中国人のお客さんの日本国内の店舗・越境ECでの買い物データ

中国人のお客さんの日本国内の店舗・越境ECでの買い物データ

日本貿易振興機構(ジェトロ)が「中国の消費者の日本製品等意識調査」を発表していて、中国人のお客さんのニーズの分析に参考になります。中国人観光客の日本国内での買い物金額は減少傾向にあるものの、越境ECの利用者数が増加しています。

日本国内の小売業の取り組みとしては、実店舗で買い物をしてもらいながら、越境ECの利用を促して行くことです。越境ECで買い物をする理由として、「日本に旅行をしたときに購入して気に入った製品だから」が挙げられているので、日本国内の実店舗と越境ECのどちらでも買い物ができるようにすれば、売上を伸ばすことができます。

日本に旅行をしたことがあるお客さんの越境EC利用が増える

中国のお客さんが越境ECで日本の商品を購入した理由として、「日本に旅行をしたときに購入して気に入った製品だから」が第2位になっていて注目です。2016年の調査では回答者の22.7%でしたが、2017年の調査では40.5%と大きく伸びています。

日本への観光旅行から越境ECへの流れが起きていることを証明するデータでもあり、いわゆるカスタマージャーニーの設計が重要になっています。小売業は日本の実店舗での販売だけでなく、越境ECで販売することも想定した計画が必要になります。

「中国内では店頭で販売されていない製品だから(44.4%)」、「ニセモノではないから(32.4%)」、「価格が安いから(30.1%)」が、それぞれ第1位、3位、4位です。「中国内では店頭で販売されていない製品だから」というのは、中国のお客さんが当該製品を中国国内で探したことがあるということですから、製品の認知度は高いです。

「ニセモノではないから」、「価格が安いから」は、中国人観光客が日本のお店で買い物をする理由として、これまでもよく目にして来たものです。こうした回答が減少傾向にあるということは、越境ECの環境が良くなっていて、中国人のお客さんが安心して買い物ができるようになっていると言えます。

経済産業省が発表している、中国人のお客さんが越境ECを通じて日本から購入した金額の推計は、2011年から2016年の間に約10倍になっています。2011年の1,096億円から、2016年には10,366億円と1兆円を超えていて、成長のスピードはとても速いです。

日本国内では少子高齢化によって、多くのマーケットで規模が縮小して行くため、越境ECに力を入れようとする小売業・製造業も増えています。越境ECは実店舗を持つほどの大きな固定費も掛からないため、中小企業にも新規参入のチャンスがあります。

越境ECでは単価の安い商品を購入しているお客さんが多い

中国人のお客さんが越境ECで購入した商品は、化粧品(48.5%)、食品(41.6%)、医薬品(35.5%)、電気製品(31.5%)、健康食品(27.8%)がトップ5です。前年と比較しても回答者の割合の変化もほとんどなく、中国人のお客さんが日本からの越境ECで求めている商品は、これら5つの商品と考えてよいです。

化粧品、食品は日本国内の実店舗でも人気がありますが、医薬品は日本国内の実店舗では優先順位は低くなっていて、日本国内の実店舗と越境ECで買い物の仕方に少し違いがあります。日本国内の実店舗では比較的単価の高い、デジタル製品、家電製品、衣料・日用品、ブランド品などを購入して、単価の安い商品は越境ECで購入しています。

今後、越境ECで購入したい商品の第1位は電気製品(47.6%)で、今年も前年も購入したい商品の第1位になっています。日本国内の実店舗では、電気製品の爆買いは終わっていると考えられていますが、越境ECでの需要は依然として大きいようです。

東証1部に上場しているヤーマンという家庭用美容・健康機器メーカーが、中国向けの越境ECで売上高と営業利益を大きく伸ばしています。テレビや炊飯器など、これまで爆買いされて来た家電の需要はなくなりつつあるものの、美顔器、痩身器具など、若い女性向けの美容家電のニーズはまだまだありそうです。

中国人のお客さんの越境ECでの買い物の特徴に、企業名ではなく、商品名で買い物をしているとの話があります。信頼できる口コミによって商品の価値が保証されているので、何という名前のメーカーが作っているのかを意識していないということでした。

