イオンが定期宅配サービス「Quvalie(クバリエ)」を開始

イオンが定期宅配サービス「Quvalie(クバリエ)」を開始

イオンが毎週決まった曜日に商品を届ける定期宅配サービス「Quvalie(クバリエ)」を、千葉市の一部地域で2018年4月よりスタートすることを発表しています。イオンはAmazonなどのネットショップに対抗するために、今後の3年間でIT・デジタル・物流へ5,000億円の投資を行う計画で、これからも様々な新サービスが登場して来そうです。

現在、インターネットで食品の販売を強化する企業が増えていて、インターネットでの食品購入が拡大して行く雰囲気があります。イオンは実店舗、ネットスーパー、定期宅配サービスすべてを成長させて行きたいところですが、少子高齢化でお客さんの奪い合いが激しくなっている状況からすると、どのような形が成功と言えるのか難しいところです。

「Quvalie(クバリエ)」は紙のカタログとネットを使って注文

イオンの定期宅配サービス「Quvalie(クバリエ)」は、イオン幕張店(千葉市美浜区)を拠点店舗として、美浜区、花見川区、稲毛区の3地区で行う計画です。販売する商品は生鮮食品、加工食品、日用品など約1,000品目で、ミールキット、粉ミルク、おむつなど、時短ニーズ、子育てニーズに対応した商品も取り扱っています。

毎週、紙の商品カタログを発行して、注文はカタログに載っている商品コードをネットで入力してもらう形で受けます。配送料金は送料86円と手数料108円の合計194円で、未就学児のいる世帯は配送料金が無料でサービスを利用できるようになっています。

イオンはネットスーパーを運営していますが、新しく定期宅配サービス「Quvalie(クバリエ)」を開始します。その都度注文するネットスーパーと、毎週決まった日時に届く定期宅配サービスには違いはありますが、類似している点も少なくありません。

ネットスーパーと定期宅配サービスの両方を行う理由は、お客さんに便利な買い物体験を提供するためです。商品は紙のカタログで探して、注文はネットに商品コードを入力するやり方は、ネットが苦手な高齢者のお客さんでも利用しやすい買い物方法です。

定期宅配サービスでは、店舗の商品を店員がピックアップする人件費、お客さんの自宅まで商品を届ける人件費が発生します。「Quvalie(クバリエ)」では注文をしない週も手数料の108円が掛かる料金設定になっているほか、不在の場合はお客さんが指定した場所に商品を置く「置き配サービス」も行なっており、収益性を高める工夫がされています。

商品の配送については、同じスタッフが繰り返し訪問することで、お客さんとのコミュニケーションを重視するとのことです。2021年度には一都三県で6万人の会員を獲得することが目標になっていて、順調に会員数を増やしていけるのかどうかに注目です。

総合スーパー・食品スーパーで食品を買わなくなる人が増える

お客さんが総合スーパー、食品スーパーで食品を買わなくなる状況が進んでいます。単身者は遠くの店舗まで買い物に行くモチベーションが低く、忙しいお客さん遠くの店舗まで買い物に行く時間がないので、自宅から注文ができて品揃えが豊富なネットスーパー、近くにあって価格も安いドラッグストアで食品を買うようになります。

この傾向は今後も進んで行くことが確実視されているので、総合スーパー、食品スーパーはお客さん離れの対策が必要です。食品を購入するモチベーションが低い単身者よりも、買い物に時間を掛けられない、忙しいお客さんの方への対策が優先度が高いです。

子育てをしている世帯は総合スーパー、食品スーパーにとって大事なお客さんで、食品を購入する金額も大きいです。しかし、共働きで子育てをしている世帯が増えているので、買い物や料理に時間を掛けられない、負担を感じる人も増えています。

お客さんが総合スーパー、食品スーパーに求めているものは安さで、食品を安く買って、家計を節約したいと考えています。そうした中で、比較的家計にゆとりがある共働き世帯が増え、安くなくてもいいので便利に買い物をしたいニーズも登場しています。

ネットスーパー、定期宅配サービスを利用しているお客さんは、お金で時間を買っていると言えます。買い物時間、調理時間が節約できるミールキットが人気になっていますが、価格はまだまだ高く、多くの人にとって買いやすい商品ではありません。

