オンライン小売業はなぜ当日配達サービスを重視しているのか

オンライン小売業はなぜ当日配達サービスを重視しているのか

オンライン小売業は当日配達サービスに力を入れていて、新しい物流倉庫建設のニュースをよくに目にします。現在、当日配達をして欲しいというお客さんの強いニーズがあるわけではありませんが、長い目で見ると、当日配達サービスの質が差別化要因になるのだと思います。

忙しい働く女性、体力に不安のある高齢者が増え、実店舗での買い物に負担を感じるようになれば、オンライン小売業に対するお客さんの期待も高くなります。コンビニ受け取り、ロッカー受け取り、自宅ロッカー受け取りと、商品の受け取り方法も増え、当日配達サービスと合わせて、オンライン小売業の買い物体験は進化しています。

オンライン小売業は当日配達サービス強化のために投資を行う

オンライン小売業は配達サービスの質を重視していて、当日配達サービスを提供するために設備投資を行っています。最初に当日配達を始めたのはAmazonですが、Amazonと同じように当日配達サービスを行うオンライン小売業が出てきています。

当日配達サービスを日本全国で行うためには、各地に物流倉庫が必要になるため、物流倉庫を増やしながら当日配達サービスのエリアを広げて行くことになります。時間経過とともに倉庫の数が増えて行くので、配達サービスの質も高まり、オンライン小売業で買い物をするお客さんの満足度も高くなります。

ネットショッピングを利用するお客さんが増え、運送会社が配達する宅配便の個数も増えています。国土交通省が発表した2016年度の宅配便取扱個数は40億1861万個となっていて、前年と比べて7.3%増と伸び率も大きいです。

現在、大手運送会社は配達時間や料金の見直しを行っており、このことがオンライン小売業の当日配達サービスにも影響を与えています。大手オンライン小売業では、食品・日用品販売のLOHACO、ファッション販売のZOZOTOWNなどが当日配達サービスの内容変更、中止を行っています。

大手運送会社が配達時間や料金の見直しを行ったことで、オンライン小売業の成長にも影響が出てきそうです。大手運送会社3社が同時に見直しを行っているため、オンライン小売業は配達時間や料金の見直しを受け入れざるを得ない状況です。

ネットショッピング市場は成長を続けていますが、成長の裏で運送会社で働く人たちの労働環境が悪化しています。運送会社が運賃の値上げして、サービス時間の短縮を求めれば、オンライン小売業で買い物をするお客さんが受けるサービスの質は低下します。

オンライン小売業は品揃えと配達サービスで客単価を伸ばせる

インターネットのニュースやSNSを見ていると、大手オンライン小売業の中でも、Amazon、LOHACO、ZOZOTOWNの3社は特に人気があると感じます。この3社に共通しているのは豊富な品揃えと配送サービスの質で、幅広いカテゴリの良い商品を少ない労力で買い物をすることができます。

ネットショップで買い物をするお客さんは気が付きにくいのですが、オンライン小売業は常に品揃えを増やしています。実店舗ではお店の品揃えが変わると気が付くのですが、ネットショップの品揃えの変化はパッと見では分かりません。

オンライン小売業が順調にカテゴリを拡大して行くと、それに合わせてお客さんの購入点数も増えて行きます。複数のカテゴリの商品を買う場合、実店舗では移動時間と体力を使って複数のお店を回る必要がありますが、ネットショップでは追加の負担なく買い物ができます。

昔のAmazonでは書籍、CD、DVD、ゲームなどを単品で買っていましたが、今ではこれらの商品と一緒に、食品、日用品、家電、雑貨、アウトドア用品、なども買うことができます。ZOZOTOWNはファッションのオンライン小売業ですが、洋服だけではなく、靴、化粧品、インテリアなど、ライフスタイルを切り口にカテゴリを拡大できます。

