飲食店のデータを研究する「トレタデータサイエンス研究所」

飲食店のデータを研究する「トレタデータサイエンス研究所」

飲食店向け予約台帳・顧客台帳サービスの「トレタ」を運営している株式会社トレタが、保有している飲食店のビッグデータの研究を行う「トレタデータサイエンス研究所」を設立しています。トレタは10,000店舗、4,000万件以上の予約データを保有しており、これらのデータを活用して、飲食業界が抱える課題を解決することが目的です。

予約データの具体的な活用方法として、店舗オペレーションの最適化、新規出店の商圏分析、食品飲料メーカーの営業活動での利用などが想定されています。飲食業界は労働環境が良くないと考えられていますが、最新のテクノロジーやビッグデータを活用することで、労働環境を改善できる余地は大きいのではないかと思います。

飲食店の生産性を高める予約台帳・顧客台帳サービス「トレタ」

飲食店向け予約台帳・顧客台帳サービスの「トレタ」は、株式会社トレタが2013年から提供しているASPサービスです。サービス開始からの4年間で導入店舗数は10,000店を越えていて、飲食店向け予約・顧客台帳サービスの中でも注目されています。

幅広いジャンルの飲食店で導入実績があり、鳥料理、アジア料理、居酒屋、フレンチ、ホテル、肉料理、焼き鳥、焼き肉、イタリアン、和食、寿司、ハワイ料理、中華料理、洋食などジャンルは様々です。上場している飲食チェーン店にも導入実績があり、エー・ピーカンパニー、サガミチェーン、大庄の店舗で利用されています。

トレタの基本的な機能は、予約台帳、顧客台帳、集計・分析、ウェブ予約の4つとなっています。予約を受け付ける専用ページを作って、そこから予約をしてもらい、顧客台帳を使って顧客対応を行い、蓄積されたデータを店舗の改善に活かすシステムです。

トレタが飲食店に提供するものは、紙で行われていた予約管理をデジタル化することによる生産性のアップです。また、お客さん1人1人の来店履歴・注文履歴をデジタルデータで記録しておくことで、接客・カスタマーサービスの改善に役立てることができます。

基本的な予約管理・顧客管理の機能に加えて、飲食店の業務の効率を高められる便利な機能がいくつかあります。トレタには外部のPOSシステムと連携する「トレタPOSコネクト」があり、予約データ、顧客データ、注文データを統合することができます。

外部のグルメサイトと連携する「トレタメディアコネクト」を使うことで、「Yahoo!予約 飲食店」、「ヒトサラ」、「楽天ダイニング」などからの予約をトレタに取り込むことができます。複数のグルメサイトからの予約をトレタに集約して一元管理することができるので、予約を管理する担当者の業務の効率化が図れます。

予約データの研究を行う「トレタデータサイエンス研究所」を設立

トレタは飲食領域におけるビッグデータ、人工知能の研究を進めることを目的に、「トレタデータサイエンス研究所」を設立しています。「トレタデータサイエンス研究所」では、慶應義塾大学の研究室と共同で研究を行うことも発表しています。

トレタが「トレタデータサイエンス研究所」を設立した狙いは、飲食業界全体の課題解決に取り組むためです。保有するビッグデータをトレタの内部サービス向けに活用するだけではなく、飲食業界全体で役立つような活用方法も期待されます。

トレタはサービス開始から4年間で10,000店以上の導入実績があり、蓄積されている予約データは4,000万件以上あるとのことです。トレタは飲食店の生産性を高める予約台帳・顧客台帳サービスを提供する企業ですが、多くの飲食店にサービスを利用してもらうことにより、大量の予約データを保有するデータ企業にもなっています。

飲食店を予約して利用するスタイルはお客さんに定着しており、便利に使える予約システムは、リピーターの育成にも貢献しています。予約システムを使って飲食店を利用するお客さんは今後も増え続けるので、トレタが保有するデータも増え続けます。

