ニトリが物流倉庫にロボット「Butler(バトラー)」を導入

ニトリが物流倉庫にロボット「Butler(バトラー)」を導入

ニトリが物流倉庫に導入した、無人ロボットシステム「Butler(バトラー)」を公開しています。「Butler(バトラー)」の導入により、作業効率が高まり、物流倉庫の運営に必要な従業員の数を55人から10人にまで大きく減らせる計算です。

ニトリは実店舗とネットショップの連携を進めていて、実店舗で商品を見て、ネットショップで購入するお客さんも増えています。物流倉庫で扱う荷物の増加、人手不足による採用難に対応するため、物流ロボットへの期待が高まっています。

作業効率と労働環境の改善が期待される「Butler(バトラー)」

ニトリが西日本通販発送センター(大阪府茨木市)に導入した無人ロボットシステム「Butler(バトラー)」は、インド系企業のGreyOrangeが開発したものです。「Butler(バトラー)」のシステムは、(1)ロボット本体、(2)専用の可搬式棚、(3)ピッキングおよび棚入れを行うためのワークステーション、(4)ロボットが自律的に充電を行うオートチャージャー、(5)システム全体を制御するソフトウェアで構成されています。

「Butler(バトラー)」は自動で動く小さなロボットが棚の下に潜り込み、棚を持ち上げて人間が待つところまで運んで来ます。また、ロボットにはAIが搭載されていて、どの棚にどの商品が入っていて、どこに棚を置けばいいのか、自動で考えて動いてくれます。

自動で動くロボットが棚を持ち上げて運ぶシステムは、Amazonが導入している「Kiva」も同じ仕組みです。中国のニュースでも同様のシステムを目にした事があるので、ネットショップの物流倉庫を効率よく運営するためには、このやり方がベストだと世界的に考えられているようです。

複数のロボットが同時に棚を動かして運ぶのですが、ロボットは制御されていて、ロボット同士が衝突することはありません。人間は複数の作業を同時に行うことが難しいですが、ロボットを使うことで、必要な商品を同時進行で集めることが可能になります。

「Butler(バトラー)」を導入することによって、西日本通販発送センター(大阪府茨木市)では運営の省力化を実現しています。「Butler(バトラー)」は1時間あたり、人間の4.2倍の作業をこなすことで、従来55人だった従業員を10人まで減らせる計算です。

物流倉庫で働く人員を減らせるとともに、荷物が入った棚が人間のもとへやって来るので、人間が歩く距離を減らすことができます。一般的に物流倉庫の作業は肉体的にきついものが多いですが、人間の負担が軽くなるシステムは従業員にとってもありがたいです。

複数のロボットを活用することで取り扱い可能アイテムを増やす

ニトリは以前にも物流倉庫にロボットを導入していて、2016年2月に通販発送センター(神奈川県川崎市)に、自動倉庫型ピッキングシステム「Autostore(オートストア)」を導入しています。「Autostore(オートストア)」はコンテナを使った無人システムで、人間が作業している机の前に、荷物が入ったコンテナが自動でやって来るというものです。

「Autostore(オートストア)」はコンテナで商品を管理するので、取り扱いアイテムの60~65%しか対応できていないとのことです。Youtubeに「Autostore(オートストア)」を紹介する動画があるのですが、コンテナはそれほど大きくはありません。

今回導入する「Butler(バトラー)」は取り扱いアイテムの80%に対応しており、「Autostore(オートストア)」を補強するような感じになっています。取り扱いアイテムの素材、大きさも幅広いので、複数のロボットを併用することで、カバー率を上げて行くことがスタンダードになるのかもしれません。

「Butler(バトラー)」はインド系の企業が開発していますが、倉庫の自動化の分野は、中国とインドが引っ張って行くと予想されています。両国ではEコマースが急拡大しているため、荷物の増加に合わせて、物流の効率化も不可欠になっているからです。

