アスクルはロボットと人工知能を活用して優れた買い物体験を提供

アスクルはロボットと人工知能を活用して優れた買い物体験を提供

アスクルがどのようにロボット、人工知能を活用しているかについて、アスクル社長のインタビュー記事があります。アスクルの物流倉庫にはピッキングロボットが導入されており、配送ルートの最適化、カスタマーサポートには人工知能が使われています。

従来の小売業が最新のテクノロジーをうまく活用できていない中で、アスクルは最新のテクノロジーを活用することで、お客さんに優れた買い物体験を提供しています。最新テクノロジーの活用で小売業の生産性が高まれば、従業員の労働環境や待遇が改善されたり、お客さんに販売する商品の価格が下るといった効果も期待できます。

アスクルの自社配送率は約60%で保有する配送車両は約200台

アスクルは自社のBtoB向けネット通販サイトのアスクル、BtoC向けネット通販サイト「LOHACO」の配達を行う、「ASKUL LOGIST(アスクル ロジスト)」という名前の子会社を持っています。アスクルが保有する配送車両は、子会社の「ASKUL LOGIST(アスクル ロジスト)」とリースを合わせて約200台程度となっています。

アスクルの自社配送率は約60%とのことで、比較する指標はないものの、かなり高い数字ではないかと思います。ネットショッピングに関するアンケート調査を見ると、ネットショッピングをよく利用しているのは東京・大阪などの大都市に住んでいる人が多く、大都市では自社配送が効率よく運用されているのではないかと推測できます。

オンライン小売業が自社配送を強化する動きが活発になっていて、最短1時間以内で商品が届く「Amazon Prime Now(プライム ナウ)」、最短2時間30分以内で商品が届く「ヨドバシエクストリーム」などがあります。高品質の自社配達サービスは、提供エリアが大都市の一部に限られているものの、お客さんに便利な買い物体験を提供することで、競合他社に先んじて自社を選んでもらうための差別化ポイントになります。

また、楽天は2018年1月に開催された「楽天新春カンファレンス2018」において、独自の配送ネットワーク「One Delivery(ワンデリバリー)」の構想を発表しています。楽天市場に出店している店舗向けに、既存の物流企業よりも安いコストで商品の配達できる仕組み構築する計画で、どのような物流サービスになるのか気になるところです。

オンライン小売業各社が自社配達網の構築に力を入れる理由は、リアルでお客さんとの接点を持つためではないかと思います。自社の社員とリアルで接触すれば、お客さんは安心できますし、お客さんに対するサポート、提案もやりやすくなります。

ヤマト運輸、佐川急便、日本郵政の物流3社が、宅配便の値上げを実施したことも、オンライン小売業が自社配送網を構築する動機になっています。オンライン小売業とお客さんとの関係は途切れることなく、未来永劫続いていくものですから、お客さんに優れた買い物体験を提供するためにも自社で配達を行うことが好ましいです。

アスクルの物流倉庫では「MUJIN」のピッキングロボットを導入

アスクルの物流センターではロボット・ベンチャーの「MUJIN」のソフトウェアを搭載した、ピッキングロボットを導入しています。ピッキングロボットは、コンテナの中に入っているサイズ・形状・重さが異なる様々な商品を持ち上げて、発送用のケースの空きスペースを認識して、きれいに商品を詰め込むという作業を実行することができます。

ピッキングロボットはアスクルの物流センターにある約30,000種類の商品のうち、3,000種類ほどの商品を識別して、ピッキングと詰め込みを行っています。ピッキングロボットは24時間休むことなく働き、作業の生産性は人間の3倍となっています。

小売業の物流センターにロボットが導入されたというニュースを見ることがたまにあり、Amazon、MonotaRO、ニトリの物流センターではロボットが導入されています。ネットショップで商品を販売している小売業は、荷物の量が急激に増加している一方で、人手不足でアルバイト・パートの採用が難しいため、ロボットの導入に積極的です。

物流センターに導入されるロボットの特徴は、自走式のロボットが商品が入っている棚を下から持ち上げ、ピッキングを行う作業員の前まで棚を持ってくる仕組みです。棚を動かすロボットを導入することで、作業員が長い距離を歩く、重い商品を運ぶといった、体力的に負担の大きな作業がなくなり、女性や高齢者でも働きやすい環境を作れます。

将来的には、商品が入っている棚・コンテナを運ぶロボットと、商品をピッキングするロボットが協同で作業をする形になるのではないでしょうか。ロボットには人件費の削減効果と生産性のアップが期待されていますが、その他、ロボットは人間のように喜怒哀楽がない、ロボットは人間のように意見を持たない、ロボットは人間のように怪我や病気をしない、ロボットは人間のように休憩を必要としない、ロボットは人間のように細かい空調管理を必要としないなど、細かいメリットも多数あります。