中国人のお客さんが企業の名前や規模を気にしないことは、越境ECに取り組みたい日本の中小企業にとってはよい話です。企業の規模は小さくても、品質の良い商品をしっかりと作って、口コミで商品の価値が保証されれば、越境ECで購入してもらえます。

中国人観光客の取り込みに積極的な百貨店と家電量販店が人気

中国人観光客が日本国内の実店舗で購入したかったものは、化粧品(27.6%)、衣料・日用品(20.8%)、デジタル製品(16.2%)、食品(13.7%)、家電製品(12.7%) 、ブランド品(1.6%)、書籍(2.8%)の順になっています。家電の爆買いは終わりつつあると考えられていますが、デジタル製品、家電製品の人気は依然としてあります。

中国人観光客では若い女性の消費に期待が集まっていて、化粧品、衣料・日用品は今後も有望なカテゴリです。化粧品はここ数年はインバウンドのトップ商品になっているので、化粧品がいつまで売れ続けるのかというのも注目したいところです。

欲しかった商品を実際に日本のどの店舗で買ったかでは、百貨店(18.6%)と家電量販店(17.0%)の2つがやや抜け出ています。百貨店と家電量販店は中国人観光客向けに割引をしたり、中国人の決済方法として人気の「Alipay(アリペイ)」や「WeChat Pay(ウィーチャットペイ)」を導入して、売上を増やす取り組みを行っています。

百貨店と家電量販店は日本人のお客さんからの売上が減少傾向にありますから、中国人のお客さんの獲得にも積極的です。中国人のお客さんは買い物をする気もお金も十分にありますから、しばらくは中国人観光客からの売上に期待といったところでしょうか。

空港の免税店(13.9%)とドラッグストア(13.7%)が第3位、第4位になっていますが、こちらもニュースを見ているとたまに目にします。空港の免税店は帰国前の最後の買い物場所として有利な場所にあり、ドラッグストアは低価格の化粧品や医薬品が人気です。

空港の免税店は非常に有利な立地にありますから、中国人観光客の売れ筋商品を揃えるだけでも、安定して売上を獲得できると思います。空港の免税店の客数が減少するようなことがあれば、中国人観光客の買い物への関心が低下していると判断できます。

旅行支出の金額に大きな変化はないが買い物代金は減少が続く

日本旅行の情報を誰から得るかでは、「在中国の親族、友人(61.1%)」、「日本の観光案内所(49.1%)」、「在日本の親族、友人(47.2%)」の3つが多いです。よく知らない土地でトラブルに巻き込まれるのは嫌ですから、信頼できる人から情報を得ています。

「ウェブサイト、SNS、ブログ(8.2%)」の数字は低く、中国人はソーシャルメディアをよく利用すると言われているので少し意外でした。本当に重要なことについては、信頼できる人から得て、どの商品が良い、どこの飲食店が美味しいなど、あまり重要ではない情報は、ソーシャルメディアから得ているのではないかと思います。

2014年から2017年までの中国人観光客の1人あたりの旅行支出を見ると、248,432円(2014年1-3月)、238,385円(2017年7-9月)と少し減っているものの、大きな変化はありません。旅行支出のピークは300,434円(2015年1-3月)となっていますが、ここが爆買いのピークであったと考えることができます。

旅行全体での支出にはあまり変化がありませんが、買い物に使う金額は176,975円(2014年1-3月)、104,970円(2017年7-9月)と大きく減少しています。買い物からコト消費への流れが続いていますが、10万円を切ることはないかなという感じがします。

2016年7-9月と2017年7月-9月の具体的な品目ごとの購入単価を見ると、多くのカテゴリで減少していて、カメラ・ビデオカメラ・時計(65,524円→49,240円)は特に購入単価の減少が大きいです。購入単価の減少に比べると、購入率の減少は小さいので、商品自体には需要はあるものの、より低価格の商品を購入していることになります。

購入単価が伸びているカテゴリは、化粧品・香水(36,938円→42,783円)、和服(着物)・民芸品(7,819円→9,428円)、書籍・絵葉書・CD・DVD(8,031円→9,731円)です。コト消費が伸びていることからも分かるように、「日本らしさ」が大事なキーワードになっていて、購入単価が伸びている商品でもそうした傾向が見られます。