ミスタードーナツが軽食メニューの「ミスドゴハン」を販売

ミスタードーナツが軽食メニューの「ミスドゴハン」を販売

ミスタードーナツが朝食、昼食のニーズを狙って、11種類の商品からなる「ミスドゴハン」の販売を始めました。軽食とドリンクのセットメニューが300円台からあるので、朝食や軽食を低価格で済ませたいお客さんに喜ばれそうです。

社会環境の変化によって、ドーナツをテイクアウトする機会も減っていて、持ち帰りの個数も減っているとのことです。ドーナツというとおやつをイメージしますが、軽食のメニューが充実することで、お客さんの利用機会も増えます。

「ミスドゴハン」の提供でお客さんの食のニーズの変化に対応

ミスタードーナツが「ミスドゴハン」を始める理由は、お客さんのライフスタイルの変化と、食に対するニーズの多様化に対応するためです。ライフスタイルの変化については、少子高齢化、晩婚化・非婚化、働く女性の増加などが考えられます。

ミスタードーナツの売上のピークはおやつ時間の14~15時の間となっていて、それ以外の時間帯の売上を伸ばすことが課題とのことです。手軽に楽しめる軽食メニューを用意することで、軽食、昼食のニーズを取り込んで売上を伸ばす狙いがあります。

「ミスドゴハン」のメニューはパイ、ドーナツ、トーストなど全部で11種類となっていて、価格は160円(税抜き)から250円(税抜き)となっています。新メニューをサクサクの触感で楽しんでもらうため、専用の新型オーブンが導入されています。

また、新メニューとドリンクをセットにした「朝のミスドゴハンセット」も用意されていて、こちらの価格は320円(税抜き)から360円(税抜き)となっています。写真で見る限りは商品にはそれほどボリューム感はないものの、ドリンクとセットで400円以下なので、低価格で楽しめる軽食としてアピールできます。

ミスタードーナツはドーナツ以外のメニューを強化するため、他社と業務提携を行っています。宅配ピザの「ナポリの窯」を運営しているストロベリーコーンズ、パスタレストランを運営しているピエトロと協力して、一部の店舗で両社の商品を販売しています。

お客さんの立場から見て、ドーナツだけのお店とドーナツ・ピザ・パスタのお店を比較すれば、メニューが多いお店の方が魅力的です。両社ともによく知られている人気チェーン店ですから、来店客数の増加が見込めるのではないでしょうか。

お客さんのライフスタイルの変化とテイクアウト個数の減少

ミスタードーナツ1号店が開店したのは1971年のことで、1号店のオープンから46年が経っています。46年前と現在を比較すれば社会環境は大きく変化しており、それに合わせてお客さんのミスタードーナツの利用シーンも変化しています。

ミスタードーナツのテイクアウト率は60~70%程度で、ドーナツの持ち帰り個数は減っているとのことです。家族のお土産として仕事帰りに買って帰る、親戚、友人、同僚を訪問する際にお土産として持って行く、このようなニーズは減っています。

飲食店に求められているニーズとして、一人や友人数人でふらっと立ち寄って軽食やお酒を楽しむというのがあります。飲食店が提供している「ちょい飲み」やコンビニのイートインを利用する人が増えていて、一人で利用していることも多いです。

「ミスドゴハン」は朝食や昼食での利用を狙っていて、「気軽に楽しむ」「ゆっくり楽しむ」というようなコンセプトです。「ちょい飲み」やイートインの利用状況を見ると、「ミスドゴハン」のコンセプトはお客さんに受け入れられると思います。

ミスタードーナツにとって手痛いのは、ドーナツをテイクアウトする利用動機がどんどんなくなっていることです。ミスタードーナツのテイクアウトと言えば長方形の持ち帰りボックスですが、あの箱にはドーナツが10個から15個くらいは入りそうです。

非婚化・少子化が進んでいるため、子供たちを喜ばせるためにドーナツを買う機会も少なくなっています。ミスタードーナツがドーナツ以外の商品を提供するようになるのも当然の動きですが、中高年者にとっては少し寂しい感じもあります。

500店舗でドーナツの店内調理をやめて飲食スペースの拡大

2月25日の日経新聞の記事には、2020年までにミスタードーナツ全体の約4割に相当する500店舗で、店内調理をやめるとの情報がありました。一つの店舗で複数店舗分のドーナツを作るようにして、近隣の店舗に配達する仕組みになるようです。

店内調理をやめる理由は経費の削減で、専用設備をメンテナンスする費用、調理者を育てる人件費などを減らす狙いです。「焼きたてのドーナツ」というアピールポイントを失ってしまいますが、それでも経費を削減したいということになります。

店内調理をやめれば調理設備が不要になるため、空いたスペースを客席にすることで、飲食の客数を増やすことができます。2月の日経新聞の記事にあった500店舗で店内調理をやめるという情報は、「ミスドゴハン」の提供のための準備だったのかもしれません。

ミスタードーナツはもともとテイクアウトが中心であったため、店内の飲食スペースが狭いお店もあります。座席数が少ないとお客さんに混雑している印象を与えてしまうため、飲食スペースを広げることで、入店しやすい雰囲気を作ることができます。

ミスタードーナツが店内調理をやめるのは大きな変化ですが、お客さんのドーナツに対する関心が薄れている気もします。コンビニがドーナツの販売を始めた当初は話題になりましたが、現在に至るまで大きく売上を伸ばしているような話はありません。

コンビニのドーナツは「すごく美味しい」というほどではないものの、時間を掛けて遠くのミスタードーナツに行きたくはないという感じでしょうか。近くにあるコンビニで簡単にドーナツが買えるようになったことで、遠くにあるミスタードーナツの価値が下がってしまったと考えることができます。

ドーナツと軽食の組み合わせでお客さんの来店機会が増える

今回の「ミスドゴハン」の発表についてのニュースがたくさんあり、ソーシャルメディアでも様々な反応があります。商品の割には価格が高い、ドーナツを充実させて欲しい、是非利用したいなど、どちらかというとポジティブな意見が多い感じです。

小売業でも飲食業でも当てはまることですが、新しく取り扱いカテゴリを拡大しようとすると、否定的な意見が出てきます。お客さんはお店に対して「専門性」を求めているため、既存の商品・サービスの質が悪くなるのではないかと危惧します。

少子高齢化で人口の減少が続いているため、新規でお客さんを獲得することはますます難しくなります。既存のお客さんを大事にして、いかにして既存のお客さんの来店回数を増やすか、客単価を増やすかが売上を伸ばすポイントになります。

ミスタードーナツは長い歴史を持つチェーン店ですから、子供の頃にミスタードーナツを利用したお客さんも多いです。若い世代を取り込もうとするよりも、ミスタードーナツから遠ざかっている中高年のお客さんに戻って来てもらいたいところです。

既存のドーナツ中心のメニューに新しく「ミスドゴハン」が加わることで、お客さんの来店機会が増えることが期待されます。ドーナツはおやつとして扱われるため、「ミスドゴハン」の登場でドーナツの売上が落ちることはないと思います。

「朝のミスドゴハンセット」は新メニューの軽食とドリンクのセットですが、これにドーナツを加えたセットも良さそうです。満腹感を満たすことができるメニューを提供できれば、男性のお客さんに昼食として利用してもらうことができます。