ドン・キホーテの売り場を導入したユニーの新業態1号店が開店

ドン・キホーテの売り場を導入したユニーの新業態1号店が開店

ユニー・ファミリーマートホールディングスとドンキホーテホールディングスは資本提携を行い、ユニーが運営する総合スーパー、アピタとピアゴの6店舗にドン・キホーテの商品、ノウハウを取り入れ、新業態に改装することを計画しています。2018年2月23日に新業態1号店「MEGAドン・キホーテUNY大口店」(横浜市)がオープンしていて、ドン・キホーテの売り場が取り入れられた新店を取材した記事がたくさん出ています。

旧店舗「ピアゴ大口店」にドン・キホーテの要素を取り込んだことで、旧店舗で買い物をしていたお客さん、旧店舗で働いていた従業員、両方が大きな変化を受けることになります。新業態1号店「MEGAドン・キホーテUNY大口店」は旧店舗「ピアゴ大口店」から売上50%アップを計画していますが、新業態の成功は、既存のお客さん、既存の従業員が、新しい変化を受け入れてくれるかどうかに掛かっています。

総合スーパーは収益性が悪化して変化が必要な状況になっている

衣食住の商品が一つのお店で買える総合スーパーは便利なお店ですが、近年は収益性の低さが問題になっています。食品は依然としてお客さんのニーズはあるものの、食品以外の商品が売れなくなり、全売上高に占める食品の割合が大きくなっています。

イオン、イトーヨーカドーは自社で収益性を高めようとする一方で、ユニー・ファミリーマートホールディングスはドンキホーテホールディングスと資本提携を行い、総合スーパーの改革を行おうとしています。ユニー・ファミリーマートホールディングスが運営している総合スーパー、ピアゴ、アピタの6店舗にドン・キホーテの商品・ノウハウを取り入れることで、「ポストGMS」の新しい店舗作りを計画しています。

総合スーパーで食品の買い物はするものの、それ以外の商品は買わないという人が多くなっています。品揃え、商品の質、価格の点で優れた、ユニクロ、しまむら、ニトリ、良品計画、セリアなど、人気の専門店で買い物をした方がいい買い物ができます。

一つのお店で衣食住の商品が買える利便性は総合スーパーの強みですが、利便性の面では、ネットショップの買い物体験も優れています。総合スーパーは、専門店が提供する品揃え、商品の質、価格、ネットショップが提供する便利な買い物体験に対して、有効な対策を出すことができず、食品以外の売上高の減少が続く状況になっています。

結婚しない人、子供がいない人が増え、少子高齢化が進み、日本の家族のあり方が変わったことも、総合スーパーの業績に関係していると思います。営業期間の長い、古い総合スーパーで買い物をしていると、家族連れの買い物客は少なく、たくさんの高齢者のお客さんが食品と日用品だけを購入しているような感じです。

単身者は売り場面積の広い総合スーパーで買い物をするよりも、複数の専門店を買い回ったり、ネットショップで買い物をする方を好みます。日本では少子高齢化が今後も長く続く予想ですから、総合スーパーが想定してきたファミリーのお客さんが増えることは期待できず、ファミリー以外にも買い物がしやすい店舗が望まれています。

「MEGAドン・キホーテUNY大口店」は非食品の売り場を強化

ユニー・ファミリーマートホールディングスとドン・キホーテによる、新業態1号店「MEGAドン・キホーテUNY大口店」が2018年2月23日、横浜市にオープンしています。もともとの店舗「ピアゴ大口店」に、ドン・キホーテの商品、ノウハウを取り入れたもので、予定されている新業態6店舗の第1号店でもあり注目されています。

「MEGAドン・キホーテUNY大口店」を取材している記事が多数あるのですが、予想以外にドン・キホーテの売り場が大きくなっているとの感想が多いです。総合スーパーの弱点である非食品の売り場を強化することが新業態の狙いですが、非食品の売り場はドン・キホーテの売り場に全面的に置き換えられるような形になっています。

青果・鮮魚・精肉・総菜はユニーが担当して、一般食品、菓子、リカー、衣料品、住居用品はドン・キホーテが担当することになっています。従来の店舗は食品70%、非食品30%程度の品揃えであったものが、ドン・キホーテの商品を取り入れることで食品50%、非食品50%程度の商品構成になり、非食品の売り場が強化されています。

新業態の狙いは、お客さんに安さ、便利さ、楽しさを提供することで、これまで総合スーパーとは異なる買い物体験をお客さんに提供することです。ドン・キホーテの圧縮陳列を取り入れた売り場は、珍しい商品、お買い得な商品を探し出す楽しみがあり、こうした買い物体験を好むお客さんに支えられ、ドン・キホーテの業績は絶好調です。

非食品の品揃えを強化した新業態「MEGAドン・キホーテUNY大口店」の売上目標は、旧店舗「ピアゴ大口店」から大幅にアップしたものになっています。店舗全体の売上は50%増、食料品は30%増、衣料・住居関連品は100%増の計画です。

