スマートフォンを使って買い物をするドン・キホーテの次世代店舗

スマートフォンを使って買い物をするドン・キホーテの次世代店舗

テクノロジーを活用したドン・キホーテの次世代店舗について、ドン・キホーテ社長のインタビューがあります。ドン・キホーテのコンセプトは「DoT(モノのデジタル化)」で、お客さんの生活の中でリアルとインターネットの区別がなくなっているため、小売業もお客さんの新しい生活スタイルに溶け込んでいく必要があります。

ドン・キホーテの次世代店舗では、スマートフォンを使った買い物を想定していて、カギになるのが電子マネーアプリの「majica」です。お客さんに「majica」を利用してもらうことで、買い物履歴を蓄積して、Amazonなどのネットショップと同じようなパーソナルマーケティングを行うことを目指しています。

リアルとインターネットの区別がない「DoT(モノのデジタル化)」

あらゆるものがインターネットに繋がるようになる「IoT(モノのインターネット化)」は、小売業を含めたあらゆる産業で導入が始まっています。小売業では店内にインターネットに繋がったカメラを設置して、お客さんの行動を記録することで、売り場替え、人員配置など、店舗を改善するために活用され始めています。

ドン・キホーテ社長はこの「IoT」の言葉に似た、「DoT(モノのデジタル化)」という言葉を紹介しています。お客さんはスマートフォンを常に利用しているため、リアルとインターネットの区別がなくなっており、「DoT(モノのデジタル化)」はリアルとインターネットの区別がないライフスタイルを表現したものです。

お客さんがリアルとインターネットを区別しなくなったことで、小売業もスマートフォンとの親和性を高めなければいけないということだと思います。スマートフォンから買い物ができることは当たり前で、さらにもっとたくさんのことができなければいけません。

スマートフォンから商品の検索ができる、商品の取り置きができる、予約ができる、店舗へ問い合わせができる、修理の依頼ができるなどです。例えば、店舗への問い合わせは電話ですることが一般的ですが、LINEやチャットボットも使えるようになれば、お客さんはさらに買い物しやすくなります。

ネットショップやショッピングアプリを持つ小売業も増えていますが、テクノロジーへの投資では企業間に差があります。実店舗で買い物をしてくれる高齢者のお客さんが多い企業は、依然として実店舗で商品が売れるので、テクノロジーへの投資が遅いです。

ドン・キホーテは10代から40代くらいまでの若い世代のお客さんが多いため、テクノロジーへの投資にも積極的です。10年後、20年後のことを考えると、若い世代のお客さんが買い物がしやすい店舗、テクノロジーを取り入れた店舗である方が好ましいです。

ドン・キホーテの次世代店舗ではスマートフォンを使って買い物

ドン・キホーテの次世代店舗のコンセプトは、「入店=ログイン」、「退店=ログアウト」という、スマートフォンを所有していることを前提としたものです。実店舗では誰が何を買い物をしているのか分からない状態ですが、スマートフォンを活用することで、ネットショップと同じような買い物体験を提供することが可能になります。

ドン・キホーテには電子マネーアプリの「majica」があるので、お客さんの買い物履歴を蓄積することができます。店内でも「majica」を利用しながら買い物をしてもらうことで、お客さんが興味を持つであろう商品をパーソナライズして提案することができます。

ドン・キホーテは8月に行った事業説明会で、IT技術と会員サービスを活用した次世代店舗を2018年度に出店数する計画を発表しています。次世代店舗の新しい買い物体験を紹介したコンセプトビデオでは、顔認証の技術を利用して、自動で駐車場へのシャッターが上がるシーンがありました。

顔認証ではなく、スマートフォンでもできそうな仕組みではありますが、お客さんを識別する仕組みが多くあるに越したことはありません。例えば、スマートフォンを持たないお客さんも、顔認証だけで顧客管理ができるようになるようなことも考えられます。

小売業の立場としては、お客さんに店内でスマートフォンを使って買い物をしてもらい、お店の売上を伸ばしたいところです。しかし、技術的な課題以外にも、店内でスマートフォンを使うことには、解決しなければならない課題も多くあると思います。

