飲食店はテイクアウトとデリバリーで中食ニーズに対応できる

飲食店はテイクアウトとデリバリーで中食ニーズに対応できる

どれくらいの飲食店がテイクアウトやデリバリーを行っているのか、アンケート調査(飲食店.COM会員の会員160名に実施)の結果があります。テイクアウトを行っている飲食店は回答者の45.6%、デリバリーを行っている飲食店は回答者の20.0%となっています。

現在、女性の社会進出や高齢化社会が理由で、食品スーパーの惣菜などの中食市場が拡大しています。中食市場の拡大は小売業だけではなく、飲食業にも売上を伸ばすチャンスであり、テイクアウトやデリバリーに取り組む飲食店が増えて来ると思います。

中食市場の拡大とライフスタイルの変化が飲食業へ与える影響

一般社団法人日本惣菜協会が発表した「2017年版惣菜白書」によると、2015年の中食の市場規模は9兆8,399億円となっています。2006年の7兆8,129億円と比較すると、約26%も伸びており、小売業、飲食業にとって非常に有望なマーケットです。

食品スーパーで買い物をしていても気が付きますが、食品スーパーが店内で最も力を入れている売り場が惣菜です。売り場面積が大きくなっていたり、サイズが豊富になっていたり、照明やPOPが綺麗になっていたりと、売上を伸ばすための変化が起こっています。

中食市場がこれから伸びるという話は、もう10-15年くらい前から言われていましたが、ここ数年でそれが実感できるようになりました。女性の社会進出、高齢化社会などの社会で起きている変化が、普段の生活の中で誰もが感じられるものになっています。

お客さんが中食に求めているものは、料理をする時間がない、料理をする体力がないなど、従来の家庭内の料理の代替です。以前であれば、惣菜は少し贅沢品のような扱われ方をすることもありましたが、今では毎日の食事として扱われています。

中食市場の規模が拡大していることは、惣菜を売る食品スーパーだけではなく、飲食業にも影響を与えます。飲食業が提供する付加価値は、美味しい料理、店内の賑やかな雰囲気、家族や友人と楽しく過ごす時間など、飲食店ならではの体験ですが、こうした飲食体験を求めるお客さんの数も減少傾向にあります。

忙しくて飲食店に行く時間がない、飲食店に行きたいけど一緒に行く相手がいないなど、飲食店から遠ざかる理由が増えています。単身世帯の増加は社会問題にもなっており、複数人で飲食店を利用する機会はこれからますます減って来そうです。

飲食店の半数近くがテイクアウトを行うも売上への貢献は小さい

テイクアウトを行っている飲食店は回答者の45.6%で、半数以上の飲食店はテイクアウトを行っていません。テイクアウトの売上がお店の月商に占める割合が10%以下と回答したのは82.4%で、テイクアウトのお店全体の売上への貢献は小さいです。

テイクアウトを行うかどうかは、店内での食事をしっかりとやった上で、さらに余裕がある飲食店が取り組んでいるのだと思います。お店の月商に占める割合が小さいことから判断すると、飲食店にとってあまり魅力がないと考えられているのかもしれません。

テイクアウトのメリットは、接客に手間がかからないこと、座席を使わずに売上を得られること、などがあります。店内が満席になっている状況で、そこでこなせないお客さんにテイクアウトで売れれば、お店としては売上的には最高の状態です。

テイクアウトのデメリットは、テイクアウトの分だけ調理が増えるので、店内もテイクアウトも混雑すると、従業員の作業が大変になります。お客さんは食事を早く済ませたいことも多いので、待ち時間の長いお店だというイメージを持たれるのは怖いです。

テイクアウトで現在注目されているのが、事前にネット注文を行い、店頭では待つことなく商品を受け取るやり方です。お客さんは想定外に店頭で待たされることもなくなるので、時間に追われている忙しいお客さんもテイクアウトが利用できます。

ネット注文でテイクアウトを利用してくれるお客さんが増えれば、テイクアウトの利用状況のデータを得ることができます。こうしたデータがあれば、食品の管理が効率よくなったり、お得意様にサービスができたりと、お店の経営にも役に立ちます。

デリバリーを行う飲食店は少なく配達に掛かる人件費が負担

デリバリーを行っている飲食店は回答者の20.0%で、デリバリーを行っている飲食店はテイクアウトほど多くはありません。デリバリーの売上がお店の月商に占める割合が10%以下と回答したのは69.7%で、お店全体の売上への貢献度の点では、デリバリーの方がテイクアウトよりも売上を稼いでいます。

デリバリーはテイクアウトと異なり配達があるため、お店には配達をするための人件費がコストとして発生します。回答者の76.5%が自店で配達を行っており、配達業務の負担の大きさが、デリバリーをやらない理由の一つではないかと思います。

飲食店がデリバリーを行うメリットは、商圏が広がることで、遠方のお客さんにも商品を販売できるようになります。配達の最低金額を高めに設定しておけば、配達に掛かる人件費も回収できるので、お店の利益もきっちり確保できます。

常にデリバリーが行える状態を維持することが課題になりますが、これは飲食店単独では難しそうです。「いま、お店が混んでるのでできません」と断ってしまうと、お店の信用にも関係して来るので、安易にデリバリーを始めることはできません。

最近は飲食店のデリバリー専門の集客サイトの利用者が増えていて、「出前館」、「楽びん!」、「UberEATS」などが人気です。デリバリー専門の集客サイトに出店をすれば、郵便番号や住所での検索に引っかかるので、お客さんに見つけてもらいやすくなります。

「出前館」の月額の掲載料は3,000円/店と、注文に応じて、オーダー手数料、Tポイント関連の費用が発生する仕組みです。デリバリー専門の集客サイトの出店者は大手飲食チェーン店ばかりですが、将来的には、小規模の店舗も増えて来るかもしれません。

社会の変化に対応するためにはデリバリーとテイクアウトが必要

一般的に飲食店の商圏は狭く、繁華街の立地を除けば、お店を利用してくれるお客さんは店舗周辺で活動している人たちです。飲食が好きな人は口コミサイトを使って、遠方まで食事に出かけますが、そうでない人は無理せず行ける範囲内の飲食店を利用します。

狭い商圏でビジネスをしている飲食店は、商圏内の少数のお客さんを大事にして、同じお客さんに何度も来店してもらわなければなりません。そうした中で、女性の社会進出や、高齢化社会により、お客さんの飲食店の利用回数が減ることは不安材料です。

お店の商圏を拡大させる目的で、テイクアウトとデリバリーに取り組む飲食店が増えて来ると思います。食品スーパーが実店舗から商品の配達を行うケースも増えていて、これは様々な理由で食品スーパーに買い物に来なくなるお客さんに対応するためです。

いくら飲食店が価値のある商品を提供したとしても、忙しいから行けない、遠いから行けないと言われるとどうしようもありません。商品に価値があることに加えて、その商品を便利に購入することができなければ、注文をもらうことが難しくなっています。

飲食店の利用方法は、店内での食事、テイクアウト、デリバリーと3つの方法があります。すべてを行うとオペレーションが複雑になり、コストの負担が増えますが、すべてを行った方が、飲食店の利益を増やすことに繋がるのではないかと考えています。

少子高齢化でお客さんが減ってしまうことは不安ですから、お客さんの様々な利用ニーズに対応できるようにしたいところです。お店のことを気に入ってくれているロイヤルカスタマーは、普通のお客さんの何倍もお金を使ってくれるので、店内での食事、テイクアウト、デリバリーのすべてを利用してくれるお客さんもいるはずです。