2017年のコンビニの売上高は全体では伸びるものの既存店は減少

2017年のコンビニの売上高は全体では伸びるものの既存店は減少

日本フランチャイズチェーン協会が発表した、2017年のコンビニエンスストア統計年間動向によると、コンビニ全体では前年よりも売上高を伸ばしています。しかし、既存店の売上は前年を下回っていて、全体の売上高の伸びは新規出店の貢献が大きいです。

食品を販売する小売業の競争は激しくなっていて、従来のコンビニ対食品スーパーの状況に、ドラッグストアとネットショップも参入しています。狭い商圏で商品を販売するコンビニにとって、既存店の売上・客数の減少の影響は大きく、既存店の質を高めることがコンビニ全体の課題になっていると言えます。

全店ベースの売上高は伸びるものの既存店ベースの売上高は減少

日本フランチャイズチェーン協会が発表した、2017年のコンビニエンスストア統計年間動向によると、全店ベースの年間売上高は10兆6,975億円(前年比1.8%増)となっています。既存店ベースの年間売上高は9兆4738億円(前年比0.3%減)となっていて、既存店ベースの年間売上高が前年を割り込むのは3年ぶりのことです。

2017年12月末現在の店舗数は5万5,322店(前年比3.2%増)となっていて、新規出店は順調に行われ、1,694店舗増加しています。全店ベースの年間売上高の伸び率よりも、店舗数の伸び率の方が大きいため、1店舗あたりの売上高は減少しています。

全店ベースの来店客数は2月、8月、10月に前年割れとなったものの、173億327万人(前年比0.7%増)と前年よりも増加しています。既存店ベースの来店客数は154億9,208万人(前年比1.8%減)となっていて、既存店の売上高が減少する要因になっています。

全店ベースの年間平均客単価は618.2円(前年比1.1%増)となっていて、堅調に推移しています。既存店ベースの年間平均客単価は611.5円(前年比1.5%増)となっていて、全店ベースよりも若干単価は低いですが、こちらも前年を上回っていて順調です。

客単価を伸ばすことができた要因には、店内調理品などのカウンター商材や弁当、惣菜、調理麺、調理パン、サラダなどの中食、デザート、冷凍食品などの好調が挙げられています。少子高齢化、単身世帯の増加、共働き世帯の増加など、お客さんのライフスタイルの変化に対して、ニーズに合った品揃えを提供することができています。

客数の減少がコンビニが直面している課題ですが、コンビニ同士での競合、スーパー、ドラッグストア、ネットショップとの競合があります。客単価は全店ベース、既存店ベースともに前年を上回っており、品揃えに関しては大きな問題はないと言えます。

お客さんのライフスタイルに合った商品を提供して売上を伸ばせる

共働きの世帯が増加しているため、コンビニには夕食の惣菜を販売して売上を伸ばすチャンスがあります。以前はコンビニで惣菜を買うのは贅沢だと見られていましたが、今では大量の惣菜を購入しているお客さんを見ることも珍しくありません。

家族全員分の夕食の惣菜を買ってもらうことができれば、高めの客単価を期待することができます。惣菜の種類は豊富にありますから、商圏のお客さんの好みを分析することで、惣菜の品揃えとお客さんのニーズのバランスを最適化したいところです。

コンビニを利用するお客さんは高齢化しており、高齢者になったことで、食品に対するニーズも変化しています。高齢者のお客さんが求めていることは、管理がしやすい少量に小分けされた食品で、コンビニでも食品スーパーでも少量の食品が増えています。

コンビニは食品スーパーよりも売り場面積が小さい分だけ、品揃えの点で不利になってしまう点は問題です。少量の食品は単価も安いので売上への貢献も小さいのですが、高齢者のお客さんからのニーズは確実にあるので、対応が難しいところでもあります。

コンビニは店内調理品などのカウンター商材に力を入れていて、ホットスナックを入れるケースも大型化しています。作りたての商品はお客さんの購入意欲をそそることができ、粗利益率も高いため、次々にホットスナックの新商品が登場しています。