歩きスマホは社会問題になっていますが、店内においてもスマートフォンを使いなが歩くのは危ないです。また、買い物に時間を掛けたくない忙しいお客さんが増えているため、店内でスマートフォンを使いながら、ゆっくり買い物をしてくれるお客さんがどれくらいいるのかも気になります。

ドン・キホーテは商品管理では電子タグではなく画像認識を検討

商品の管理方法では、ドン・キホーテンは電子タグではなく、画像を使った管理方法を検討しているとのことです。商品を画像で管理することのメリットとして、商品画像をチラシやネットショップでも活用することができる点が挙げられています。

画像を使った商品管理の仕組みは、最初にあった「DoT(モノのデジタル化)」という言葉と一致するものです。商品をデジタル化(テキスト、画像、動画など)することで、従来の実店舗以外の様々な場所でも、お客さんに商品を見てもらえるチャンスがあります。

ドン・キホーテのように豊富なカテゴリを販売している小売業にとっては、画像を使った検索には売上を伸ばすチャンスがあります。現在は、テキストで検索することが当たり前ですが、将来的には、言葉や画像で検索するようになると考えられています。

お客さんは毎日の生活の中で、気になる家具、家電、洋服、文房具、食品、日用品など、自分が気になる商品の写真をたくさん撮っています。これらの写真を使ってドン・キホーテの商品データベースを検索するようにできれば、実店舗やネットショップの集客力を高めることができます。

現在、商品管理に導入するテクノロジーとして、電子タグと画像を使った識別の2つの方法が注目されています。サプライチェーンを通して商品を管理したい場合は電子タグ、それ以外の場合は、画像を使った識別方法が採用されるのではないかと予想しています。

電子タグを使った商品の管理では、サプライチェーン間で情報を共有するシステムの構築もあるので、導入には時間が掛かりそうです。4月に、経済産業省とコンビニ5社は、すべての取扱商品(推計1,000億個)に電子タグを利用することについて、一定の条件の下で各社と合意したと発表しましたが、実現目標は2025年と時間が掛かる予定です。

店舗のデジタル化にはお客さんにアプリを使ってもらう必要がある

従来の小売業が店舗をデジタル化するには、ショッピングアプリ、あるいは、電子マネーアプリが不可欠です。お客さんにショッピングアプリ、電子マネーアプリを使ってもらうことで、お客さんを個別に認識して、パーソナルマーケティングが可能になります。

ドン・キホーテの電子マネーアプリ「majica」の会員数は500万人、アクティブ会員は250万人とのことです。会員数も重要ではありますが、電子マネーを繰り返し利用して買い物をしてくれる、アクティブ会員の数を増やして行くことが、店舗のデジタル化を実現するうえでの目標になります。

お客さんがネットショップで買い物をする場合、商品を配達するための住所が必要になるので、個人情報を入力してアカウントを作ります。それ以降、お客さんの商品閲覧履歴、買い物履歴はアカウントと紐付けて記録されるので、ネットショップは簡単にパーソナルマーケティングを行うことができます。

一方、従来の小売業ではお客さんの買い物履歴を取得することが難しく、ポイントカード、ショッピングアプリ、電子マネーアプリをお客さんに使ってもらわないといけません。しかし、お客さんはこれらを使わなくても買い物ができるため、ネットショップと比較して、パーソナルマーケティングを行うことが格段に難しいです。

従来の小売業が、お客さんにショッピングアプリや電子マネーアプリを利用してもらうためには、どのような工夫があるでしょうか。やはり、一番効果があるのは、お客さんが何度も買い物をしたい、リピーターになるような、素晴らしいお店になることです。

お客さんに何度も買い物をしてもらうためには、実店舗だけではなく、ネットショップもあった方が買い物回数が増えます。価値のある商品があって、買い物がしやすければ、お客さんはそのお店で何度も買い物をするようになり、自然とショッピングアプリや電子マネーアプリを使うようになるのではないかと思います。