新時代のニーズに対応するMEGAドン・キホーテ渋谷本店が開店

新時代のニーズに対応するMEGAドン・キホーテ渋谷本店が開店

東京都渋谷区にMEGAドン・キホーテ渋谷本店がオープンして、お客さんの多様化したニーズに対応する、新旗艦店として注目されています。MEGAドン・キホーテ渋谷本店は旧渋谷店が移転・増床したものですが、売り場面積は旧店舗の3倍と大型化しています。

ドン・キホーテの人気カテゴリである化粧品・美容グッズ・パーティグッズに加えて、新店では生鮮食品を含めた食品が強化されています。店舗の大型化に合わせてセミセルフレジが初めて導入されていて、店舗が大型化する中で、お客さんの買い物体験をどのように維持、改善して行くかという点が課題になりそうです。

ドン・キホーテ渋谷店が移転・増床を行った大型店がオープン

1999年に開店したドン・キホーテ渋谷店が閉店して、新しく、移転、増床したMEGAドン・キホーテ渋谷本店がオープンしています。移転前の渋谷店の年商は約40億円、新しくオープンしたMEGAドン・キホーテ渋谷本店の目標年商は100億円となっていて、約2.5倍の設定になっています。

売り場面積は旧店舗の3倍、取り扱いアイテムは4万店から8万店と2倍に拡大しており、若者のお客さんから女性のお客さんへとメインターゲットの変更も行われています。商品構成比は、日用消耗品・雑貨35%、ブランドアパレル・トレンド関連30%、生鮮食品15%、その他食品20%となっていて、食品の構成比は35%あり、存在感があります。

小売業の成長戦略は新規出店による規模の拡大が一般的な戦略で、売上規模を拡大して仕入原価を下げ、利益率を高めるというものでした。しかし、業界によっては新規出店が難しくなっている状況もあり、新規出店を減らして、既存店の改装、増床に力を入れる企業が増えています。

今回のMEGAドン・キホーテ渋谷本店も旧渋谷店の移転・増床によるもので、ポテンシャルのある店舗にさらに投資しようというものです。新店は売り場面積3倍、商品数2倍、目標年商2.5倍と大きくケールアップしていますから、旧渋谷店のパフォーマンスがいかに良かったか、新店にいかに期待しているかが伺えます。

集客力のあるアクセスの良い都市部に大型店を出す、女性をメインターゲットにする、この2つのコンセプトは今の時代背景にマッチしています。最近は女性の社会進出が進んでいるため、若い層では男女の賃金差が小さくなっていて、女性の購買力が高まっているとされています。

もともと主婦が家計を管理することが多いですが、女性の単身者も経済力を持つようになれば、ビジネスにおいてますます女性客を取り込むことが重要になります。若者の自動車離れ、高齢者の免許返上などを考慮すると、交通機関で買い物に行ける立地にお店を出すというのも、小売業の重点戦略になりつつあります。

女性客と地域の飲食店経営者向けに生鮮食品の品揃えを強化

MEGAドン・キホーテ渋谷本店は女性をメインターゲットにしており、青果・精肉・鮮魚・惣菜などの生鮮食品が導入されています。平日は主婦の来店、週末は家族連れでの来店が期待されていて、総合スーパーや食品スーパーと同じような価値をお客さんに提供することを目指しています。

近年は食品を購入するお店も多様化していて、総合スーパーや食品スーパーからお客さんが流出する現象が起きていて、コンビニ、ドラッグストア、ディスカウントストアで食品を買うお客さんも増えています。ドン・キホーテの平成28年6月期の決算資料によると、食品事業の売上高は242,215百万円(前年比16.1%増)と大きく伸びおり、お客さんから支持されていることが分かります。

生鮮食品の強化については女性客をターゲットにしていることに加えて、地域の飲食店経営者からの需要も想定されています。飲食店経営者からの需要が伸びるであろう根拠については、外国人観光客の増加によるものではないかと思います。

ソーシャルメディアを見ていると、渋谷は外国人観光客の人気スポットになっているため、地域の飲食店の外国人観光客も増えています。外国人観光客が団体でやって来て、同じメニューをまとめて注文すると、一気に材料不足が発生してしまうため、飲食店には緊急で材料を調達しなければならない状況が発生します。

