日本チェーンストア協会会員企業の2017年の売上高は前年割れ

日本チェーンストア協会会員企業の2017年の売上高は前年割れ

日本チェーンストア協会が1月25日発表した、2017年度の販売状況によると、総販売額は12兆9,175億円(前年比1.0%減)となっています。日本チェーンストア協会の会員企業56社、9,904店舗の売上高をまとめたもので、会員企業には総合スーパー、食品スーパーを運営する小売チェーン店が多く含まれています。

食料品の販売金額の減少は小さいものの、衣料品、住関品(住宅関連商品)は販売金額の落ち込みが大きいです。衣料品、住関品(住宅関連商品)は専門店、ネットショップの存在が大きく、対応することが難しい状況で、今後も販売金額は減少を続けそうです。

食料品の販売金額は前年を下回るものの惣菜の需要が高まる

食料品の販売金額は8兆4,599億円となっていて、既存店ベースで前年比0.5%減、全店ベースで0.6%減です。食料品の既存店の販売金額が前年割れをするのは4年ぶりで、お客さんの節約志向が強い、食料品の販売競争が激しい、などが原因として考えられます。

全店ベースの食料品の販売金額の内訳を見ると、畜産品(前年比0.9%増)、惣菜(0.4%増)は前年を上回っていて、農産品(2.1%減)、水産品(1.7%減)は前年を下回っています。農産品と水産品は価格の変動があるので判断が難しいですが、水産品に関しては、調理に手間がかかるので魚が敬遠され始めているという話があります。

惣菜の販売金額は既存店ベースで前年比0.1%減、全店ベースで0.4%増で、ニュースで話題になるほど売れていません。普段買い物をしていても、惣菜売り場がリニューアルされているお店を多く見るので、販売金額が伸びていないのは少し意外な感じがします。

スーパーが惣菜売場に投資を行っていることは事実なので、惣菜の単価が下がっている、お客さんの購入個数が減っているなどが考えられます。農産品、畜産品、水産品と惣菜の販売動向を見ると、調理の手間がない惣菜を選ぶ人が増えています。

食料品を販売する小売業が増えているため、総合スーパー、食品スーパーは食料品を販売することが難しくなりつつあります。ドラッグストアが生鮮食品、弁当、惣菜を販売する、ネットスーパーがミールキットを販売するなど、総合スーパー、食品スーパー以外の店舗でも、お客さんは便利に食料品を購入することができます。

総合スーパー、食品スーパーで食料品を購入することは当たり前ですが、ドラッグストアやネットスーパーで食料品を購入することは、お客さんにとっては新しい体験です。総合スーパー、食品スーパーは話題性、体験という点では、お客さんに新鮮さを提供することが難しいため、不利な立場に置かれていると言えます。

衣料品の販売金額は前年を下回っていて減少を止めることは難しい

衣料品の販売金額は1兆720億円となっていて、既存店ベースで前年比2.3%減、全店ベースで3.6%減です。衣料品の販売では百貨店の売上高も減少が続いており、百貨店、総合スーパーで衣料品を購入するお客さんは減り続けています。

ユニクロ、しまむらの台頭によって、百貨店、総合スーパーの衣料品部門は苦戦が続いていますが、さらにネットショップも脅威になっています。衣料品の売上高の減少を食い止めることは難しく、このまま売上高が減り続ける可能性が高いです。

総合スーパーで衣料品を買うお客さんは、商品の価格や品質よりも、身近なお店で買える利便性を求めています。総合スーパーで販売している、シャツ、靴下、下着などは価格、品質にも問題はなく、食料品と一緒のお店で購入できるので便利です。

昔から総合スーパーで買い物をしている中高年のお客さんは、今後も総合スーパーで衣料品を買い続けてくれると思います。お客さんに新商品を提案するというよりは、お客さんが必要としている商品を、切らすことなくしっかりと在庫しておくことが重要です。

