁当・惣菜を買って自宅で食べるか、イートインスペースで食べるかを選択できるようになったので、弁当・惣菜がより買いやすくなったと言えます。

日々の洗濯の時間を減らすため、休日にまとめてコインランドリーで洗濯をする人が増えていて、コインランドリーとイートインスペースには共通点があります。イートインスペースもコインランドリーも、家庭の家事を外部にアウトソーシングできる便利なサービスで、同様のコンセプトのサービスは今後も出てくると思います。弁当・惣菜を購入した時に出るゴミを処理することは「不便」だとは考えられていませんでしたが、ゴミの処理の負担をイートインスペースで解決すれば、お客さんの利便性が高まります。