飲食店の予約データを大量に保有しているトレタは、飲食業界のことをよく知っている専門家になることができます。現在、どんなジャンルの飲食店が人気なのか、どんなお酒が人気なのか、客単価はどうなのか、飲食店の利用頻度はどうなのか、カップルや家族はどんな食事をしているのか、こうした飲食業界の動向をトレタは知っています。

保有しているビッグデータをどう活用するかはこれからですが、飲食業界に大きなインパクトを与えることができるのではないかと思います。トレタはサービス開始から4年しか経っていませんが、飲食業界のビッグデータ企業として存在感を強めています。

トレタが保有している飲食店のビッグデータの活用方法

予約データの活用方法として効果的なのは、過去の予約データをもとに、未来の予約状況を予測することです。未来の予約件数の予測精度を高めることで、食材の管理や従業員のシフト管理など、店舗オペレーションの最適化を図ることができます。

誰が何をどれくらいの数量食べるのかは予測が難しく、食材は多すぎても少なすぎてもロスが発生してしまいます。過去の予約データを分析することで、機会損失や食材のロスを減らすことができれば、お店の収益性を改善することができます。

複数の店舗と予約データを地図上にプロットすれば、飲食店の商圏分析に活用することができます。トレタのデータを使えば、どの地域にどんなジャンルのお店があって、売上はこれくらい、客数はこれくらい、客単価はこれくらいということが分かります。

飲食チェーン店は新規出店時に商圏分析を行いますが、商圏分析に約立つデータとして、トレタが保有するビッグデータに興味を持つ飲食チェーン店はあると思います。商圏人口、駅の利用者数、飲食業の事業者数などは、公的な資料から取得することもできますが、トレタが保有している店舗データ、予約データは独自の価値があります。

最近は小売業・食品飲料メーカーと有名飲食店がコラボして、オリジナルの商品の開発・販売を行うことが増えています。小売業・食品飲料メーカーは有名飲食店の知名度を活用することで、売れる可能性の高い、高価格のプレミアム商品を開発しています。

小売店で購入されている食品・飲料と、飲食店で人気になっているジャンルは密接に関係しているのではないかと思います。トレタが保有しているビッグデータは、飲食料品メーカーの新商品開発の参考資料に役立てることができるのではないでしょうか。

飲食店にはITを使って生産性を改善できる余地がたくさんある

人手不足は日本の多くの業種で問題になっていますが、きつい仕事のイメージがある飲食業界は採用が難しいです。アルバイト・パートの待遇もどんどん良くなっていますが、利益率がそれほど高くない飲食業は、アルバイト・パートを厚遇することができません。

人材を確保することが難しい状況ですから、店舗オペレーションの効率化を行い、生産性を高めることが必要になっています。飲食業界はブラックだと言われていますが、逆に考えれば、労働環境の改善の余地が大きく、快適な労働環境になれる可能性は高いです。

飲食店の売上はどれだけのお客さんにお店を利用してもらえるかですから、できるだけ多くのお客さんを取り逃すことなく獲得したいです。特定の日にお客さんが集中してしまうと、対応することができず、機会損失が発生してしまいます。

お店の予約状況によって、日毎にメニューの価格が変わる「ダイナミックプライシング」は効果がありそうです。ホテルでは予約状況によって宿泊価格を変えて、売上を伸ばしていますが、このやり方は飲食店でも効果があると思います。

テイクアウトの業態では、来店前にスマートフォンから注文と決済を行い、店舗では商品を受け取るだけで済むサービスが登場しています。お店側は計画的に余裕を持ってお客さんに対応することができる、お客さんのすべての行動をデジタル化して記録することができるなどのメリットがあり、お客さんに快適な買い物体験を提供することができます。

飲食店は気が向いた時にふらっと利用するものですが、どうにかして事前注文・事前予約をしてもらうようにできれば、店舗の生産性を高めることができます。低価格の食事を事前注文・事前予約することは馴染みがありませんが、今後はお客さんにインセンティブを出すことによって、そうした利用スタイルも増えて来るかもしれません