オンライン小売業は物流センターでの業務を効率化することで、商品の価格を下げたり、従業員の待遇を改善させることができます。従来の小売業がこれといった業務改革を行えない中で、オンライン小売業は次々に新しい取り組みを行っています。

お客さんの不在率を約2%まで抑えている「Happy On Time」

アスクルは物流業務へ人工知能を導入していて、人工知能を使って配送ルートの最適化を行っています。人間が配達ルートを決定しようとすると、ベテランのドライバーでも一定の時間が掛かってしまいますが、人工知能を使えば一瞬で終わりますし、人工知能は自分で学習を行いながら効率を高めていくこともできます。

人工知能を物流業務に導入するで、単に時間や人件費が削減できるだけでなく、経験がない人でも働きやすくなる効果もあります。ベテランのドライバーは経験があって、仕事の生産性も高いですが、いつかは大量に引退する日がやってくることを考えると、経験や体力に自信がなくても、誰でも働ける労働環境を構築することは重要です。

BtoC事業の「LOHACO」では、東京都23区エリア、大阪府大阪市エリアの一部地域において「Happy On Time」という配達サービスを提供しています。「Happy On Time」は1時間単位で配達希望日時を指定できるサービスで、配達当日には30分単位の配達予想時間の通知がアプリにあり、さらに配達直前の10分前にも通知が届く仕組みです。

「Happy On Time」でお客さんの配達受け取りの負担を減らすことで、「LOHACO」の不在率は約2%程度とのことです。自宅で商品を受け取ることが大変なため、ネットショッピングを利用しない人も多数いるため、お客さんが商品を受け取りやすい環境を提供できれば、ネットショッピングの売上はさらに伸びる可能性があります。

ネットショッピングの宅配個数が急増していることで、ヤマト運輸、佐川急便、日本郵政などの宅配サービスを行う企業では、労働環境が著しく悪化しているとされています。しかし、ロボット、人工知能、ドローンといった最新のテクノロジーを導入することで、仕事の生産性を高め、ホワイトな労働環境になれるのではないかと思います。

現在、宅配の再配達が約20%程度と言われていますが、アプリを使ってお客さんと細かく配達時日時の連絡を取ることができれば、再配達は減らせるはずです。再配達が宅配会社の負担になっている事実は、社会に広く知られるようになっているため、お客さん側にも再配達を減らすために努力しようという考えを持つ人も増えています。

チャットボット「マナミさん」は人的リソースの節約に貢献する

BtoC事業の「LOHACO」では、お客さんからの問い合わせにおいて、2014年9月より「マナミさん」という名前の人工知能を使ったチャットボットを導入しています。2017年4月には、「IBM Watson」をベースにした対話システム「バーチャルエージェント」を導入しており、チャットボットの品質が改良されています。

人工知能を使ったチャットボットの注目度が高まっていて、多くの業界でチャットボットの導入が進んでいます。チャットボットのメリットは、24時間対応できること、人手が掛からないこと、学習機能によりシステムが洗練されていくこと、お客さんとのタッチポイントが増えること、会話内容がビックデータとして蓄勢されることなどです。

「LOHACO」のお客様サポートページで、テキストボックスに質問を入力すると、チャットボット「マナミさん」が回答してくれます。「配送無料はいくらからですか?」というような、多くのお客さんが質問しそうな内容を入力すると、ドンピシャの回答がもらえますが、「今日は何が安いですか?」、「チーズのおすすめはありますか?」というようなランダムな内容を入力すると、質問内容に関係しそうなページを紹介してくれます。

よく知らないネットショッピングを利用する場合、多くの人がヘルプ、Q&Aなどを見て、購入前の疑問を解決しようとします。チャットボット「マナミさん」を使うと、質問内容によっては、短時間で自分が求めている回答を得られることもあるので、チャットボット「マナミさん」はヘルプやQ&Aを補完する役割を担っています。

「LOHACO」のお客さんは30代、40代の女性が多く、スマートフォンを使いこなし、インターネットショッピングの経験も豊富です。こうしたお客さんには、チャットボット「マナミさん」を利用してもらって、人的リソースを節約したいところです。

実店舗で商品を販売する従来の小売業では、毎日店舗に大量の問い合わせ電話が掛かってくるため、電話対応にかなりの人的リソースを奪われています。ITリテラシーの高いお客さんを抱えるネットショップは、実店舗よりもチャットボットを導入しやすく、このことは実店舗とネットショップの利益率にも影響を与えることになります。