ドン・キホーテのプライベートブランド商品が大人気の理由

ドン・キホーテのプライベートブランド商品が大人気の理由

ドン・キホーテはなぜプライベートブランドのヒット商品を作れるのかについて、ドン・キホーテ社長のインタビューがあります。人気のプライベートブランドが作れる理由として、消費者の意見を直接聞くことができる小売業の立場が挙げられています。

ドン・キホーテが販売した5万4,800円の50型4K対応テレビは大人気になり、短期間で4,400台を売り切ってしまいました。ドン・キホーテのお客さんのニーズを商品に反映させるやり方は独特で、今後も高価格の商品から不人気の機能を減らし、低価格で販売するやり方でヒット商品が出てきそうです。

大手メーカーの半額以下の激安50型4K対応テレビが即座に完売

ドン・キホーテは今年の6月に、5万4,800円の激安50型4K対応テレビを発売して、インターネットでも話題になりました。初回出荷の3,000台はわずか1週間で完売して、初回の大好評を受け、その後に追加された1,400台も即完売という結果になりました。

50型4K対応テレビの相場は10~15万円となっている中で、ドン・キホーテから相場の半額以下のテレビが出てきたのは驚きでした。低単価の食品や日用品のプライベートブランドはお客さんの認知度も高いですが、高単価の家電においてもプライベートブランドが登場するようになりました。

ドン・キホーテが激安で50型4K対応テレビを販売できた理由は、安い部品を使ったり、機能を限定して開発したからです。ドン・キホーテの開発担当者の話では、大手メーカーが製造している同型のテレビと競合するような高機能なものではないとのことです。

テレビに対するお客さんのニーズも様々で、例えば、画面のサイズさえ大きければ、他の機能はそれほど重要ではないと考える人もいると思います。10~15万円では検討さえしていなかったお客さんも、5万4,800円であれば飛び付いた可能性もあります。

ドン・キホーテは話題になったテレビ以外にも、機能を絞り込んだプライベートブランドの電化製品を、大手メーカーよりも低価格で発売しています。スマホとつながるWi-Fi対応ロボットクリーナーを14,800円で販売している他、4,800円のフルHDカメラ、19,800円の格安ノートパソコンも話題になっています。

機能を絞り込んだプライベートブランドの電化製品の良い点は、低価格なので、気になる商品を試しに買ってみることができる点です。製品に満足できなくても低価格なのでダメージは小さいですし、満足できれば、次は高価格の製品にステップアップできます。

小売業だからできるニーズの取りまとめと低価格の商品開発

ドン・キホーテがプライベートブランドのヒット商品を開発できる理由として、消費者との接点を持っていることが挙げられています。メーカーは直接消費者と接することができないので、消費者の持っているニーズを知ることができないと昔から言われています。

「お客さんはこんな商品を求めている、こんな商品があれば売れる」という手応えがドン・キホーテにはあり、激安50型4K対応テレビの成功もその一つだということです。ドン・キホーテは食品から家電まであらゆるカテゴリの商品を販売しているため、何を販売してもお客さんに受け入れられやすいというのもあります。

ドン・キホーテで買い物をしていると、他のお店で買い物をする時よりも店員に質問することが多いです。陳列方法が独特なので自分が必要としている商品が探しにくかったり、機能、サイズ、色などで分かりやすく分類されていないこともあります。

ドン・キホーテが意図したものであるとは思いませんが、店員はお客さんの声を集めやすい状況になっている感じがします。商品を探しやすい陳列をすると、お客さんはストレスなく買い物ができるものの、お客さんと店員との接触は減ることになります。

商品を企画・開発するにあたって、小売業とメーカーの立場の違いによって、できることできないこともあると思います。ドン・キホーテの家電は機能を絞り込むことによって価格を下げていますが、メーカーの立場ではこうしたやり方は難しそうです。

