コンビニは店舗数の増加・競争環境の激化・少子高齢化の進行で既存店の客数が減少

コンビニは店舗数の増加・競争環境の激化・少子高齢化の進行で既存店の客数が減少

コンビニ業界は店舗が多すぎて飽和状態であるとよく言われますが、日本フランチャイズチェーン協会が発表している統計調査によると、2017年12月末のコンビニエンスストアの店舗数は55,322店舗(前年比3.2%増)と増加しています。店舗数が増えている一方で、既存店の客数は減少が続き、2018年7月まで29か月連続で減少しています。コンビニ業界全体では、売上高、店舗数ともに増加していますが、商圏内の各店舗の競争はますます厳しくなっていて、コンビニは既存店を強化する取り組みにも力を入れています。

コンビニの既存店の客数はなぜ減少を続けるのかという点について、節約志向のお客さんの増加、店舗数の増加による競争の激化、ドラッグストアの台頭、ネット通販の拡大の4つの点について考えてみました。数年前までコンビニは新規出店、既存店の売上高ともに好調で、食品スーパーや飲食店からお客さんを奪っているとされていました。コンビニは付加価値の高いプライベートブランドを多数持ち、小型店で効率よく商品を販売する高収益の小売業ですが、既存店の客数の減少を止めることは難しい状況です。

節約志向の強いお客さんはコンビニの高価格の商品を買わなくなる

消費者の節約志向が強まっていることもあり、コンビニでの買い物は無駄遣い、コンビニで買い物をするとお金が貯まらないといった意見を目にすることが多いです。コンビニは昔から他の業種よりも高い価格でナショナルブランド商品を販売してきましたが、利便性を重視するお客さんは少々価格が高くてもコンビニで買い物をしていました。最近はドラッグストアの店舗が増えていて、ネット通販でも食品、日用品が買えるようになっているため、コンビニの価格に割高感を感じる人が増えているかもしれません。

コンビニは付加価値の高いプライベートブランドを開発していて、高価格・高品質のブランドイメージを構築して、食品の売上を伸ばしてきました。コンビニのプライベートブランドの価値は以前から変わっていませんが、消費者の節約志向が強まったことで、コンビニのプライベートブランドが売れなくなったというのはありそうです。ただ、コンビニのプライベートブランドの価格は高くなる傾向にあり、価格は高くてもいいので、質の高い商品を求めるお客さんの需要はあります。

2017年4月には、セブンイレブンはナショナルブランド商品の日用品約60品目の値下げを実施していて、価格をスーパーやドラッグストアの実勢価格に近付けています。コンビニは立地の良さを強みにナショナルブランド商品を高価格で販売してきたため、セブンイレブンがナショナルブランド商品の値下げを行ったことには大きな意味があります。セブンイレブン以外でも、ナショナルブランド商品を便利に購入できる店舗が増えた結果、セブンイレブンが持っている利便性の価値が小さくなっていると考えることができます。

コンビニが日用品の品揃えを増やしていることから、コンビニで日用品を買いたいお客さんは多いようですが、将来的にはコンビニで日用品を買うお客さんは減りそうです。ドラッグストアは日配食品、加工食品、日用品を低価格で販売していて、新規出店により店舗数も急増しているので、食品と日用品を安く、便利に買えるお店として地位を固めています。ネット通販でも食品、日用品が買えるため、お客さんが食品、日用品をネット通販で計画的に購入するようになれば、無計画にコンビニで買い物をすることも減ります。

コンビニのビジネスモデルはコストの小さい小型店で、粗利益率の高い商品を高回転率で販売することで、高い粗利益率はプライベートブランドの付加価値、コンビニが持つ利便性に支えられています。小型店で粗利益率の低い商品を販売すると、低収益になってしまうので、ナショナルブランド商品の低価格販売はコンビニに適していません。また、最近は人手不足によってアルバイト・パートの時給が上昇しているため、コンビニが粗利益率の低い商品を販売して利益を確保することはさらに難しくなっています。

現在、コンビニが強化しているのは中食関連の商品で、料理に時間を掛けられない忙しい女性のお客さん向けに、揚げ物、惣菜、冷凍食品の品揃えを増やしています。揚げ物は粗利益率が高く、家族の夕食用に複数個のまとめ買いも期待できるので販売効率がよく、子育て期間中は継続して需要があるので、コンビニにとって有望な商品です。揚げ物、惣菜、冷凍食品は低価格の商品ではありませんが、夫婦共働きで世帯収入が多いお客さんに高付加価値の商品を販売することで、高い粗利益率を実現しようとしています。