店舗の場所、売り場面積は変わらないため、売上が計画通り伸びれば、ドン・キホーテの商品、買い物体験が持つ魅力が再確認されることになります。総合スーパーの品揃え、買い物体験が否定されることでもあるため、総合スーパーの立場としてはショッキングなことではありますが、大きなターニングポイントになります。

「MEGAドン・キホーテUNY大口店」は既存顧客を維持できるか

総合スーパーは業態の歴史が長く、主な客層は50代、60代など、高齢者のお客さんが多く、若い世代のお客さんは少ないです。ユニー・ファミリーマートホールディングスとドン・キホーテによる業態転換は、ドン・キホーテの品揃え、ノウハウを取り入れることで、30代、40代の若い世代にターゲットを引き下げようとしています。

旧店舗「ピアゴ大口店」で食品を購入していた既存の高齢者のお客さんは、若い世代のドン・キホーテのお客さんがたくさん入ってくる状況に置かれます。ドン・キホーテの売り場は狭い通路、圧縮陳列、大量のPOPなど、小売業の中でも独特な店作りを行っており、既存の高齢者のお客さんは買い物のしにくさを感じるかもしれません。

ユニー・ファミリーマートホールディングスとドンキホーテホールディングスの関連記事を読んでいると、既存顧客の離脱は仕方がないと考えているような印象です。ドン・キホーテが提供する、安さ、便利さ、楽しさという買い物体験は、これまで長い間総合スーパーで買い物をしてきた、高齢者のお客さんのニーズとは合いません。

総合スーパーにとって、高齢者のお客さんはお店の売上に安定的に貢献してくれる大事な存在ですが、高齢者のお客さん中心の店作りをすると、若い世代のお客さんに買い物をしてもらうことが難しくなります。思い切って若い世代のお客さん中心の店作りを行い、既存の高齢者のお客さんにはどうにかしてそれを受け入れてもらうというのが、高齢化社会が進む日本の中で、総合スーパーが取るべき戦略ではないかと思います。

「MEGAドン・キホーテUNY大口店」のベストなシナリオは、旧店舗「ピアゴ大口店」の既存のお客さんがこれまで通り買い物をしてくれて、ドン・キホーテの商品を目当てに新規のお客さんがやってくることです。ドン・キホーテの現在の業績を見ると、ドン・キホーテの集客力に疑いはなく、総合スーパーの買い物体験を好んでいた既存のお客さんが、新しい買い物体験に適応して残ってくれるかどうかです。

「MEGAドン・キホーテUNY大口店」の取材写真を見ると、地下1階の食品売り場にもドン・キホーテの要素が導入されています。ドン・キホーテで買い物をしていると、高齢者のお客さんをほとんど見掛けないだけに、高齢者のお客さんが「MEGAドン・キホーテUNY大口店」の売り場でどのように買い物をするのかも興味があるところです。

ドン・キホーテの現場主義・成果主義・権限委譲の意識共有が課題

ユニー・ファミリーマートホールディングスとドンキホーテホールディングスの連携にあたって、ドン・キホーテの持つ現場主義、成果主義、権限委譲などの価値観を共有できるかが懸念されています。ドン・キホーテが持っている価値観は、多くの小売業が持っているチェーンストア理論ベースのものとは異なっていて、人事政策でも新卒一括採用、年功序列の傾向が多い古い小売業とは違いがあります。

「MEGAドン・キホーテUNY大口店」で働く社員26名のうち11名はドン・キホーテからの派遣され、各売り場の責任者もオープンから1年間はドン・キホーテの社員が担当することになっています。既存のお客さんと同様、既存の従業員もドン・キホーテに合わせる必要があり、店舗全体が大きな変革を迎えています。

ディスカウントストアのドン・キホーテと、総合スーパーのユニーでは、客層、商品、販売方法など、同じ小売業でも様々な違いがあります。店舗で働く従業員が仕事のやりがいを感じるポイントにも違いがあり、総合スーパーで働いてきたユニーの従業員が、ドン・キホーテの店舗での仕事にやりがいを感じられるかどうかが重要です。

ドン・キホーテの従業員のやりがいは何かと考えると、商品を安く売ること、大量に陳列すること、商品が飛ぶように売れること、商品が次から次に入れ替わること、外国人のお客さんに日本の商品を販売するなど、売上・商品にフォーカスするものではないでしょうか。一方、ユニーの従業員のやりがいは、家族連れが楽しそうにゆったりと買い物をしている姿を見ることで、売上・商品へのこだわりはそれほどないと思います。

ユニーの従業員がドン・キホーテのやり方で働く上で問題になりそうなことは、商品の入れ替わりの早さではないでしょうか。薄利多売で在庫回転率が高いお店は、それだけ商品の発注、在庫の補充の作業も多いので、従業員の作業量も多くなります。

高齢の従業員は体力的な不安がありますし、重労働を好まないアルバイト・パートは辞めてしまう可能性もあります。「MEGAドン・キホーテUNY大口店」が成功するためには、店舗の変化を既存のお客さんに受け入れてもらわなければなりませんが、同じように従業員が変化を受け入れられるかどうかも注目ポイントです。