ZOZOTOWNがコーディネートをしてくれる「おまかせ定期便」

ZOZOTOWNがコーディネートをしてくれる「おまかせ定期便」

ZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイは、専門のスタッフがお客さんの好みに合ったコーディネートを提案してくれる、「おまかせ定期便」のサービスを2月15日より開始しています。お客さんは定期的に届けられる5~10点の商品のうち、自分が気に入ったものだけを購入して、不要な商品は無料で返品することができます。

スタートトゥデイは受託ショップがメインですが、中古品の販売・買取を行うZOZOUSED、プライベートブランド「ZOZO」、今回の「おまかせ定期便」と、次々に新しい洋服の販売方法を提供しています。豊富な顧客、商品、ビッグデータを抱えるネットモールの存在感が年々大きくなっていて、個々の小売業、メーカーはどのようにしてお客さんとの関係を維持・強化していくのか、これからの課題になりそうです。

ZOZOTOWNの専門スタッフが洋服を提案する「おまかせ定期便」

ZOZOTOWNが新しく開始する「おまかせ定期便」は、お客さんの好みに合わせてコーディネートした商品を定期的に配達するサービスです。お客さんはサービスの申込み時に、テイスト・デザイン・カラー・サイズ・アイテムの好き嫌い、予算などのアンケートに答え、ZOZOTOWNの専門スタッフがアンケートの回答、お客さんのZOZOTOWNでの買い物履歴を元に、おすすめの商品を5~10点を定期的に配達します。

お客さんはZOZOTOWNから送られてきた商品をチェックして、気に入った商品だけを購入して、不要な商品は無料で返品をすることができます。サービスに掛かる費用は定期便の配送料200円と実際に購入する商品の金額となり、スタッフによるコーディネート料金は無料、定期便の頻度は1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月の中から選択できます。

ZOZOTOWNは「おまかせ定期便」の開始とともに、在宅勤務も可能な専門スタッフ「ZOZO販売員」の募集を全国で始めています。業務内容は、お客さんの好みに合ったコーディネートの考案、着こなし方法などをまとめた紹介文(レター)の作成となっていて、1つのコーディネート作成に付き600円が支払われ、売上に応じた成果報酬もあります。

ネットショップには人間による接客がありませんが、「おまかせ定期便」では、ZOZOTOWNの専門スタッフがお客さん1人1人に対して提案をする形になっています。ネットショップの強みの一つは、販売員が不要で運営コストが安いことですが、「おまかせ定期便」では、専門のスタッフを用意して高品質のサービスを提供しています。

「おまかせ定期便」では、採寸用ボディースーツ 「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」で採寸した体型データが利用できるようになっています。「おまかせ定期便」と「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」をセットで利用してもらうことで、デザイン・カラーなどの洋服の好みと、サイズのフィット感を同時に感じてもらえる、画期的な仕組みになっています。

「おまかせ定期便」を利用するお客さんは、ちゃんと自分が気に入る商品が来るのか、気にいる商品が来たとして、サイズは大丈夫なのかという不安があります。好みについてはアンケートや購買履歴などのビッグデータ、サイズについては「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」を活用することで、お客さんの不安を解消しようとしています。

どのようなお客さんが「おまかせ定期便」を利用するのか

ファッションに興味がある人は、自分から洋服を探しに行き、オシャレをすることにたくさんお金を使います。ネットショップで日本全国の洋服が買えるようになったことで、ファッションに強い関心を持つ人は、さらにお金を使うようになっています。

ZOZOTOWNの新サービス「おまかせ定期便」は、洋服を買うことに何らかの問題を抱えているお客さんをターゲットにしているのではないかと思います。オシャレであること自体には興味はあるものの、洋服を選ぶことが苦手、実店舗でオシャレな店員にあれこれ話し掛けられることが苦手など、買い物が億劫なお客さんはいます。

IT・テクノロジー系の若い企業では服装自由のところも多く、毎日の服装に頭を悩ませている人もいます。スーツや制服は同じものを着続けることができますが、服装自由の職場で同じものを着続けていると、周りの目が気になってしまうこともあります。

服装自由の職場で働く人たちの中には、洋服を積極的に買うタイプではなくても、ある程度はオシャレに見られたいというニーズがあります。ZOZOTOWNの新サービス「おまかせ定期便」はこうしたニーズに応えることができ、お客さんに気に入ってもらえれば、長期に渡ってサービスを利用し続けてもらえることも期待できます。

自分のファッションセンスを磨くために、オシャレな人にコーディネートしてもらいたいというニーズもあります。最近は恋愛、結婚が難しくなっているため、ファッションセンスを含めた様々な部分で、自分磨きをしようと考えている人が多くなっています。

