急成長を続けている鳥貴族が1,000店舗を達成するための課題

急成長を続けている鳥貴族が1,000店舗を達成するための課題

鳥貴族は急速に店舗数を増やしている人気の焼き鳥チェーン店ですが、鳥貴族の課題を分析している記事があります。鳥貴族は2017年の10月に280円均一から298円均一への値上げを行っており、今期は値上げの影響がどう出るのか注目されます。

鳥貴族は2021年7月期までに1,000店舗を計画していて、各種コストの上昇への対応、アルバイト・パートの確保が課題になっています。出店は関東、関西、東海の3大商圏に集中しており、今後、店舗数が増えることでスケールメリットが出てきます。

2017年10月に280円均一のメニューを298円へと値上げ

鳥貴族は280円均一のメニューで人気を集めて来た焼き鳥チェーン店ですが、昨年の10月に298円均一へと18円の値上げを行っています。飲食チェーン店では値上げが頻繁に行われていますが、人気チェーン店の鳥貴族の値上げ話題になりました。

鳥貴族が値上げを行った理由には、食材費の高騰、アルバイト・パートの時給、採用コストの上昇、2017年6月に施行された改正酒税法に伴う酒類の仕入れ値の上昇、などが挙げられています。鳥貴族のコストを上昇させる外部環境の変化が同時に起こったことで、28年ぶりとなる値上げを実施しています。

値上げに対するインターネット上の反応を見ると、値上げも仕方がないと受け入れる意見が多かったです。食材費の高騰、人件費の高騰は多くの人が日々実感していることですから、飲食業界だけではなく、全体的に値上げを受け入れられやすい状況です。

鳥貴族は280円均一で料理を提供していましたが、お客さんが感じていた価値は280円以上だったと考えることもできます。鳥貴族のリピーターになっている人にとっては、18円の値上げは、利用するお店を変えるほどのものではなかったとも言えます。

280円均一から298円均一への値上げは約6.4%ですが、鳥貴族は2018年7月までの既存店売上高を3%程度押し下げると見込んでいます。値上げ以降の既存店の売上高は前年同月比で、96.2%(10月)、105.3%(11月)、100.4%(12月)となっていて、値上げの分だけ客単価は伸びているものの、客数の減少が売上高の減少を起こしている月もあります。

値上げは短期的には客数の減少を引き起こしますが、長期的には売上高を底上げする効果があるのではないかと思います。鳥貴族以外の飲食チェーン店、食品メーカーも値上げを行っているので、値上げをしたイメージも長くは続かないのではないでしょうか。

店舗数を急速に増やす中で外国人従業員の割合も高くなる

鳥貴族の店舗数は2017年10月末の時点で567店舗となっていて、2010年の177店舗から、7年間で約3.2倍の店舗数へと急成長しています。2014年にはJASDAQに上場しており、メディアへの露出も増えたことで、出店のペースが加速しています。

店舗数、売上高、営業利益のすべてが右肩上がりで順調に来ていましたが、直近の平成29年7月期は営業利益が前年比8.7%減となっていて、様々なコスト上昇の影響が出ています。コストの上昇を吸収するために値上げを行いましたが、しっかりとコストの吸収ができるかどうかが、今後の出店戦略にも影響を与えそうです。

小売業、飲食業ではアルバイト・パートの採用が難しくなっており、日本人の代わりに、外国人留学生を採用する企業が増えています。鳥貴族のアルバイトに占める外国人の割合は約37%で、その中でもベトナム人の従業員が多いとのことです。

鳥貴族は飲食チェーン店の中でも人気があり、営業利益率も高いため、外国人の従業員の割合が高いことには少し驚きがあります。人気の飲食チェーン店でもアルバイト・パートの採用が難しいことを考えると、中小の店舗ではさらに難しいことが想像できます。

飲食チェーン店では店舗数を急拡大している企業がいくつかあり、いきなり!ステーキが絶好調であるというニュースをよく見ます。いきなり!ステーキの1号店の出店は2013年12月ですが、2017年10月末時点の店舗数は155店舗と急速に店舗数を伸ばしています。

