イオンが2020年度に売上高10兆円を目指す計画を発表

イオンが2020年度に売上高10兆円を目指す計画を発表

イオンが2020年度に連結売上高10兆円を目指す中期経営計画を発表していて、売上高の大幅な増加を計画しています。中期経営計画の内容は盛りだくさんで、食品スーパーの地域ごとの再編、商品部門ごとの専業会社の設立、ネットショップの開始、ディスカウントストアの強化などを実施することになっています。

中期経営計画の中心にあるのがデジタルシフトで、今後の3年間で、IT・デジタル・物流へ5,000億円を投資する計画です。イオンのデジタルシフトはAmazonを意識したもので、デジタル領域でどのような新サービスを提供するのか注目です。

2020年に売上高10兆円を目指してデジタルへの投資を増額

イオンは2020年までの3年間の中期経営計画を発表して、連結売上高を10兆円、連結営業利益を3,400億円にすることを目標にしています。イオンの2017年2月期決算によると、売上高は8兆2,101億4,500万円、営業利益は1,847億3,900万円ですから、売上高、営業利益とも、これからの3年間で大きく伸ばす計画です。

イオンの小売部門では、SM・DS事業、小型店事業、ドラッグ・ファーマシー事業は堅調ですが、GMS(総合スーパー)事業の営業利益が近年伸び悩んでいます。総合金融事業、ディベロッパー事業、サービス・専門店事業など、小売部門以外からの営業利益が増える中で、小売部門の収益性をどう高めるかが課題になっています。

3年間の中期経営計画には様々な施策が盛り込まれていますが、最も重要視されているのがネット通販の強化です。イオンの2016年度のEC化率は0.7%と、ECの売上はほとんどありませんが、2020年度にはEC化率を12%まで高める予定になっています。

イオンはこれからの3年間で約1兆8,000億円の売上を伸ばす計画ですが、その内の1兆1,500億円ほどがECの売上になる計算です。イオンの中期経営計画が達成できるかどうかは、ECの売上を伸ばせるかどうかにかかっていると言えます。

EC化率を高めるため、過去3年間で2,000億円だったIT・デジタル・物流への投資金額を、今後の3年間は5,000億円に増やす予定です。小売業の投資と言えば、新規出店や既存店の改装という意味でしたが、店舗以外の領域へ投資をする転換期を迎えています。

「Amazonに追い付かなければならない」との言葉もあり、イオンはAmazonと同じような買い物体験を提供する方向へと向かいそうです。アメリカのニュースを見ていても、従来の小売業であるウォルマートは、ネットショップや配達サービスの強化へ投資を行い、Amazonのクオリティに近付こうとしています。

食品スーパーの地域ごとの統合と商品部門ごとの専業企業の設立

グループ内に10社以上ある食品スーパーは、北海道、東北、首都圏、東海、近畿、中四国、九州を単位に統合する計画です。ダイエー、マックスバリュなど、異なる名前のスーパーがたくさんありますが、お客さんへの訴求力が分散するのはもったいないです。

食品スーパーの統合により規模が拡大することで、プライベートブランドの品揃え、売上の拡大もやりやすくなります。また、地域ごとにお客さんのニーズも多様化しているため、全国一律のチェーンストア方式も維持する事が難しくなっています。

衣料品、生活用品、化粧品、ドラッグなどの各部門は、それぞれの部門ごとに専業会社を設立する予定です。商品の企画、開発、販売を専業会社が行うことによって、より質の高い商品を販売して、売上を伸ばしていこうとする狙いです。

衣料品、生活用品、化粧品は、小売業全体では需要のあるカテゴリですが、魅力的な商品が少ないイオンは存在感がありません。お客さんの需要はあるだけに、質と価格のバランスの良い商品を開発できれば、イオンで買うお客さんも増えるはずです。

