ユニーとドン・キホーテの業務提携による総合スーパーの活性化

ユニーとドン・キホーテの業務提携による総合スーパーの活性化

ユニー・ファミリーマートホールディングスとドンキホーテホールディングスの業務提携後の動きについて、ユニー・ファミリーマートホールディングス社長のインタビュー記事があります。ユニーが運営している総合スーパーの中で、6店舗にドン・キホーテの売り場を導入する計画で、どのような効果が生まれるのか注目されています。

衣食住の商品を一つのお店で買えることが総合スーパーの魅力でしたが、現在では食品以外の商品力が弱くなっています。ドン・キホーテはプライベートブランドの「情熱価格」を含め、幅広いカテゴリを扱っているため、ユニーの総合スーパーの食品以外のカテゴリを強化できるかという点がポイントです。

ユニーとドン・キホーテの業務提携が短期間でまとまった背景

ユニー・ファミリーマートホールディングスとドンキホーテホールディングスの業務提携のニュースが出たのは6月で、この時は検討するというものでした。その後、実際に業務提携を発表したのが8月ですから、検討から発表まで2カ月程度と短期間です。

このように業務提携が短期間でまとまった背景に、総合スーパーを取り巻く経営環境が想像以上に悪いことが挙げられています。具体的には、消費者の節約志向に合わせるための値下げ競争、ドラッグストアなどとの競争、ネットショップの台頭です。

消費者の節約志向はこれからも続くと見られていて、いかに値下げを続けられるか、体力勝負になりそうな雰囲気があります。これまで値下げを行っているのは、イオン、セブンイレブン、西友などの食品・日用品を販売する企業、良品計画、IKEAなど、衣料品、家具、生活関連商品を販売する企業、幅広く値下げが行われています。

値下げを行うことで1品目あたりの購入個数を増やしたり、他の商品とセットで買ってもらうことで、売上を伸ばす狙いがあります。お客さんは値下げされた商品を見るとお得感を感じるので、財布のひもが緩くなる効果はあります。

ドラッグストアとネットショップは取扱品目を増やしていて、総合スーパーと多くの商品で競合するようになっています。生鮮食品や弁当を販売するドラッグストアが登場したり、ネットショップでは生鮮食品と日用品をセットで買うことができます。

ドラッグストアとネットショップが総合スーパーよりも優れている点として、より身近で、短時間で買い物ができる利便性があります。総合スーパーは生鮮食品では優れているものの、忙しくて買い物に時間を掛けられないお客さんは、買い物時間を節約するために、ドラッグストアやネットショップで買い物をするようになります。

ユニーとドン・キホーテでお互いの弱いカテゴリを補完する

ユニー・ファミリーマートホールディングスとドンキホーテホールディングスの業務提携により、両社の業態を統合させた店舗を作ることになっています。ユニーが運営している「アピタ」「ピアゴ」といったGMSの約200店舗のうち、6店について、屋号を残しながら売り場をドン・キホーテに転換する予定になっています。

「アピタ」「ピアゴ」がいわゆるチェーンストア理論に基づいた店舗であるのに対して、ドン・キホーテは型破りの個店主義で知られています。この辺の小売業としての歴史・文化の異なる売り場が、うまく融合できるのかというのは注目されている点です。

総合スーパーでは衣食住の商品を販売していますが、衣料品、住宅関連商品の売上が減っていて、食品だけが健闘している状況です。ユニーの総合スーパーでは食品の売上が売上全体の7割を超えているとのことで、衣料品、住宅関連商品の底上げが必要です。

一方、ドン・キホーテの食品の売上は3~4割、それ以外の売上が6~7割となっていて、ユニーとドン・キホーテでお互いの弱いカテゴリを補強できる関係になっています。狙い通りに、両社の得意とする商品がうまくお客さんのニーズと合致すれば、一つのお店で多くのカテゴリが買える便利なお店に変身できます。