人手不足でアルバイト・パートの採用が難しいと言われる中で、大量出店をしている飲食チェーン店の勢いは、いつまで持続するのかも気になるところです。スケールメリットを得るためには店舗数を増やすことが不可欠ですから、外国人の従業員が多くなるのであれば、外国人の従業員が働きやすい労働環境が重要になります。

焼き鳥は飲食店だけではなくコンビニ・食品スーパーでも人気

鳥貴族は焼き鳥の品質と280円均一のお得な価格で人気ですが、同様のコンセプトの焼き鳥店が増えています。モンテローザが運営する「豊後高田どり酒場」は280円均一、コロワイドが運営する「やきとりセンター」は串焼き2本セットが280円、ダイナミクスが運営する「鳥二郎」は270円均一となっています。

飲食店チェーン店が提供する料理は、類似品を開発することが比較的簡単なため、人気の飲食チェーン店には競合店がすぐに現れます。鳥貴族は298円均一へと値上げを行ったことで、価格の点では競合する焼き鳥チェーン店よりも高くなっています。

鳥貴族は焼き鳥の品質に力を入れていて、各店舗で鶏肉をカットして、焼き鳥の仕込みを行い、お客さんに提供しています。また、食材の国産比率向上に取り組んでいて、2016年10月より、食品表示法(平成27年4月1日施行)で定められた国産基準において、フードメニューで使用する食材(生鮮食品・加工食品)すべてが国産になっています。

競合する焼き鳥チェーン店とは価格に大きな違いがないので、鳥貴族の焼き鳥の品質がお客さんに適切に評価されるかどうかは重要です。鳥貴族は美味しいけど、他の焼き鳥チェーンも美味しいということになると、お客さんの奪い合いになります。

コンビニのローソン、ファミリーマートも焼き鳥を開発していて、価格は127~128円(税込み)で、メニューの数も増えています。食品スーパーの惣菜売り場にも焼き鳥があり、焼き鳥は飲食店だけではなく、家庭でも食べられる人気商品になっています。

鳥貴族の焼き鳥がコンビニ、食品スーパーの焼き鳥に、品質で負けることはありませんが、お客さんは用途によって利用するお店を変えます。遠くにある鳥貴族の焼き鳥でなくても、近くにあるコンビニや食品スーパーの焼き鳥で構わないと考える人が増えれば、コンビニや食品スーパーにお客さんを奪われてしまう可能性はあります。

3大商圏を中心に2021年7月期までに1,000店舗を目標

鳥貴族は2021年7月期までに1,000店舗を計画していて、関東で600店舗、関西で250店舗、東海で150店舗になる計算です。出店はこれまで通り、日本の3大商圏に集中して行う予定で、人口の多いエリアを中心に店舗を増やすのはチェーン店の共通戦略です。

狭いエリアで店舗数を増やすドミナント戦略には、エリア内での知名度の向上、物流コストの削減などのメリットがあります。お客さんがどこへ出掛けても、お店を目にするようになれば、このお店は人気がある、勢いがあると感じるようになります。

小売チェーン店、飲食チェーン店は日本全国にお店を持っていて、各チェーン店によってどのエリアを重視するかは異なっています。本社のあるエリアでドミナント出店を行い、さらに勢いがあるチェーン店は日本全国へと店舗を拡大します。

店舗の商圏が狭い飲食チェーン店の場合、日本全国に店舗を拡大するメリットはほとんどないと言ってよいのではないかと思います。狭いエリア内でドミナント出店を行い、着実に店舗数を増やしていくことが、企業の利益の最大化に繋がります。

アルバイト・パートの採用が難しいことを考えると、店舗数を増やすには、店舗の生産性を高めることが重要になります。鳥貴族では注文用のタッチパネルを150店舗以上に導入していて、月間の人件費を20~30万円削減できる効果があるとのことです。

低価格を維持するためであれば、飲食店の使い勝手が少し悪くなっても、お客さんは受け入れてくれるのではないでしょうか。タッチパネルを最初に利用する時にはストレスもありますが、何度か利用すれば慣れるので、大きな問題になることはありません。