豊富な品揃えと買い物体験が強みの「ヨドバシ・ドットコム」

豊富な品揃えと買い物体験が強みの「ヨドバシ・ドットコム」

ヨドバシカメラとヨドバシカメラが運営するネットショップ「ヨドバシ・ドットコム」について、ヨドバシカメラ副社長のインタビュー記事があります。ヨドバシカメラの2016年度のEC売上高は1,080億円(前年比8.8%増)、全売上高に占めるEC売上高の比率は16.4%となっており、家電量販店の中でもEC化率はかなり高いです。

ヨドバシカメラでは実店舗、ネットショップ、アプリを使って便利に買い物をすることができ、最短2時間30分以内に配達をする「ヨドバシエクストリーム」のサービスもあります。ヨドバシカメラは駅前の好立地にあるアクセスの良い大型店、品揃え豊富で当日配達ができるネットショップの両方を持っており、自動車を運転しない買い物エリアが狭いお客さん、共働きで買い物時間がないお客さんの支持を得られます。

ヨドバシカメラは実店舗とECの売上高が半分半分の状態を目指す

ヨドバシカメラが運営するネットショップ「ヨドバシ・ドットコム」は人気のネットショップですが、ヨドバシカメラがECに参入したのはAmazonジャパン、楽天と同時期の1998年です。2016年度のEC売上高は1,080億円(前年比8.8%増)となっていて、ヨドバシカメラ全体の売上高に占めるEC売上高の割合は16.4%です。

「ヨドバシ・ドットコム」のインターネット上の評判は良く、Amazonよりも「ヨドバシ・ドットコム」での買い物を好む人もいます。「ヨドバシ・ドットコム」は家電だけではなく、本や食料品など約550万品目(2018年1月末時点)を販売しています。

「ヨドバシ・ドットコム」の売上高は1,000億円を越え、旗艦店であるマルチメディア梅田、マルチメディアAkibaを越える規模になっています。ヨドバシカメラはECの売上高をさらに伸ばして、実店舗とECの売上高が半分半分の状態を目指しています。

実店舗とネットショップが融合したオムニチャネルでは、実店舗の売上がネットショップに奪われることが懸念されてきました。しかし、実店舗とネットショップが連携した優れた買い物体験によって、実店舗とネットショップの両方の売上が伸びる企業も出てきていて、実店舗とネットショップは対立するとの考え方はなくなっています。

少子高齢化が進み、人々のライフスタイルは変わり続けていますが、近年の変化はヨドバシカメラに有利に働くものが多いです。若い世代、高齢者世代の両方で自動車を持たない、運転しない人が増えていて、交通アクセスの良い駅前にある大型店、自宅から便利に買い物ができるネットショップで買い物をする人が増えています。

ヨドバシカメラは交通アクセスの良い駅前の大型店と、品揃え豊富なネットショップの両方を持っており、現代のお客さんが求める買い物体験を提供することができます。書籍、加工食品、日用品などをネットショップで購入してポイントを貯め、高価格の家電を実店舗で購入する時にポイントを使うことで、お得に買い物をすることができます。

「ヨドバシ・ドットコム」は検索キーワードに沿って品揃えを拡大

「ヨドバシ・ドットコム」は家電を販売するネットショップですが、2013年頃に漫画の取り扱いを開始したことを機に、家電以外のカテゴリの拡大を開始しています。売上高の詳しいデータはないのですが、「ヨドバシ・ドットコム」では家電商品の売上高よりも、非家電商品の売上高の方が圧倒的に大きいとのことです。

ネットショップでは1度の買い物で様々なブランド、カテゴリの商品が買えることが重要で、品揃えは多ければ多いほど良いです。ヨドバシカメラは実店舗でも家電以外の商品を販売してきたため、非家電商品の取り扱い経験が「ヨドバシ・ドットコム」の品揃えの拡大においても活かされているのではないかと思います。

「ヨドバシ・ドットコム」が品揃えを拡大する時に参考にしているのは、お客さんが検索ボックスに入力するキーワードです。検索キーワードはお客さんが求めている商品そのものですから、よく検索されている商品を販売すれば売れる可能性は高いです。

ネットショップが蓄積しているページ閲覧履歴、商品購入履歴、検索履歴などは、貴重なビッグデータとして認識されるようになっています。これらのビッグデータはネットショップの売上を増やすために活用できるため、データを適切に蓄積して、分析する仕組みを作ることが、ネットショップの成長には重要になりそうです。

