掲載企業と利用者を増やしている電子チラシサービス「Shufoo!」

掲載企業と利用者を増やしている電子チラシサービス「Shufoo!」

凸版印刷が提供している電子チラシサービス「Shufoo!」の利用者が増えていて、2018年2月末の月間ページビュー数は3.7億PVと巨大なメディアになっています。スマートフォンの普及によって、様々なものがデジタル化されていますが、小売業の集客に不可欠なチラシも紙からデジタルへと移行する流れになっています。

デジタルのチラシは従来の紙のチラシと比較して、費用が安い、広告効果を測定することができるなど、小売業にはメリットがあります。一方、デジタルのチラシが広く使われるようになれば、お客さんの買い物行動が効率化され、無駄な買い物をしなくなることにも繋がるため、小売業の売上を減らすネガティブな効果もありそうです。

近隣店舗のチラシを効率よくチェックできる「Shufoo!」

パソコンやスマートフォンでチラシを提供するサービスが人気になっていて、凸版印刷の電子チラシサービス「Shufoo!」はその一つです。「Shufoo!」の利用者が多いようですが、「トクバイ」、「チラシプラス」など、同様のサービスがいくつかあります。

2018年2月末時点のデータでは、「Shufoo!」に掲載している企業数は3,600社、月間アクティブユーザーは1,000万人、月間ページビューは3.7億PVとのことです。月間の閲覧者は1,000万人と大きな数字になっていて、どのお店に行くか、何を買うかといったお客さんの意思決定への影響、小売業の売上への影響はかなり大きいと言えます。

「Shufoo!」のWEBサイト、スマートフォンのアプリで郵便番号や住所を入力すると、「Shufoo!」に掲載にされている近隣の店舗一覧が表示されます。表示された店舗一覧の中から、実際に利用する店舗を絞り込むことができ、よく利用するお気に入りの店舗のチラシだけを効率よくチェックすることができるようになっています。

チラシを掲載している企業は、総合スーパー、食品スーパー、コンビニ、ドラッグストア、家具・ホームセンター、家電、ショッピングセンター・百貨店など、毎日の生活必需品を購入する店舗が多いです。その他、カテゴリは多岐にわたっていて、キッズ・ベビー・おもちゃ、車・バイク、花・ギフト・手芸などのチラシもあります。

「Shufoo!」の利用者の76%が女性となっていて、女性の利用者の62.8%が30~40代、女性の利用者の60.5%に子供がいます。「Shufoo!」の利用者に女性が多い理由については、男性と女性を比較した場合、家庭で買い物を担当している人が多い、自炊をしている人が多い、価格に敏感な人が多いなどの理由が考えられます。

男性の利用者は24%と少ないものの、利用者の60.9%が30~40代となっていて、利用者の年代には男女の差はありません。最近は料理に関心を持つ男性が増えていますから、お店のチラシをチェックして、賢く買い物をしている男性も多いと思います。

「Shufoo!」が掲載企業を増やすために行った取り組み

「Shufoo!」が掲載企業を増やすために行った取り組みの一つは、チラシの費用対効果を明確にすることです。どの地域に住むユーザーがチラシを見たのか、どのくらいチラシを見たのか、掲載企業とチラシ閲覧状況の詳細データを共有しています。

店舗への集客に紙のチラシを使うことが多いですが、紙のチラシは閲覧状況を把握することが難しく、店舗の売上にチラシがどのくらい貢献したのかが分かりません。従来の紙のチラシと比較して、「Shufoo!」のような電子チラシは費用対効果を測定することができるため、企業にとってより効率の良い集客方法だと言えます。

「Shufoo!」では、チラシを掲載するたびに費用が発生するのではなく、チラシが閲覧される回数に応じて費用が発生するようになっています。利用者がチラシをしっかりみ見たかどうかが重要になりますが、「Shufoo!」では利用者がパソコン、スマートフォンの画面にチラシを完全に表示した、チラシを拡大してタップしたといった行動を1回の閲覧として評価する「チラシPV」という評価指標を導入しています。

「Shufoo!」にチラシを掲載する企業は、チラシの閲覧、タップと商品の売上を結び付けることで、チラシと売上の関係を明確にすることができます。デジタル広告では、閲覧、クリック、注文など、企業が希望するアクションが発生した時だけに費用が発生するため、小売業はこれまでよりも効率よく利益を増やせる可能性があります。

