楽天のフリマアプリ「ラクマ」と「フリル」がサービスを統合

楽天のフリマアプリ「ラクマ」と「フリル」がサービスを統合

楽天が運営している2つのフリマアプリ「ラクマ」と「フリル」がサービスを統合して、「ラクマ」に一本化されることが発表されています。楽天はCtoC事業(フリマアプリ事業)の流通総額2,000億円を目指していて、力を入れている事業の一つです。

「ラクマ」は楽天市場と同じように、利用者の消費行動データを蓄積することができるので、楽天が保有するビッグデータの補強にもなります。現在、「ラクマ」はメルカリを追い掛ける形になっていますが、楽天スーパーポイントを「ラクマ」で利用してもらうことで、「ラクマ」の取引を活性化できるのではないでしょうか。

「ラクマ」と「フリル」の統合で効率化とシナジー効果を実現

楽天は2014年11月から自社で運営してきた「ラクマ」と、2016年9月に楽天グループに入ったFablicが運営してきた「フリル」の2つのフリマアプリを運営しています。今回、「ラクマ」と「フリル」のユーザー・データを統合して、「ラクマ」に一本化します。

「ラクマ」は30代の男女を中心に幅広い層が利用しており、「フリル」はファッションやコスメなどの商品の取引を中心に、10代から20代の女性の利用者が多いとのことです。2つのフリマアプリの利用者が1つのプラットフォームで売買をすることになるので、商品、取引の量が増え、「ラクマ」のフリマアプリとしての価値が高まります。

楽天が「ラクマ」と「フリル」を統合する目的は、リソースの効率化、楽天グループとのシナジー効果のためです。キャンペーン、他サービスとの連携、サービスの品質アップ、セキュリティ向上など、2つよりも1つであった方が効率的に行える部分が多いです。

楽天は9,000万人を越える会員IDを保有しており、楽天会員のフリマアプリ「ラクマ」への送客効果の期待は大きいです。若者は自発的にフリマアプリを利用してくれますが、それ以外の世代の利用者を増やすには、何らかのマーケティング活動が必要です。

楽天の2017年12月期決算資料によると、楽天のCtoC事業の年換算流通総額(2017年12月の流通総額を12倍したもの)は1,400億円となっています。いつのデータなのかは不明ですが、メルカリの月間流通総額は100億円(年換算流通総額は1,200億円)以上というデータもあり、「ラクマ」とメルカリの差はあまり大きくないのかもしれません。

上場している小売業で年間1,000億以上の売上高がある企業を調べてみると、80社程度しかありません。フリマアプリが持っている流通総額の規模は大きく、短期間でこれだけの規模になっていることは、消費者の中古品への関心の高さを表しています。

若い世代の利用者が多いフリマアプリは楽天にとって重要な事業

最近の若い世代は消極的だと言われていて、若者の恋愛離れ、自動車離れ、外食離れ、酒離れ、旅行離れ、時計離れ、テレビ離れ、新聞離れ、ブランド離れなど、「若者の○○離れ」はたくさんあります。商品・サービスに強い興味を持ってくれる若い世代が減少しているので、企業は商品・サービスを販売することが難しくなっています。

そうした中で、フリマアプリは若い世代が積極的に利用しており、若い世代が強い関心を持つ数少ないジャンルの中の一つです。様々なインターネット事業を行なっている楽天にとっても、若い世代の利用者が多いフリマアプリは重要な事業であると言えます。

フリマアプリを利用することは多くの人にとって楽しいもので、特に欲しい商品がない場合でも、ウィンドウショッピングを楽しむことができます。「いいね」がたくさん付いている商品を見ると、いま世間でどんな商品が人気になっているのかが分かります。

フリマアプリの存在自体が、お客さんの商品への関心を高め、消費活動を活性化させる効果があります。楽天は楽天市場に多くの店舗を抱えていますから、フリマアプリで中古品に興味を持った利用者を、新品を販売する楽天市場に送客することもできそうです。