ユニーとドン・キホーテではお客さんの年齢、趣向が大きく異なるはずですが、一つのお店で異なるタイプのお客さんが気持ちよく買い物できるかどうかも課題です。両社の陳列方法は全く異なっていますが、ユニーの既存のお客さんが、ドン・キホーテの圧縮陳列の売り場で買い物をしてくれるのかどうかは興味があるところです。

ドン・キホーテを目当てにやって来るお客さんにとっては、ユニーの食料品が同じお店でに買えるので、非常に便利なお店になります。ユニーからすると、ドン・キホーテが新しいお客さんを連れて来てくれるので、食品の売上アップが期待できます。

ドン・キホーテのプライベートブランドが持つ集客力

ユニーとドン・キホーテの業態を合わせたお店を作るメリットの一つに、ユニーの2階、3階部分の売り場を埋められること点があります。人気の専門店にテナントとして出店してもらうとお店の集客力が高まるのですが、新しいテナントを誘致することも難しくなって来ているとのことです。

専門店側も集客力のある商業施設に出店したいですから、厳しい環境にある総合スーパーのユニーは、魅力的な出店候補に映らないかもしれません。また、小売業全体の傾向として、実店舗からネットショップの投資へと移行しており、このこともテナントの誘致が難しい一因になっています。

ドン・キホーテはプライベートブランドの「情熱価格」の開発に取り組んでいますが、共同の商品開発は効果が大きいと思います。ユニーとドン・キホーテの客層は異なっているため、ユニーのお客さんから異なるヒントをもらうことができます。

ドン・キホーテは6月に5万4,800円の50型4K対応テレビを発売しましたが、3,000台が1週間で完売して大きな話題になりました。ユニーのお客さんを取り込むことで、プライベートブランドの「情熱価格」を買ってくれるお客さんを増やせれば、スケールメリットを活かしてさらに大きな利益が得られます。

ドン・キホーテのプライベートブランドの「情熱価格」が、良品計画のような商品に成長することが、ユニーにとってはベストのシナリオではないでしょうか。良品計画は生活雑貨の販売から始まりましたが、今では、食品、衣料品、家具、家電と、あらゆる商品を販売する、ブランド力のある小売業の地位を確立しています。

総合スーパーの強みは、1つのお店で衣食住の商品をまとめて買えることですが、食品以外の商品力が落ちることで、その強みも失われてしまいました。しかし、ドン・キホーテのプライベートブランドの「情熱価格」が人気になれば、再び総合スーパーの利便性が注目されるようになります。

対ネットショップへの対抗策は実店舗しかできない体験の強化

ネットショップへの対抗策は、実店舗ならではの「買い物の楽しみ」「新しい商品との出会い」、こうしたものを生み出すことが挙げられています。便利に買い物をしたい、安く買い物をしたいと考えるお客さんはネットショップを好みますし、そうしたお客さんを実店舗に引き付けるのは難しいことです。

実店舗ならではというのは難しいことではあるのですが、ドン・キホーテには独特の買い物体験を提供する売り場と、プライベートブランドの「情熱価格」があります。プライベートブランドはそのお店でしか買えないものですから、実店舗がネットショップに対抗するうえで、重要な武器であると考えられています。

ユニーはネットショップを運営しており、ネットスーパー「アピタネットスーパー」と、総合ネットショップ「アピタのインターネットショッピング」の2つがあります。「アピタネットスーパー」は実店舗の商品をお客さんに届けるもので、実店舗がある地域のみ限定でサービスを提供しています。

ドン・キホーテもネットショップを運営しており、品揃え豊富な「ドン・キホーテネットショッピングモール」があります。ドン・キホーテのニュースを見ていても、特にネットショップが人気、儲かっているという話はありません。

ユニー・ファミリーマートホールディングスとドンキホーテホールディングスの業務提携により、ネットショップで販売できる商品数も増えると思います。品揃えが増えることでお客さんの買い物は便利になりますが、両社のネットショップの売上を増やすほどのインパクトはなさそうです。

従来の小売業にとっては、実店舗とネットショップは補完関係にありますから、両方を使って全体の売上を伸ばす方向性になります。すぐに期待できる効果としては、ネットショッピングの受け取り場所に使える実店舗の数が増えることです。