「Butler(バトラー)」で対応できない2割については、具体的にどうのような商品なのかは説明がありません。「Butler(バトラー)」の仕組みから推測すると、物理的に棚に乗らない大きな商品、棚には乗るものの、重すぎてロボットが運べない商品が考えられます。

洋服ダンス、ソファー、食器棚などの大型商品も、ロボットが自動で運んでくれるようになれば便利です。具体的に考えられるやり方としては、大型のベルトコンベアを用意して、その上に家具を寝かせて運べばできるのではないかと思います。

ネットショッピングの成長には物流倉庫への投資が不可欠

ニトリが物流倉庫の効率化に投資を行う理由として、通販の荷物が過去5年間で2.7倍になっていることが挙げられています。物流倉庫に投資をすると聞くと、オンライン小売業をイメージしますが、従来の小売業にとっても物流倉庫の重要性が増しています。

ニトリ・ホールディングスの2017年第三四半期までの業績発表では、通販の売上高は220億円(前年同期比33.2%増)となっています。ネットショップの成長率は実店舗の成長率を上回っていて、実店舗とネットショップの両方が伸びていることにも注目です。

ニトリは実店舗とネットショップを融合させたオムニチャネルに力を入れていて、6月に「手ぶらdeショッピング」という新しいサービスを始めています。ニトリのショッピングアプリの機能の一つで、店内の気になる商品のバーコードを読み取ると、ショッピングアプリに買い物リストが作成される仕組みになっています。

お客さんはショッピングアプリから商品を注文できるので、その場で即決しなくても良くなります。ニトリは「手ぶらdeショッピング」の商品を店舗からではなく物流倉庫から配達することで、店内での作業を減らせるメリットがあります。

「手ぶらdeショッピング」の素晴らしい点は、いつでも、どこでも、お客さんからの注文を受けることができる点です。これによって、お客さんの気変わりにも対応できますし、店員も売上のために、お客さんに強引に購入を薦める必要もありません。

家具のような高額で大型の商品は、お客さんにとっても購入の決断が難しく、悩んでいるうちに気が変わることも多いです。ショッピングアプリから、いつでも注文できるようにしておけば、お客さんが決断した瞬間を見逃すことなく受注できます。

アルバイト・パートを採用するための労働環境のアピール競争

物流倉庫の仕事のイメージは肉体的な疲労が大きく、どちらかと言えば、人気の低い仕事ではないでしょうか。体力に自信のある若い男性にとっては働きやすいですが、女性や高齢者は、そもそも物流倉庫の仕事に応募しようとする人も少ないです。

インターネットショッピングの成長は続いて行くため、物流倉庫の新規建設も増え、そこで必要となる人材の数も増えます。女性や高齢者に敬遠されがちな物流倉庫のイメージを改善させることは、小売業にとって経営課題になると思います。

オンライン小売業のアスクルの物流センター「ASKUL Value Center 関西」(2018年2月に稼働予定)では、カフェテリアで温かい食事を無償で提供するとのことです。従来の小売業のアルバイト・パートでこのような待遇を聞いたことはなく、従来の小売業とオンライン小売業の収益性の差、従業員の待遇の差に驚いてしまいます。

オンライン小売業が高収益で、従業員に良い労働環境、待遇を提供できるのであれば、オンライン小売業が伸びてもらった方が嬉しいです。ニトリの物流倉庫でも人員の削減が見込めるので、労働環境が良くなり、小売業のイメージアップに繋がって欲しいです。

アルバイト・パートは簡単に採用できるものと考えられて来ましたが、これからは採用できる企業とできない企業で差が出そうです。労働条件が悪い企業の情報はインターネットで共有されるので、それを見た人は応募を取りやめてしまいます。

小売業ができることは、テクノロジーを導入して必要な人員を減らすこと、削減したコストを従業員に還元することです。今まで実店舗で働いたアルバイト・パートも、物流倉庫の労働環境の良さ、待遇の良さを知れば、みんなそちらで働こうとします。