若い世代のお客さんは専門店やネットショップで衣料品を購入しているため、総合スーパーで衣料品を買う可能性は低いです。シャツ、靴下、下着などは若い世代のお客さんにも必需品ですが、総合スーパーよりも専門店やネットショップで買う方が簡単です。

総合スーパーのお客さんは高齢者が多いですから、若い世代のお客さんをターゲットにマーケティング活動を行うことは難しいです。高齢者のお客さんが減少して、若い世代のお客さんを獲得できなければ、売上高は徐々に減少して行くことになります。

住関品(住宅関連商品)の販売金額は前年を下回り対応は困難

住関品(住宅関連商品)の販売金額は2兆5,737億円となっていて、既存店ベースで前年比2.4%減、全店ベースで1.8%減です。住関品の販売金額の減少についても衣料品と同じで、昔の買い物場所である、百貨店、総合スーパーで購入しない人が増えています。

家庭用品は品揃えが多く、購入する機会も多いので、衣料品と比較して販売金額が減少しにくいというのはあると思います。ドラッグストア、家電量販店、ホームセンターに行くのが面倒くさいので、総合スーパーで食料品と一緒にまとめて買うことはあります。

全店ベースの住関品の販売金額を見ると、家具・インテリア(前年比6.8%増)は前年を上回っていて、日用雑貨品(4.3%減)、医薬・化粧品(2.6%減)、家電製品(8.0%減)は前年を下回っています。家具・インテリアの販売金額が大きく伸びている点については、データの中にニトリホールディングスが入っているためではないかと思います。

家具・インテリアを除くと、すべてのカテゴリで前年を大きく下回っていて、住関品(住宅関連商品)の販売が難しくなっていることが分かります。お客さんの買い物行動は変化しているため、衣料品と同様に販売金額の減少を食い止めることが難しいです。

住関品(住宅関連商品)のカテゴリは家具・インテリア、日用雑貨品、医薬・化粧品、家電製品の4つですが、すべてのカテゴリに専門店があります。専門店の品質、品揃え、価格と競うことは難しく、低単価の最寄り品以外を販売することは難しいです。

また、Amazonのような品揃え豊富なネットショップを利用すると、これらのカテゴリすべてをまとめて購入することもできます。総合スーパーが住関品(住宅関連商品)の売上高の減少を食い止めることは難しく、対応策がない状況が続いています。

総合スーパー・食品スーパーは食料品以外を強化する必要がある

食料品、衣料品、住関品(住宅関連商品)の販売動向を見ると、小売業の競争環境が厳しくなっていることが分かります。総合スーパーは衣食住の商品をワンストップで買える利便性が付加価値だったのですが、その利便性がお客さんに評価されなくなっています。

衣料品、住関品(住宅関連商品)は専門店の品質・品揃え・価格が優れていて、ネットショップはそれに利便性が加わっています。衣料品、住関品(住宅関連商品)の販売金額が減少すれば、売り場を持て余すことにも繋がり、店舗の生産性を悪化させます。

食料品は食品スーパーや総合スーパーで購入することが当たり前で、それ以外の選択肢あ最近になるまでありませんでした。質の良い食料品を安く買おうとする場合、食品スーパーや総合スーパーで買うことがベストであることは今も変わりません。

しかし、お金を節約したい、時間を節約したいと考えるお客さんには、ドラッグストアやネットスーパーが食料品を購入する場所になります。食品スーパーや総合スーパーはお客さんを奪われる一方になるので、売上を維持し続けることが難しくなります。

総合スーパーのユニーはドン・キホーテと業務提携を行い、総合スーパーの売り場にドン・キホーテの商品を入れようとしています。強みである食料品の売り場を維持して、弱みである衣料品、住関品(住宅関連商品)を強化することが目的です。

総合スーパーが店舗としての魅了を持ち続けるためには、衣料品、住関品(住宅関連商品)で外部企業との協力が必要ではないかと思います。食品スーパーが100円ショップやドラッグストアを併設している店舗を見ることが多いですが、食料品単体で集客することが難しくなっていることが理由ではないかと思います。