プライベートブランド商品「ZOZO」は世界トップを目指す

プライベートブランド商品「ZOZO」は世界トップを目指す

昨年末に話題になった「ZOZOSUIT」とプライベートブランド「ZOZO」について、スタートトゥデイの社長のインタビューがあります。スタートトゥデイが運営するZOZOTOWNは、在庫を持たないローリスク・ハイリターンのビジネスとして知られていますが、在庫を持つプライベートブランド「ZOZO」にも果敢に取り組んでいます。

プライベートブランド「ZOZO」は世界トップレベルの売上を目指していて、国内のユニクロとも競合します。実店舗と店員を抱えて商品を販売するユニクロと比べ、実店舗も店員もいないZOZOTOWNは値下げの余地が大きく、ユニクロからプライベートブランド「ZOZO」へ乗り換えるお客さんもいるはずです。

プライベートブランドのために開発された「ZOZOSUIT」

スタートトゥデイがプライベートブランドの検討を初めたのは7年前で、その目的は、あらゆる体型の人にフィットする洋服を作ることでした。ZOZOTOWNは在庫リスクを持たない高収益のビジネスですが、スタートトゥデイは以前から自社でプライベートブランドを開発して、在庫を持って販売することを計画していたことになります。

お客さんの身体のサイズを瞬時に計測する「ZOZOSUIT」は、プライベートブランドを製造するために開発されたテクノロジーです。インターネットを通じてお客さんの身体のサイズを収集する方法を探す中で、ニュージーランドのストレッチセンス社の伸縮センサーの技術を見つけ、「ZOZOSUIT」の開発に繋がっています。

スタートトゥデイは昨年の11月下旬に、「ZOZOSUIT」を無料で配布することを発表して、申込受付を始めました。当初想定していた以上の申し込みがあり、「ZOZOSUIT」の精度の問題も見つかり、配達は2月下旬までずれ込む形になりました。

インターネット上のコメントを見ても、「ZOZOSUIT」への意見は好意的で、楽しみにしている人が多いです。個人の身体のサイズデータを扱うので、プライバシーの不安もあるのですが、新しいテクノロジーへの興味と期待の方が大きいようです。

お客さんの立場では、自分の身体のサイズデータを簡単に測ることができ、常に最新のデータを持てることにはメリットがあります。加齢とともに身体のサイズは変わって行きますが、自分の身体に合ったサイズの洋服を簡単に見つけることができます。

自分の身体のどこかどう変わったのかを把握することができるので、体型を維持するモチベーションも高くなります。普段生活をしていると、自分が太ったり、痩せたことに気が付きにくいのですが、「ZOZOSUIT」を使えば自分の体の変化が簡単に分かります。

プライベートブランド「ZOZO」はベーシックアイテム中心

スタートトゥデイは1月31日、初めてのプライベートブランドとなる「ZOZO」の販売を開始しています。「ZOZOSUIT」の身体のサイズデータを利用していて、お客さん1人1人の体型に合わせた、究極のフィット感を提供する商品です。

販売する商品は1,200円のTシャツと、3,800円のデニムパンツの2種類で、カラーはTシャツが4色、デニムパンツが3色となっています。Tシャツとデニムパンツの価格は標準的な感じがしますが、売上規模が拡大して価格が下がる余地があることを考えると、将来的にはかなりお得な商品になる可能性はあります。

スタートトゥデイがプライベートブランド「ZOZO」を開発するにあたって、ZOZOTOWNに出店しているファッソンブランドと被らないことは意識されています。プライベートブランド「ZOZO」と出店ファッソンブランドブランドが被ると、ネットショップとしてのZOZOTOWNの価値を毀損してしまうことになります。

ファッションブランドはZOZOTOWNに出店することで、売上を大きく伸ばしていますが、ZOZOTOWNへの依存度が高まることを心配する意見もあります。初めてのプライベートブランドのTシャツは1,200円、デニムパンツは3,800円と低価格になっていて、これから発売される商品も、低価格のベーシックアイテムが中心になるようです。