お客さんのニーズを把握するという点において、実店舗とネットショップでは掛かる労力に大きな違いがあります。実店舗でお客さんのニーズを知ろうとする場合、アンケート調査を行なうことが多いですが、お客さん、店舗の両方に負担が掛かります。

一方、ネットショップではお客さんが商品ページを見たり、検索ボックスにキーワードを入力することが、実店舗における店員への質問やアンケートのようなものです。ネットショップはビッグデータを活用して、お客さんのニーズに合った品揃えの拡大、キャンペーンを行えるので、お客さんが感じる満足感は大きいです。

ヨドバシカメラの店内ではスマートフォンを使って便利に買い物

実店舗で商品を実際に見て、触って、購入は価格の安いネットショップで行なう「ショールーミング」は、実店舗で商品を販売する小売業にとって脅威です。店舗によっては店内での写真撮影を禁止する案内を出しているところもありますが、お客さんが店内でスマートフォンを使って買い物をすることを止めさせることは難しいです。

ヨドバシカメラは早くからお客さんが店内でスマートフォンを使って買い物をすることを奨励していて、ショールーミングを恐れていません。ヨドバシカメラ公式アプリのカメラ機能を使ってヨドバシカメラ店内の商品のバーコードを読み込むと、「ヨドバシ・ドットコム」を検索してそのまま商品が買えるようになっており、さらに、他社サイトの価格、他社サイトへのリンクも表示されるようになっています。

お客さんの立場からすると、店内で気になる商品、お買い得商品を見つけたとしても、すぐに購入することはありません。有名メーカーの商品であれば、競合店の価格と比較したいですし、Amazonや楽天の商品レビューも見たいです。

商品の価格は満足できるもので、商品レビューが高評価であったとしても、それでも実店舗ですぐに購入する必要はありません。家に帰ってからさらに詳しく商品の情報を調べて、じっくり比較・検討してから、ネットショップで購入することもできます。

お客さんに即決してもらいにくい状況になっていることを考えると、小売業はショールーミングを促すべきかもしれません。お客さんに実店舗で気になる商品を探してもらい、商品の情報をスマートフォンに保存してもらい、時間を掛けてじっくりと検討してもらった上で、後日、実店舗やネットショップで買い物をしてもらいます。

自店で購入してもらえない可能性もありますが、ショールーミングを奨励することで、お客さんに便利な買い物体験を提供することができます。ショールーミングで売上を失うことよりも、テクノロジーに弱い時代遅れのお店だとお客さんに評価されることの方が、長い目で見れば小売業にとって損失になるのではないでしょうか。

最短2時間30分以内に配達をする「ヨドバシエクストリーム」

ヨドバシカメラは2016年9月より、東京都23区全域、および武蔵野市・三鷹市・調布市・ 狛江市の一部地域を対象に、「ヨドバシエクストリーム」を開始しています。「ヨドバシエクストリーム」は「ヨドバシ・ドットコム」で注文した商品を最短2時間30分以内に配達するサービスで、ヨドバシカメラの社員が配達を行っています。

小売業では短時間での当日配達を行なう企業が増えていて、Amazonの「Amazon Prime Now」、ヤマダ電機の「ヤマダ高速便」、ビックカメラの「ビック超速便」、ドン・キホーテの「majica Premium Now」などがあります。家電量販店は有名メーカーの商品を販売しているため、商品での差別化が難しく、価格が同程度の商品であれば、すぐに配達をしてくれる店舗が選ばれることになります。

小売業は自社で配達を行うべきか、宅配業者に依頼するべきか、どちらの方が好ましいかは考え方が分かれるところです。これまでは宅配業者に依頼することが当たり前だったため、自社で配達をするとなると、コスト面の負担が出てきます。

小売業が自社で配達を行うメリットは、お客さんにすぐに商品を届けられること、お客さんに丁寧な接客・サポートを提供できること、店舗の在庫の入れ替えが早くなることなどがあります。配達を自社で行うことのメリットは大きく、コスト面に問題がなければ、多くの小売業が自社で配達することを選ぶのではないでしょうか。

インターネットが普及したことによって、小売業とお客さんの関係が途切れることはなく、生涯に渡って繋がることができます。小売業とお客さんの関係は1回1回の取引の価値で考えるのではなく、生涯に渡る取引の価値で考えるようになっています。

お客さんが実店舗のない地域に引っ越ししたとしても、ネットショップを通じて買い物をしてもらうことができます。「ヨドバシエクストリーム」のような優れた配達サービスは、短時間で商品を届けるだけではなく、お客さんの買い物の満足度を高め、「ヨドバシ・ドットコム」で生涯に渡って買い物をしてもらえることにも繋がります。