品揃えが多いとまとめ買いで客単価が伸びそうに見えますが、お客さんが何を買うのか悩んでしまうケースも考えられます。品揃えが多すぎてもお客さんは買い物がしにくいので、ホットスナックの中でも中心になる人気商品を開発することが重要になりそうです。

競合する食品スーパー・ドラッグストア・ネットショップ

数年前はコンビニの食品、惣菜が人気で、食品スーパーからお客さんを奪っているという意見をよく見ました。コンビニの食品、惣菜は値段は高いものの、味は美味しいので、遠くの食品スーパーよりも近くのコンビニを選ぶ人が増えているという見方でした。

しかし、最近は食品スーパーが評価されるようになり、コンビニが食品スーパーにお客さんを奪われているという意見もあります。食品スーパーも惣菜に力を入れ始めたこと、コンビニよりも全体的に価格が安いことが、食品スーパーが評価される理由です。

数年前からドラッグストアはコンビニの競合になると予想されて来ましたが、多くの人の予想通りになっています。食品の質や品揃えはコンビニや食品スーパーには敵いませんが、価格競争力があるので、節約志向のお客さんはドラッグストアで買い物をします。

食品と日用品を一つのお店で買えることもドラッグストアの強みで、買い物に時間を掛けたくないお客さんにとっては便利なお店です。コンビニも日用品の品揃えを強化していますが、ドラッグストアも店舗数を増やしてお客さんとの距離をさらに縮めているため、ドラッグストアの存在感が強まっています。

ネットショップは書籍、ゲーム、家電、洋服を買うお店でしたが、最近は食品を買うことも普通のことになっています。お客さんがネットショップで食品を購入すれば、それはコンビニ、食品スーパー、ドラッグストアの食品の売上が奪われたことになります。

加工食品、飲料はネットショップでケース販売をされていたり、在庫処分セールもあるので、ネットショップでお得な買い物ができるようになっています。コンビニで必要な食品をその都度買い物するのではなく、ネットショップであらかじめケース買いをしておいて、必要な食品を家から持って来る消費行動も出てきています。

飽和状態と言われる中で既存店の質を高めることが重要になる

全店ベースの年間売上高は10兆6,975億円(前年比1.8%増)と順調ですが、既存店ベースの来店客数が154億9,208万人(前年比1.8%減)と減少していることは不安材料です。既存店ベースの来店客数は22ヶ月連続で減少していて、いかにして集客力を高め、既存店の来店客数を増やせるかが重要な課題になっています。

コンビニは飽和状態だと長い間言われ続けていますが、新規出店を増やすことで全店ベースの年間売上高を伸ばしています。しかし、既存店の集客力が悪化している傾向があるため、1店1店のコンビニ店舗を取り巻く環境は厳しさを増していると言えます。

厚生労働省が発表した2017年の人口動態統計の年間推計によると、出生数から死亡数を引いた自然減が40万人を越えています。既存店の客数が減少している企業を見ることがよくありますが、人口減少の影響がジワジワと感じられるようになっています。

コンビニのような狭い商圏で商品を販売する小売業では、特に人口減少の影響を強く受けます。遠方からお客さんが時間を掛けて買い物にやって来ることはないので、何らかの要因で商圏内の人口が減少すれば、すぐにお店の売上の減少として現れます。

現在、コンビニが売上を伸ばす方法として効果的なのは、1店1店の既存店の質を高めることではないかと思います。食品のロスを減らす、セット購入の提案力を高める、ニーズに合ったタイムセールを行うなどは、既存店の質を高められる方法です。

コンビニでは食品のロスは必要経費として考えられて来たため、食品のロスを減らすことで収益性を高められる余地は大きいです。コンビニはお客さんとの関係性が弱い業種ですが、これからは商圏のお客さん1人1人を大切にして、リピーターとして長く買い物をしてもらえるような関係を築いて行くことが重要です。