閉店が続いたクリスピー・クリーム・ドーナツの新しい事業戦略

閉店が続いたクリスピー・クリーム・ドーナツの新しい事業戦略

クリスピー・クリーム・ドーナツはここ数年、店舗の閉店が続いていましたが、新規出店を含めた新しい事業戦略を発表しています。クリスピー・クリーム・ドーナツは地方の店舗を閉店して、関東、東海、関西の三大都市に経営資源を集中する戦略です。

都市部の店舗では座席数を約20%減らして、一人でも利用しやすいレイアウト、メニューを提供します。ドーナツは家族のイベントで購入するイメージが強いですが、脱ファミリーを行うことで、おひとり様でも利用しやすい店舗を増やしたいところです。

クリスピー・クリーム・ドーナツは重要商圏以外の店舗を閉店

クリスピー・クリーム・ドーナツは2015年下期より、まとまった数の店舗を閉店しており、それ以降、インターネットでもクリスピー・クリーム・ドーナツのニュースをよく目にします。ドーナツが売れないというニュースが増え、ドーナツの市場は年々縮小していると言われていますが、ドーナツに関するお客さんの関心は強いです。

クリスピー・クリーム・ドーナツの店舗数は、2014年度末の60店舗が最大で、2016年度末は46店舗まで減っています。クリスピー・クリーム・ドーナツはよく知られている人気のチェーン店ですが、その知名度ほど店舗数は多くはありません。

2015年にセブンイレブンがドーナツの販売を開始した時には、ミスタードーナツとクリスピー・クリーム・ドーナツからお客さんを奪うのではないかと話題になりました。しかし、セブンイレブンのドーナツはヒット商品になることはなく、店舗で見かけることもなくなり、現在はどのような販売状況なのか情報もありません。

ミスタードーナツ、セブンイレブン、クリスピー・クリーム・ドーナツと、すべての企業でドーナツが売れなくなっていて、お客さんのドーナツの需要がなくなっているということになります。ドーナツは多くの人が大好きなスイーツのイメージがありますが、実際にはイメージほどドーナツを買っているわけではありません。

クリスピー・クリーム・ドーナツは、関東、東海、関西の三大都市に経営資源を集中することを決定しています。日本はほとんどの都道府県で人口の減少が続いていますから、少しでも人口の減少スピードが遅い、都市部を強化する企業が増えています。

クリスピー・クリーム・ドーナツが店舗数を減らしたのは、関東、東海、関西の三大都市以外の店舗を整理したと見ることができます。企業の生産性を高めることが急務になっていて、日本全国に点々と店舗が分散しているのは良いことではありません。

都市部・郊外・テイクアウトの3つの店舗フォーマットで出店

クリスピー・クリーム・ドーナツは、「有楽町イトシア店」と「渋谷シネタワー店」のリニューアルを行い、2店舗を都市型店舗の旗艦店に設定しています。両店舗とも従来よりも約20%客席を減らしていて、ゆったりとくつろげる空間を作り出しています。

また、旗艦店では、ドーナツに野菜やベーコンをトッピングした「ドーナツ キッシュ」、人気商品の「オリジナル・グレーズド」に3種のベリーを添えた「ドーナツ プティング」など、限定メニューを提供しています。モーニング限定メニューには、ドーナツバーガー、フルーツヨーグルト、ドリンクがセットになった商品もあります。

クリスピー・クリーム・ドーナツの旗艦店がターゲットにするお客さんは、一人で店舗を利用するおひとり様、ビジネスパーソンです。クリスピー・クリーム・ドーナツ、ミスタードーナツといったドーナツチェーンは、家族連れのお客さんが休日に利用するイメージが強いですが、一人で利用しやすいようにレイアウトを変更しています。

クリスピー・クリーム・ドーナツの都市型店舗では、大きなテーブルと一人がけの椅子を設置して、テーブルをみんなで共有するようなレイアウトを作ったり、カウンター席もあります。ファミリー向けの席が多い店舗は、一人で利用する場合に入りくいこともあるため、レイアウトの変更により一人のお客さんを取り込むことが期待できます。

クリスピー・クリーム・ドーナツは、新規出店のフォーマットを都市型、郊外型、テイクアウト型の3つに分類しています。都市部と郊外では来店するお客さんが異なっているため、店舗のレイアウトやメニューを変更することでお客さんの満足度が高まります。

