ドコモが商品棚の陳列状況を識別する画像認識エンジンを開発

ドコモが商品棚の陳列状況を識別する画像認識エンジンを開発

ドコモが小売店の商品棚をスマートフォンで撮影した画像を使って、陳列状況を識別、データ化する、「商品棚画像認識エンジン」を発表しています。メーカーは店舗巡回担当者を派遣して、小売店の売り場を定期的に監視していますが、「商品棚画像認識エンジン」を活用することで、作業時間の短縮、商品棚のデータ化の精度向上が期待できます。

少子高齢化で客数の増加が見込めない状況においては、既存客の購入点数を増やす必要があり、商品棚の陳列状況は小売業・メーカーにとって価値のあるデータです。小売業向けの新しいソリューションが次々に登場していますが、人手不足の解決、売上アップに繋がる効果が大きく、小売業は積極的に導入するべきだと思います。

スマートフォンで撮影した画像で商品棚の陳列状況をチェック

ドコモはスーパー、コンビニなど小売店の商品棚をスマートフォンで撮影することで、リアルタイムに商品棚の陳列状況を分析できる「商品棚画像認識エンジン」を発表しています。複数の商品が写った画像から、個々の物体の位置を98%以上の精度で検出できる「物体検出」と、検出した物体を画像データベースと照合させ、どの商品に該当するかを95%以上の精度で特定し認識する「特定物体認識」の2つの技術が特徴です。

従来の画像認識技術を使った商品棚の分析では、商品が正面を向いていること、前列に陳列されていることなど、高精度で商品を認識するためには条件がありました。ドコモの「商品棚画像認識エンジン」は、商品の向きや陳列位置に条件はなく、商品が詰めて陳列されている場合でも、正確に認識できるようになっています。

最近は人工知能という言葉がバズワードになっていて、人工知能を使って売上を増やそう、利益を増やそう、業務を改善しようと考える企業が増えています。人工知能の活用方法を模索している段階ですが、人工知能を使って画像を処理する事例が増えています。

商品の画像を事前に学習しておき、商品が写った画像を人工知能に見せることで、何の商品なのかを識別させる技術の活用が進んでいます。米Amazonの無人レジ店舗「Amazon Go」、サインポストが開発する無人レジ「スーパーワンダーレジ」は、人工知能と画像を使って、どのお客さんがどの商品を買ったのかを識別しています。

人工知能を使って画像を識別することで、大量の商品の中から不良品を見つけたり、青果物の品質のランク付けを行なうといった事例もよく見ます。良品、不良品の画像を事前に人工知能に学習させておいて、それら画像と個々の商品の画像を比較することで、その商品が良品なのか、不良品なのかを短時間で評価することが可能になります。

食べ物は商品の品質が極めて重要ですから、不良品のチェックは人間が時間を掛けてやっていることが多いです。良品、不良品のチェックを人工知能と画像を使って短時間で行えるようになれば、企業の生産性は高まり、人的な余裕も生まれます。

「商品棚画像認識エンジン」は店舗巡回担当者の作業時間を削減

サイバーリンクはドコモが開発した「商品棚画像認識エンジン」を活用して、「棚SCAN-AI」という製品を2018年4月2日より提供する予定です。「棚SCAN-AI」はスマートフォンで撮影した商品棚の画像を元に、商品情報や陳列状況を識別してデータ化を行い、店頭分析に役立てたり、棚割システムと連携することもできます。

小売業では店内に多数のカメラを設置して、商品棚を常に監視することで、データを蓄積して店舗運営に利用しようとする動きがあります。ドコモの「商品棚画像認識エンジン」はスマートフォンを使ったもので、店内に多数のカメラを設置するシステムより導入・運用がしやすく、中小の小売業でニーズがあるのではないかと思います。

ドコモの「商品棚画像認識エンジン」は、メーカーが小売店の売り場を分析する業務に利用されることを想定しています。メーカーは売上を増やすために、自社の商品が小売店で適切に陳列されているかどうか、定期的に店舗巡回担当者を派遣して調べています。

小売店の売り場をチェックする店舗巡回担当者は、手作業で陳列状況を記録しているため、手間や時間がかかっています。ドコモの「商品棚画像認識エンジン」は、スマートフォンの画像を使って商品棚のデータ化を行なうことで、店舗巡回担当者の作業時間を減らしたり、ミスを減らすことに貢献することを目的にしています。