店舗数の増加と少子高齢化の進行で商圏内の各店舗の競争は激化

日本フランチャイズチェーン協会のデータによると、2017年のコンビニの店舗数は55,322店舗(前年比3.2%増)となっていて、店舗数の増加が続いています。コンビニは飽和状態だと言われ続けていますが、依然として店舗数の増加は続いていて、ATMの利用、チケットの購入など、お客さんの来店目的を増やすことで集客力を高めています。しかし、コンビニの集客力を高める努力にもかかわらず、既存店の客数の減少が続いていて、少子高齢化の進行による人口の減少もあり、いよいよ飽和といった感じもあります。

コンビニは新規出店により店舗数を増やしていますが、毎年新規出店が行われているからといって、コンビニにはまだ出店の余地があると評価することはできないと思います。コンビニはライバルチェーンの店舗がある商圏を有望だと考え、ライバルチェーンの店舗からお客さんを奪う意図で新規出店を行うため、商圏内の競争はますます激しくなっています。今後は人口動態の変化により人口が減る商圏、人口が増える商圏で差が大きくなるので、人口が増える商圏に多くのコンビニが新規出店を行うようになります。

コンビニが飽和状態かどうかは店舗数の増加ではなく、既存店の客数の増減で見た方がよく、既存店の客数が2018年7月まで29ヶ月連続で続いている状況は飽和状態だと言えると思います。また、現在はコンビニからドラッグストア、ネットショップにもお客さんが流出しており、コンビニ業界の中だけで競争しているわけではありません。コンビニ業界全体の店舗数の増加は続いていますが、コンビニ業界の内外でお客さんの奪い合いが激しくなっていて、コンビニ1店1店の競争環境は厳しくなっています。

近年のコンビニのヒット商品には、レジカウンターで販売しているコーヒーがありますが、コーヒーはコンビニの商品の中で最も目的買いをされている商品の一つとのことです。コンビニは昼食、夕食を買う時間帯は目的買いで来店するお客さんが多いですが、それ以外の時間帯はお客さんに強い来店動機がないため、客数も少なくなります。コーヒーのようにお客さんに目的買いをしてもらえるヒット商品を開発できれば、時間帯に関係なく来店してもらえる可能性が高まるので、既存店の客数の増加にも繋がります。

コンビニの既存店の客数が減少する最大の要因は、コンビニの店舗数の増加による競争の激化で、ドラッグストアの店舗数の増加、ネット通販の拡大の影響もあります。これに加えて、ここ数年で影響を感じるようになったのが少子高齢化による人口の減少で、狭い商圏でビジネスを行うコンビニは、人口動態の変化による影響を特に強く受けます。コンビニの小型店は広い商圏からお客さんを呼び込むことはできませんから、人口の減少が続いている商圏では、既存店の客数を増やすことはかなり難しいです。

コンビニはこれまで通り新規出店を行うとともに、既存店を強化する方針も打ち出していて、ファミリーマートはコンビニ以外の施設を持つ併設型の店舗を出店しています。2018年2月14日にはコンビニと併設したフィットネスジム「Fit&GO大田長原店」をオープン、2018年3月31日にはコンビニと併設したコインランドリー「Famima Laundry市原辰巳台西二丁目店」をオープンしています。フィットネスジム、コインランドリーが来店目的になるため、併設しているコンビニの集客力を高める効果が期待できます。

ドラッグストアの台頭でナショナルブランド商品が売れなくなる

コンビニは食品スーパーからお客さんを奪う立場にありましたが、ドラッグストアが台頭してきたことで、ドラッグストアにお客さんを奪われる立場になっています。ドラッグストアはナショナルブランド商品の加工食品、日用品を低価格で販売していて、コンビニはもとより、食品スーパー、ディスカウントストアよりも安い印象もあります。コンビニがナショナルブランド商品の加工食品、日用品の価格、品揃えでドラッグストアと競争することは難しく、将来的にはその差は拡大していくと考えられます。

経済産業省が発表している商業動態統計によると、2017年のコンビニエンスストアの商品販売額は11,745,125百万円(前年比2.6%増)、ドラッグストアの商品販売額は6,057,971百万円(前年比5.8%増)となっています。2017年のコンビニエンスストアの店舗数は56,374店舗(前年比1.3%増)、ドラッグストアの店舗数は15,049店舗(前年比6.1%増)です。コンビニよりもドラッグストアの方が商品販売額、店舗数の増加率が高く、ドラッグストアの店舗数がさらに増えると、コンビニへの影響も大きくなります。

コンビニは付加価値の高いプライベートブランドを販売するとともに、ナショナルブランド商品を高めの価格で販売する高収益のビジネスです。今後、ドラッグストアの店舗数が増え、お客さんが立ち寄りやすくなると、コンビニではプライベートブランドだけを買って、ナショナルブランド商品はドラッグストアで買うような店舗の使い分けはありそうです。コンビニは利便性を武器にナショナルブランド商品を高めの価格で販売してきましたが、ドラッグストアの台頭で従来の販売方法が難しくなっています。