長期的に見れば、総合スーパー、食品スーパーで食品を購入して調理するスタイルが減り、ネットスーパー、定期宅配サービスでミールキットを購入して調理するスタイルが増加すると思います。総合スーパー、食品スーパーは規模の拡大で価格を下げる余地が小さいですが、ネットスーパー、定期宅配サービスはこれから価格が下がってきます。

ミールキットの利用が普及すればライフスタイルが大きく変わる

最近のネットスーパー、定期宅配サービスの動きを見ると、ネットでの食品の販売競合が激しくなっています。2017年4月に「Amazonフレッシュ」がスタート、2017年10月にオイシックスと大地を守る会の経営統合、2017年11月に「IY FRESH」がスタート、2018年1月にオイシックスドット大地によるらでぃっしゅぼーやの子会社化、2018年3月に「ローソン フレッシュ ピック」がスタートなど、活発な動きがあります。

ネット専業の小売業、従来の小売業、両方の企業がネットでの食品販売を強化しており、実店舗とネットの境界がなくなっていることが分かります。共働き世帯が増加傾向にあることで、ネットで食品を販売する環境が整いつつあることが背景にあります。

ネットで食品を販売する企業が増えたことで、メディアや広告でネットスーパー、ミールキットの情報に触れる機会が増えています。ネットスーパー、ミールキットの情報が広まることで、実際に購入してみるお客さんが増えるのではないかと予想しています。

ミールキットは忙しい世帯向けの時短商品ですが、これから料理を始めたい人へのスターターキットとしても売れそうです。若年層と高齢層で単身世帯が増えていますから、節約、健康のためにも、男女問わずに自分で料理をしようと考えるようになっています。

ミールキットの販売で期待したいのが、らでぃっしゅぼーやを子会社化したオイシックスドット大地です。規模が拡大することによって、食材の調達力が高まり、加工、物流が効率化されるため、今後、商品の価格が下る可能性は大きいです。

ミールキットで食事をすることが普通になれば、これまで買い物、調理に費やしていた時間を節約することができるようになります。長い人生を考えると節約できる時間は膨大なもので、子育て、趣味などに使える時間が増え、ライフスタイルは大きく変わります。

実店舗・ネットスーパー・定期宅配サービスの関係はどうなるか

イオンは2017年12月に発表した2020年までの中期経営計画では、今後の3年間でIT・デジタル・物流へ5,000億円の投資(過去3年間の2,000億円の2.5倍)をする計画になっています。Amazon、楽天、Yahoo!ショッピングなど、ネットショップの影響が大きくなってきたことで、お客さんのネットショップへの流出を防ぐための投資だと言えます。

2017年12月以降の新しい動きは、2018年の2月に、イオン、ソフトバンク、ヤフーがネット通販で協業を検討しているとのニュースがありました。ソフトバンク、ヤフーとの協業に続き、定期宅配サービス「Quvalie(クバリエ)」も5,000億円の投資の一つです。

ネットショップが存在していない時代は、お客さんがイオンにやって来て買い物をすることは当たり前のことでした。しかし、ネットショップが登場して、お客さんがネットショップへと流出し始めたことで、お客さんを取り戻すための投資が必要になっています。

以前のお客さんの水準を保つために、新しい投資をしなければならない状況ですから、以前よりも収益性が悪化することになります。少子高齢化によって従来の小売業同士でお客さんを奪い合う状況にある中で、ネットショップとの競争も激しくなっているため、お客さんを獲得するために掛かるコストは大きくなる一方です。

定期宅配サービス「Quvalie(クバリエ)」は、2021年度には一都三県で6万人の会員を獲得することが目標です。何らかの理由でイオンの実店舗で買い物をしなくなったお客さんを、定期宅配サービス「Quvalie(クバリエ)」で取り戻す形です。

実店舗とネットでお客さんの奪い合いが起こる、実店舗とネットの両方で投資が増え収益性が悪化するなどは不安な点です。実店舗、ネットスーパー、定期宅配サービスすべてで売上が伸がびれば大成功ですが、どういう結果になるのかは注目するところです。