ローソンがコンビニの次世代店舗を研究している施設を公開

ローソンがコンビニの次世代店舗を研究している施設を公開

ローソンが次世代店舗を研究している施設を公開していて、IoT、ロボット、電子タグなど、最新のテクノロジーの検証が行われています。ローソンが試験導入を検討している無人レジのシステムでは、お客さんは自分のスマートフォンを使って買い物をします。

セブンイレブンも同様に次世代店舗を公開しており、人手不足が社会問題になる中で、テクノロジーの活用が進んでいます。テクノロジーの活用で店舗の生産性が高まれば、1店舗あたりの利益も大きく伸びるのではないかと予想しています。

スマートフォンの専用アプリで商品の識別と決済を行う無人レジ

ローソンの次世代店舗店舗はIoTやテクノロジーを取り入れ、実店舗で活用できるかどうか、検証する場所になっています。ローソンはスマートフォンを使った無人レジを公開していて、お客さんは店員に接触することなく、買い物ができるようになっています。

お客さんはスマートフォンのアプリを起動して入店して、店内で自分で商品のバーコードを読み込みます。その後、自分のスマートフォンを使ってLINE Payなどで決済を済ませ、最後にお店から出る時に、備え付けのタブレットにアプリを読み込ませます。

スマートフォンを持っていないお客さんには、バーコードを使った自動レジの活用が検討されています。昨年、ローソンとパナソニックが共同で開発中の完全自動レジが公開され、人間の仕事が奪われるかもしれないと、インターネット上で話題になりました。

ローソンとパナソニックが共同で開発中の完全自動レジでは、レジの機械に買い物かごをセットすると、会計と商品の袋詰めを一緒にやってくれます。商品に付けられた電子タグを読み込む仕組みになっていて、電子タグの価格が現状では高価格であることが、このシステムの大きな課題になっています。

コンビニの無人化はアメリカや中国でも積極的に進められていて、アメリカでは無人コンビニのAmazon Goに注目が集まります。Amazon Goではお客さんはレジに並ぶ必要がなく、お客さんは買いたい商品を袋に入れてお店から出ると、その商品の代金がAmazonのアカウントに自動的に請求される仕組みになっています。

お客さんが自分のスマートフォンを使って商品を読み込むやり方は、購入する商品数が増えると、お客さんも大変になります。商品を読み込む作業に負担を感じてしまうと、買い物に消極的になってしまい、購入点数が減ってしまうリスクがあります。

ローソンの無人レジの狙いは深夜の業務削減と24時間営業の維持

ローソンが無人レジなどのテクノロジーを活用する目的の一つは、コンビニの24時間営業を続けるためです。現在、人手不足によって小売業全体でアルバイト・パートの採用が難しくなっていて、コンビニの24時間営業の必要性の議論も出てきています。

自動レジは午前0時から5時までの深夜から早朝の時間帯に導入される予定で、この時間帯の従業員のレジ業務の負担を小さくする狙いがあります。深夜の時間帯には商品の搬入や清掃など重要な業務があり、従業員にはそちらに集中してもらうことができます。

ローソンが2005年頃に、営業時間を短縮する実験を直営店とFC店で行ったところ、深夜に閉店している時間帯を作ると、昼の売上が下がる結果になったとのことです。24時間営業を止めると、その時間帯の売上を失ってしまうと考えてしまいますが、実際には昼の売上も合わせて下がってしまうということです。

昼の売上を獲得するためには、深夜の時間帯に商品の補充・点検をしっかりと行い、掃除をして店内を綺麗にしておくことが欠かせません。コンビニの商圏は狭く、お客さんはリピーターが中心ですから、お店のレベルが下がるとすぐにお客さんを失います。

コンビニの24時間営業の是非については、ファミリーマートが24時間営業の見直しを検討しているとのニュースがありました。一方、セブンイレブンとローソンは、24時間営業を止める予定はなく、どうにかして24時間営業を続ける方法を模索しています。