従来の小売業の立場からすると、楽天、楽天が力を入れているフリマアプリは脅威となる存在です。楽天自体がもともと従来の小売業と競合する関係だったのですが、フリマアプリは中古品の流通を活性化させるので、新品の商品が売れにくくなってしまいます。

フリマアプリには、大手小売業が販売しているプライベートブランドもたくさん出品されています。プライベートブランドは小売業が他社との差別化を図るための重要な商品ですが、中古品で売買されるようになれば、新品の売上が減少してしまいます。

フリマアプリでは楽天市場とは異なる消費行動データを取得できる

楽天、Amazonはネットモール、ネットショップですが、最近は、データ企業でもあると考えられています。楽天、Amazonは数千万人の会員を抱え、膨大な検索履歴、商品閲覧履歴、購買履歴を保有しており、お客さんの消費行動をよく知る企業になっています。

楽天は2017年の8月に電通と共同出資で、マーケティングサービスを行なう「楽天データマーケティング」を設立しています。これまで楽天市場で収集してきたビッグデータを活用することで、新しいマーケティング手法を生み出すことが期待されています。

フリマアプリ「ラクマ」も楽天市場と同様に、商品を検索して、閲覧して、購入、売買する場所です。楽天市場と異なる点には、若い世代の利用者が多いこと、新品ではなく中古品を扱っていること、購入だけではなく販売も行われているなどがあります。

楽天市場とは異なるタイプの消費行動データを取得することができるので、楽天の広告ビジネスを補強する貴重なデータになります。フリマアプリは実質的にはメルカリと「ラクマ」の2強の状態ですから、何としてもメルカリからシェアを獲得して、中古品の売買に関する消費行動データを獲得したいというのはあると思います。

楽天が消費行動のビッグデータを保有することになれば、自社でプライベートブランドの開発・販売を行うことも考えられます。楽天市場や「ラクマ」でお客さんの行動履歴を分析すれば、どのような商品が求められているのかを把握することができます。

ZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイは、自社が持つビッグデータ、身体のサイズを採寸する「ZOZOSUIT」を活用して、プライベートブランド「ZOZO」の販売を開始しています。ビッグデータを保有するネットモールがプライベートブランドの開発・販売を行うケースは、これからどんどん増えてくるのではないかと思います。

楽天スーパーポイントはメルカリとの差別化に有効活用できる

「ラクマ」と「フリル」の統合を紹介するニュースがたくさんありますが、メルカリを追撃するという視点が多いです。2つのフリマアプリが統合することでプラットフォームが大きくなるので、利用者、商品数が増え、売買が活発に行われるようになります。

インターネットのアンケート調査を見ると、メルカリを利用している人が圧倒的に多く、「フリマアプリ=メルカリ」という認識が広がっています。フリマアプリの説明をするメディアもメルカリばかりを扱うので、「ラクマ」が注目を集めるのは難しい状況になっていて、どうやってメルカリに追い付くかが課題になります。

利用者がどのフリマアプリを利用するかの基準は、欲しい商品が安く買えて、不要な商品が高く売れる可能性が最も高いことです。利用者が多ければ多いほど、利用者が満足する結果が得られるため、一番のフリマアプリにお客さんが集中することになります。

利用者が増える、売買が活発になる、さらに利用者が増える、さらに売買が活発になるという好循環になるので、メルカリの地位は盤石です。「ラクマ」が楽天の様々な事業の中の一つであるのに対して、メルカリはメルカリ専業であることも有利で、お客さんはメルカリをフリマアプリのトップ企業であると評価します。

メルカリとの差別化で最も有効なのは、楽天スーパーポイントではないでしょうか。楽天はSPU(スーパーポイントアッププログラム)のポイント付与率を最大12倍にパワーアップさせていて、楽天のヘビーユーザーはポイントが貯めやすくなっています。

貯まった楽天スーパーポイントを「ラクマ」で利用できれば、お客さんの利便性が高まるとともに、「ラクマ」での取引も活性化されます。「ラクマ」に楽天スーパーポイントが投入されるようになれば、「ラクマ」の売買単価を引き上げる効果もありそうです。