ZOZOTOWNの新サービス「おまかせ定期便」が優れている点は、複数のファッションブランドの商品を取り扱っていることです。実店舗の店員から提案を受ける場合、そのファッションブランドが販売している商品の中からしか選ぶことができませんが、「おまかせ定期便」では複数のファッションブランドを組み合わせて提案してもらえます。

ZOZOTOWNは集客力を活かして新しい買い物体験を提供

ZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイは、日本全国のファッションブランドから商品を預かり、お客さんへの販売・配送を代行して手数料を受け取っています。スタートトゥデイの2016年3月期決算では、スタートトゥデイ全体の商品取扱高のうち、ZOZOTOWN事業の「受託ショップ」が全体の90.5%と大部分を占めています。

スタートトゥデイはZOZOTOWNの「受託ショップ」で大きな利益をあげていますが、中古品の販売・買取をするZOZOUSED、プライベートブランド「ZOZO」、「おまかせ定期便」と、「受託ショップ」以外の販売方法でも、お客さんに洋服を売ろうとしています。買い物方法も多様化しており、「実店舗で買うのかネットで買うのか」、「商品は新品なのか中古品なのか」、「自分で商品を選ぶのか店舗が提案するのか」、「現金で支払うのかキャッシュレスなのか」など、買い物の形に定義はありません。

次々に新しい洋服の販売方法を提供するスタートトゥデイを見ていると、巨大な集客力を持つネットショップの強みを感じます。スタートトゥデイが運営するZOZOTOWNはファッション分野のネットショップとしてNo1のポジションを得ていることで、常に多くのお客さんの注目を浴び、多くのお客さんと接触することができています。

インターネットを「ZOZOTOWN+おまかせ定期便」で検索すると、大量のニュースサイト、初めて「おまかせ定期便」を利用してみた人が感想を書いているブログが出てきます。「ZOZOSUIT」が発表された時はインターネットが盛り上がりましたが、「おまかせ定期便」についても、同じように多くの人が関心を持っています。

大手ネットショップが優れた買い物体験を提供すると、実店舗、その他のネットショップで買い物をする機会が減ることになります。Amazonは品揃えの拡大を続けているため、お客さんは必要な商品がある場合、まずはAmazonで商品を探すようになり、そのままAmazonで買い物をして、他のお店のことを気にしなくなります。

ネットショップは便利に買い物ができるとされていますが、品揃えが無制限にあることで、商品を探すことに負担を感じる人も出てきています。ZOZOTOWNの新サービス「おまかせ定期便」では、お客さんは自分で商品を探す必要がなく、このサービスが人気になれば、お客さんは主体的に買い物に取り組まなくなる可能性があります。

顧客・商品・ビッグデータを抱え存在感を強めるネットモール

ZOZOTOWNは毎年出店ブランドを増やしていて、有名なファッションブランド、上場企業の店舗もあります。在庫を預けておけば、販売業務、配送業務を代行してもらえ、販売力もあるので、ファッションブランドにとって重要な販路になっています。

しかし、全体の売上の中でZOZOTOWN経由の売上が大きくなりすぎることは、リスクとして考えられるようになっています。ネットモールの販売手数料は定期的に上昇する傾向にあるため、売上が大きいと、手数料の上昇による利益の減少も大きくなります。

ZOZOTOWNが新しく開始する「おまかせ定期便」は、複数のファッションブランドの商品の中から、ZOZOTOWNの専門スタッフがお客さん1人1人に似合うコーディネートを提案するものです。お客さんがファッションブランドを選ぶのではなく、ZOZOTOWNの専門スタッフがファッションブランドを選ぶという点で従来とは異なっています。

ファッションブランドの立場としては、自社の洋服のコンセプトをお客さんに理解、共感してもらい、購入してもらいたいところです。ZOZOTOWNの専門スタッフがコーディネートをお客さんに提案する「おまかせ定期便」の販売方法は、お客さんとファッションブランドの関係を弱くする可能性があるところは不安な点です。

Amazon、楽天、Yahoo!ショッピング、ZOZOTOWNなどの大手ネットモールは、大量の顧客と商品を抱えていて、検索履歴、閲覧履歴、購買履歴のビッグデータを蓄積しています。大手ネットモールはビッグデータを活用して、精度の高い商品のレコメンド、プライベートブランドの開発、広告ビジネスを行なうようになっています。

ネットモールの支配力が強まる中で、個々の小売業、メーカーがどのようにして存在感を保ち、お客さんとの関係を強化するかというのは課題になっています。ZOZOTOWNはお客さんがどのような商品を求めているのかが分かれば、ファッションブランドの商品を販売するだけでなく、自社でプライベートブランドを開発するようになります。