メーカーも消費者のニーズを考えて商品の企画・開発を行いますが、商品が世に出てお客さんから評価されると、「この機能はいらない、この機能はむしろ力を入れと欲しい」と言われるところが出てきます。ドン・キホーテはそういうお客さんのニーズを取りまとめ「再開発」を行うことで、低価格のヒット商品を作っています。

お客さんの意見を取り入れながら開発を行う「情熱価格」

ドン・キホーテのホームページを見ると、プライベートブランドの「情熱価格」のページがあります。「情熱価格」は2009年から販売を開始しており、カテゴリは食品から家庭雑貨、キッチン雑貨、美容、健康用品、衣料品、家電、インテリア・寝具、スポーツ・アウトドア用品、カー用品、自転車、ペット用品、玩具・バラエティグッズなど、2,000点以上の開発実績があります。

「情熱価格」のページではお客さんからの意見を募集しており、商品のアイデア、感想を投稿するフォームがあり、それに対する担当者の回答もあります。プライベートブランドを販売している小売業は多いですが、ドン・キホーテのようにお客さんとコミュニケーションを取っている企業は少ないのではないでしょうか。

最近販売されたドン・キホーテのプライベートブランドに、手を汚さず食べられる「ワンハンドポテチ」があります。これはドン・キホーテが考案して、湖池屋が開発したもので、スマートフォンやパソコンで作業しながらでも食べやすい包装になっています。

誰もがデジタル機器を使う時代だからこその商品ですが、こうした風変りな商品をポテトチップメーカーが開発することは難しいと思います。「食べやすかったから、既存の商品も同じ包装にして欲しい」というような声がお客さんから出ても困ってしまいます。

2017年6月期の決算によると、ドン・キホーテのプライベートブランドの売上高は828億円で、売上高全体の約11.0%となっています。粗利益は全体の15.9%と売上高よりも構成比が大きく、プライベートブランドで高い粗利益率を確保しています。

2020年までにプライベートブランドの売上高構成比15.0%を目標にしており、今後も個性的なプライベートブランドが登場する予定になっています。激安50型4K対応テレビでお客さんの注目を集めることができたので、今後のドン・キホーテのプライベートブランドの売れ行きにも期待が持てます。

一つの商品を大量に売り切ってしまうことが専門店に与える影響

ドン・キホーテの50型4K対応テレビの売れ方で注目する点は、50型4K対応テレビの1点だけで4,400台を売り切ったことです。価格に飛び付いたお客さんが多かったと推測されますが、比較検討に時間を掛けることなく素早く購入の決断をしています。

また、ドン・キホーテが特に宣伝をしなくても、インターネットやテレビで情報が伝わり、多くのお客さんに商品を知ってもらえたことも重要です。テレビの購入をまったく考えてなかったお客さんも、インターネットやテレビを見て「私も買いたかった!」と残念がった人もいると思います。

50型4K対応テレビの成功事例を踏まえて、インターネットで事前注文を受けてから商品を生産するやり方も出てくるかもしれません。あらかじめ注文を受けてから生産すれば、生産計画も立てやすく、売り逃し・売れ残りもないので、さらに低価格で商品を販売することができます。

比較検討してもらうための幅広い品揃えを必要とせず、売りたい商品だけを単品で大量に売れるのであれば夢のような話です。低価格の商品でお客さんに喜んでもらえる上に、ドン・キホーテ側も大きな粗利益を獲得することができます。

小売業には家電、家具、洋服など様々な専門店がありますが、専門店はお客さんから幅広い品揃えを求められています。お客さんは専門店に出かけて、いろいろな商品を見て、触って、比較検討をして、それから気に入った商品を買うことで満足を得ます。

50型4K対応テレビのように1つの商品を効率よく大量に売られてしまうと、大きな売り場にたくさんのテレビを並べている家電量販店は苦しくなります。家電量販店はお客さんに比較検討をしてもらうために、売り場に「コスト」を掛けているのですが、ドン・キホーテの50型4K対応テレビの売れ方は、家電量販店の「コスト」をあざ笑うかのようです。