小売店の売り場を定期的にチェックしなければならないメーカーの立場からすると、スマートフォンで写真を取るだけで商品棚をデータ化できれば便利です。文字よりも画像の方が陳列状況が分かりやすいですし、データを共有することも簡単にできます。

ドコモの「商品棚画像認識エンジン」を使えば、商品棚のデータは今よりも活用しやすくなり、店舗巡回担当者の作業時間は減ることになります。売り場のチェックが写真を撮るだけの簡単な作業になれば、1店舗あたりに掛かる作業時間の削減ができますし、1人の店舗巡回担当者が担当できる店舗の数を増やすこともできます。

小売業・メーカーにとって商品棚の陳列状況を監視することは重要

お客さんが商品棚から商品を取ることによって売上が発生しますから、小売業、メーカーにとって商品棚は非常に重要なものです。小売業、メーカーは商品棚のことをよく知りたいですし、営業時間中ずっと監視できるシステムが欲しいところです。

お客さんが多い人気店は商品棚のクオリティ維持に力を入れていて、不足した商品の補充、整理に適切な人員を割り当てています。人工知能とカメラを使って商品棚の監視がさらに便利になれば、小売業の商品棚のクオリティも高まり、売上アップも期待できます。

小売業の店舗にはたくさんの商品が陳列されていますが、お客さんに見てもらえる商品はその中のごく一部だけで、ほとんどの商品はお客さんに関心を持たれることはありません。お客さんに1個でも多くの商品を買ってもらいたいですが、購入点数を増やすためには、まずはお客さんに見てもらえる商品の数を増やす必要があります。

人工知能と画像を使うことで、商品棚の管理がしやすくなれば、PDCAサイクルもうまく回るようになります。例えば、商品棚の画像に合わせて、各商品の販売個数、セット購入の状況も表示されれば、売り場の担当者のインスピレーションになります。

日本では少子高齢化が進み、人口の減少が起こっているため、小売業はお客さんを奪い合う状況になっています。こうした厳しい競争環境においては、新規出店を増やすことよりも、既存店の売上を伸ばすことの方がリスクが小さく取り組みやすいです。

既存店のお客さんが何回来店したのか、何個商品を購入したのか、こうした指標は小売業にとって重要になります。人工知能とカメラを使えば、お客さんはどの通路を歩いたのか、どの商品棚の前で多く時間を過ごしたのか、どの商品を手に取ったのかなども分かるようになり、お客さんの購入個数を増やすことに役立ちます。

テクノロジーは人手不足の解決だけでなく売上アップも期待できる

小売業は賃金の安い非正規労働者なしでは存在できませんが、人手不足によってアルバイト・パートの採用が難しくなっています。体力があり、飲み込みが早い若い人材を採用したいですが、若い世代の人口は昔と比較して相対的に少なく、主婦、シニア、外国人といった、これまでの理想とは異なる人材を活用していくことになります。

多様な人材に活躍してもらうためには、重いものを持たなくていい、多くのことを覚えなくていい、コミュニケーションが苦手でいい、経験がなくていいなど、働き手の不安を解消したいです。コンビニでは新しい業務が次々に登場しますが、業務の複雑さから敬遠されるようにり、主婦や高齢者の採用が難しい一因になっています。

小売業にとってはネットショップが脅威になっていますが、実店舗がネットショップに対抗するためには、実店舗ならではの買い物体験が重要だと言われています。実店舗にはネットショップにはいない店員がいることが強みですが、アルバイト・パートの採用が難しいことで、店員がいることの強みが弱まってしまう心配があります。

今後、アルバイト・パートの採用が簡単になることは期待しにくいですから、テクノロジーを活用することで、各業務の作業時間を削減したいです。お客さんに関わらない業務の作業時間を減らして、お客さんに関わる業務の作業時間を増やすことができれば、人手不足で採用が難しい中でも、接客のクオリティを維持することができます。

人工知能と画像を使った小売業向けのシステムでは、お客さんの店内での行動、商品棚の陳列状況を監視することができます。米Amazonの無人レジ店舗「Amazon Go」、サインポストの無人レジ「スーパーワンダーレジ」では、人工知能と画像を使ってお客さんの店内での行動を監視することで、無人レジを実現しています。

小売業は人工知能と画像を使うことにより、確実に作業時間を削減することができるほか、売上アップに繋がる効果もあります。無人レジはお客さんのレジ待ち時間の削減、店員のレジ業務の削減が主たるメリットですが、お客さんのレジ待ち時間がなくなり、快適に買い物ができる店舗だと評価されるようになれば、来店回数も増えます。