狭い商圏の中に複数のチェーンがお店を持つようになる中で、24時間営業を止めたチェーンは、お客さんの支持を失ってしまう可能性があります。24時間営業を止めてしまうと競合を利することになるため、止めたくても止められないというのもあると思います。

人手不足によって小売業のテクノロジーの導入が加速する

日本では長時間労働や生産性の低さが社会問題になっていて、AIや人工知能などのテクノロジー活用して、問題の解決に取り組む企業が増えています。AIや人工知能は専門性の高い領域ですが、一般的な知識として定着するくらい多くの人に普及しています。

全産業の中でも小売業は特に生産性の低い業種で、アルバイト・パートの非正規雇用労働者によって支えられて来ました。しかし、人手不足で採用が難しくなっていることが契機になり、小売業でもテクノロジーの導入に積極的に取り組むようになっています。

小売業がテクノロジーを導入する上で重要なことは、これまでのお客さんの買い物体験を損ねないことではないかと思います。テクノロジーの導入により、小売業には様々な効果が期待されていますが、お客さんに負担を強いてしまうのは望ましくありません。

高齢化社会が進む中で、コンビニを利用する高齢者のお客さんも増え、コンビニは高齢者のお客さんにとって生活に欠かせないお店になっています。高齢者とテクノロジーは相性が良くないものですが、どのように折り合いを付けるかが課題になりそうです。

小売業がテクノロジーを導入する事によって得られる大きな効果は、お店の生産性が上がり、お店に利益が増えることです。具体的には、従業員の作業を減らすことで人件費が減る、販売予測が正確になることで値下げ、廃棄、機会損失が減る、店舗データの分析で購入点数が増えるなどです。

実店舗は狭い商圏でビジネスを行っており、少子高齢化が進むことを考えると、1店舗あたりの売上が伸びることは期待できません。売上を伸ばすことが難しい中で、費用を減らして利益を確保したいのですが、テクノロジーがその手助けになります。

ローソンとセブンイレブンの次世代店舗が目指すものの違い

最近、セブンイレブンも次世代店舗の公開を行いましたが、そのテーマは「環境への負荷低減」「働き易さ」「お買物のし易さ」というものでした。国内外の企業38社から技術提案を受け、その中から全国展開が可能な58種類の技術が採用されています。

セブンイレブンの次世代店舗の内容を見ると、最も重視しているのは人材を採用すること、働き続けてもらうことのように見えます。商品の補充を簡単にする、レジ袋を楽に取れるようにする、お店の空気を綺麗にする、冷蔵庫の冷たい風に触れる時間を減らすなど、店員の働きやすさを改善する機能がたくさん導入されています。

一方、ローソンの次世代店舗の内容を見ると、テクノロジーを積極的に活用することで、お店の売上を伸ばすことを狙っている印象です。セブンイレブンと同じように、従業員の作業負担を減らすことも盛り込まれているのですが、24時間営業を維持することへの強い意欲を感じます。

ローソンはセブンイレブンを追いかける立場であり、セブンイレブンの日販がローソンやファミリーマートよりも多いのは、お客さんが感じる店舗全体の総合力が理由だと言われています。昼間の店舗のクオリティを高めるためには、夜の時間帯での準備が不可欠であり、夜の時間帯の準備に力を入れるため、テクノロジーを活用するという具合です。

セブンイレブンとローソンは次世代店舗を公開しましたが、ファミリーマートにはそうした動きは見られません。セブンイレブンとローソンは積極的にテクノロジーを検証している中で、ファミリーマートの次世代店舗がないのは少し不思議な気もします。

ファミリーマートに関してニュースになったことは、コインランドリー、スポーツジムを導入することで、店舗の集客力を高める狙いです。ファミリーマートの店舗は、セブンイレブンやローソンとは違った形で進化していくのかもしれません。