食品スーパーの地域による統合、商品分野ごとの専業会社の設立は、Amazonの影響が強まった事によるものではないかと思います。イオンは幅広いカテゴリの商品を販売しているため、どの部門ということではなく、企業全体でAmazonの影響を受けます。

これまであまり意識されていなかった企業内の効率の悪い部分が、Amazonの影響によって問題視されるようになります。ヤマダ電機は店舗の統廃合で営業利益率を改善させましたが、イオンにもヤマダ電機と同じように、改善できる部分はたくさんありそうです。

楽天やYahoo!ショッピングのようなネットモールを計画

イオンはネットモールを始める計画で、楽天やYahoo!ショッピングのように、様々な事業者が出店する仕組みです。これからの3年間で、1兆1,500億円の売上をECで作る計画ですから、新しく始めるネットモールには大きな期待がかかっています。

既にAmazon、楽天、Yahoo!ショッピングの3社の独占が進んでいる中で、新規参入のイオンがシェアを奪えるでしょうか。競合企業であるセブン&アイホールディングスも「オムニ7」に続き、ネットモール「omniモール」をスタートさせているため、新旧合わせてネットモールの競争が加熱しています。

ネットモールで販売する商品については、イオンの持つリアルでのネットワークを活かして差別化を図る予定です。道の駅、地方のスタートアップ企業、地場産品、農業のブランド化など、イオンに馴染みのある出店、商品を想定しているとのことです。

セブン&アイホールディングスが「オムニ7」を始める時も、リアルの商品調達力を活かして、Amazonに追い付くのだろうと考えられていました。しかし、実際には商品拡大のスピードは遅く、イオンが早急に品揃えを拡大できるかどうかはポイントになります。

イオンがネットモールを始めると、Amazon、楽天、Yahoo!ショッピングなど、大手のネット企業と競争することになります。これらの有名テックカンパニーと同じように、大量の技術者を採用、育成できるかという点も、重要な課題になると思います。

イオンのホームページでイオングループのネットショップ一覧を見ると、全部で35個ものネットショップがあります。従来の小売業が運営しているネットショップを見ると、どうしても、Amazon、楽天、Yahoo!ショッピングより見劣りしてしまうのですが、こうしたイメージも改善したいところです。

ネットショップの価格破壊に対応してディスカウントストアを強化

ディスカウントストアの強化が将来に向けた重要な投資だと考えられていて、現在4,000億円規模の売上高を1兆円まで伸ばす事が目標です。ディスカウントストアを強化する背景としては、ネットショップがもたらす価格破壊が挙げられています。

イオンのホームページでディスカウントストアを探すと、「アコレ」「ザ・ビッグ」という名前の食品ディスカウントスーパーがあります。「アコレ」は関東エリア、「ザ・ビッグ」は北海道エリアと出店エリアが狭く、店舗数自体も少ないのですが、どれくらいの勢いで店舗が増えるのか注目です。

消費者の節約志向に対応して、多くの小売業が食品、日用品、雑貨、家具など、幅広いカテゴリで値下げを行っています。消費者の節約志向がいつ終わるのか分からないのですが、しばらくは値下げ競争が続くのではないかと予想しています。

達成時期は未定となっていますが、4,000億円から1兆円へと売上を伸ばすことを計画しているため、ディスカウントストアはこれから大きく伸びるとイオンは見込んでいます。消費者は商品が安く買えるので嬉しいですが、同時に日本経済の先行きも明るくはないということなので、複雑な心境でもあります。

ネットショップとディスカウントショップを組み合わせて買い物ができると、お客さんは買い物時間の節約ができて便利です。おそらく、ディスカウントショップは小型店ですから、食品と日用品以外の品揃えには物足りない部分も出てきます。

ディスカウントショップで食品、日用品を買って、ネットショップで買った、本、下着、生活雑貨などの受け取りができると良いです。イオンで買い物をしたいけど、イオンのお店は遠いというお客さんもたくさんいるので、ネットショップとディスカウントショップを組みわせることで商圏を拡大することができます。