ネットショップの脅威、人口の減少などを背景に、小売業ではデジタルマーケティングへの大規模な投資を計画している企業が増えています。今後、紙のチラシからデジタルのチラシへの移行は、小売業主導で進んで行くのではないかと思います。

紙のチラシには紙、印刷、折込の料金が発生しますが、そうしたコストのない「Shufoo!」は、紙のチラシの3分の1のコストしか掛からないとのことです。デジタルのチラシのメリットが小売業で理解されるようになり、お客さんがデジタルのチラシの閲覧に慣れてくれば、紙のチラシからデジタルのチラシへの移行が加速しそうです。

スマートフォンの普及と新聞購読者の減少によって利用者が増える

「Shufoo!」の利用者が増えた外部環境の変化として、スマートフォンの利用者が増えたことが挙げられています。スマートフォンの利用者が増えれば、スマートフォンで情報収集を行うことが増えるため、「Shufoo!」が利用される機会も増えます。

「Shufoo!」の利用者は30~40代が多いですが、10~20代の若い世代も、将来的には問題なく「Shufoo!」の利用者になってくれるはずです。若い世代はスマートフォンの小さい画面でネットショッピングをすることにも抵抗がないため、チラシの閲覧をスマートフォンですることについても、それほど負担を感じなさそうです。

各種調査では新聞を読まない人が増えているというデータがあり、新聞の購読者数が減少していることは、「Shufoo!」の利用者の増加に影響しています。新聞は読まないけどチラシは欲しいという人が増えてきますが、こうした人たちは「Shufoo!」のような電子チラシサービスを使って買物情報を収集するようになります。

若い世代は新聞やテレビではなく、インターネットで情報収集をするようになっているため、これからも若い世代を中心に電子チラシサービス利用者の増加が期待できます。若い世代の中には、パソコンを使わずにスマートフォンだけを使う人もいますが、紙のチラシを使わずにデジタルのチラシだけを使う人も普通のことになります。

日本では人口に占める高齢者の割合が大きくなっていて、小売業の売上に占める高齢者のお客さんの割合も大きくなっています。高齢者のお客さんは紙のチラシを見て、実店舗で買い物をすることに慣れ親しんでいるため、ネットショップ、モバイル決済、電子チラシといった、最新のデジタルサービスを積極的に使おうとはしません。

高齢者のお客さんが売上に貢献してくれているうちは、デジタルマーケティングへ投資することの重要性をあまり感じないかもしれません。しかし、デジタルマーケティングへの投資を行わなければ、若い世代のお客さんを実店舗に呼び込むことが難しくなり、ネットショップにお客さんを奪われてしまうことになります。

お客さんの買い物行動がデジタル化することによる小売業への影響

「Shufoo!」は利用者の近隣にある、複数の店舗のチラシを掲載しており、お客さんの買い物行動のスタート地点になっています。「Shufoo!」はお客さんのチラシの閲覧、タップの履歴をビッグデータとして蓄積することができ、小売業のビジネスに影響力を持つマーケティングサービスとして、優位なポジションを確立しようとしています。

「Shufoo!」がマーケティングサービスとして影響力をさらに強めるためには、家計簿サービスを提供するのが良いやり方ではないかと思います。チラシと家計簿を一つのアカウントにまとめることができれば、チラシの閲覧から始まり、実店舗での支払いで終わる、お客さんの一連の買い物行動を把握することが可能になります。

小売業にとっては商圏内のお客さんの状況、競合店舗の状況は気になるものですが、「Shufoo!」は商圏のデータも持つことになります。総合スーパー、食品スーパー、ホームセンター、ドラッグストアには品揃えが重なる部分が多いですが、お客さんがこれらの店舗をどのように使い分けて買い物をしているかのデータには価値があります。

商圏に住んでいる人口によって商圏の売上規模が決まり、商圏内の各店舗が商圏の売上を分け合うことになります。小売業の売上は商圏に大きく依存しており、「Shufoo!」が持つ商圏のデータがこれからどのように活用されていくのかにも注目です。

小売業でデジタルマーケティングが進み、チラシや家計簿がデジタル化すると、小売業にネガティブな影響を与える部分も出てきます。お客さんの買い物行動が効率化された結果、無駄がなくなり、小売業の売上が減少するというのはあり得ます。

家計簿を付け、自分の支出をしっかりと管理する人が増えれば、衝動買い、予算以上の買い物を控える人が増えます。また、目玉商品だけを買うお客さん、クーポンがある商品しか買わないお客さんも出てくるので、こちらも売上を減少させることになります。