お客さんは生活に必要な様々なカテゴリの商品を買い物しますが、最近は特に食品の重要性が増しているように感じます。低価格の商品が欲しいお客さん、少量に小分けされた消費しやすい商品が欲しいお客さん、高くてもいいので品質の良い商品が欲しいお客さんなど、食品へのニーズも多様化しています。

こうしたニースに応えられるお店が「良いお店」としてお客さんに評価され、多くのお客さんを集めることになります。ドン・キホーテは品揃えが豊富で客単価を伸ばしやすいお店ですから、食品を強化することでお客さんからの評価を高めることができれば、他のカテゴリの売上高も合わせて伸びそうです。

化粧品・美容グッズ・パーティグッズは好調で売り場面積を拡大

化粧品・美容グッズ・パーティグッズは旧渋谷店でも好調で、こちらの品揃えも旧店の3倍になっているとのことです。ソーシャルメディアに写真を投稿する女性が増えていますから、これらのカテゴリがよく売れているのは想像できます。

また、渋谷でのハロウィーンは毎年若者で賑わっていて話題になりますから、立地の良いドン・キホーテでは特にイベント関連商品がよく売れていそうです。ハロウィーン以外にも新しい若者のイベントが出てきれば、それに合わせてイベント関連商品を売ることで売上を伸ばせます。

ドン・キホーテは小売業の中でも業績好調の企業の一つですが、好調の要因の一つとして、若いお客さんを昔から囲い込んで来たことが挙げられます。ドン・キホーテは個性的な雑貨商品を取り扱っているお店として注目され、個性的な商品を求める若いお客さんからの人気によって成長して来ました。

以前は雑貨を購入していた若いお客さんが家族を持つようになり、雑貨だけではなく、食品、日用品、ファッション、家電など、他のカテゴリも購入しています。似たような状況は無印良品でも見られるのですが、お客さんのお店への強いロイヤルティーがあるため、カテゴリの拡大が順調に進み、売上高が伸びています。

現在、業績が好調な小売業とそうでない小売業の違いを考えると、若いお客さんがいるかどうかで差が付いています。百貨店や総合スーパーは業績が不調ですが、若いお客さんがあまりいないため、高齢のお客さんの消費減少に合わせて業績も悪くなって行きます。

ドン・キホーテで化粧品・美容グッズ・パーティグッズが若いお客さんに売れているということは、10-20年後は食品、日用品、ファッション、家電など、他のカテゴリを買ってくれる可能性があります。小売業各社が若いお客さんの取り込みに苦戦する中で、ドン・キホーテは昔からうまくやって来ていて、これからもうまくやって行きそうです。

食品の品揃えの拡大とレジの混雑解消を狙ったセミセルフレジ

新店にはセミセルフレジが初めて導入されるとのことで、商品の読み取りは店員、支払いはお客さんが自分で行うタイプのものです。セミセルフレジを導入する理由は、生鮮食品の導入、食品の品揃えが4倍になったことによる、会計時の混雑の解消が目的です。

ドン・キホーテにはオリジナル電子マネーのmajica(マジカ)があり、現金を入金する時には、買い物金額によって決まる会員ランクによって最大で5%のポイントが付きます。セミセルフレジと電子マネーで便利でお得な買い物体験を提供できれば、お客さんをリピーターとして囲い込むことができます。

ドン・キホーテはインバウンドのお客さんが多いですが、セミセルフレジの導入は外国人観光客への対応でも効果的です。外国の小売業のニュース記事を読んでいると、外国ではレジの待ち時間に対するお客さんの不満が日本よりも大きいようです。

外国人観光客はお菓子、雑貨、化粧品などを大量に購入してくれるお得意様ですが、レジが混雑している状況を目にすれば、買い物をせずにお店を出て行ってしまうかもしれません。「混雑しているお店」というイメージを外国人観光客に持たれてしまうと、その後の来店も期待できなくなり、大きな損失になってしまいます。

MEGAドン・キホーテ渋谷本店は旧渋谷店からの移転・増床で、売り場面積は旧店の3倍とお店の規模が大きくなっています。お客さんは品揃えが増えて便利なお店になったと感じるはずですが、お店側の立場では、買い物体験を損なわないようにしたいところです。

お店の売り場面積が大きくなれば、お客さんの店内滞在時間は長くなり、歩く距離も増え、旧店よりも買い物に掛かる労力が増えることになります。セミセルフレジはお客さんの買い物体験を改善する工夫の一つですが、店舗が大型化するにつれて、様々なテクノロジーの導入が不可欠になりそうです。