ドラッグストアは日配食品、加工食品を低価格で販売していますが、プライベートブランドを含め、総合的な食品のクオリティではコンビニとは差があります。ドラッグストアは外部の事業者と連携することで、食品の品揃えの強化に取り組んでいて、一部のチェーン店の店舗では、弁当・惣菜、生鮮食品、パンなどの販売を始めています。節約志向の強いお客さんが増えていることを考えると、弁当・惣菜、生鮮食品、パンなどが一通り揃っていれば、クオリティはそれほど重要にならないかもしれません。

ドラッグストアが台頭するまではそれほど問題視されていませんでしたが、ドラッグストアと競合するようになると、コンビニの店舗面積が小さいことには不安があります。高齢化社会の進行、若者の自動車離れによって、お客さんの買い物範囲は狭くなって行くため、一つの店舗で食品と日用品がまとめて買えるドラッグストアの価値が高まります。また、ドラッグストアの店舗はコンビニの店舗と比較して、駐車場が広くて使いやすい、店内が広くて買い物がしやすいなど、全体的に買い物のしやすさに優れています。

セブンイレブンはお客さんの幅広いニーズに対応するため、店舗レイアウトの全面的な刷新を進めていて、ファストフード、日配食品、加工食品の品揃えを強化しています。セブンイレブンの新レイアウトは、女性の社会進出、単身世帯の増加により拡大する中食需要を取り込むためのものですが、ドラッグストアとの差別化にも繋がるのではないかと思います。店舗面積が小さいコンビニが品揃えや買い物のしやすさでドラッグストアと競争するのは分が悪いので、食品の付加価値で差別化する方向性はよさそうです。

お客さんのニーズが異なるためネット通販の影響は大きくはない

ネット通販の市場規模の拡大が続いていて、経済産業省が発表している「電子商取引に関する市場調査」によると、BtoCにおける日本国内のEC市場規模は16兆5,054億円(前年比9.1%増)となっています。あらゆる品目のEC市場規模が拡大していて、食品、飲料、酒類の2017年のEC市場規模は15,579億円(前年比7.42%増)と増加しています。ネット通販サイトのAmazonでは食品、飲料、酒類も販売しているため、他の小売業と同様に、コンビニもAmazonにお客さんを奪われ始めているという意見も目にするようになりました。

コンビニがAmazonにお客さんを奪われているかどうかですが、コンビニとAmazonの買い物方法の違いを考えると、両者はそれほど競合していないと思います。コンビニでは今すぐに必要な食品を買うことが多く、Amazonではストックする食品を買うことが多いため、似たような食品を販売していても、お客さんのニーズは異なっています。Amazonはコンビニよりもドラッグストアと競合していて、ストックする食品や日用品を安く買いたいお客さんは、Amazonとドラッグストアの価格を比較するようになります。

ネットショッピングを利用するお客さんが増えているため、コンビニもネット通販サイトの運営を行ってきましたが、利用者を増やせず閉鎖が続いています。ファミリーマートのネット通販サイト「famima.com」は2018年2月末に終了、ローソンのネット通販サイト「ローソンフレッシュ」は2018年8月末に終了しています。セブン&アイホールディングスのネット通販サイト「オムニ7」は、グループの商品が便利に買えることをアピールしていますが、当初期待されていたほどに売上を伸ばすことができていません。

ローソンのネット通販サイト「ローソンフレッシュ」は2018年8月末で終了しましたが、2018年3月より関東の一部地域で「ローソンフレッシュピック」というサービスを開始しています。「ローソンフレッシュピック」は、朝8時までにスマートフォンの専用アプリで注文した商品を、指定したローソンの店舗で当日18時以降の好きな時間に受け取ることができるサービスです。「ローソンフレッシュピック」は配送料が掛からないため高収益が見込め、店舗へお客さんを呼び込むことで客数の増加も期待できます。

Amazonは東京の一部の一部地域で、野菜、果物、鮮魚、精肉などの生鮮食品、専門店グルメから日用品まで10万点以上の商品が購入できる「Amazonフレッシュ」のサービスを開始しています。「Amazonフレッシュ」のサービスを利用するには、年会費3,900円(税込)のAmazonプライムの会員になる必要があり、さらに月額のサービス利用料金が500円(税込)、配送料は注文金額が6,000円(税込)以上の場合は無料、注文額が6,000円(税込)未満の場合は、1回の注文あたり500円(税込)の配送料が掛かります。

コンビニの立場としては「Amazonフレッシュ」の配送時間が気になりますが、午前8時から深夜0時までの間、2時間ごとの配送時間帯から指定ができ、注文から最短で4時間後に商品が届きます。「Amazonフレッシュ」についても、食品スーパーやドラッグストアとは競合する可能性があるものの、今すぐ食べる食品を買う店舗であるコンビニとはお客さんのニーズが異なっています。コンビニは付加価値の高いプライベートブランドに注力すれば、将来的にもネット通販の影響を大きく受けることはないと思います。