都市部の店舗では客数を減らして、一人でも来店しやすいレイアウトにして、郊外の店舗ではファミリー層が楽しめる施設を設置したり、ファミリー席を増やします。イートインでは一人で利用するお客さんと、ファミリーで利用するお客さんを共存させることが難しいため、どちらかを重点的に強化した方が良いのではないかと思います。

お客さんとのタッチポイントを増やすためにホールセールを強化

クリスピー・クリーム・ドーナツはお客さんとのタッチポイントを増やすため、ホールセールを強化する計画です。クリスピー・クリーム・ドーナツの店舗以外でもドーナツを販売することで、お客さんにドーナツを買ってもらえる場所を増やすことができます。

現在、ANA FESTA、National Azabuの2社と連携して、羽田空港内の売店や高級スーパーでドーナツを販売しているとのことです。ドーナツは単価も安く、買うのも食べるのも手間が掛かりませんから、お客さんに買ってもらいやすい商品です。

クリスピー・クリーム・ドーナツはよく知られている人気チェーン店で、インターネットやソーシャルメディアでもよく商品を目にします。しかし、クリスピー・クリーム・ドーナツの店舗数はかなり少なく、2016年度末は日本全国で46店舗しかありません。

クリスピー・クリーム・ドーナツのドーナツを食べたいのに、近くに店舗がないから食べられないというお客さんは少なくないはずです。ドーナツを食べるためだけに、時間を掛けて遠方のクリスピー・クリーム・ドーナツに出かけることは億劫ですが、近所の店舗でドーナツが売っていれば、お客さん簡単に購入することができます。

人気の飲食チェーン店が自店舗以外でも販売できる商品を開発して、他社の実店舗やネットショップで販売することが増えています。お客さんとのタッチポイントを増やすことで、これまで培ってきたブランド力を活かして新しい売上を作り出すことができます。

クリスピー・クリーム・ドーナツが大好きなお客さんは、イートインでも食べて、ホールセールでも買うと思います。日本では人口が減少していますから、すべての企業にとってお客さんとのタッチポイントを増やすことが重要だと言えますが、知名度があるクリスピー・クリーム・ドーナツは大きな成功を収められるのではないでしょうか。

日本社会の変化によりファミリーからおひとり様への転換が必要

お客さんのドーナツの購入シーンを考えると、親戚の家に遊びに行くので購入する、家族で買い物にでかけた時に購入する、デートで利用するなど、家族のイベントごとに関連している場合が多いです。ドーナツチェーン店がテイクアウト用の大きなボックスを用意している理由は、みんなで食べるためのドーナツを多く買ってもらうためです。

ソーシャルメディアに投稿されている写真を見ると、ドーナツの消費シーンを推測できるのですが、複数人で集まった写真にドーナツが写っていることが多いです。最近ではInstagramで見栄えの良い写真を撮る「インスタ映え」が若者の間でトレンドになっていますが、ドーナツはソーシャルメディアとも相性の良い商品です。

ドーナツの市場規模は年々縮小していると言われていますが、これは日本社会の変化と密接に関係しています。ドーナツは家族のイベントの時によく売れていると考えていますが、恋愛、結婚、出産といった家族のイベントが減少傾向にあります。

ドーナツが売れないのは味や価格に問題があるのではなく、ドーナツを購入する機会そのものが減少しているのではないでしょうか。家族のイベントが減少しているのであれば、家族のイベントがなくてもドーナツが売れるような状況を作りたいところです。

これまで大人数で利用されていた店舗が、大人数での利用が期待しにくくなったので、1人でも利用できるように形式を変えている事例はたくさんあります。例えば、焼き肉、居酒屋、カラオケなどは大人数で利用することが多かったですが、現在では1人での利用を想定した「1人焼き肉」、「ちょい飲み」、「ヒトカラ」が登場しています。

クリスピー・クリーム・ドーナツも1人での利用を想定したリニューアルを行っていて、これから1人のお客さんの利用が増えるはずです。ミスタードーナツは軽食需要を取り込むために、2017年11月より「ミスドゴハン」の販売を開始していますが、クリスピー・クリーム・ドーナツも軽食メニューで売上を作れると思います。