オンライン小売業がなぜ当日配達サービスに力を入れるか考えると、最終的にはお客さんの買い物需要を独占できると考えているからではないでしょうか。当日配達サービスを行うためには設備投資が必要ですが、それ以上に、最終的に得られる利益の方が大きいという見方です。

1回の買い物でたくさんのカテゴリが買えて、商品が当日やって来れば、お客さんの立場としては言うことがありません。買い物体験に満足したお客さんは、同じオンライン小売業でずっと買い物を続けるため、長い目で見ると大きな利益をもたらします。

お客さんは当日配達サービスよりも送料無料を重視している

ネットショッピングに関するアンケートを見ると、お客さんがネットショッピングに最も期待していることは送料無料です。お客さんの送料に対する拒否感は強いため、オンライン小売業は基準の購入金額を超えると、送料が無料になる仕組みになっています。

当日配達サービスにはあまり関心がないという声が多く、あってもなくてもいい、それよりも送料無料の方が重要だとの意見が多いです。当日配送サービスについては、お客さん側から強いニーズがあるというよりは、オンライン小売業側が必要性を感じて積極的に取り組んでいる状況です。

ネットショッピングで買い物をするお客さんの立場からすると、当日配達サービスがあって助かる場面は限定的です。ある商品がどうしても今日中に必要だけど、何らかの理由で、遠方にあるお店に買い物に出られないような状況でしょうか。

数日前に余裕をもって注文をして、指定した日時に商品が届いてくれれば、多くのお客さんが満足すると思います。納期を早めるために何らかの配達料を払うよりも、配達料を払わなくいいように工夫するのがお客さんのスタンスです。

とは言え、当日配達サービスや納期の短さは、お客さんは自分から強くは求めないものの、なかったらなかったで不満を感じるものです。今は送料無料の方が重要なため、納期については要求が少ないですが、オンライン小売業も納期を軽視できません。

オンライン小売業が提供する当日配達のサービスは、「当日」ということよりも、全体的な配達サービスの品質の高さをアピールするようなものだと思います。「あそこのお店は納期が早い」という好意的な印象を持ってもらえれば、他社に先駆けてお店を選んでもらうことができます。

買い物が大変だと感じるお客さんのニーズに合わせた買い物方法

毎日生活をする中で買い物をしますが、食品、日用品などは消費サイクルが早いため、1週間に数回買い物をする人が多いです。1つのお店で必要な商品をすべて揃えることは難しいので、総合スーパー、食品スーパー、ドラッグストア、ディスカウントストアなど、複数のお店を回って買い物をします。

複数のお店を買い回ることはこれまで当たり前のことでしたが、社会環境の変化によって、買い物を負担に感じる人も増えています。仕事で疲れている、時間がない、体力に不安がある、交通手段がない、近くにお店がないなど、買い物が大変になっている人の理由は様々です。

オンライン小売業は便利な買い物体験を提供することで、こうした買い物に負担を感じるお客さんの問題を解決することができます。実店舗とネットショップで同じ商品が同じ価格で買えるようになれば、複数のお店を買い回る実店舗よりも、自宅から買えるネットショップの方が時間と体力を節約できます。

高齢化社会、女性の社会進出が進む状況を考えると、オンライン小売業の存在感はますます大きくなります。若い世代のお客さんはネットショッピングに慣れていますが、ネットショッピングに慣れていない高齢者のお客さんに、どうやって買い物をしてもらうかということも課題として出てきそうです。

お客さんの立場としては、自分の好きなタイミングで、自分の好きな商品を買う自由を手放したくはありません。ネットショッピングで1-2週間分の買い物をまとめて行う、このようなスタイルを好むお客さんは少ないです。

自分の好きなタイミングで買い物をして、都合の良い時間、場所に配達してくれるオンライン小売業が好まれます。当日配達サービスに加え、コンビニ受け取り、ロッカー受け取り、自宅ロッカー受け取りと、オンライン小売業の買い物は進化しています。