プライベートブランド「ZOZO」への期待は大きく、売上高は数兆円の規模を目指しているとのことです。数年以内には、高い成長率を維持しているZOZOTOWN事業の売上高を追い抜き、世界のトップ企業に並ぶことを目標にしています。

現在、日本に来る外国人観光客の数が急増していて、あらゆるカテゴリの日本製品への関心が高まっています。ユニクロ、良品計画が中国で店舗数を拡大していますから、スタートトゥデイの商品も、中国、アジアを中心に売れるのではないでしょうか。

プライベートブランド「ZOZO」は最初から低価格で販売

スタートトゥデイの前澤社長のインタビューでは、洋服の値下げ販売に対する否定的な意見をよく見ます。値下げ販売をする理由は、需要の予測が間違っていたためで、定価で買ったお客さんの満足度が大きく下がってしまうデメリットもあります。

ZOZOTOWNでは値下げのクーポンがよく発行されていて、これは客単価を下げる圧力になっています。ファッションブランドが利益を確保できいれば、あまり問題視されないのですが、過度のクーポンは将来的には改善が必要な問題です。

「ZOZOSUIT」を使ったプライベートブランド「ZOZO」では、値下げ販売が起こりにくい仕組みになっています。プライベートブランド「ZOZO」は1人1人のお客さんの体型に合った商品ですから、サイズが原因で返品になる可能性は低いです。

お客さんも自分専用の洋服を買っている認識があるので、商品がすぐに届かなくても不満はありません。スタートトゥデイは注文を受けてから洋服を製造することができるので、在庫のリスクを抑え、売れ残りによる値下げ販売を回避することが出来ます。

プライベートブランド「ZOZO」の商品ページには、「be unique , be equal」、「みんな違うけど、みんな一緒」という説明があります。1人1人の洋服のサイズは違っていても、同じ素材、同じデザイン、同じ価格という意味ではないかと思います。

価格が変動することが多い、これまでの洋服と比べると、プライベートブランド「ZOZO」は常に同じ価格で、フェアな印象を受けます。品揃えを絞り込み、価格を低価格で固定すると、ベーシックアイテムとして、非常に魅力的な商品に見えます。

スタートトゥデイは百貨店だけではなくユニクロとも競合する

ZOZOTOWNでは多くのファッションブランドの洋服がまとめて買えるので、百貨店、ファッションビル、ショッピングモールの競合だと考えられています。2017年8月1日には、スタートトゥデイの時価総額が1兆円を超え、三越伊勢丹ホールディングスの時価総額を大きく上回っていることが話題になりました。

今回、プライベートブランド「ZOZO」の発売を開始したことで、百貨店、ファッションビル、ショッピングモールだけではなく、製造小売業であるユニクロも競合になります。プライベートブランド「ZOZO」のTシャツ、デニムパンツを見て、ユニクロの商品をイメージした人も多くいるのではないでしょうか。

ユニクロは長い時間を掛けて商品の価値を高めていて、価格、品質を含めた商品の価値は、多くのお客さんが認めているものです。スタートトゥデイのプライベートブランド「ZOZO」の価値が、ユニクロの商品の価値に追い付けるのかどうかというのは、今後のファッション業界に大きなインパクトを与えるものです。

もし、ユニクロの商品とプライベートブランド「ZOZO」の価値が同じになれば、店舗、店員のいない、スタートトゥデイの方が商品を低価格で販売できます。そうした事態が実際に起きれば、改めて実店舗の存在意義も考えなければならなくなります。

小売業の歴史を見ると、大規模小売業は、後発の小売業にカテゴリの一部を奪われる形で売上を失っています。昔は洋服、家電、家具を百貨店で買っていましたが、今ではそれぞれを販売する専門店が出ていて、さらに、コート専門、下着専門、テレビ専門、パソコン専門、タンス専門、椅子専門など、商品に特化したネットショップもあります。

例えば、ユニクロの商品の一部、Tシャツ、デニムパンツ、靴下などのベーシックアイテムが、スタートトゥデイに奪われる可能性はあります。従来の小売業は、ネットショップに特定の商品に特化されると、売上を守り続けることが難しくなります。